( 'A`)「ただの引きこもりなのにまた勘違いされてる……」 作:スレ主
( 'A`)「母ちゃん捜さないと……」
母が家賃を滞納したまま失踪した。
滞納している家賃は三ヶ月分。
僕には払う当てがない。
( 'A`)「前世と違って売るゲームもないし……」
働いてもいないのに、
お金なんてあるわけがないんだ。
だから僕は、期日内に母を捜し出さねばらない。
切られた期限は一週間。
どこにいるのかは不明だけれど。
どうにかして母を見付けて家に連れ戻し。
家賃を払ってもらって、久しぶりの手料理を作ってもらうんだ。
ただ僕はどうしようもない引きこもり。
外に出ることは不可能に近い。
必然、ミッションは部屋に篭もったまま行うこととなる。
('A` )「しかし僕には魔法がある」
この世界の魔法は万能だ。
理解さえすれば大抵のことは成し遂げられる。
タンスの角に小指をぶつけても痛くないようにしたり。
鍛えなくても一人で模様替え出来るようにしたり。
ご飯をほかほかに温める魔法も凄く使える。
僕は半日を費やして新たな魔法を開発した。
光を媒体にどこまでも遠くを見通す。
仮に名付けるとするなら万里眼。
( 'A◎)「《クレアボヤンス》」
(;'A◎)「…………」
(。'A◎)「……母ちゃん?」
発想は悪くなかったと言えるだろう。
前世の感覚で例えればこれはハッブル宇宙望遠鏡にも匹敵する。
試しに空に視線を移せば遙か遠くの恒星が見えた。
この世界の光学系観測法としては最高峰に位置する自信があった。
('A◎)「どれが母ちゃんだろ……」
ただ世界は広かった。
僕の想像していた以上に。
それは少し考える頭があれば分かったことなのかも知れない。
よく見える望遠鏡が一つあったところで、空に浮かぶ無数の星々から目当ての星屑を見付けることは出来はしない。
初めて見たこの世界の国々は広過ぎて……人が多過ぎた。
( 'A`)「……」
('A` )「……」
僕は冷静さを欠いていた。
外を捜せば、すぐに見付かると。
母がすぐ側で待っていて、こちらに手を振ってくれると。
そんなあり得ない幻想に縋り付いてたんだ。
( 'A`)「そもそも母ちゃんの顔ってどんなだっけ……」
この方法では、母を見付けることは叶わない。
僕は考え直さなければいけなかった。
( 'A`)「あと六日……別の魔法考えないと」
そして時間はさながら、
日めくりカレンダーのごとく過ぎて行った。
――残り五日。
どこかにいる母へ声を飛ばす試みをした。
DJさながらに母へのメッセージを読み上げていたら大家さんが飛んできた。
( 'A`)「へーい、ノってるかーい! 今日も楽しいラジオがはっじまるよー!」
( 'A`)「母ちゃん聴いてるー? 提供はおなじみシュ――」
――トントン。
(*゚ー゚)「シューくん、ちょっと近所迷惑だから静かにしてね」
(;'A`)「……ごめん」
――残り四日。
印刷した捜索ビラをばらまいた。
街の上空から降らせるという大仕事の後に大家さんが届けに来た。
( 'A`)「徹夜で作ったこのチラシを見れば母ちゃんもきっと――」
('A` )「空間魔法を街の上空へ繋げて、さあ㌧でいけ! 届け母ちゃんのもとへ!」
「ん、なんだあれは……?」
「……お、おい空から紙が降ってきたぞ!」
「拾え、拾ぇぇ!」
――トントン。
(*゚ー゚)「シューくん、これシューくんのだよね?」
(*゚ー゚)「ちょっと他の人に取られちゃったけど、わたし頑張って集めたから」
(*゚ー゚)「もうダメだよ、こんなもったいないことしちゃ」
(;'A`)「……ごめん」
――残り三日、残り二日。
ひとりで○×ゲームをやって暇を潰す。
必勝法を見付けたので母が帰ってきたら一緒にやりたい。
( 'A`)「母ちゃん……」
――残り一日。
母がせめて携帯を持っていれば、と何度考えたか分からない。
ここが異世界でなく現代であったなら、取れる方法は色々あったのに。
( 'A`)「これが最後の魔法だ……」
母を捜す上で最も困難を極めたのは、僕が母の顔をあまり覚えていないことだ。
光学的な捜索では仮に見付けてもそれが母とは気付かないかも知れない。
だから僕は誰とも分からない母へメッセージを送る方法を考えた。
僕からではなく、母の方から気付いてもらえば良いんだと。
しかしそれもことごとくが失敗に終わった。
この世界は情報の流れが活発ではないんだ。
どうあがいてもとても母まで届く気がしない。
(;'A`)「あとは血を一滴垂らすだけ……うっ」
破れかぶれになった僕は最後の手段に取り組んだ。
それは生体が持つ、DNAにも似た固有波動をレーダー的な方法で探知するというもの。
ゲームなんかでよく見掛ける、敵と味方を区別して表示するアレが近い。
僕は前世の記憶がある転生者だけれど。
この身体は母から生まれたものだ。
血は確かに繋がっている。
肉親を見分けるこの魔法であれば。
(;っ'A`)っ((◎))「《レーダー》」
――きっと母も見付かる。
(っ'A`)っ((◎))「……?」
――そう僕は信じて疑わなかった。
(っ'A`)っ((◎))「……反応がない」
(つA⊂) ゴシゴシ
(っ'A`)っ((◎))「……なんで?」
しかし期待に反して、反応は一切表われなかった。
理論的には世界の半分を覆えるはずだった。
僕の住むこの部屋を中心とした世界の半分だ。
もしこの範囲から出ようとするなら、
この世界の交通手段ではどう見積もっても年単位は掛かる。
(;'A`)「……」
母は、失踪してからまだ三ヶ月だと聞いている。
(;'A`)「……なんで反応がないの?」
考えられる理由は幾つも浮かんだ。
だがいずれもあり得ない、絶対に。
(;'A`)「母ちゃんと血が繋がってなかった?」
('A`;)「え、でも生まれたときの記憶あるし……」
……生きているなら、
生きてさえいるなら見付かるはずなのに。
何度試しても、母の反応は微弱にも感じられなかった。
(;'A`)「なんで、なんで見付からないんだよ……!」
思わず声を荒げた。
魔法をさらに高性能化すべく試行錯誤した。
空間を別の場所に繋げて、そこで魔法を起動してみたりもした。
(;'A`)「母ちゃん、死んじゃったの……?」
しかし何を試しても同じだ。
忘れていた母の面影が走馬燈のように巡って行く。
既に日は沈み始めている。
今日が終わろうとしているその時刻に。
僕は、
生まれて、
初めて、
絶望を感じた。
慰めてくれる母は、
この世界には、もう存在しない。
そして――
起動したままにしていた空間魔法が、
奇妙なところと繋がった。
( ,_ノ` )y━・~~~「……?」