( 'A`)「ただの引きこもりなのにまた勘違いされてる……」 作:スレ主
絶望に膝を抱える僕の前に。
その老年の男は姿を現した。
街の上空に繋いでいたはずの《窓》の空間魔法。
それがいつの間にか別の景色を映し出している。
どこかの店――
まるで喫茶店のような場所。
(;'A`)「ひっ、だ……だれ?」
一人の老年の男が《窓》の向こう側にいた。
優雅に椅子に座り、
葉巻を吹かしながらこちらを見ている。
その男はゆったりとした動作で葉巻を灰皿に押しやると、重たげに口を開いた。
( ,_ノ` )「……なに、しがないマスターさ」
( ,_ノ` )「懐かしいものを見かけたもんでつい、な。接続してしまった」
('A`;)「ハ、ハッキング……」
魔法の座標が切り替わったのは、
どうやらこの男の仕業らしい。
(;'A`)「ハッキングは犯罪なんだぞ……」
久々に対面した人間に、
竦み上がりながらも僕は言い切ってやった。
人の魔法を乗っ取るなんて、
とんでもない悪党だ……と。
( ,_ノ` )「ほう……?」
('A`;)「ハ、ハッキング……」
男には不思議な迫力があった。
( ,_ノ` )「これは覗きの魔法だろう……?」
( ,_ノ` )「ならお前さんは覗きは犯罪じゃないと、そう言いたいのか……?」
特に恐い顔というわけでもないのに、
刻まれた皺の数々が過ごした人生を表わしているかのようで。
引きこもりの僕なんかでは到底太刀打ち出来ない存在だと物語っている。
('A`;)「え、え、覗……別にそんなつもりじゃ……」
その言葉は僕に一抹の不安をもたらした。
空間魔法を繋げていたのは主に空の上で、
別に覗きをしていたわけではないのだけれど、
男の言っていることは何となく正論にも思えた。
( ,_ノ` )「……フッ、お前さんがどういうつもりだろうと」
( ,_ノ` )「……そこいらを覗いてた残滓は隠しようがない」
母を捜していただけとはいえ、
魔法を乱用していたのは紛れもない事実だ。
('A`;)「……僕捕まっちゃうの?」
( ,_ノ` )「……」
眉間の皺をより一層深くして睨み付けられる。
('A`;)「……ど、どうにかならないの?」
( ,_ノ` )「……」
にやりと口元が吊り上がった。
獲物を見付けたハンター。
もしくは、
現行犯を前にした刑事のような獰猛な笑み。
(;A;。)「……だって、だって母ちゃんが……」
( ,_ノ` )「……フッ、冗談だ」
(;A;。)「……え?」
男はふっと頬を緩ませる。
それだけで先ほどの険相が嘘のように解消された。
( ,_ノ` )「どこのやんちゃ坊主かと思えば……
フッ、まるで昔の私を見ているようだな」
どこか遠い目をし出した男は、
どこにでもいる普通のおじさんのように笑った。
(;A;。)「……僕捕まらないの?」
( ,_ノ` )「言ったろう?
私はゴルゴンゾーラ……しがないマスターだと」
('A`;)「(……え、名前言ってたっけ)」
( ,_ノ` )「これは私の奢りだ。飲みたまえ」
( 'A`)「あ、ありがとう……」
そう差し出されたのは一杯の珈琲だった。
洒落たマグカップに注がれたミルク珈琲。
まさかこの世界にもあるなんて思いもしなかった僕は、少しばかりの懐かしみと共に口を付けた。
( 'A`)「あつい……」
だけど美味しい。
挽き立て、淹れ立て、素材のままの風味が、涙の涸れ尽きた肉体に染み渡る。
これほどのものはきっと前世でもそうは味わえないだろう、そんな確信が何故かあった。
――なるほど、ゴルゴンゾーラ。
その名、その風貌の厳めしさにも負けない見事な腕前だ。
僕は認めるしかない。この人を。
喫茶店の
( ,_ノ` )「ときに、何やら込み入った事情がありそうだな」
そんなことを僕が思っていると、
マスターが世間話のように訊いてきた。
( 'A`)「え……? あ、うん。
母ちゃんが行方不明なんだ」
至って平静を装い、
何でもないことのようにあっさり答えたけれど。
( 'A`)「何やっても見付からないからもう――
死んじゃったんじゃないかって思って」
そんな演技は僕には無理だった。
( ;A;)「……うぅ、母ちゃん」
温かい珈琲で補給された水分が、
途端に目から溢れ出す。
( ,_ノ` )「フッ……詳しく話したまえ」
( ;A;)「……うん」
( ;◎E「……」
( ,_ノ` ) ←ゴルゴンゾーラ
魔法に介入して来た老年の男。
喫茶店の
いつか「お前さんはここを喫茶店だとでも思っているのか?」と冗談交じりに言われるまでこの誤解は続く。
ζ
[ ̄]っ ←珈琲
伝説の大賢者が嗜む程度の高級品。
一杯で家賃とか余裕で支払える値段。
(なお二行AAはタグを使うしかない都合で一部省略されているのであしからず)