( 'A`)「ただの引きこもりなのにまた勘違いされてる……」 作:スレ主
空中に小さな窓を作り出す空間魔法。
向こう側からの干渉を拒絶し、
こちら側から一方的な観察に用いるそれが、
今ひとりの冒険者を映し出していた。
(;`・ω・)「はっ、やるじゃないか!」
青年が必死に剣を振りかざしていた。
振るう先には六体の小人。
小躍りしながら青年の周りを彷徨き、
木の棒を振り回して応戦している。
('A` )「グロとか勘弁」
僕は素でそんな感想を漏らした。
前世でネットサーフィンしていて、
ブラクラを踏んでしまったときの気分だ。
( 'A`)「この人なんで逃げないの?
……あの数に勝てるわけないのに」
小人の身長は胸元くらい。
武器は木の棒、防具は布きれ。
見るからに弱っちょろい。
そんなのでも六体いれば脅威だし。
何より囲まれてしまっている。
戦いは数だよアニキ。
確かにこの状況から、
一体を選んで倒すのは簡単だ。
どれにしようかな、
なんて神様にでも尋ねて、
懐に潜り込んで叩き斬るだけで終わる。
でもそれだけだ。
一体目を斬った次の瞬間に、
残りの五体から袋叩きに遭う。
それはきっと致命傷になるだろう。
ただの自殺行為でしかない。
同じことを考えているのか、
冒険者の踏み込みは浅く、
何度も薙いだ剣先は、
敵を仕留めるまでに至らない。
('A`*)「僕はこういうの詳しいんだ。マンガとかで」
( 'A`)「無理だよ、逃げなよ、勝てないよ」
動画を見ているつもりで呟いた感想。
そんな僕の言葉が、
窓を通じて彼に届いたらしい。
(;`・ω・)「はっ、逃げやしないさ!」
('A`;)「……ぁ、ぅ、聞かれてた」
(`・ω・´;)「ここで俺が引いたなら、こいつらはどこへ行く!? 近くの村を襲うんだ! ……だから俺が、この場で、差し違えてでも倒してやらなきゃな!」
その物言いに僕はハッとする。
まるで自身を奮い立たせるかのように魂から発せられたシャウト。
全身が震えているのは、
恐怖しているからではない。
ただ体力が尽き掛けているんだ。
あと一歩が踏み込めないのは、
命を惜しんでいるからではない。
ただ一体でも多くを、
道連れにする機会を図っているんだ。
その決死の姿は、
命を懸けた一挙一動は、
何よりも雄弁に僕に教えてくれた。
('A` )「なるほど……」
何度も見た光景だ。
マンガとかで。
ここで倒さねば他の人に危害が及ぶ。
それはかつてモンスタートレインに何度も轢き殺された過去を持つ僕にも納得の理由だった。
僕は観戦を続ける。
そしてお茶をずずっと飲むと。
理解が追い付いた。
(;'A`)「ってそんな場合じゃない!
――助けてあげなきゃ!」
これはマンガでもゲームでもない。
現実のどこかで、
実際に行われている危機だ。
僕は慌てて、
湯飲みを窓から投げ付ける。
器用さが足りず明後日の方向に飛んで行った湯飲みは、地面に落ちて音を立てて砕けた。
旦彡 < パリン!!
ヾ(゚々。)ノ「ギャギャ!?」
ほとんど何の意味も無い行為。
しかし割れる音が注意を引き、
その隙を冒険者が狙って、
一体の首を刎ねることに成功した。
(;`・ω・)つ━╂── ザシュ
(゚々。) ゴロン...
(∩A∩)「うわ、グロ……」
直視したモザイク無しのグロ映像。
戸惑いつつも僕は魔法を唱える。
щ('A`щ)「《フ《フ《フ《ファイアー!》」
絵本にも描かれる原初の魔法が指先に灯る。
右手に四本、左手に四本。
合わせて八の火の粉が飛翔し、
三体の小人を掠めるように触れた――
――途端に轟炎が全身を浸食し、
骨すら残さず焼き尽くす。
最初に習得しただけあって、
この魔法は色々と加減が利く。
まあ流石にぶっつけ本番で指を全て違う対象に向けるのは難しかったけれど。
(・ω・´;)「ははっ、凄まじいな! ――だがあれで逃げてくれる奴らじゃないようだ」
(;`・ω・)つ「もちろん俺も逃がす気はないけどなっ!」
щ('A`;)「はわわ……《エンチャントファイア!》」
果敢に飛び掛かる冒険者を、
ご飯を温める用の魔法で支援する。
咄嗟に防ごうとした小人を、
盾にした木の棒ごと一刀両断。
間髪入れずに、
最後の一体へ斬り返しを浴びせた。
(゚々。(゚々。) ゴロロン...
戦闘は終わった。
僕たちの勝利だ。
( 'A`)b「――グッジョブ!」
そして、
冒険者は呻き声もあげずに崩れ落ちた。
(;,_ω_)「……」
とっくに限界だったのかも知れない。
気力だけで支えていた糸が、
安堵と共に切れてしまったんだ。
(((;'A`)))「し、し、しんじゃった……!?」
(`・ω・´) ←キッシュ
腕は二流、頭は一流、風格だけは超一流。
これから多くの大冒険を歩む期待のルーキー。
(゚々。) ←翻弄するオニオンの遠征兵
ゴブリン的な子鬼、の精鋭版。