( 'A`)「ただの引きこもりなのにまた勘違いされてる……」   作:スレ主

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一章:喝采せよ、新たな伝説を
第7話 冒険者支援というお仕事


 家賃を支払ってから一週間が経過した。

 

( 'A`)「今日もがんばろ」

 

 あの日から僕は、

 冒険者の支援を本業に据えている。

 

( 'A`)σ「ヘイ!《サーチ!》」

 

( 'A`)੭「ヤー!《マーキング!》」

 

ლ('A` )「漆黒の闇を彩りし混沌よ、今こそ我が意思の下に集い具現化せよ、彼の者の真実を此処へ……!《ステータス!》」

 

 敵味方を識別する魔法でフィールドを監視し、

 冒険者を見かけたらそっと見守って、

 危なそうなら助力する。

 

 外に出る必要も、

 誰かと会う必要もない。

 引きこもりの僕に最適な在宅業務。

 

( 'A`)「……」

 

('A` )「……戦線異常なしっ!」

 

( 'A`)「……」

 

('A` )「……あの人達って何してるんだろうね」

 

( 'A`)「……あ、おひさー、げんきー?」

 

('A` )「……へー、今日は凶暴龍ラングドシャの討伐に行くんだ?」

 

( 'A`)「……ならば頑張ると良い。僕が君の伝説の語り部となろう

 

('A` )「……なんちゃって

 

(っA`)「そろそろ休も」

 

 冒険者の主な活動時間帯が日中なせいで、

 僕もこのところ昼型を強いられている。

 だからこの仕事の半分は眠気との戦いだ。

 

 僕としてはその点に不満はない。

 誰かに頼まれているわけでもなく、

 自分の都合が十割を占める仕事だし。

 

 働きたいときに働いて、

 休みたいときに休めば良い。

 それが許される最高の職場だと思う。

 

(うA`)「――!」

 

 ――と、そのとき。

 視界の片隅にアラートが灯った。

 一人の冒険者の体力が減っている。

 

( ;°A°)ぅ「あぅ、危ない!

――《ヒx1《ヒx2《ヒール!x4

 

 すぐさま空間を繋げて回復魔法を飛ばす。

 柔らかな光が四方から冒険者に纏わり付き、

 流れ出る血を分解して傷口を癒やす。

 

(つA`)「あー、良かった、間に合った。……あの人が町に着くまでもうちょっとだけ続けよ」

 

 スプラッタな映像は何度見ても動悸が起こるし、

 無事に助かれば安堵の溜息が漏れてしまう。

 まだまだ慣れたなんてとても言えない感じだ。

 

 でも始めて一週間の若輩ながら、

 僕はこの仕事に誇りを持っている。

 

 ――窮地に陥る冒険者達。

 そこには僕しか居らず、

 僕が何とかするしかない状況がある。

 

 ――厳かに感謝を述べる冒険者達。

 そこには僕しか居らず、

 僕が必要とされた実感が確かにあった。

 

 ――充実した毎日だ。

 ただひとつ不満があるとすれば、

 この一週間で何も収入を得ていないことくらい。

 

 正直なところ、

 何かを著しく間違えている気はする。

 でも僕は気にしない。気にしたら負けだ。

 

 〆

 

 

『ロレーヌ王国――辺境の森』

 

 

 代わり映えしない森の中を、

 いつものように監視していると、

 一人の冒険者が目に入った。

 

(;`・ω・)「……。……。……」

 

 かつてこの付近で共闘し、

 密かに憧れを抱いたあの青年だった。

 

( 'A°)「ぁ……、あ……、あ……!」

 

 見ればソロで探索しているようで、

 緊張感を漲らせながらそろそろと歩いている。

 ソロだけに。

 

('A` )「話し掛けたいな、でも迷惑だったらどうしよ」

 

 森にいるということは仕事中だ。

 決して暇で仕方なくて、

 気分転換の散歩をしているわけではないと思う。

 自室から魔法を使っている僕じゃあるまいし。

 

('A` )「……ぁ、こほん」

 

('A` )「……(あの、こんにちは。お久しぶり。良いお天気ですね。僕はシューってお呼ばれしてます。あれからお体調お変わりなくお過ごしですか。お僕ですか? お僕はお元気です。えへへ)

 

(*'A`)「……よし!

 

 僕は声を掛ける決意を固めた。

 とても勇気のいる行為だった。

 以前までの僕なら考えることすら放棄して逃げ出していたくらいには。

 

 しかし今の僕は、

 勇気の出し方を知っている。

 他ならぬこの青年から見て学んだんだ。

 

('A`;)「も、もしもし……

 

 

(;`・ω・)「――っ!」

 

 青年は素早く身を翻し、

 腰に吊り下げた剣を抜き放った。

 

(;'A`)「うぇ……!」

 

 向けられた切っ先に驚き戸惑う。

 空間魔法を隔てたこちら側には何も出来ないと分かっていても、いきなり刃物が眼前に映るのは僕には恐怖だった。

 

(´・ω・`)「おや、その声――もしや賢者様では?」

 

 青年は警戒を残しつつも剣を鞘に戻す。

 向こうからは見えないはずなのに。

 その眼は確かに僕の方を見据えていた。

 

('A`;)「ぅん、僕だよ。ひさしぶり

 

 まだ賢者様とかいう勘違いが続いている。

 でも彼が話しかけているのは確かに僕だ。

 

('A`;)「あの、僕シューって名前で……」

 

 僕の名前は本当はもっと長い。

 ただ聞き返されずに伝える自信が僕にはないから身内が呼ぶ愛称の方を教えた。

 

(`・ω・`)「なるほど、失礼した賢者シュー。

俺はキッシュ――ただのキッシュだ」

 

 僕も賢者でなくただのシューくんなんだけど。

 それはひとまず置いて、

 僕はその名乗りを反芻した。

 会話を続けなきゃ。

 

('A`;)「キ、キッシュ君、今何してるの?

 

(`・ω・´)「ギルドの依頼をしているところだが……何か用があるなら優先しよう。まだあのときの礼をしていないからな」

 

 やはり仕事中らしかった。

 でも特に用事があるというわけではない。

 

(*'A`)「お礼って……もう十分だよ、お金たくさんもらったし

 

 そもそもお礼を言いたいのは僕の方だ。

 彼と出会えたから僕は家賃を払えたし、やりたい仕事も見付かった。大家さんと少し仲良くなれた気もするし、これでもっとお礼をくれなんて言えるほど僕は厚かましくない。

 

(`・ω・´)「ははっ、まあそう言わずに。命の恩をあの程度の小銭で返しただなんて、母上に知られでもしたら泣かれてしまう」

 

 そんな僕の思いとは裏腹に、

 彼の方はまだまだ返し足りないらしい。

 ひどい意識のすれ違いを感じる。

 

('A`;)「(ぇ、キッシュ君の母ちゃん泣いちゃうの……それは困る)」

 

 ただこの会話に、

 ほんのちょっと僕は共感を抱いた。

 

 もし僕に何かがあったとき、

 誰かが助けてくれたとして、

 母がそれを知ったとしたら、

 僕にちゃんとお礼をするように言うだろう。

 彼にもそういう母親がいるのだ。

 

(;'A`)「……あの、それじゃ、キッシュ君の依頼、僕も手伝っていい?」

 

 僕にひとつの閃きが訪れる。

 

('A`;)「あの、僕お金がほしくて、その、塔とか建てたいから……」

 

 本当は家賃の為だけれど。

 

(;´・ω・)「なんと魔法塔を……流石は賢者シュー」

 

('A`*)「……うん」

 

 変な見栄を張ってしまった。

 胸が疼く。

 けれども僕は堪えて話を続けた。

 

(;'A`)「だから、手伝うからお金、分けてもらえないかな?」

 

 とても卑しく、

 本来は唾棄すべき考えだ。

 

 これは寄生行為だ。

 稼げる人に相乗りして、

 利益を掠め取ろうだなんて、

 バレたら間違いなく炎上する屑の所業だ。

 

 だけどキッシュ君なら、

 笑って許してくれる気がしたし。

 彼はお礼がしたくて、僕はお金がほしい。

 この二つを解決するベストな形に思う。

 

 彼は暫し思考するかのように瞼を閉ざすと、深い頷きを返した。

 

(`・ω・´)「なるほど、つまりパーティを組むということか

 

('A°;)「うん、そう、それ!

 

 僕は手放しで肯定した。

 彼なら分かってくれると信じていた。

 

 そうだ、パーティだ。

 彼が前衛で、僕が後衛。剣士と魔法使い。

 互いの役割が完璧にマッチしている。

 この二人でクエストしてお宝を山分けしよう。

 

(´・ω・´)「もちろん……と言いたいところだが、俺が受けているのは採集依頼なんだ。それでも構わなければ」

 

('A°;)「いいよ、僕採集だいすきだから!」

 

(`・ω・´)「ははっ、では良いだろう。共に冒険しよう!」

 

(*'A`)「うん! ありがと

 

 以前のような共闘でも良かったけれど。

 採集ならば戦うより難易度は下がっている。

 まさにそういう用途に適した魔法を僕は覚えているんだ。

 

('A` )「どんなものを探してるの?」

 

(`・ω・)うW「これだ」

 

 背嚢から取り出されたのは、

 紐で括られた草の束だった。

 

 全体的に緑色で先っぽが少し白い。

 どこにでも生えていそうで、

 花が咲きそうにない感じの草だ。

 ……雑草かな。

 

('A` )「おいしそうだね!」

 

(`・ω・´)「腹は下さないがとても苦いぞ。何せポーションの原料だからな」

 

( 'A`)σ「へぇ……《サーチ》」

 

 僕は呪文を唱えた。

 特徴に合う対象を探し出し、

 マップ上に光点で表示する魔法だ。

 

 敵と味方を識別し、支援対象を速やかに特定すべく編み出したものだけれど、採集ポイントを表示する用途にも使える。

 

ч( 'A`)「そこにあるよ《マジックハンド》」

 

 彼が手に持つ草と同じものが、

 辺りに転々と生えているのが確認できた。

 結構ばらけていて数が少ない。

 これを目視で探すのはちょっと面倒そうだ。

 

 僕は光る魔法の手を出現させ、

 そのうちのひとつを指し示す。

 

 

(´・ω・´)「おお、さすが――と、すまない、これは駄目だな。葉先が柔らかい。もう暫く待ってやろう」

 

('A` )「……摘めないの?」

 

(´・ω・`)「賢者シューがどうしても仰るなら摘むが、そうでなければ残しておきたいところだな」

 

 よく分からないが駄目らしい。

 しかし雑草はまだまだ生えている。

 マップが示す次のポイントへ移動する。

 

ч( 'A`)σ「ならそっちはどうかな」

 

(`・ω・`)「ふむ、これも駄目だな。少し萎びてしまっている。水を掛けておいてやろう」

 

ч('A` )σ「……こっち」

 

(´・ω・´)「虫食いがひどいな。売り物にはならなそうだ。そっとしておこう」

 

(;'A`)σ「……あっち」

 

 ……。

 …………。

 

 それから僕たちは次々と移動したものの。

 成果は芳しくなかった。

 

 そこら辺にある雑草とは言っても、

 摘める条件が非常に厳しい上に、

 まとまって生えていないのが足を引っ張った。

 

(`・ω・´)「おっともうこんな時間だ。賢者シュー、俺はもう帰還するがあなたはどうする?」

 

('A`;)「……僕、やることあるからここに残る」

 

(`・ω・´)「そうか。今日はあなたのお陰でとても捗った、感謝する」

 

('A`;)「ぅ、うん、どういたしまして」

 

 彼はそう言ってくれたが、

 助けになれたのかは疑問だ。

 

(´・ω・´)「報酬は本当にいらないのだろうか?」

 

(;'A`)「僕、ほとんど何もできていないし……」

 

 僕が示した雑草のうち、

 摘めたものは数本くらいしかない。

 紐で括る一束にも満たない僅かな量だ。

 

 それなのに彼は所持していた五束から半分。

 三ゴールドを僕の取り分として提示してきた。

 ――受け取れるわけがない。

 

('A`;)「あの、その代わり……明日もいい?」

 

(´・ω・´)「……うん?」

 

(;'A`)「明日も採集、一緒に」

 

 今日は失敗してしまった。

 でもこのままでは終われない。

 これでは本当に迷惑を掛けただけになる。

 

(`・ω・´)「ああ、問題ないとも。採集は常設依頼だからいつでも受けられる」

 

('A`;)「じゃあそれで……明日は僕もっと頑張るから」

 

(`・ω・´)「ははっ、そうだな。俺も今日は不甲斐ないところを見せてしまった。明日はもっと頑張るとしよう」

 

(;'A`)「うん、それじゃ。また明日

 

(`・ω・´)「ああ、また明日会おう!」

 

( 'A`)「……」

 

(;A; )「…………ふぇぇぇ

 

 結果として、

 彼の今日一日の成果は雑草五束で五ゴールド。

 そこからご飯代とか宿代とか抜いて、

 手元に残るのは幾らになるのだろうか。

 

 先日もらったお金は百ゴールドだった。

 やはり僕はとんでもない大金を受け取ってしまっていたらしい。

 

 あまりにもぼったくり過ぎていた。

 今さら返せないし、返す当ては無い。

 

( ;A;)「……がんばらなきゃ」

 

 しかしながら僕は、

 今日の探索で少しの光明を得ている。

 

 森に平然と生えている雑草が、

 一束一ゴールドで売れるという情報だ。

 

 生えている場所がまばらで採取効率が悪く、

 状態が均一でないから稼げなかったけれど。

 それならそれで手を変えれば良いだけの話。

 

 僕は魔法で森の中に、

 雑草畑を作ることにした。

 

 僕の強みを活かそう。

 こういうのは得意なんだ。

 ――ゲームとかで。

 




('A° ) ←主人公シュー
ホモではない。しかし精神性に惚れ込んだ顔も性格も良いイケメンに迫られたら尻を差し出す可能性はある。そういうAAが手持ちにある。


(`・ω・) ←冒険者キッシュ
雑草の味を知る男。今日も馬小屋で寝泊まりする。
ホモではない。ただ命の恩人にどうしてもと頼まれたならば否やはない。


( ゚ー゚) ←大家のマカロンちゃん
部屋にも視界に入らないが毎日ご飯を持って来ているぞ。
ラスボス。


( ,_ノ` ) ←大賢者(マスター)ゴルゴンゾーラ
大家ちゃんと同じく登場はしないが謎の場所から主人公を眺めて「フッ」してるぞ。
主人公が眠気覚ましの珈琲をたかりに来ても気前よく奢ってやってる。
ホモ。愛じゃな……とか口には出さないダンブルドア。
後方腕組み師匠系愉悦部。
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