ONE PIECE世界を旅する一般クソザコTSうっかり幼女商人   作:褐色幼女万歳

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本日の予定 鍛錬

 「ぜひゅーっ……こひゅーっ……」

 

 「相変わらず体力ないのお。ルフィならわしに殴りかかる余裕があったんじゃが……」

 

 「一緒にしないでよぉ……」

 

 「無茶やるぜあんな小さな子供相手に……」

 

 「ガープ中将はスパルタですからね……」

 

 「そこぉ!くっちゃべってる余裕があるならグラウンド100周してこんかい!」

 

 「「「はいいいい!!!!」」」

 

 はろーえぶりわん、ボクウル。ボクはいま、マリンフォードの新兵専用の訓練場にて訓練生たちに交じってガープおじーちゃんのしごきを受けています。拉致られたともいう。久しぶりにじーちゃんが遊んでやるっていう言葉を素直に信用するんじゃなかった。じーちゃんの愛はボクには重いよ……

 

 それでなんだけど、新兵さんと一緒に、周回遅れしまくったボクは3周でぶっ倒れてる。動きやすいチューブトップとホットパンツの恰好で汗だくになったボクが息も絶え絶えにガープさんに抗議をする。ルフィさんやエースさんと一緒にしないほしい。ボクは貧弱なのだ、スペックはそこらの幼女より上だと思うけど限度があるんだぞ。ごめんホラ吹いた、そこらの幼女にも劣るかもしれない。

 

 「ここまで貧弱だとどうやって偉大なる航路で生き残っているか逆に不思議じゃわい」

 

 「そりゃあボクの華麗なる交渉術と話術で!」

 

 「ぶわっはっはっは!」

 

 「なんで笑うの!?周りの人まで!?」

 

 倒れてたボクが起き上がってふふんと胸を張って堂々と生存戦略を大発表したら、ガープさんどころか周りの新兵さんにまで大笑いされた。みんなが大爆笑するのでボクは涙目になり後ろで訓練の様子を見守っていた人物に思いっきり泣きついた。彼女はボクを優しく抱き留めるとぽんぽんと優しくあやしてくれる。

 

 「全く、子供をいじめるんじゃないよ。ガープ、お前の訓練はこの子には向いてないのをわかっておやり」

 

 「つる……じゃ、じゃがわしはウルのためを思って……」

 

 「実の孫をジャングルに放り込むのを世間一般では虐待っていうんだよ。お前の孫だからいいものの、この子に同じことをしたらあっという間に猛獣の餌さね」

 

 ボクが泣きついたのは厳しそうだけどどこか優しさを感じるおばあちゃん。ガープさんや今どこにいるか分からないゼファーさんやセンゴクさんと同期の大参謀つる中将ことおつるさんだ。彼女とボクが出会ったのは今日みたいなガープさんが僕に訓練を付けている時で、へとへとになってぶっ倒れたボクをルフィさんやエースさんと同じノリで鍛えようとしてたガープさんを怒ってボクを助けてくれたのだ。

 

 ガープさんの訓練って体力がある新兵さんや異次元のスタミナを持つエースさんとルフィさんにはちょうどいいかもしれないけどボクにとってはオーバーワークを超えたナニカなのでそれ以来おつるさんがいる前でしかガープさんの訓練はしなくなった。あの自由奔放なガープさんを言いくるめるなんてどんな交渉をしたんだろう……商談に応用できないかな?おしえてほしいなあ。

 

 ボク、確かに体力ないし非力なのは認めるけど……でも体力欲しいのは事実だよ?それよりもボクはやりたいことが多いから後回しになってるだけであってだね……サボる口実見つける子供みたいだ。やめよ。あれ?常々ボクはチンチクリンであっても子供じゃないやいって言ってるのに自然にお子様みたいな動きしてないか……?あるぇ?

 

 「むー、でもボクも体力欲しい!指銃してみたい!嵐脚で飛ぶ斬撃を撃ってみたい!月歩で空中を歩きたい!」

 

 「あんた似たようなことならできるじゃないの。人には向き不向きがあるんだよ、無茶はおよし」

 

 確かにやろうと思えば王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)で機銃掃射して宝剣をぶん投げてヘルメスサンダルで空中を浮遊できるけどそうだけどそうじゃないの!ボクだってONE PIECE世界の住人っぽいことしたい!漫画肉一本食べ切れればそれっぽいかな?鳥の足一本でお腹いっぱいになるボクには無理だぁ。

 

 「ぶわっはっはっは!今のウルでは一生かかっても六式のろの字すら見えてこんじゃろうな!なんじゃ、お前が持っとる道具の中に力を強くするものがあったりせんのか?」

 

 「……あるには、ある……けど……!!!!!」

 

 「どうしたんだい一生の不覚みたいな真っ青な顔をして」

 

 「なんで気づかなかったのボクのバカ~~~~!!!」

 

 そうだよ!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中にはそういう身体能力を強化する宝具とかあるじゃん!行けるか!?行けるのでは!?ボクが自分で剣をもって華麗に戦うという転生当初からの夢をかなえることが出来るのでは!?よしよし!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を開けて……!あった!身体能力強化の腕輪型礼装!ふふん!見てろよガープじーちゃん!ボクのゲンコツが唸るぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「体中が痛いよ~~~~……!」

 

 「筋肉痛じゃな」

 

 「ま、マスケット銃を持って動き回れたんだから減点30点ってところさね。やっぱり遅いのは解決してないねえ」

 

 腕輪型礼装を付けたボクの身体能力は確かに上がった。クソザコナメクジからナメクジが取れる程度には。元が低すぎて強化してもしょぼいってなんだよ。一応大人程度のパワーは出たけど腐っても宝物で宝具の原典なんだぞ。そして30分その状態でマスケット銃担いで動き回ったら全身筋肉痛で動けなくなった。つまるところ強化の反動である。

 

 「儚い夢だった……!」

 

 「何を言ってるんだいこの子は。でも、緊急時には何でも使って逃げるんだよ。生き残るのが大事さね、特にアンタは海兵じゃないんだから」

 

 強化の魔術が施された礼装一つでこれなら、多分他のやつで重ね掛けしたら筋肉が切れて戦いどころじゃなくなっちゃう。本当に困った時だけにしか使えない切り札だねこれは。あーあ、魔術がボクにも使えたらなあ。この体、魔力炉心はあるし、魔術回路も50本あるし、間違いなく魔術師向けなんだよねえ。令呪を入れたのだって、最大出力の上からさらに令呪ブーストすれば強いやろっていう安直な考えからだもの。ほら、某愉悦神父が預託令呪使ってた時みたいな感じで行けると思ったの!

 

 なんでボクが魔術を試さないかって話なんだけど……もう試したあとなんだ。まあもともと思いつかなかったんだけど、魔杖見て「あれ?魔術ってボク使えるんじゃない?」って思いついちゃった!それで意気揚々と魔本の原典で魔術を試したんだよね!

 

 結果はスカ。ライターほどの火をともす呪文は不発に終わったわけ。魔力が足りないのかと思って魔力炉心全開でやったらしょぼい火が付いたけどこれは多分聖杯と同じで魔力で強引に過程すっ飛ばしただけだと判断し、何が何でどういうこっちゃとボクはいろいろ試したわけ。

 

 まあそれで、最終的な結論としてはこの世界において型月の魔術は使えないっていう結論に至った。詳しく言うと……この世界には魔術基盤がない、従って魔術はうんともすんとも言わない。

 

 そもそも型月の魔術に必要なのが、魔力と魔術回路、そして魔術基盤だ。魔術基盤は学問や宗派の形をとって、世界に刻み込まれてる魔術式を含む大規模な基盤(システム)の事で、型月世界の魔術師は魔術回路で魔術基盤にアクセスし、魔力で魔術式に命令を送って魔術という現象を起こす。今ボクが持ってるのは魔力と魔術回路で肝心要の術式がない状態。ハードや周辺機器は揃ってるのにソフトがない状態なのだ。これではどうあがいても魔術なんか使えっこない。

 

 型月の世界じゃ最大宗派の聖堂教会もこの世界にはないし、原罪を持っていったあの人も、救世主(セイヴァー)も最初の魔術師であるソロモン王もこの世界にはいない。神秘はある、覇気や悪魔の実、大きすぎる人間たちや巨人や魚人などがこの世界にはおそらく型月世界以上に神秘のテクスチャが残っているっていう証拠だと思う。

 

 で、なんでボクが持ってる王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)中の宝具や礼装が使えるのかって話なんだけど……それは道具の中に魔術式があるから、なんだ。正確には違うんだけど宝具ってやつは真名を解放すると、つまり魔力をぶち込むと特定の結果を起こすっていう道具のことで。魔力=現象っていうのが宝具だけで完結してる。魔術式やら何やらの干渉を受けない。魔力っていう燃料をぶち込めば動いてくれるんだ。

 

 けど……大きな進歩だと思う!ボクの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中にある礼装の術式を解析してボクに応用できればこの世界でも型月式の魔術が使えてボクの大魔導士ムーヴができるかもしれない!そう考えると燃えてくるじゃないか!とりあえず勉強しよう!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中に転がってた「雑種でもわかる初心者魔術」を読み込まないと!頑張るぞ~~!惜しむらくはボクのおつむの出来はあまりよろしくないってことなんだよね、と転生前の通知表の結果を思い出してボクはまたブルーになるのだった。

 

 でもこれ、神秘自体はいろいろな感じで伝わってるから

 

 あ!でもでも!凄い収穫があったんだ!なんで思いつかなかったんだろうっていうくらいの!魔力放出!瞬間的な力ならあげることが出来るじゃん!まあ試したらぶっ飛んで壁の染みになったんだけど!制御できる筋力も魔力コントロールも今のボクにはないことが収穫!そろそろ泣いていい?何でやることなすことしょぼい結果に終わるんだろう。うええん、ぐすん。

 

 「どこも折れてないね。まったくいきなり吹っ飛んで壁にぶつかるなんて何考えてるんだい」

 

 「いや~これならいける!って思ってつい」

 

 「だから、ついで死ぬような真似するんじゃないっていつも言ってるだろうに。いいかい?無理して戦う必要なんてないんだ。アンタがすることはとにかく生き残ることさ、あとはアタシらの仕事だよ」

 

 ウルちゃん壁に大の字でぶつかる騒動から10分、鼻血ドバドバで医務室に放り込まれたボクは正座させられてつらつらとおつるさんのお説教を受けている。大参謀という肩書の通り理路整然としてそれでいて反論の余地もない正論である。ウルちゃん反省。

 

 「サカズキがあんたみたいな子を殺さないってのが不思議だけどねえ……案外絆されちゃったのかね?あのサカズキが……そう考えると傑作だねこれは」

 

 「サカズキさん?でもサカズキさんボクのことあんまり好きじゃないんじゃないの?使えるから殺さないだけじゃなくて?」

 

 「悪は可能性から摘み取る、それがサカズキの「徹底的な正義」だよ。あんた今どっちつかずで海賊にも商売してるみたいだけど、そりゃ悪の行いだ。サカズキからしたら粛清対象さ。それでもあんたが死んでないのはサカズキもあんたに思うところがあるんだよ」

 

 「おつるさんもボクのこと悪だと思うの?」

 

 「なんだい、アタシに洗濯されたいのかい?そう思ってたらこうやってわざわざあんたを気にすることはないさ。ガープだってそうさ、気にいったからああやって自分の孫と同じように鍛えようとしてるんだよ。ま、アンタには向いてないがね。暫くアタシの所にくるかい?ま、見れる程度にはしてやるよ」

 

 そう、なのかな?サカズキさん、ボルサリーノさん以上に分かりにくいけど天竜人からボクを助けてくれたりはしたし、お土産もちゃんと受け取ってくれるし……意外とボクが知らないだけでボクの事気に入ってくれてるのかな!?そうだと嬉しいな!サカズキさんとだけはまだご飯一緒に食べたことないからいつか誘ってみようかな!?今はシャボンディ諸島に行ってるから会えないけど!

 

 「んーん!明日には偉大なる航路に戻って商売を再開するもんね!」

 

 「そうかい、気を付けていってくるんだよ。アンタの戦いは極端だからね、懐に入られた時点で終わりだよ。アンタが剣を撃ちだしても、見聞色があれば回避は楽だ。新世界の海賊たちとは絶対に戦わない、いいね?」

 

 「うん!ボク約束は守るよ」

 

 「どうだか」

 

 「ひどーい!」

 

 ボクはこの世界に来てから約束を破ったことがないのが自慢なのに!サカズキさんに怒られたりドフラミンゴさんにマリオネットにされるのが分かっててもその人の所に行くんだぞ!そう言えばなんでドフラミンゴさんは七武海の招集に集まった時ボクがいたら構ってくれるんだろう。美味しい葡萄くれたり、イトイトの空中散歩をさせてくれたり。でもジンベエさんと一緒にジンベエザメで海を散歩するのも好き!また会いたいなあ……ドフラミンゴさんも言ったら悪いことやめてくれたりしないかな?随分先の話だけどインペルダウンに行ったら差し入れくらいは持っていこっと。

 

 




 安易に魔術や宝具で強化を許すとこの小説の良さが消え去るのでウルちゃんくんにはクソザコでいてもらおうと思います。まあ普通に考えたらこんな感じになるのではと。型月の魔術は前提が多いですからね。

 ではまた明日の更新にて。感想評価よろしくお願いいたします。
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