ONE PIECE世界を旅する一般クソザコTSうっかり幼女商人 作:褐色幼女万歳
「これで、よしと」
「うーん原始的」
「けど効果的ね、これなら大丈夫だと思う」
キュ、キュとマジックペンで左手にバツ印を描き、その上に包帯を巻いて隠す。ボクにもされたんだけどボク、状態がこれだからアラバスタに行っても戦えないよ?まだ自立するには松葉杖いるし……あ、でもアラバスタ着いたらやりたいことあるから別行動しないと~。
「とにかく警戒すること自体に損はねえ。あんな能力者がいるとわかった以上な」
「よし、とにかくこれから何が起こっても、左腕のこれが仲間の印だ!」
おお、名場面だ。ボクも参加してるのが申し訳ないけど……今回ボクはマジで傍観者にしかなれないから、チョッパーさんのとこで無茶しすぎたもん、この体で砂漠横断は無理かな。
「でも補給するんでしょ?ボクがいるなら要らないよ?」
「情報収集したいから陸に下りたいのよ。補給もするけどついでね」
「ちぇっ、今回はお金取れると思ったのに」
「こんど、どどんって買物させてもらうわ」
ぶー、と今度はお金をとる気満々だったボクの思惑を華麗に躱していってしまうナミさん、それならそれでもういいや。とりあえずボクも船を降りるってことを伝えないと。
「じゃ、ボクはここで船を下りることにするよ。目的地に着いたし、やりたいこともあるし~」
「……チョッパー」
「ごめんウル、まだ退院はさせてあげられないかな。これ以上無理されたらホントに治るものも治らないよ」
そう言って近づいてきたチョッパーさんが、ボクの手に注射をぶっ刺した。するとボクの意識が遠のいていく、麻酔か!え~、さすがに信用なさすぎでしょ。力が抜けて倒れ込むボクをゾロさんが支える、ボクの意識はそこで途切れるのだった。
「んぅ……うぅ、ん」
「あ、起きたねウル。ごめん、いきなり麻酔なんて打って」
「ひどいよお医者さん。別れるって言ったって戦いに行くわけじゃないのに」
「ごめん、だけど心配なんだ。まだウルの身体は危ないんだよ?本当に無理をすれば内臓の炎症が始まっちゃうし、最悪壊死するかもしれないんだ」
「でも……チョッパーさんも行くんでしょ?アラバスタの首都、アルバーナに」
「……俺は、うん。行かなきゃならない。だから、お願いだウル、絶対……この船で待っててほしい」
目覚めたボクはメリー号の医務室のベッドで目を覚ました。既にもう出港しているみたいだから今は運河であるサンドラ河を進んでいるところかな。チョッパーさんはどうやらボクが本当に心配らしく動き回ると内臓の縫合が破れてやばいとボクを必死に止めてくれる。大袈裟、と言いたいところだけどボクは彼ほど医術に詳しいわけじゃないからあの麻酔というドクターストップを貰った以上アラバスタに上陸するのは諦めたほうがいいのかもしれない。
「うーん、確約はできないかな?この船が襲われるとかしたら逃げたりしなきゃいけないし」
「そりゃあ、うん。当たり前だ。じゃあ……」
「うん、分かった。ボクはこの船で留守番してるよ。ただ、万が一もあるからそこだけは許してね?」
結局ボクは、アラバスタに行く選択肢を捨てることにした。正直言うけど、ボクはクロコダイルさんと敵対したくはない、ボクの前の彼は……仕事に対しきっちり評価と対価を払う人間だ。ボクの見てくれで判断したりはしなかった。たとえそれが嘘八百の偽物の姿だったとしても、ボクの知るクロコダイルさんはそれが全部だから。
けどやっぱり、ビビさんの話を聞いてると彼の本性というやつを知ることになる。アラバスタを滅ぼし古代兵器を手に入れることを目的にする冷酷非道な人物として。たとえ今が大海賊時代でも許されざるほどの罪だ。でも、今のボクは足手まといでしかない。無理してついていってただのお荷物になるのは嫌だ、だったら最初からついていかない方がいいに決まってる。
だから別行動をしたかったんだけど、それも駄目だって言われちゃった。強引に振り切ることはできなくないけど……
しょーがないけどここはお医者さんの言う通り我慢することにしよう。その代わり、回復に全力を注ごう。アルバーナでの最終決戦に間に合うように。何もしなくても解決するかもしれないけど、アルバーナの爆弾……あれだけはダメだ。失敗したら全部消し飛ぶとか冗談じゃない。
アラバスタ最強の戦士であるペルさんがその身を犠牲にして上空まで運んでくれるけど……失敗したらみんなごとドカンだ。危なくね?危ないよね、うん。考えすぎかもしれないけどムッシュールっていう異分子を見た後だと何かがあるようで不安感が拭えない。麦わらの一味全滅ってなったら困るな、というかいやだ。こんなに良くしてくれた人たちが犠牲になるなんてね。
「チョッパー、行くぞ!!」
「あ、ルフィ!うん、分かった!ウル、じっとしてれば治るから、点滴はバッグ換えれば大丈夫!絶対に、絶対に動き回っちゃだめだぞ!わかった!?」
「はーいチョッパー先生。ルフィさんご機嫌だね、いいことあった?」
「あ!ウル!お前ぇ絶対動くなよ!?お前死んだら俺は嫌だ!だから動くな!」
「もーそればっかり。ちゃんとお留守番してるよ。ボクが寝てる間って何かあったの?」
「ああ!俺の兄貴、エースに会えたんだ!じゃ、行ってくる!」
チョッパーさんをつまみ上げたルフィさんが去っていく。その言葉をルフィさんが出ていってから咀嚼し終えたボクは、フリーズした。え?エースさんが来てた?なんで?だってサッチさんはボクの宝具で助かったはずでしょ?!んんん!?なんで!?ティーチの裏切りは失敗したはずだ!まった!ドラム王国ってティーチが攻めて滅ぼしたんだっけ!?
え?裏切り成功!?そんな馬鹿な!?どうやって因果逆転を切り抜けたんだ!?どうしようまずい!ボクサッチさんが生きてればエースさんはティーチを追う理由がなくなるから白ひげさんのところから出ていったりしないと思ってた!だから裏切りが成功したらどうするかとか考えてないし策も打ってない!そもそもあの場で思いついた咄嗟の判断だけだからそんな深く考えてないもん!
どうするどうするどうするどうする……!?ボクはエースさんのビブルカードを持ってないから探せないしエースさんとティーチが戦う島の場所も時期も分かんないぞ!?……だめだ、今考えてもらちが明かない。休んでる間に遠見の水晶でエースさんを探してみよう。近くにいるならそれでマーキングして決闘の時にどうにかして止める、これが最善のはずだ。
ボクは10個の遠見の水晶を出して同時にアラバスタの海域から外を映し出す。こんな方法じゃ見つかるかどうかは怪しいけど……それでもやらないよりはましなはずだ。ごめん、エースさんボク貴方に死んでほしくない。見つけたら無理やりにでも白ひげさんの所に帰ってもらうから……!
むむ、探し人を探す宝具にも反応がない、ってことはもうアラバスタにはいない?エースさんのストライカー早すぎでしょ。というかあんなサーフボードみたいな船でどうやって偉大なる航路を走ってるの?怖すぎるんだけど、嵐とか遭遇したらどうするのさ。
「うーん、せめて考えるのが得意になればな~。もうちょっと大人になれれば……ん、大人!?これだっ!!!」
なんで今まで忘れてたんだろ!大人になればいいんだ!ボクの宝物庫には成長の秘薬があるじゃないか!これなら子供のボクがメリー号からいなくなったのが誤魔化せる!幻影の一つでも置いていけば大丈夫でしょ!ヨシヨシボク頭いい!こういう時にナイスアイデアが浮かんでくるなんてボクも捨てたものじゃないね!
そんなわけであった!成長の秘薬!きゅぽんと栓を抜いていただきま~~す!ごきゅごきゅと無味無臭の液体を飲み干すボク、秘薬であるから怪我には障らない、ご飯はダメだけど飲み物ならいいよって言われてるし!さーてそろそろ効果が……お?キタ!?来たんじゃない!?
体の魔術回路が光りだし、ぐぐっと引っ張られるような感覚がする。光が最高潮に輝きボク自身も見えなくなった後、光が収まった先には視点が高くなって……ない?あれ!?うっかりで別の薬のんだか!?と薬瓶を確認してみるけど間違いなく成長の秘薬だ。んんん?!どういうこっちゃ!?と、とりあえずもう一本!
同じように光が輝いても、ボク自身は変わらない。なんで?……もしかしてデメリット?8才で「固定」?ってそういうことなの!?大きくなれないの!?女になったからにはなってみたいでお馴染ボンキュッボンになれないの!?いやまあ将来のボクがぺったんこの可能性もあるけどONE PIECEの世界なら希望があると思ってたのに!毎日ちゃんと牛乳飲んでたんだぞ!?
「え、いや、まさか……!?」
慌ててボクは一つの小瓶を取り出す。勇士アストルフォの理性を封じ込めた小瓶の原典だ。使用者の理性を奪ったり足したりできる、これで理性を足せば思考能力が大人くらいに引きあがるはずだ。小瓶の栓をあけて……理性がボクの中に入るのを感じる、けど何も変わらない。落ち着きもしなければ頭がよくなったりもしない。くそっ!どれかは効くんじゃないか!?
それからボクはエースさんを見つけるのそっちのけで大きくなったり姿を変えたり頭がよくなったりする宝具を片っ端から試してみた。精神に干渉する宝具はほぼスカ、変身する宝具は肉体が変化するものは全部だめ、ボクの身体の上に幻覚を被せる宝具は使えた。肉体干渉の宝具はダメみたいだ、自己改造の宝具すら意味をなさない。
「つ……強すぎでしょデメリット……!」
これあれだ、かかった呪いが強力すぎて他の呪いを打ち消すとかそんな奴だ。少なくとも宝具でどうにかならないのは分かった。最低でも権能レベルが必要だ、神じゃないと干渉できないと思う。ああくっそ~秘かに何とか大人になれないか計画を進めてたのにこれは痛いぞ。これはデメリットですわ。
「ふん、もういいよーだ!ふて寝してやる」
あまりにあんまりな惨状に拗ねたボクは、本当に回復に専念することにした。今日中に直してやる、と思ったので魔力をクソほど消費する代わりに再生レベルまで治癒力を高めるバングルを4つ両手足につけてベッドに横たわり、ふて寝を開始するのだった。ボクの魔力は無限じゃないけど無尽蔵、呼吸すれば心臓が魔力を生産してくれるからね!
その前に、とそろそろ行われるであろうバロックワークスのエージェント全員集合会議を覗き見しておく。ボン・クレーさんに忘却のお香でマーキングが済んでるので覗き見程度なら遠見の水晶で余裕なのだ。
チラッと見た感じメンツは増えてない。覇気を纏う人特有のオーラもないから大丈夫そうだ。これで安心してふて寝できる!
そうして、1夜を過ごし、骨が完璧にくっついたことを確認したボクはギプスから足と腕を抜いてにぎにぎと確認する。夜何回か盗賊がメリー号を襲おうとしたので
さて、メリー号がボクのいない間に盗賊に襲われても困るので、宝具で迷彩かけてついでに異界に仕舞っとく。解除条件は麦わらの一味かボクが近づくこと、みんなには見えるようにしておけば大丈夫でしょ。
「うん、よしっ!見つけた!」
ボクが
砂煙をあげて猛スピードでメリー号を離れていく車、ごめんね一味のみんな、ボク初めて約束破ることにするよ。関わらなければ対岸の火事でも関わったらボクも燃えるんだから、なら火消しくらいは持ってやらないといけないでしょう。なんでかって……ボクがそうしたいから!
「あれはっ!クロコダイルさん……!」
ユバを目の前にして、その先に巨大な砂嵐がユバを襲おうとしているのを見た。一気に加速をしてジャンプする。運転席から飛び出したボクは、風と水の魔杖を展開して水の竜巻をぶつけて砂嵐を無力化する。サンダルで空に浮いたボクはすり鉢状の砂地獄を前にしたクロコダイルさんを見下ろす。
「……ウルか。クハハハハ、どうしたこんなところで」
「もういいよ、クロコダイルさん。いや、バロックワークスのMr.0と言えばいいかな?ビビさんから全部聞いたもん」
「そうか、で?お前はこれを前にしてどうする気だ?」
「別に、ボクは何もしないよ。彼の獲物を取ったら怒られちゃうからね」
「その麦わらは、今俺が殺したところだ」
うん、知ってる。ついでに言うなら胸を貫かれた程度でルフィさんが死なないこともボクは知ってる。いや普通だったら致命傷だよ?肉食ったら回復するんだけど。おかしいね、おかしいよ。
「ふーん、じゃ、せいぜい頑張ってね。それともここでボクと一戦やってく?やるんなら友達殺されてるしボクも加減しないよ?ここら一帯吹き飛ばすつもりでやるから」
「クハハ、悪いがガキに構ってる時間はねえ。お前に負けないまでも梃子摺りそうだからな……後の楽しみにとっておこう」
ボクの刺々しい態度を気にすることなくクロコダイルさんは砂となってどっかに行ってしまった。やっぱり、今までボクに見せてた鷹揚な態度は偽物だったみたいだね。商売は裏切り裏切られなんて当たり前だから演技してたことに対して何か言うつもりはないけど、もしかしたらと思ってたから少し悲しいや。
あ、でも最悪クロコダイルさんと戦うことになった時のために用意してた宝具が無駄になっちゃったなあ。一帯を水浸しにして洪水起こせば行けると思ってたんだけどあっさり引いてくれて良かったよ。さて……
「えーと、見てるだけなら手伝ってくれると嬉しいな?ニコ・ロビンさんでいい?」
「……何の事かしら?」
ボクは真後ろから歩いてきた黒髪の美人さん、Ms.オールサンデーことニコ・ロビンさんにルフィさんを掘る作業の手伝いを依頼するのだった。
お待たせしました。
結構原作沿いへの反応をいただいていますが考えあってのことなので今しばらく我慢いただければと思います