ONE PIECE世界を旅する一般クソザコTSうっかり幼女商人   作:褐色幼女万歳

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本日のお客様 鷹の目

 「うおおおおおおおああああ!!!!」

 

 「何と狂暴な剣か……」

 

 ガキン、バキンと双方の剣が砕けそうなほどのすさまじい音を立ててぶつかり合っている。3本の刀を獣のようにふるう海賊狩りのゾロと指ほどの長さもない小さな刃渡りのナイフですべてを完璧に防ぐ鷹の目ミホーク、相変わらず凄い強さだ。突きでゾロさんの鬼斬りを止めて吹き飛ばす、ボクには理解できないし体得もできないであろう技術、そもそも剣持ち上がらないもんね。それ以前の問題。

 

 ちなみにボクがミホークさんと知り合えたのはうっかり癖のせいだ。約4年前、そろそろ偉大なる航路にも慣れてきた頃、つまりボクが調子をタワーにして乗りまくってた頃……ものの見事に遭難した。記録指針を落として割ってしまい、行き先が不明になってしまったのでデタラメに飛行し、廃城がある島を見つけた。

 

 降り立ったボクはそこで新しい記録指針にログがたまるのを待とうと思ったんだけどそこは元シッケアール帝国で、ヒューマンドリルが絶賛幅を利かせているところだった。当然外に降り立ったからには襲われた、咄嗟だったので反撃できずに防御宝具に守られながら魔杖で周囲一帯吹き飛ばそうかと考えてた矢先に、ヒューマンドリルが一匹残らず瞬時に斬り裂かれて、ボクは助けられた。

 

 当然そこにいるのはミホークさんで、彼はなぜ子供がこんなところにいるのかと不思議そうにしていたが、そのまま城の中に連れてってくれて、手足をすりむいていたボクを治療して、ご飯まで出してくれた。しかも近くの人がいる島まで連れていってくれるという。なぜそこまでしてくれるのかと聞いたら、このまま死にたいのか?と返されて結局理由は聞けずじまいだったけど。

 

 それで、ここまでされて何も返さないというのは人の道に反すると思ったボクは、彼の好物が赤ワインだったことを思い出して古酒から新酒まで、そしてボクしか持ってない古代の赤ワインを彼にお礼として手渡した。能力者であろうことは、まあ実際は違うけどヒューマンドリルの件で見抜かれていたが商人をやっているのはそこで話した。彼は、ボクが渡した赤ワインを気に入ってくれたようで、ボクは勝手に、恩返しとして定期的に元シッケアール帝国の彼の居城に赴いて商品を渡している。ミホークさんは渡した商品以外も買ってくれてるのでお得意様だ、古代のワインはやっぱりおいしかったみたい。いいなあ、ボクは飲めないから味が分かんないよ。

 

 そんな関係が4年続けば、ミホークさんもボクを顔見知りの商人程度には思ってくれるようになったみたいで、たまに欲しいワインとか商品があったらボクに頼んでくれるようになった、どこか微笑ましいもののように見られてる気はするがきっと気のせいだ、そうに決まってる。さっきは外したボクの第六感がそう言ってるから間違いない、うん。

 

 そんなことを言っている間にミホークさんはゾロさんをナイフで刺した。一歩も引かないゾロさんに何かを見たらしいミホークさんは名を尋ね、背中の黒刀「夜」を抜いた。あっさりとゾロさんの最後の技を打ち破り、自らの身体を差し出すゾロさんを斬り捨てる。ボクは椅子から浮かんで飛び出し、海に落ちようとするゾロさんを天の鎖(エルキドゥ)で受け止める。今回はうまくいった!よしよし!

 

 真っ二つなガレオン船のがれきの上に彼を横たえ、すっ飛んできたルフィさんにゾロさんがもう二度と負けないと宣誓する。ボクはその瞬間のミホークさんの顔が少し緩んでいるのを見た。この先に楽しみが一つ増えたとでも言いたそうな顔で、彼のそういった顔を見るのは中々に珍しい。というかほぼない、ワイン飲んでるときちょっと口元緩むけどそれはアルコールのせいだろうし。

 

 クリークが去ろうとするミホークさんに食って掛かるけどミホークさんは暇つぶしよりも面白いことが出来たのか満足しているようで、彼を無視して船に戻ろうとする。そしてそれに怒ったクリークが銃弾を発射しようとするが傍にいたルフィさんに阻止されて宣戦布告をされた。そして標的をルフィさんに変えたらしくすぐに激しい戦闘が開始される。

 

 あれ?ここってミホークさんもう一回ガレオン船斬ってどっか行っちゃうシーンだよね?彼は船に戻ってそのまま足を組んで静観の構えをとっている。もしかして最後まで見ていくつもりかなあ?あ、それよりもゾロさんを手当てしないとまずいかも。いくら頑丈とはいえあんな見事に斬られちゃってるし血がドバドバだ。しかも彼らにはこの後アーロンパークでの激闘が待っている、多少手を出してもよくないかな?

 

 そう思って治癒促進の加護がかかった布切れを王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から引っ張り出し、ついでガーゼ、包帯などの通常使用される医療道具を出していく。そんでそのままゾロさんの手当てを始める。無料サービスだから許してね、一瞬で直したかったらエリクサーがあるよ、クソ高いけど。

 

 折れちゃった刀の代わりをあげようかとも思ったけど流石に過剰サービスになっちゃうし、ボクの刀は一級品だ。雪走や鬼徹と出会えなかったら困るのはゾロさんだしやめとこう。

 

 「そこのどっちかの人、この人支えて!」

 

 「お、おう!」

 

 ヨサクさんとジョニーさん、彼らにゾロさんを支えてもらって消毒、傷口の縫合の後ガーゼを貼り、包帯でぐるぐる巻きにした上に治癒促進の布で縛り付けて固定した。まあ、このままいけばアーロンパークでぎりぎり治るかどうかってところかな?これ以上ここにいても邪魔なだけだろうしヨサクさんたちの船にゾロさんを置いていこう、と彼を天の鎖(エルキドゥ)で持ち上げて移動しようとした途端つるっとすべってぼっちゃーんと海に落ちた。ゾロさんはかろうじて落とさなくて済んだけど、さっきでなかったうっかりがここで来たかぁってかんじ。

 

 「お、おい嬢ちゃんだいじょうぶか!?暴れるなよ、今助けてやる!」

 

 ヨサクさんがわざわざボクを助けに海に飛び込んで船に引き上げてくれた。ごめんね、でも助かったあ!うええ、全身に張り付くワンピースが気持ち悪い……どっかで着替えよ。とその前に、何かボクがいたせいでいろいろと原作と違うことが起こってるみたいなのでご飯のためバラティエに加勢しよう!と足場が上がってきたバラティエに飛んで飛び移る。

 

 「おう、嬢ちゃんすげえな。でもな、下がってろ。俺らの店は俺らで守るぜ」

 

 「さっきオーナーさんが報酬を用意してくれたもん!ボクもやるよ!魔杖、1から10番展開!」

 

 本格的な戦闘になるとボクのうっかりは致命傷になる。だからわざわざ声に出して出すものを確認し、どのタイミングで撃つかを決めてる。そんなわけで魔力が籠った魔杖が10本、ボクの背後から顔をだし、風や炎、光や闇といったエレメントの塊を吐き出して向かってくる海賊たちを撃沈しだした。ボクは身体能力は弱いけど遠距離戦ならそれなりに戦えるぞ!外しまくってるが弾幕なので問題なし!

 

 「サンジさん……!おれぁアンタを傷つけたくねえ……!降伏してくれ……!」

 

 「ギン……!」

 

 だが、ボクの狙いが甘い弾幕程度じゃ抜けてくるやつもいる。今そこでサンジさんに鉄球の付いたトンファーを向けているギンや……!目の前でにやにやと笑う全身に盾を付けた男とか。うわっ、近づかれ過ぎた!当たったら痛そう、間違いなく一発でやられるだろうし、防御を固めるが吉かな。脳内を切り替えて防御系の宝具を全力でピックアップする。

 

 「っは!変なチビだねきみは……!きみの持ってる道具の数々、実に不思議だ。いくらで売れるだろうな……君にはもったいないからおれらが奪ってあげよう」

 

 「ふーん、偉大なる航路に7日いただけで満身創痍のくせして?」

 

 「お前に何が分かる!それにさっきのマジックも効かないぞ!おれはタテ男でダテ男!無敵の鉄壁パールさんだ!パールプレゼントォ!」

 

 丁寧な自己紹介どーもパールさん。じゃ、ボクが持ってる宝具と君の鉄壁らしい盾、どっちが硬いか勝負しよう!思いっきり振りかぶられたパンチをボクの目の前に出現した小盾が防ぐ、ゴィィン!といい音がして、パールの手に付けてる盾が砕かれた。まあ当然だ、「反射」の概念が籠った盾だから、こうなって当然。でも……

 

 「ボクの勝ち♡……あと、たった7日間で音を上げてるようじゃ偉大なる航路じゃ生きていけないと思うよ。ボクが保証してあげる」

 

 「おれの鉄壁が崩されて……み、身の危険……!」

 

 「やべえ!パールさんが火を焚いちまう!」

 

 あ、そうなんだっけ?この木製の船の上で火をたかれるのはまずいから……その前に勝負をもっていっちゃおう!体の盾と残った盾をぶつけ合わせて火を焚こうとするパールよりも先に宝具のピックアップを終えたボクが魔力を込めて一本の槍の真名を解放した。

 

 「不毀の極槍(ドゥリンダナ・ピルム)っ!!!」

 

 「ぐげええええええっ!?」

 

 ボクが撃ちだしたのは英雄ヘクトールが持つ槍、ドゥリンダナに限界まで魔力を込めて打ち出す疑似真名解放とも言うべき強引な技だ。何でも貫くと言われるその穂先を直接当てるのは間違いなく殺しちゃうので狙いを逸らして海を狙った。パールの真横を通ったドゥリンダナは音速以上に達していたので衝撃波でパールをぶっ飛ばし、凄い勢いで船のがれきに頭から突っ込ませて沈黙せしめた。顔面から突っ込んだのか血まみれの顔にはとても無敵とは言えない様子で、ボクは胸を張って言ってやった。

 

 「ボクは偉大なる航路で商人やってるんだ!君たち以上の海賊なんて山ほどいた!ボクに負けるくらいじゃひとつなぎの大秘宝(ワンピース)なんてとれっこないよ?ボクのご飯の件はこれで許してしんぜよう!」

 

 「「「「いや結局それかよ!」」」」

 

 「え?それ以外にボクが戦う理由あるの?」

 

 くすくすわらって意趣返しの嫌味たっぷりに言ってやると足場の上で俺のことを取り囲んできた海賊たちはパールがやられたことに恐れおののいたのか動きが止まり、そこをコックさんたちに殴られたり刺されたりして海に放り出されていた。あとはきっとサンジさんがギンさんやっつけて終わりだろうし、ボクはここまででいいかな?パールだけは店を燃やすかもしれなかったからどうしても止めておきたかっただけだし。

 

 ギンとサンジさんの戦いはボクの管轄外だし、お客様を一人待たせてるので炎属性の短剣を一つ取り出して魔力を込めてテキトーに体を乾かす。塩でパリパリするがまあこの後大好きなお風呂にでも入れば解決だ。それよりも!ボクは3たび宙に浮き、脚を組んでクリークと戦っているルフィさんを見ているミホークさんの船に降り立った。

 

 「満足したか」

 

 「うんっ!ボクのご飯を台無しにしたお礼をたっぷりとしてあげたよ!それじゃミホークさん、ごゆっくりどうぞ~!」

 

 そう言ってボクはミホークさんの興味がありそうな在庫をピックアップした羊皮紙と、試飲用のワイングラスとワインを取り出してミホークさんの前に置く。こんな状況にもかかわらずミホークさんは余裕たっぷりでワインの瓶を開け少量注いで味と香りを楽しんでおり、それにクリークがキレた顔で睨みつけていたが、軽くナイフから飛ぶ斬撃を放って足元に傷をつけて此方に来たら斬ると警告を入れていた。かっけ~~!

 

 まあ自分以外に興味を持ったことにルフィさんは怒ってたけどね。ウーツ鋼は堅いけど所詮それだけだし、当たっても大丈夫とか冗談でしょ。砲弾は脅威だけどそれ以上に脅威なのは人間だ、ここにいるミホークさんとかもそう、銃や砲弾が簡単に無効化されるんだから武器より己を鍛えたほうがいいと思うなあ。六式とかどうでしょ?指銃なら案外いけそうな気がする!

 

 「……あれが、赤髪が帽子を託した男か。俺を目の前にして海賊王を口にする心力、あの獣のような剣の男を部下にする器も、なるほど確かに見所はある」

 

 「赤髪……赤髪のシャンクス?そう言えばミホークさん知り合いなんだっけ?あ!四皇と言えばボク、白ひげさんと商談したんだよ!これでボクも商人として先に進めたね!」

 

 「ほう、あの白ひげとか……あまり海賊と親しくするな。夢を叶えたければ、相手を選べ」

 

 「ボクのモットーを知ってるくせに!それに海軍とも仲良くしてるもん!サカズキさんの葉巻を今度届けに行くし!」

 

 「……そうか」

 

 ボクは商談相手を選り好みしない。まあ目の前で人を殺したやつとかは流石にアレだけど、普通にコンタクトをとって略奪とかせずにお金を払ってくれるならそれはボクのお客様だ。そこに海軍も海賊も関係ないし、本気で困ってるなら少しはサービスだってする。お客様の笑顔がボクのやる気の源です!実際お金だけならボク一生困らないし、左団扇が100枚くらい余裕で行けると思う。ただ、それはボク自身が稼いだものではないということを除けば。

 

 「ウル、これとそれと、いつものを貰おう。今は持ち合わせがなくてな、これを渡しておく」

 

 「はーいまいどありっ!それじゃあ運搬用の籠はサービスね!割らないようにお気を付けくださいっ!」

 

 「ああ、では俺は帰る。あの弱きものでは、麦わらの男には勝てまい」

 

 「っ!!なんだと!?」

 

 「ばいばい、ミホークさん!」

 

 ミホークさんはそう言って完全に帰り支度をして船を出してしまった。ボクは彼に代金がわりとして大粒の宝石をいくつかと金貨を10枚もらった。残骸に飛び移ったボクに見送られたミホークさんはそのままいずこかに消えていく、その後ろでクリークはルフィさんにウーツ鋼の鎧を砕かれて、殴り飛ばされていた。




 主人公がいるのはONE PIECEの世界ですが全く原作と一緒になるわけではありません
 主人公が介入して変わるものと介入しないでも勝手に変わってくものもあるでしょう。
 皆さんがナミさんについて突っ込んでいただいてるのもそうで、次の話で内情が明らかになります
 

 お知らせですがありがたいことに感想がめっちゃきてます。なんですけど感想を全件返していると執筆時間が削られると判断したので感想返信を一旦ストップします
 感想自体は作者のガソリンですのでこれからもどしどしくださると嬉しいです
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