生徒会の一存~もう一人の優良枠~   作:ふゆい

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 『生徒会の一存Lv.2』始まりましたね。自分はまだ『杉崎メモリアル』しか見ていませんが、前作よりは期待できそうで何よりです。さて、楽しみだ。
 それに触発されて、超特急で書き上げました最新話。作成時間およそ一時間半! 頑張った俺!
 それでは早速いきましょう。
 『放送する生徒会』
 どうぞ~♪


放送する生徒会①

「他人との触れ合いやぶつかり合いがあってこそ、人は成長していくのよ!」

 

  超絶ロリ女子高生桜野くりむはいつものように絶壁の如き胸部をえへんと張ると、パクリ名言を堂々と言い放っていた。

 杉崎を始めとした他メンバーは桜野の言った意味が分からず呆然としているようだったが、俺は俺なりに解釈を深めたので立ち上がると盛大に言い放つ!

 

「つまりSMプレイも成長過程の一環として捉えてもいいってことだよな桜野!」

「えすえっ!? れれれ蓮! アンタ冒頭からいきなり何トチ狂った発言してんのよ! 変態!」

「無駄だ。すでに自覚しているから、その暴言はご褒美でしかない!」

「もう誰かこのマゾ野郎連れ出してよー!」

 

 ぐぐいと机に上半身を乗り出して力説する俺から全力で距離を置く桜野くりむ生徒会長。その顔にはあからさまな『拒絶』の意が見て取れる。だが、俺はそんな桜野の怯える姿を見てもこの性格を捨てはしない。怯懦によって吐き出される罵倒には、普通の悪口とはまた違ったテイストの快楽があるのだからな!

 

「うぅ……紅葉先輩、弟さんがすっごく嫌な笑顔浮かべてますぅ」

「うーん、ちょっと深く育てすぎたかしら。もう少しソフトなMを目指して育成したはずなのだけれど」

「せめて一般人に育ててくださいよぅ!」

「紅葉家に生まれた以上、平凡な人間に成長するのはご法度なのよ」

「先輩の家はどこの範〇家ですかぁ!」

 

 俺の勢いにあてられた真冬ちゃんが涙目で姉さんに助けを求める。しかし俺関連のボケで姉さんが役に立たないことは前回実証済みのため、これといった成果もあげられずに作戦は失敗となっていた。ドンマイ、真冬ちゃん。

 最愛の妹が撃墜されたのを流石に見かねたのか、碧陽学園生徒会の誇る二大シスコンの片割れ、椎名深夏が満を持して立ち上がった!

 

「いや、誰が二大シスコンだ誰が」

「勿論お前だよ深夏。ちなみに、もう一人は俺」

「世界三大不名誉な称号に入るよなソレ!」

「何を言う。家族を愛する者の称号に、不名誉も何もあるものか!」

「ぐっ……それは確かに……」

「シスコンだろうがブラコンだろうが、根本的な部分では『家族愛』! ゆえに、歪んだ愛情などではない! 俺は確固たる自信を持って、シスコンは素晴らしき愛の形だと断言することができる!」

「なんだこの人……言っていることは明らかにおかしいのに、台詞の端々に言い知れない説得力を滲ませてきやがる……!」

「自分勝手な解釈で他を否定するなんて、三下のすることだぞ深夏!」

「く、くっそぉおおおおおおおおおおお!!」

 

 ダン! と机に思い切り拳を叩きつけるとそのまま自己嫌悪に陥り始める副会長。耳をそばだてると、なにやらブツブツ「真冬への愛も、否定することになるのか……!?」という風に呟いているご様子。そこまで追い込む気は無かったのだが、どうやらやりすぎてしまったようだ。俺の作戦では、多少憤った深夏がそのまま俺を殴ってお互いにハッピーエンドになるはずだったのに。どこで間違った。

 残るは姉さんと杉崎。いや、別に全員を戦闘不能にする必要はないんだけどさ。なんというか、この流れだとそうせざるを得ないかもしれない。

 しかし、姉さんと杉崎ねぇ……。

 …………。

 

「パスで」

『はいぃっ!?』

 

 あまりにも拍子抜けな俺の発言に、二人して立ち上がる残留組。その顔にはどこか消化不良気味な表情が浮かんでいる。なんだこの二人。何気に期待していたのか。

 なんだかやるせない感じの二人を見て、俺は一応理由を説明しておく。

 

「姉さんは相手にしても負けるのが目に見えているし、杉崎は下ネタ使うのが明らかだからさぁ。ぶっちゃけ、新鮮味に欠けると言いますか」

「雑談が売りの作品でよくもまぁそんな事が言えるわね貴方は! いや、別に虐めて欲しかったわけじゃないのだけど、ソレは何か違うでしょう!」

「そうですよ蓮さん! 喋ってこそ、弄ってこそ生徒会じゃないですか!」

「碧陽学園生徒会の活動を綴るだけの活動日誌なんだから、そんな要素は必ずしも必要じゃないと思うんだよね」

『地味に説得力のある意見!』

 

 頑張って抗戦するものの、結局は正論の前に敗れて膝を着いてしまう二人であった。あらら、結局全滅エンドか。

 もはや死屍累々の生徒会室。なんだこの地獄絵図は。これが日常系の最先端を走る作品の末路とでもいうのだろうか。もしそうならば、この作品は世紀末的な終局を迎えることになる。

 湧き上がる恐怖に身を震わせながらも、俺は一人淡々と呟く。

 

「こうなったら、このまま生徒会メンバー全員をマゾヒストとして覚醒させるしか……」

『させるかぁああああああああああ!!』

「ギャオス!」

 

 俺の素晴らしき未来構成を聞いた途端、死体になっていたはずのメンバーが団結して襲い掛かってくる。なんか目が血走っているが、そこまで全力で回避したいものなのだろうか。ちょっと傷つく。

 ……結局、俺自ら持参していた縄で椅子に縛り付けられ、猿轡まで噛まされる羽目になってしまった。むぐぅ。

 

「むぐむぐぐむぐぐ……(でもこれも捉えようによってはご褒美に……)」

「猿轡噛ませても思考がだだ漏れな蓮はもう救いようがないわよね。どうにかしてよ知弦」

「もう私の手に追える範疇を超越してしまっているから無理よ。拘束するのが精一杯」

「そういうところに特化して人間やめているから厄介なんだよなぁ」

「俺が自分を見直すくらい酷いですからね、蓮さんは」

「真冬、紅葉弟先輩を見て更に男性恐怖症が深まった気がします……」

「むぐぐぐー!(好き勝手言いますねアンタ達!)」

 

 この生徒会が俺のことをどう思っているか、心身ともに痛いほど分かった気がする。もう死んでやるー!

 俺を捕縛したことで生徒会も落ち着きを取り戻した。桜野は仕切り直すかのように咳払いを一つすると、さっそく本日の議題について述べ始める。

 

「変態のせいで今日はやけに時間がかかっちゃったけど、今からラジオ放送をするわよ!」

「アカちゃん、はいウサマロ」

「うにゃー。ウサマロ美味しいよぉ」

 

 あまりにもちょろすぎやしませんか桜野生徒会長。

 厄介事を察知した姉さんがお菓子を利用して華麗に話題変換を狙うが、そこそこの効果が出たあたりで正気に戻った桜野は姉さんの手を振りほどくとホワイトボードにキュッキュと「らじおほーそー」と書き綴った。平仮名なのは、桜野クオリティ。

 しかしラジオ放送とは……誰が予想しても『崩壊』の二文字しか浮かばない。この会長は俺達をどうしたいのだろうか。

 このままでは決壊は免れない。そう皆が理解した時、動くのは決まって我らがハーレム王だったりする。

 

「ちなみに会長。一応ラジオをやろうと思った理由だけでも聞かせてもらっても良いですか」

 

 そう、俺達の運命は杉崎鍵に懸かっていると言っても過言ではないのだ! 決して、責任を擦り付けようとしているのではない。断じてそのようなことはありません。はい、当方では、そのように理解しております。

 桜野は杉崎の問いに「よく言ったわ!」などと心底ムカつく笑みを浮かべると、堂々たる面持ちでつらつらと台詞を並べ立てていく。

 

「生徒会っていわば学園の与党でしょ? 人気投票で勝ち残った者達が集まる最大政党。負け組を従えた、最強の集団よね」

「言わんとしていることはなんとなく分かりますが、とても生徒を束ねるリーダーの台詞とは思えないことをさらっと言いますね会長は」

「政党と言えば政見放送。というわけで、我らが生徒会も日本政府にあやかって政見放送を行いたいと思います。正直、人気取りです」

「ぶっちゃけましたね。そして現在考え得る中でも最低な言い訳ですね。政見放送なんて覚えたてのくせして、偉そうに使うから矛盾が生じるんですよ」

「う。ち、違うもん! 覚えたてじゃないもん! 一億年と二千年前から知ってたもんねー!」

「究極ロリババァなんて需要ありませんよ今時」

「さっきから罵倒が酷いよ杉崎!」

「じゃあ悪口言いませんからラジオやめてください」

「ん? それは却下。だって会長命令だし」

「畜生この小娘! 権力の使い道だけは心得てやがる!」

 

 日頃世間知らずな子供を振る舞うくせに、こういう時だけやけに手強い桜野。なんだこの面倒くさい生物は。扱いづらい、どこぞの核融合八咫烏並に扱いづらいぞ!

 全員が深く、本当に深く溜息をついた。……どうせこのお子様会長は言い出したら絶対に退かない。それならば、提案に乗ったうえで被害を最低限に抑えることにしよう。

 おそらく全員の中で最も嫌そうな顔をしているであろう深夏が、面倒くさそうに口を開く。

 

「どうせ言っても聞かないんだろうが、どうしてラジオなんだ? 会長さんならビデオ撮影とか言い出すかと思ったのに」

「本当は私もプロモーションビデオを撮るつもりでいたのだけれど、放送部に押しかけたら涙目で『お願いします。ビデオ機器は勘弁してください。ラジオ道具貸しますから、ビデオ機器だけはご勘弁を!』って土下座されたから、仕方なくラジオなの」

「……あぁ、そう」

「まったく、礼儀知らずな放送部だよね! 仮にも生徒会長相手に放送機器を貸し渋るなんて。マナーがなっちゃいないよ!」

 

 少なくともいきなり押しかけて強盗まがいの暴挙に走る生徒会役員よりは百倍モラルに溢れていると断言できる。というか、現在の生徒会室を見渡す限り彼らはラジオ機器の設営までやらされたらしい。どこまでも可哀想な放送部に思わず涙が溢れてきた。……今度お中元持っていこう。

 というか、そろそろ拘束を解いてほしい。このままではマトモにラジオも出来ない。

 精一杯の訴えを込めて、姉さんを見やる。

 

「……はぁ、仕方ないわね。滞りない進行の為に、縄を解いてあげるわよ」

「……ぷは。ありがと、恩に着るよ姉さん」

「ふん。奴隷の世話は女王様の仕事なの、勘違いしないでよね!」

「知弦さん知弦さん。キャラを見失ってはいませんか」

「うっさいキー君。縛るわよ」

「脅しが直球すぎて怖いですよ!」

 

 赤面しながら言うあたり、杉崎に対して気があることを前面に押し出してしまっていることにいい加減気が付いてほしい今日この頃である。

 

「うぅ、ラジオなんて緊張します……」

「大丈夫だよ真冬ちゃん。俺が先導するから、少しずつでも慣れていこう」

「さっきまで縛られていた先輩に言われても説得力に欠けるんですが……」

「でも信じよう。きっと、それが素晴らしい明日に繋がるはずだから」

「アンタはどこの宗教団体だ。あたしの妹を勧誘するな」

 

 謂れのない誤解はやめてほしいところである。

 

「生徒会のPR及び人気獲得のためにも、全員気を引き締めて取り組むよーに! オーバー?」

『ラジャー』

「よろしい。皆、喉の準備をしておきなさい!」

 

 なぜかそこだけ言われた通りに各々喉をケアし始める俺達。なんだかんだで結構乗り気なのが、この生徒会の面白いところである。なんかこういう活動って、初めはぶーぶー文句言うけどいざ始めると楽しくなるんだよな。こういう気持ちを覚えた人達が、将来のパーソナリティになったりするのだろう。

 姉さんは「コホン」と上品に喉の調子を確かめ、杉崎と深夏は軽く雑談しながらウォーミングアップ。真冬ちゃんは『トロ〇チ』を舐め終えて準備万端だ。かくいう俺も、『喉ヌ〇ルスプレー』で清涼感はマックスである。

 全員の様子を再確認すると、桜野は手元にあるスイッチを押して高らかに宣言した!

 

「それじゃあ生徒会ラジオ、始めるわよ!」

『おぉー!』

 

 こうして、世にも前途多難なラジオ放送が幕を上げた。

 

 

 




 次回もお楽しみに♪
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