今年一発目の生徒会。初笑いはコレで決まり!
さぁ、どんどん上げますよー。ハードル上げまくりますよー。感想欄で『面白くなかった』とか書かれても、上げますからねー!
それでは新年一発目。どうぞー!
「さぁって、どうだったんだみんなのクラスは? ちなみに我らが3年E組では大絶賛だったぜ!」
生徒会書記が一人、紅葉蓮先輩が輝かしい笑顔で興奮気味に語っている。いつもの蓮さんらしくないハイテンションに戸惑いつつも、俺――杉崎鍵を始めとした残りの生徒会メンバー達は同様に俯いたままおそらく同じことを考えていた。
『(素晴らしく不評だったなんて、この人の前じゃ言いづらい!)』
あの会長までもが口を噤む始末である。ラジオ放送への反応なぞ、今更各人に問うまでもない。どう考えても、大不評だ。
しかし蓮さんが所属するのは碧陽でも随一の変態が集まる3年E組。かの新聞部部長、藤堂リリシアも在籍するという事実からお分かりの通り、マトモな感性を持った人間が微塵もいない碧陽きっての問題児クラスなのだ。そんな彼らだから、あんなカオスなラジオ放送でも受け入れられるのだろう。後は蓮さんの人柄及びキャラ故か。予想以上に好評だったらしく、6人の中で明らかに異質な『喜び』を表現している蓮さんだった。
そんなスーパーハイテンションなマゾヒストを他所に、俺達はアイコンタクト会議を開始する。
(……さて、どうする?)
(どうするも何も、これは確実に詰んだだろ……)
(そうね。単純一途な強化系アカちゃんならいざ知らず、相手は馬鹿だけど賢い私の弟。よっぽどの良策がない限り、欺くのは至難の業よ)
(ちょっと待って知弦。今ナチュラルに私が貶された)
(確かに会長さんと比べるまでもありませんです。会長さんがス〇イムだとすると、紅葉弟先輩はゾ〇マですもんね)
(だからなんで私が虐められるのよ! 理不尽の極みじゃない!)
(落ち着けよ会長さん。つーか、黙れ)
(深夏あなた落ち着かせる気ないでしょう!)
「うがー!」と一人吠えまくっているロリ少女は一旦放っておくとして、まずは打開策を考えなければ。
そもそもいつもなら会長が暴走して、紅葉姉弟がやんわりと収めるっていう展開だったはずなのに。最近暴走が著しい蓮さんがボケに回ってしまったから、収拾がつかなくなっている。アンタ第一話まではツッコミ役だっただろう。
他メンバーを見ると、知弦さんや深夏など頼りになる人達は悉く頭を抱えてしまっている。真冬ちゃんは相変わらずおろおろしているだけだし、会長に至っては俺達のイジリで戦闘不能だ。しまった、囮が減ってしまった。
すでに満身創痍の地獄絵図と化している俺達を眺め、何を勘違いしたのかピッカピカの明るいスマイルで話を振ってくる蓮さん。
「杉崎と深夏のクラスはどうだった? 俺の活躍っぷりにフィーバーしていたろ?」
『う!』
この人の勘違いっぷりが今だけは苦しい。いつも暴走するだけのドMだから、こういう素直な喜びの表情を見慣れていないのだ。だから、その笑顔を壊してしまうのがどうしても嫌だ。なんで普通にしてても厄介なんだアナタは!
こっそりと隣の深夏とアイコンタクト。……結果、俺が答えることに。
キラキラと少年のように瞳を輝かせる三年生に気まずい思いを抱えながらも、俺は精一杯の職業スマイルでなんとか場を取り繕う!
「えぇもうそれは大人気でしたよ! モンスターハ〇ターにおけるゲリ〇スの人気くらい!」
「おぉ! ……おぉ? それは人気なの、か?」
(ナイスです杉崎先輩!)
モン〇ン仲間の真冬ちゃんが密かにサムズアップ。見ると深夏や知弦さん、会長までもが俺を讃えるように盛んに頷いていた。蓮さんは首を傾げているが、ここは勢いで畳み掛けるしかない!
俺に続くようにして、知弦さん、会長、深夏、真冬ちゃんが一気に立ち上がると、叫ぶ!
「ハリーポ〇ター作品の中の『炎の〇ブレット』くらい」
「お菓子の中の『タラタラしてんじゃね〇よ!』くらい」
「ドラゴンボ〇ルのピ〇フくらい」
「ドラ〇エ8のト〇デ王くらい」
『それはそれは大人気だったよ(わよ)(ぜ)(です)!!』
「……お、おぉ、そうか。それは何より」
どこか腑に落ちない様子の蓮さんだったが、四人の苦し紛れの笑顔に押し切られたのかしぶしぶと席に座った。同時に安堵の溜息をつく五人。疲れた……ある意味でラジオ放送よりも疲れた……。
蓮さんを抑え込むことに成功したのを機に、会長が司会を奪う。いつもの通り感想から。
「でもやっぱりアレだよね。たまにはこういうレクレーション的なことも楽しいよね」
「会長、レクリエーションです」
「い、いちいちうるさいよ杉崎! 私はこれでいいの! レクレーションなの!」
「学園を代表するアカちゃんがそれだと、碧陽の教育力を疑われるわよ?」
「代表の生徒会役員、過半数が変態だから別にいいんだもん。特にそこの腐女子脳と被虐趣味」
『いきなり貶された!』
二人仲良く立ち上がるが、全員無視。あのコンビは組むと厄介なだけだから、スルーしておくに限るのだ。
会長の言葉に、椅子をゆらゆら傾けながら深夏が同意する。
「まぁそうだよな。いっつも授業や行事ばかりだとつまらねぇし。碧陽ももっと遊び的な取り組みを増やした方がいぃんじゃねぇの?」
「いや、ここって一応学びの場だからな? 深夏の期待するような遊び優先な学校じゃないから」
「でも忍者とか最強風紀委員とか七色の声を持つ演劇部員がいる学園だぜ? もうちょっと非日常要素……いや、バトル要素があっても構わないんじゃないかとあたしは思うわけだ」
「構うわ! バトル要素が満載な学園ってどういう場所だよ!」
「箱庭学園とか」
「この学園には異常性も過負荷も悪平等もいません!」
「【私の靴を舐めなさい(イェス・ユア・ハイネス)】やら【痛覚快感変換(俺達の業界ではご褒美です)】やらが生徒会に存在するのにか?」
「その姉弟は一般生徒から除外してくれませんかねぇ!? 規格外が過ぎるんで!」
『どういう意味だ杉崎(キー君)!』
碧陽学園生徒会が誇るSM姉弟が俺に詰め寄ってくるが、やはり相手をしない。なんか鞭とか縄とか蝋燭とか取り出し始めているのは気のせいだろう。俺の視界には映っていない。断じて。
会長はなにやらうんうんと一人唸っている。……おそらく、次回もやるのかどうかを悩んでいるのだろう。普段通りなら会長が一人盛り上がって、俺達が嘆息しながらも巻き込まれるのが流れなのだが、今回に関しては会長が被害者のうえに蓮さんの独壇場だった。そりゃあ次回へのやる気も半減すると言うものだろう。
様子を見守っていると、突然蓮さんが立ち上がった。会長の元へと歩いていき、肩をポンとたたく。
いきなりの行動に、会長は目を丸くして蓮さんを見上げた。
「れ、蓮?」
「桜野。別に他人の意見とか世間体とか、建前とかはどうでもいいんだ。お前のやりたいように、好きなように行動すればいい」
「え、えーとぉ……そもそも貴方が勝手な行動に走ったから悩んでるわけで……」
「俺なんてどうでもいい! 大事なのは、お前がラジオをやりたいのかどうかなんだ!」
『(なに煽ってんだこの人ぉおおおおおおおおおおおお!!)』
生徒会メンバーに戦慄が走る! このマゾヒストは何を考えたのか、会長に次回の可能性を後押ししてやがるのだ! なんて男だ紅葉蓮! こんなにも貴方が憎いのは初めてだ!
「ちょっ、ちょっと冷静になりなさいよ二人とも。ほら、早く今日の会議を始めましょう? いつまでもラジオの余韻に浸ってないで。ね?」
さすがに見かねた知弦さんがやんわりと三年生二人を諫めはじめる。やはり生徒会の頭脳は伊達じゃない。こういう時に行動してくれるから、俺達はこの人に対して尊敬の念を抱けるのだ。
知弦さんの言葉に二人が黙り込む。……次の瞬間、高らかに叫んだ。
『第二回オールナイト全時空開催を、ここに宣言します!』
『今の数秒間になにがあったぁあああああああああああああ!!』
知弦さんの言葉に考え直していたんじゃないのかアンタ達! 無駄足か! 知弦さんの説得は何の効果も及ぼさなかったのかっ!
驚愕する俺達を他所に、バカ二人がなんか盛り上がっていく。
「いやー、私としたことが不覚だったわ蓮。まさか自分の気持ちを見失うなんてね」
「そういう時のための俺だろう? 会長をサポートする、それが生徒会役員の使命だ」
『(できればストッパーの方でサポートして欲しかった!)』
「うん、やっぱり蓮はデキる男ね! これからもずっと私の右腕として頑張ってちょうだい!」
「ありがたき幸せ」
『(なんか変な主従関係が出来上がってる!)』
基本的に従うことに快感を覚える蓮さんと、絶対王者根性な会長だからこそできるやりとりだった。世界で最も余計なお世話なコンビの結成に、俺達は頭を抱えるしかない。あぁ、なんてこった……。
「よし、そうと決まれば作戦会議よ! 次回をよりよくするために、みんなでどんどん意見を出しあっていこー!」
「了解です閣下!」
『……おー』
何やら燃え盛っている二人と、力なく項垂れる俺達四人。こんなにも温度差のある会議は初めてかもしれない。
会長が仕切り、蓮さんが書記をこなしていく中、俺達は来る地獄の恐怖に身を震わせるしかなかった。
次回もお楽しみに♪