ジョジョの奇妙な冒険RTAお嬢様ですわよ〜!! 作:ファニファニですわ〜!
同時刻、千葉県成田市、成田国際空港。バンコク行航空便発着ロビーにて。
ジョセフ・ジョースターは旅券をはたはたと振り、落ち着かない様子で点滅する電光掲示板を見ていた。傍らには金髪くるくるカラーのかつらを被り、瀟洒なドレスを纏った少年がいた。
「お……お……お兄ちゃん……ボクこれイヤだよ……」
「こら、ボインゴ。お前は喋るんじゃあねえ。バレちまうだろ」
ボロい仕事だ。金持ちの身代わりに飛行機に乗って、あとはフケちまっていい。それだけでけっこうな金になる。クヌム神の暗示を持つスタンドを使えば空港警備員だって、赤の他人が出入国してようが絶対に気づかない。
「ボインゴ、妙な予言はでてねえよな?」
「うん、お兄ちゃん」
ボインゴはこくこくと頷く。予言を記す本、トト神のスタンドをぎゅっと抱きしめている。
「にしてもなんで金髪のかつらに女装なんてオーダーを出したんだろうな?」
「わ、わかんないけど…嫌な予感がする」
「予言は出てねーんだろ?」
「出てはないけど……」
「バンコクついたらぱぁーっとやろうぜ。ボインゴ、物価も安いしよォー女と酒、ついでにプールにでも入ってゆっくり過ごそうや」
「う、うん!た、た、楽しみ…!」
ロビーにバンコク行き飛行機の搭乗開始アナウンスが響いた。二人は意気揚々と立ち上がり、タワーオブグレーの待つ飛行機に乗り込むのであった…。
一方その頃…。
「マッハゴーゴー!マッハゴーゴーですわ!ガハハハハ!」
と、わたくしは高笑いしながらインドの金持ちに乗ってきた超音速輸送機を売り払うトークをしていましたわ。ここはインドのゴアですわ〜!
ゴア州は長らくポルトガルの植民地として発展してきた場所で、そりゃもうずっと栄えていた都市ですわよ。ですがインドに併合されたのは十年ほど前、州として成立したのもつい一年前と言うフレッシュなのか伝統的なのかよくわからん場所ですわね!
わたくしの……オレの!オレの記憶だとゴアはヒッピーの聖地だって聞いてたが、街中で大麻の香りとかはあんまりしない。
まあこの鉄鉱石の採掘で設けたらしい金持ちインド人からはプンプンするけどな。
ちなみにマッハできたので日本を経ってからまだ四時間もたっていない。さすがのDIOもまだ人の手配が済んでないだろう。
「イエス!マッハ!マッハゴーゴー!マッハサイコー!エンジンゼンカイ!」
というわけでツポレフ Tu-144の売却には成功した。まあもともとこの輸送機を譲る条件であるものを手に入れる取引だったんだから揉められちゃあ困るぜ。
「済んだのか?」
と応接スペースで固まるジョースター一行。ジョセフとアヴドゥルはしっくりくるが承太郎と花京院は浮いている。ほんとになんでこいつらずっと学生服なんだろ…。
「完璧ですわよ〜!」
「ではいつ出発です?」
「そうですわねぇ…待ち合わせまで少しありますし準備もありますので三時間ほどお待ちいただけます?」
「そうじゃのぉ。食料の買い足しもしておきたかったからちょうどいい」
「三時間か…観光するには短いし、ぼくはここでゆっくりしていようかな」
買い出し組とお留守番組で別れそうですわね。わたくしは当然買い出し組ですわ。
「オイ、今待ち合わせといったが誰かこの旅に合流するのか?」
「うむ。わしとアヴドゥルとも共通の知人じゃよ」
「すわ〜」
「承太郎、旅が始まってまだたったの4時間じゃ」
「ですわよ。本来なら二週間くらいかかる道のりですのよ!」
「二週間?どこからでた数字だ?」
「とにかく三時間後に集合ですわ」
というわけでわたくしと承太郎とジョセフは買い出し、アヴドゥルと花京院はお留守番と相成りましたわ。わたくしたち買い出しグループは嬢、承、ジョでジョジョジョの奇妙なお買い物って感じですわねぇ!
「オホホホホ!!」
自分で考えたギャグで笑ってしまった。ジョセフは多分大丈夫だが承太郎はどう思ってるんだか…。
「承太郎、おまえはお嬢と食料を買ってきてくれ。保存の効く缶詰や水なんかを人数分。念の為3日分」
「おれ一人で十分だ」
「これを期にお嬢とも少し打ち解けてくれんか。たしかに奇妙なお嬢様だが、信頼の置けるスタンド使いじゃ」
承太郎はため息をしてぼそっとつぶやく。
「やかましい女は嫌いなんでね」
お嬢はそれが聞こえてないようでホッホッホと笑ってどこから出したかわからない羽つきの扇子で自分を扇いでいた。
「そうですわよ。わたくしツルハシより重いもの持ったことありませんし、助かりますわ!」
「早く買って帰るぞ。あんたの見立てでは手下はいないようだが、安心はできない」
「ですわね。空路から外れても即敵を送り込んでくるような奴らですわ。もう嗅ぎつけてるかもしれない…。燃料補給をしてもう一度マッハゴーゴーできればそれが一番だったのですけどね…。着陸できる場所がありませんの」
お嬢の思いの外真剣で冷静な答えに承太郎は驚く。登場から今でふざけ通してるように見えたからだ。しかし音速航空機を飛ばシていくなんて荒唐無稽なことを実現し、母の命を救う旅に大いに貢献しているのは確かだ。行いだけ見れば彼女は十分自分たちに貢献してくれている。
「ま。今来たところで承太郎さんと私がいればジョジョジョジョですわ。楽勝ですわよ!オーッホッホッ!」
行いだけ見れば。
「ここからの交通手段はなんだ?」
「船ですわよ。ここからアラブ首長国連邦まで海を通りますの」
「逃げ場のない海で敵に襲われたらまずいんじゃあないか」
「あら。それは敵も同じですわよ。ご安心なさって!まあヤバそうなのはもう事前にボコしておきましたわ。全員!40日じゃまだベッドから起き上がれないでしょう!」
「おかしな話だな。おまえが襲ってくる奴らを知っているなんて」
ギクゥ!と音が聞こえた気がした。
「んぇ?!ん!…んーーー……!!」
お嬢は突然慌てる。そしてもにゃもにゃとなにかいったあとにやけに神妙な顔で言った。
「…そのぅ……わたくし、殺し屋殺しなんですのよ」
「殺し屋殺し?」
「ええ。スタンドで悪さしてる連中をボコボコにするのが趣味で、そのまま仕事にしたんですわ!うん?まあ…そんなわけでやべー奴らはだいたい宿敵なんですのっ!」
「なるほど」
やはり不自然だ。情報に通じている…というよりも、まるで何もかも知ってて対策しているようだった。全幅の信頼はまだ置けないと承太郎は考え直した。
そして買い物を終えて帰ると、船の用意はもうできており、無事に待ち合わせ相手も到着していた。
「おー!お嬢!!」
「ポルナレフーーッ!!」
そう、あの電信柱みてーな頭の男がやっと合流したのだ!
「やれやれ、また新たな旅の同行者…か」