ルシェンダは勇者の盟友、プパンと共に飛竜に乗り、一路チョッピ荒野に向かっていた。道中ルシェンダは、これまでの経緯を自らに言い聞かせるかのように、プパンにひたすら語っていた。
「ラミザがここまで手のこんだ策を弄してくるとは思わなかった」
「…もちろん、彼の狙いは【メガボックス】だ。我々にも皆目見当がつかなかった【メガボックス】の行方を、彼は突き止めていた」
「…同時に、ラミザは『ドルワームが【メガボックス】の所在を突き止めた』ことをわざと他の諸国にリークし、かつその場所についてはフェイク情報を拡散することで、諸国の攪乱を狙った節がある」
「…ラミザのフェイクはこうだ。ザアグ洞門の先に通っている未発見の地下遺跡を制圧し、そこにある【メガボックス】を確保する。かつそこからプクランド方面に地下トンネルを掘り抜いて、地上との二面作戦でプクランドに侵攻する」
「殆どの関係者はこれをまだ真実だと思っているが、よく考えたらザグバン丘陵の先にそのような遺跡がある可能性は、これまで一度も議論されていない。どの国においてもだ。我ら『叡智の冠』も全く聞いたことがなかった」
「…結局のところラミザの行動によって、プクランドへの地上侵攻は陽動作戦だと多くの国が判断し、兵力をいくつにも分散させることになった。カミハルムイのニコロイ王もその前提で動いていたようだ。今頃はさすがに気づかれていると思うが」
「まんまとハメられたよ。まさかラミザの狙いがザグバン海峡の海底ではなく、シンプルにプクランド大陸南部だったとは。
確かにそう考えれば一番話は簡単なのだが、裏の裏があると我々は勘ぐってしまい、ザグバン丘陵側を一生懸命張っていたんだ。その結果、ドルワーム軍のプクランド上陸を許してしまった。私としても、痛恨の極みだ」
「…ラミザが何者かにコントロールされていることはほぼ間違いない。コントロールしているのが誰かについても、ほぼ見当がついている。それは…」
「…うむ、確かにそうだな。奴は元々怒りにまかせて行動するタイプで、そんなに知恵の回る奴じゃない。私もその点については、以前から気になっていた」
「大体、どうやってラミザは【メガボックス】のありかを突き止めたのか。我々もヒストリカに訊いて初めて気づいた。賢者の誰一人として、ラミザの真の狙いがどこにあるのか、気づかなかった。他の誰かが入れ知恵をしている、としか思えない…」
「…そうなんだ。私も今になって疑問に思うようになってきたのだよ。ラミザの背後にいるのは、本当に奴なのかと」