アストルティア戦記2550   作:しろたく

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19.チューザー地下空洞

 チューザー地下空洞のさらに奥に拡がる、旧プーポッパン王朝の地下遺跡は実に広大だった。目的の【メガボックス】の正確な位置にたどり着くのに、優に3日を要した。

 ヒストリカら3名の前に現れた【メガボックス】は、人間の身長ほどの高さを持つ白い円筒だった。正直、直径数十メートルの球体を想定していたヒストリカは、拍子抜けらしかった。しかし、調査を始めるとヒストリカは即座に、異常に没頭した。

 「…なるほど、確かにこの位置から各国のエネルギーボックスにエネルギーが流れ出しているな!全ての計算がぴったり合う!!」

 「でも量子的に拡散されているので、エネルギー供給源は全く特定出来ないぞ!これは、これはどういう仕組みなんだ!?」

 「…旧王朝はこいつを開発した時点で、場所を完璧に秘匿するつもりだったんだな!何という超古代文明!素晴らしい、ワンダフル、エクセレント!!!」

 コマネズミのように動き回るヒストリカを、プパンは呆れた顔つきで見ていた。クロニコは彼を促し、【メガボックス】設置ルームから一旦外に出た。

 

 2時間後、部屋から出てきたヒストリカを見てクロニコとプパンは驚愕した。先ほどの勢いはどこへやら、真っ白な顔で憔悴しきっていたからだ。

 「どうしたんです?」

 「…解らない、全く解らない…」

 ぶつぶつとつぶやいた後、ヒストリカは堰を切ったように話し始めた。

 「エネルギーを全く生み出していない」

 「え?」

 「エネルギーは確かに放出されている。全大陸のエネルギー量を凌駕する勢いだ。だが、ボックス自体は何らエネルギーを生み出さず、外からエネルギーが入ってきている。その入り口が見つからない。こいつは、単なる通過ボックスなんだ」

 「…通過って、どこから?」クロニコが尋ねる。

 「偽グランゼドーラのある並行世界が発信源と考えていた、最初は。だがここに流入しているエネルギーの量子波動形は、偽グランゼドーラのものとは全く違うのだ。より強い。遙かに強烈だ。おそらくマデサゴーラは、ここからエネルギーをかすめ取っていただけだ!」

 クロニコとプパンは、黙ってヒストリカの顔を見つめる。

 

 「考えられる結論はただ一つ。この世界でも、偽グランゼドーラの世界でもない、第3の並行世界が存在する。アストルティア・レンダーシアのマナエネルギーは、殆どがそこから来ていると言うことだ。それがどこか、なぜそこからエネルギーが来ているのか突き止めない限り、問題は何も解決しない!!」

 プパンは思い出した。マデサゴーラとの死闘、勝利の瞬間を。あのとき【奈落の門】から這い出してきた無数の“悪しき竜の怨念”。竜へと姿を変え、その怨念達を一瞬のうちに炎でなぎ払ったクロウズ。そして、例によって何の説明もせずに【奈落の門】の先へと消えたクロウズ…

 【奈落の門】の先は、マデサゴーラが作り出した世界だと思っていた。そうではなく、全く別の並行世界なのか?

 

 プパンはヒストリカに、事の次第を語った。

 話を聴き終えたヒストリカは、虚空を見つめつぶやいた。

 「…バージョン3.0、が始まるのか?」

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