それにしても主人公の妹って、バージョン3以降ご都合主義的に使われすぎですよね…
ナドラガンド、炎の領界。
炎樹の丘のてっぺんに、クロウズは佇んでいた。
「…私の目的が達成されるには、まだ時間が必要そうですね…」
隣に同様に、ファルシオンが佇んでいた。彼は馬の姿を取っている。
「全く、あなたはそうやっていつもはぐらかすようなことばかり言う。肝心なことを隠す。そんなんじゃ、いずれ勇者にもその盟友にも見放されますよ」
「う」
クロウズはファルシオンに向き直った。
「…マデサゴーラ危機が落ち着いたらすぐにでも、プパン達をナドラガンドに迎えたかったのですよ。こんな内戦なんかが起こらなければ」
「予測は出来なかったと?」
「シンイから授かった能力には限界があるのです。全てを見通せるわけではありません」
ファルシオンは頷き、座り直した。クロウズは語りを続けた。
「まあ、アストルティアのエネルギー問題を一時的にでも棚上げ出来て良かった。
あのヒストリカとか言う女性学者は気づいたかもしれませんが、結局かの地のエネルギー枯渇は、ここナドラガンドからアストルティアへのエネルギー供給量が、一時的に大きく減少したためですからね。
まさかこれが内戦のきっかけになるとは、私もうかつでした。マデサゴーラやイッドのせいではなく、我々やこの世界のゴタゴタがCWの引き金であることをアンルシアやプパンが知ったら、私はつるし上げられるでしょう。
退治されてしまうかもしれない」
クロウズは我知らず苦笑し、一息ついた。
「そろそろ領界の結界が解けます。こちらのエネルギー消費も、いったんは落ち着きました。ナドラガンドの存在をリリースして良い時期でしょう」
「ビアンはなんと言ってますか?勇者の盟友と離れてから、久しいはずですが」
「全くコンタクトが取れません。彼女は独自に動きたいようです。弟のことは、もちろん一番に気にかけています。生き返しとしては、彼女も大きな力を持つようになってきましたからね。無視出来ません」
クロウズは炎樹の丘の向こうを見渡した。遙か先に【奈落の門】がうっすらと見える。いずれ結界は解け、同時に魔炎鳥が復活する。間違いなく。もう余り時間はない。
「…やはり、迎えに行くことにしましょう」クロウズは立ち上がった。
「我々が招待すべき者達が、一堂に会する催しがあります。場所はグランドタイタス号です。海洋上だから行動を起こしやすい。あなたも、一緒に来て下さい」
クロウズは後ろも見ずに歩き始めた。
ファルシオンは軽くため息をつき、瞬く間に金髪の美青年の姿を取った。そのままクロウズの後を追って、彼もナドラガンドを後にした。
完