ピースシーカー   作:イベリ

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第22話:邪魔すんじゃねぇ!

ついに始まった戦争は、シキから攻勢にでた。

 

「景気づけの1発だ!!猛獣共も俺の覇王色にゃあ耐えられねぇよなぁ!?」

 

全開の覇王色の覇気。この世界に存在する実力者の中でも、上澄みの覇気は空間を歪ませ、大気を震わせる。その気配に、ルフィとエースは敗北の記憶を思い返した。

 

「この感じ…あの時の!」

 

「不味いぞシーカー!なんか、足が竦むような威圧が来る!」

 

しかし、2人の警告を無視して1歩前に進む。

 

「エース、ルフィ。よく見ておけ、この覇気の使い方を。」

 

盾を構えたシーカーが、なんでもないように説明を始める。

 

「この威圧はお前たちに教えた覇気の色、その3つ目。選ばれた王の覇気。これは、相手を威圧し気絶させるという効果もある。一種のカリスマに近いものだ。お前達にも、それがあるからいずれ同じことが出来るだろう。」

 

「何悠長に説明してんだ!?」

 

「いいから聞け。特にエース、覇王色は確かに他の色とは隔絶した潜在能力がある。だが、覇王色の有無、それはイコール劣っているという事にはならない。」

 

シーカーはこの覇気の攻略法を知っている。

 

「いつか出来る仲間を守る為に。お前が仲間の盾と成り鉾と成れ。」

 

覇気が盾を中心に膨張し、それが一気に収縮。ただの木盾が純白に輝く。

 

「意志を強く、ただ守り貫く意志を。盾に込め、どんな意思も攻撃も弾く強靭な(覇気)を真っ直ぐ構えろ。」

 

シーカーが持つ唯一の覇気の運用を見取らせ、伝える。

 

エースには見えていた。盾が纏う緻密に編み込まれた見聞色と武装色の覇気。そのふたつが混ざり合い、感じたことの無い圧力が肌を焼くようにビリビリと空気を震わせた。

 

しかし、それよりも目を見張ったのが、その覇気の密度。

 

(なんつー密度…!!俺が拳に纏う全力の覇気の何十、いや何百倍だ…!?)

 

覇気は強度だけでは無い。

 

いつか、シーカーが零した事だ。1度シーカーとガープの戦いを見たことがあったエースは、その時はただ驚くしかなかったが、あの化け物爺と渡り合うシーカーの異常性を垣間見た。

 

『覇気の強さはワシの半分くらい、強いが特別強くは無い。ただ、コントロールだけならわしゃぁ、シーカーの半分の半分もないじゃろう。ワシが拳に100の覇気を込められるのなら、シーカーは500を込める……ただの武装色であれはできんぞ?今のところ、ワシはアイツ以外あの技を使えるものを知らん』

 

その話を聞いた時は、じゃあなんでお前はシーカーを軽々吹っ飛ばせんだよとツッコミをしたのを思い出した。

 

「イメージしろ、エース。お前がシキとの戦闘で行った拳に纏わせる使い方では無い。見聞色と武装色を糸のように細く紡ぎ混ぜ合わせ、武器に、拳に編み込んでいく。筋肉、血管、骨、細胞の一欠片まで覇気を編み込む。その時、覇気は白く輝き、あらゆる攻撃を防ぎ、あるゆる盾を貫く!それが初めの1歩だ。そしてこれが─────」

 

盾のように大きく広がった純白の覇気がシキの覇王色と激突し、貫くように打ち消した。

 

「す、すげぇ……!触ってもねぇのに威圧が消えた!」

 

見聞色の甘いルフィには感知することはできなかったが、エースには確かに見えていた。

 

(なんだ、このバカでけぇ樹は……でも、怖くねぇ、なんだか、安心する…のか?)

 

あまりにも鮮明に見えた、大樹。

 

それは、シーカーの盾に宿る宝樹アダムの意志。シーカーの高密度に練られた覇気により引き出された、守護の象徴は、エースには知らぬ安心感を与えた。

 

「武装色、見聞色の応用にして高等技術、武装【鋭化】。俺が編み出した最強の盾にして最強の矛!エース、これがお前に出す出港前の最後の課題だ。」

 

振り返りながら告げられたエースへの課題。エースは止められないワクワクに思わず笑った。

 

「やってやるさ…!なぁ、シーカー!そうでもなきゃ海じゃ生き残れねぇんだろ!?」

 

「それでこそ。」

 

それだけ言って、シーカは再び前を見た。

 

「ジハハハハハハッ!俺の覇気を散らすか!益々お前を俺の船に載せたくなった!」

 

シキはその様を見て戦意を衰えさせることなく笑った。苛立っているシーカーは、すでに敵の生死を勘定に入れるほど穏やかではない。

 

「海のゴミ……いや、空のゴミか?どっかの支部までもっていくのも面倒だ。ここで全員死ね。1人も逃げられると思うな。」

 

それだけ言ったシーカーは、ただ向かってくるシキの船員たちを一瞥する。

 

そして、彼らがもう間近に迫ったとき、強烈な覇気がその場にいる船員達の心臓を貫くように駆け巡った。

 

数秒の沈黙の中、シキの部下のほとんどの戦闘員が、ピクリとも動くこともなく倒れた。

 

「────覇王色だと!?いや、違ぇ…これは!?」

 

シキは目の前の光景に笑うしかなかった。部下たちが、なんの前触れもなく次々と息絶えて行く。

 

シーカーが一定の距離に近づく度に、バタバタと部下が倒れ─────死んでいく。

 

そこで、シキは思い至った。

 

「あのやろう…!まさか、死のイメージを叩きつけて殺しているのか…!?んな事が、人間にできていいのか!?」

 

そう、シーカーがシキの策略によりフーシャ村から離されていたにもかかわらず、想定よりもずっと早く戻って来た理由だ。

 

シーカーのイメージは、痛みすらも錯覚させる。シーカーの明確な死のイメージは、シーカーよりも弱い覇気の持ち主に叩きつければ、手を触れることも無く殺す事など造作もない。

 

シキは自分が用意した数千の海賊はシーカーに壊滅させられ、散り散りになって逃げたのだと考えていた。

 

違う、紛うことなき鏖殺だ。触れることも、一瞥されることも無く、その場にいた海賊全てが死んだのだと確信した。

 

(これが……ピース・シーカー!!東の海(イースト・ブルー)の守護者…!!)

 

徐々にシキに近づくシーカーはまさに死神のソレだった。

 

とうとう城門までたどり着いたシーカーは、石突きを地面に叩きつけ、号令を放つ。

 

「蹂躙しろッ!!」

 

シーカーの背後で咆哮を上げた獣達が破城槌が如き一撃で場内に流れ込む。

 

そこかしこで獣の咆哮と海賊の怒号が響く。ルフィとエースも混ざり、敵を蹂躙して行く。

 

阿鼻叫喚の戦場を、シーカーは真っ直ぐにシキの元に進んでいく。

 

溢れる覇気が、踏み込む度に静かに鋭く、強靭に練り上げられていく。

 

ついにシキに相対したシーカーは、槍を肩に担ぎ鋭い目つきでシキを睨む。

 

「こうして会うのは初めてだな金獅子。伝説の海賊、悪名も悪行もよぉーく知ってるぜ。」

 

「行儀のいいやつだ、東の海の守護者!お前の覇気には驚かされた。傷もねぇのにまだ痛みやがる!最弱の海に、これほどの覇気使いがいるとは思いもしなかった!」

 

「他愛のない小手先の技だ。その程度でこうなるたぁな…なんだよ、伝説も誇張か。」

 

「言ってくれるじゃねぇか小僧。しかし、お前はこのシキ様と並ぶだけの資格がある!」

 

何でもない風に煽るシーカーに、真の目的だと言わんばかりにシキは手を差し伸べる。

 

「ジハハハハハハ!ここまでの襲撃を成し遂げたこと見事だ!そして、お前の覇気の使い方……実にいい!いや、その前に少しばかり謝罪しよう。今回はお互い悲しいすれ違いがあった。今の状況も、その悲しいすれ違いだ。」

 

「……すれ違い、なるほどあるだろうな。お互いに色々とすれ違っている。それは間違いないな。」

 

「そうかそうか、お前もそう思ってくれるか!」

 

シーカーの言葉にシキは口角を釣り上げ、本題に入る。

 

「ピース・シーカー、俺の船に乗れ!俺とお前で!空からこの世界を支配する!もちろん、お前とお前のベイビーちゃんについては無傷で最高の待遇でもてなそう!」

 

どうだ?と笑うシキにシーカーは頭を搔きながら口を開く。

 

「支配、支配ね……」

 

槍を片手間で弄びながら、シキの言葉を嚙み締めた。

 

「そりゃ、お前が海賊王になるってことか?」

 

「その通り!俺が海賊王となった暁には、お前にも相応のポストも用意しよう!金獅子海賊団、その副船長として、永遠に名が刻まれるだろう!」

 

ふむ、と黙りこくったシーカーは弄んでいた手を止め、シキを真っ直ぐ射貫く。

 

「お前が、海賊王になんざなれるかよ。」

 

「なに?どういう意味だ……?」

 

シキの言葉を合図に、槍にありったけの覇気を込め、殺意を剝き出しに構えた。

 

「ここで死ぬ奴に、未来はねぇよ。何より、きっと─────世界が待ってるのは、お前じゃねぇ。」

 

「そうか……残念だよ。」

 

交渉の余地など、ハナから存在しなかった。

 

再びシキに歩を進めるシーカー。その行く手を阻まんと、二つの影が飛来する。

 

「ピロピロピロっ!お頭の元に、そう簡単に行かせると、思っているのか!?」

 

「ウホッ!ブオォォォォッ!!!」

 

Dr.インディゴと猛獣スカーレットがシーカーに襲い掛かるも、彼はその一人と一匹を見ることもなく口を開く。

 

「任せる。」

 

その瞬間、シーカーの背後から飛び出した影が二つ。覇気を纏う黒く硬化した拳が、固く握られる。

 

「兄貴の────!!」

 

「兄ちゃんの────!!」

 

『邪魔すんじゃねぇッ!!』

 

『グホァっ!!?』

 

飛び出したエースとルフィが地面を蹴りぬいて交差し、ルフィがDr.インディゴを、エースがスカーレットを殴りつける。

 

「ブオォォォォっ!!?ゴブァァァア!!」

 

「落ち着けよ猿!どうせお前ごときが俺らの兄貴に敵うわきゃねぇさ、俺で我慢しとけよ!!」

 

「ぐっ、くぅ…このクソガキがっ!やってくれるじゃねぇか!だが、いいモルモットになりそうだ、叩きのめして跪かせてやる!」

 

「にっしし!今のも避けれねぇなら、どっちみち一瞬で終わってたぞ!俺たちもこいつら早いとこ倒して、ナミに合流だ!」

 

白の壁を破壊しながら2人はシキ達を分断。これで、1対1の構図を作り出す。

 

「チッ……分断されたか。」

 

「どうでもいい。お前たちは、アイツらの踏み台でしかない。」

 

「ジハハハハハッ!言ってくれるぜシーカー!」

 

シーカーの物言いに不快な様子を見せることも無く、シキは葉巻を咥えながら呵呵大笑とばかりに笑い飛ばす。

 

「さて、俺らも始めようじゃねぇか。えぇ?シーカー?」

 

「そうだな、場所を変えるか。」

 

「なにを───────ぐぼぉ!?」

 

真下からの強烈な蹴りによって顎を打ち上げられ、上空に吹き飛ばされたシキを追って、シーカーは月歩で先回り。その上空でシキを待ち、強烈なシールドバッシュで真横に吹き飛ばす。

 

何とか空中で踏ん張ったシキは、血を吐き出してシーカーを睨みつける。

 

「て、てめぇ…なんのつもりだ!?」

 

「お得意の空中戦だ、来いよ。」

 

完膚無きまでに叩き潰す。シーカーの胸中はそれで埋めつくされていた。

 

「ほう?大した自身だな!空の覇者たる俺に対して空中戦を挑むか!その心意気やよし!井の中の蛙に、大海という物を教えてやる!!」

 

「さて、どっちが蛙かな。いや、鶏か?」

 

「ほざけ小僧ォッ!!」

 

ついに、両雄が激突する。




武装【鋭化】について

糸のように細く紡ぎだした見聞色と武装色の覇気を編み込無ことで白く輝く覇気となる。筋肉の筋1本、細胞の一欠片、武器の内部までに覇気を纏わせる事で、足りない強度を密度で補っている。シーカー独自の技術で現状シーカーのみが扱う事が出来る。新たな色ではなく明確な技術であり、誰でも習得が可能。

・攻撃面の特色
緻密に編み込まれた覇気により、敵の覇気、能力の防御の穴を見つけ出し、そこに自身の覇気を流す事で覇気を散らして防御を無視する。

・防御面の特色
広範囲の覇気、物理攻撃を触れること無く防ぐ。

イメージとしては、ルフィやエースは肌にだけ武装色の覇気を纏ってるけど、シーカーは骨の1本1本、細胞の一欠片までに覇気を纏っている。だから密度で他の強度を上回る。武装色だけでは内部まで感知できず、目に見える肌部分にしか覇気を纏えない故に確立させた技術。武装色に見聞色を編み込む事で纏う全てを正確に感知し、細胞までの武装硬化を可能にしている。

これ以降、シーカーの能力は【鋭化】として物語を進めていきます。

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2人目のヒロインいる?

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