鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
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こちら側に喧嘩を売ってきた武闘派として知られている海賊ブルワーズ。
大組織の傘下のタービンズにも喧嘩を売ってきているのも関らずに名瀬曰く向こうは妙に強気だったらしい。
「強気と言うことはそれ程の後ろ盾があるとすればなんだと思う?オルガ」
「それは、ギャラルホルンか?」
「当たりだ。」
この圏外圏でそれだけ強気で居るためにはそれだけ強い後ろ盾が必要となってくるのだがテイワズ以外でそんな組織となるとギャラルホルンしかない。
決定付けるようにクーデリアを渡したら命は助けると言ってきたらしい。
「さてと……」
「三日月、頼んだぞ」
「うん、行って来るよ、カエデ兄さん」
ブリッジから出て行く三日月の背中を追い終わるとカエデはイシガシが出したモニターに目を移した。
タービンズが予測したブルワーズが奇襲を仕掛けてくると思われているのは近道として、隠密性の高い物が求められる仕事に使われるデブリ帯内の抜け道とされた。
だが正面から行くのではなく宇宙ネズミの強みを活かして戦艦二隻はデブリの中を突破し敵艦の背後を取って奇襲を仕掛ける作戦になった。
その為に航続距離の長いラフタの百里とブースターを付けたバルバトスでこちらの艦との距離感覚を狂わせる二重の作戦を行う事になった。
「んじゃ、船の操舵はユージン頼むぜ」
「おう任せとけよ」
着々と進んでいくブルワーズへの攻撃作戦と昭弘の弟、昌弘の救出作戦だがカエデは考えていた。
昭弘から話を聞いたが"本当にただ話をするだけで分かってくるのだろうか"と…。
何年も会えずじまいでいた兄と弟、必ず迎えに行くといっていた昭弘ももう死んでいると思っていたらしい。
それは弟も同じで絶望してしまっているのではないかと考えていた。
「オルガ。ハッキリ言うが昭弘が弟に迎えに来たぞ!と言って素直に鉄華団に来ると思うか?」
「んっ?あぁ……難しいのかもしれねえな、カエデの兄貴。」
必ず鉄華団に迎え入れようと全員で決めたのにと思ったがカエデは瞬時に頭が冷えて考えてみると確かに難しいと思う。
確かに昭弘は迎えに行くと言っただが結果として今まで来なかった。
カエデとイシガシは元ヒューマン・デブリだが昭弘の弟は絶望と希望を与えていたのかは分からないがどうせ昭弘は来ない来たとしても何でもっと早く来てくれないとか遅いんだとかでもめる可能性も大いに有り得ていたのだ。
「話をしないと分からないものもありますからね…」
「いや、まぁそうだろうけどよ…イシガシの兄貴。」
「カエデ兄さんとイシガシ兄さんって偶に物騒だよな」
「悪かったな…」
操舵の準備に掛かったユージンの言葉に思わずブリッジクルー全員が同意した。
そんな話を済ませるといよいよイサリビとハンマーヘッドはデブリ帯の中へと突入していた。
そんな中格納ドックへと到達したカエデはナイトメアに乗り込むと昭弘のグレイズ改に通信を繋げた。
そこには精神統一でもしているのか静かに目を閉じている昭弘がいた。
「昭弘」
「カエデの兄貴、何だ…」
「私も君の弟の説得に協力する事にした。」
「でもこれは俺達ヒューマン・デブリ同士で……」
「私も元ヒューマンデブリだ。私とイシガシは鉄華団全員を弟分と思っているのだ。ならばその昌弘って子も私とイシガシにとっては弟分なのだ。」
強引な理屈と考えを展開しつつ話を進めていく2人の兄貴達に昭弘は戸惑いつつも心の何処かで安心感を覚えていた。
タカキを連れて撤退している時に繋がった通信。
そして組みあったMS同士が軋む音。
それから感じられたのは昌弘の喜びではなく驚きと呆れに近かった気がした。
以前自分はもう人間ではなくデブリゴミだと思っていたんだ。
きっと今の昌弘もそれに近い状態なのだろうと思う。
「カエデの兄貴、俺は昌弘になって言えばいいのか少し分からないんだ。こんな遅くなって今更約束を守りに来たって言っていいのか解らねぇ…。俺なんかよりずっと酷い事をされて来たに決まってる。」
鉄華団、いやCGS時代から続くヒューマン・デブリの扱いはそれらを扱う組織の中ではトップクラスに良い待遇だったと言えるだろう。
一軍の大人に虐めは受ける物のしっかりとした寝床や食事は必ずあった。
そして何よりもカエデの兄貴とイシガシの兄貴の存在が大きいかったのだ。
そんな環境にいた昭弘と弟では雲泥の差、弟の辛さは理解出来ない。
だからどんな言葉を言っていいのか分からないと昭弘が漏らした。
それを聞くとカエデは昭弘に告げた。
「ならばこう伝えれば良い。"お前はデブリなんかじゃない。屑やゴミ扱いするのは本当にゴミな上の奴ら"だと」
「カエデの兄貴?」
「私とイシガシは一度もお前達を"ゴミ"だのって言った覚えはない。人間は一度たりとも"ゴミ"にはならない。
例え身体が機械だとしても腕や足が無かろうとも自分が人間だって言う限りそれは人間だ」
「そうか、そうだよな、ありがとなカエデの兄貴!なんか俺まで嬉しくなって来た。だから俺1人であいつを連れてくるからな!」
「フッ、それじゃあちゃんと弟を連れて帰って来ると良い、そうしたら2人纏めてイシガシが抱きしめてくれる筈だ。」
「それは勘弁してくれよ。」
そう言って昭弘は通信を切った、照れ隠しだろう。
やはり弟達は全員大きく成長している…人として鉄華団の一員として大きく一歩一歩確実に前へと進んでいるだろう。
そう思っていると新たに通信が2つ入ってきた。
カエデが応えるとそこにはパイロットスーツを着ているアインとクランクの姿があった。
「オズロック、昭弘の話は聞いた。私達も鉄華団の一員として協力するつもりだ」
「自分もです。それに先程三日月君が倒したロディ・フレームの内部を見た所ヒューマンデブリなのですが酷く痩せ細っていました……。しかもメリビットさんとイシガシ君の話では医務室で検査をした所では胃の内容物は殆ど無かったと…。」
それを聞いてカエデはレバーを握る力をかなり強くしていた。
ブルワーズのヒューマンデブリの環境は最悪と言っても過言ではない事が確定したのだ。
全員出来る限り助けて上げたいと思う。
「そうか…出来る事なら全員助けたいな…」
「勿論、そのつもりだ。そして君とイシガシが歳星で見つけて来たこのナイト・フレームのトリトーン2機で我々も出撃する」
歳星にてテイワズとの契約終わりにスターサファイアの十字架のペンダントが青い光を放っていたのでカエデとイシガシの2人はその場所に行くと古い工場にひっそりと動いていなかったトリトーン2機が居たのだ。
しかもその機体はカエデとイシガシの持っている機体の設計図がかなり似ていたのだ。
おそらくはナイトメアとジョーカーを作った奴が歳星に置いていたのだろうと思う。
いずれこの場所に来た人間が操縦する為に。
カエデとイシガシはイサリビに戻って直ぐに機体名:トリトーンの整備に取り掛かったがそんなに時間は経たなかった。
何故ならばエンジン部分のトラブルが多少あったがほとんどは無傷だったのだ。
カエデとイシガシはこのトリトーン2機をナイトメアとジョーカーが使えなくなった時の予備機にしようとしたがまだこの鉄華団にパイロットが居ることを思い出した。
元ギャラルホルンのパイロットとして経験のあるクランクは非常に戦力になる上、アインは予備のパイロットとしても期待できていた。
その考えからカエデとイシガシはクランクとアインにトリトーン2機を譲ったのだ。
勿論、最大火力を出せるようにスターサファイアを加工した装備品も既に渡していた。
クランクにはブレスレットをアインにはアンクレットに加工した。
そして現在。
「自分は…出来る限り救いたい。子供達をこの手の届く範囲で!!」
「私も同じ考えだ。出撃許可を取って貰えるか、オズロック。」
「わかった。イシガシ、私だ。クランクとアインの新たな機体トリトーン2機での出撃許可を頼む。」
「カエデ様、了解致しました。」
そしてイシガシの許可を取ったカエデは休む暇なく出撃要請のブザーが鳴り響きその場にいたカエデ、クランク、アインは気を引き締めた。
「カエデ・ビットウェイ・オズロック、ナイトメア 悪夢を魅せてやろう!!」
「クランク・ゼント、キャプテン・トリトーン 出撃する!!」
「アイン・ダルトン、トリトーン 出撃します!!」
出撃した3人は三日月とラフタの後を追ったのだった。
無数に浮遊し漂い続けるデブリ、厄祭戦時代の遺物やガラクタがただ無造作に漂い続けているデブリの奥にて鎮座するように居座る二隻の船。
その船は地球火星間にて名が知られている武闘派の海賊ブルワーズの船。
その船の前方ではラフタの百里と三日月のバルバトスが斥侯として出撃偵察を行っているところだったが待ち伏せを仕掛けてきたブルワーズのマン・ロディと戦闘を繰り広げていた。
「おい、まだ奴らの船は見えてこねぇのか!!」
「はい、まだ反応は……」
ブルワーズのキャプテンはまるでアニメに出て来るオークのような顔立ちをしているが辛うじて人間だと分かるような男、ブルック・カバヤン。
今回の仕事は、あの地球を支配していると言っても過言ではないあの強大な組織であるギャラルホルンからの依頼。
これさえ成功させれば自分達にも凄まじく大きい後ろ盾を作る事が可能になるのだ。
その為にもタービンズ達からクーデリアを必ず奪い取るとほくそ笑んでいると突然船内のアラートが鳴り響いた。
「何事だ!!」
「左舷よりエイハブウェーブの反応!!デ、デブリ帯の中から!?」
「ま、まさかぁ!!?」
自分達の船が居る場所ですらデブリの薄い道を選び慎重に操艦してきたというのにまさかデブリがありまくる上に周囲の状況さえ把握出来ないデブリ帯を艦艇で突破してくるなんて正気の沙汰ではない。
だがそんな正気ではない事ですら簡単にやってのけるのが鉄華団なのである。
イサリビの後に続いてきたハンマーヘッドは敵艦を確認すると一気に加速して敵艦へ突撃していた。
「よし、全員準備はいいな!?うちの船が何でハンマーヘッドって言うのか教えてやれ!!!!」
「はい!総員、対ショック用意!!」
「リアクター出力最大、加速最大!艦内慣性制御!!」
「吶喊!!」
動力炉の出力を限界にまで高めたハンマーヘッド、海賊ブルワーズはまさか来る訳がないと思い込んでいたデブリ帯から来た事で右往左往している敵へと船が出せる最大限のスピードを発揮しながら一気に突撃したのだ。
金槌のような形状をしているハンマーヘッドの衝角、それを最大限のスピードで殴りつけるかのように海賊ブルワーズの船に押し付けながら巨大なデブリの山へと突撃した。
なんという出鱈目なやり方だがあれではやられた側の船はたまったものではないとイサリビの画面から見ていたイシガシは思う。
「こっちも負けてられねえぞぉ!!!!」
「うおおおぉぉぉぉ!!!!」
ハンマーヘッドの勇姿を見たオルガが叫びを上げると操舵を担当するユージンも同意するかのように気迫を上げながら艦首からアンカーを射出しもう一隻の敵艦へと取り付いた。
そしてそこからシノ率いるMW隊が突入し敵艦の内部制圧を目指していた。
ブルワーズも焦っているのかまだ残していたMSを出撃させて掃討を狙おうとしているがそこへ"イサリビ"や"ハンマーヘッド"から出撃したMS隊が対処していた。
「デブリ帯、噂以上のゴミだらけだな。」
次々と迫ってくるマン・ロディにカエデは杖型のハンマーを持ちかえながらヒューマンデブリが乗っているのでカエデは動かなくなる程度の攻撃をしていた。
だが昭弘の弟がいるという機体とはリアクターの反応が合わないがそれでも出来るだけ助けようと決意しながら握るレバーにいつも以上の力が入っていたのだ。
「クランクとアイン、大丈夫か?慣れない機体だが…」
「問題ない大丈夫だ、操縦系はグレイズとそこまでの相違はない!」
「はい、それに……」
アインは背後から迫ってくるマン・ロディに気付いていないのか動きを見せようとしない。
援護しようとカエデは杖型のハンマーを構えるが間に合わず鉈が振るわれようとした時にアインのトリトーンはナイト・フレームの特徴(装甲が厚いのでそんなにダメージが通りにくい)を理解してマン・ロディの鉈の攻撃を食らいつつマン・ロディの肩を捕縛して持っていた斧で鉈を弾いて完全に動きを封じてしまった。
「このトリトーンは如何やら俺好みですので!」
「…私とイシガシの予備機を此処まで理解しているとは……それにあっさりと終わらせるとは…」
「アインもあれで結構やる男だ!俺はイサリビの援護に当たる!アイン、そっちは任せるぞ!」
「任せてください、クランクさん!!」
相手の肩をギリギリと締め上げていくトリトーンは更に出力を上げていき遂にはそのままマン・ロディの重装甲を突破してフレームにまで到達しフレームを軋ませ破壊するという事までやってのけいた。
「(私はもう何も言わん、無視だ無視。)」
両肩を切断されてしまったマン・ロディはそのまま捕縛されアインに拿捕されてしまった。
「カエデ様、アインがマン・ロディを捕縛しました。」
「途中まで見ていたからな、私も行くか。」
だが海賊ブルワーズの船からマン・ロディよりも巨大な1機のMSが躍り出てきた。
背中には巨大なハンマーを背負ったMS、そのエイハブウェーブの波形は何処かバルバトスに似通っていた。
「な、なんだあれは!?デカいな…ってやばい!」
そのMSの見た目にカエデは一瞬驚いていると周囲のマン・ロディ4機がナイトメアに目掛けて向かってきた。
どうやら前回の戦闘で見せたナイトメアの戦闘能力をかなり警戒しているようで此処までの戦力を傾けたようだ。
先程のMSを追いかけるようにバルバトスが接近していた。
「三日月はイサリビに向かえ!!でかいのが行ったからな!」
「カエデ兄さん、わかった!」
今回出て来た新しい機体を紹介します。
操縦機体:キャプテン・トリトーン(ダンボール戦機海道ジン(ゲーム版)の愛機をお借りしました。)
操縦者:クランク・ゼント
基本武器はシーホースアンカーを強化したシーロードアンカー。
カラーリングは濃い緑と黄色などを使っている。
キャプテン・トリトーンの説明↓
頭部を中心に海賊要素の強い外見となっており、両肩には推進力増強の為のブースターが増設されている。
操縦機体:トリトーン(ダンボール戦機海道ジンの愛機をお借りしました。)
操縦者:アイン・ダルトン
基本武器は錨型のハンマー、シーホースアンカー。
トリトーンの説明↓
水色中心の爽やかなカラーリングと細身のフォルムが特徴的でキャプテン・トリトーンよりは高い性能を持つものの、単純なパワーに関してはキャプテン・トリトーンに劣るらしい。