鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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ブルワーズの壊滅と兄弟の和解

 

 

 

先程の機体がイサリビの方が心配になり三日月に行かせカエデは迫ってくる4機のマン・ロディの相手をする事にする。

 

 

「さぁ、来ると良い。」

 

 

連携を取り2機が射撃で此方の動きを封じるように射線を取り残りが接近戦を仕掛けて来た。

かなり実戦で行ってきたコンビネーションなのか手馴れたように迫ってきては鉈を振り下ろし回避すればすぐさまこちらに向けられて銃弾が迫って来た。

 

 

「中々のコンビネーションだ…だがナイトメアをナメるな。」

 

 

デブリ帯でありながら縦横無尽に高い機動しながら攻撃を回避していく最中、その内の1機が昭弘が探していた波形をしたリアクターを持っている事にカエデは直ぐに気付いた。

 

 

つまりあの機体に昭弘の弟が載っている事になるだろう。

 

 

「昭弘、お前の弟らしき機体を見つけた。直ぐに来い。」

 

 

「ありがとうな、カエデの兄貴!」

 

 

それをすぐさま昭弘に連絡するとイサリビからグレイズが発進して此方に向かっていた。

ナイトメアは軽々と回避行動を取りながらの精密近距離攻撃で1機のマン・ロディを行動不能にしているとグレイズが来た。

 

 

「カエデの兄貴、さっきも言ったけどありがとうな。」

 

 

「気にするな、行け昭弘!」

 

 

「おうよ!!行くぜ昌弘!!」

 

 

そう言い残して1機のマン・ロディへと迫っていくグレイズに驚いているのか他のもそちらへと目が向いている。

だがこの作戦は昭弘が弟と落ち着いて話をする必要があるため此方に意識を向ける為に杖型のハンマーをぶ1機のマン・ロディにぶつけて挑発してナイトメアに誘導していた。

 

 

「こっち来ると良い。」

 

 

「待たせたな、昌弘。迎えに来たぞ!!」

 

 

「兄貴……?迎えに来たって…今更、何言ってんだよ。なんで今更……折角諦めてたのにもう期待して辛くならなくて済むと思ってたのに……」

 

 

「昌弘……」

 

 

「何で今来るんだよぉ!!」

 

 

モニターに映り込んでいる弟、幼い頃よりも成長してはいるがあの時と変わっていないように兄の眼には見えた。

そして変わっているものもあった瞳の中にある感情。

 

 

出来るだけ何も考えずどうせヒューマンデブリとして死ぬんだ。

そうだと思い込んで終わろうとしていた過去の自分と同じ目をしていた。

 

 

「俺達はヒューマンデブリなんだ!!どうせゴミみたいに屑みたいに終わるんだよ!!!ゴミみたいに死んで行くだけだ!!!!」

 

 

「煩いんだよ!!さっきからゴミゴミゴミゴミ!!!ならお前は何だ!!昌弘っていう名前は何の為にあるんだ!!!」

 

 

昭弘が叫んだ。

それに思わず言葉を失った昌弘は何を言っているんだと呟いた。

 

 

「昌弘っていうのは俺達の親父と母さんがくれた大切な人間の証だろうが!!!物の名前なんかじゃねえ!!人として生きて行く為にくれた名前なんだよ!!!」

 

 

「お、俺達はヒューマンデブリで…」

 

 

「あぁ!!もう何がヒューマンデブリだ!!いいか昌弘、本当にゴミなのはお前達をそんな風に扱う奴らのことだ!!俺達はゴミなんかじゃねえんだよ!!!」

 

 

同時に蘇ってくるのはCGS時代。

当時教官として働いていたイシガシの兄貴とカエデの兄貴に無茶をしすぎだと怒られたがその時に自分はヒューマンデブリなんだからどうせ使い捨ての道具だと行った時に本気で怒られた記憶だった。

 

 

「何が使い捨ての道具だ!良く聞くといい!!私とイシガシはお前達を一度もゴミだなんて思った事はない!!貴様の昭弘って言う名前はなんの為にあるのだ!?貴様の父親と母親から貰ったんじゃないのか!!!!」

 

 

「それにお前は俺の弟だ!!ゴミだヒューマンデブリとか関係あるものか!!今度は俺が守ってやる!!命懸けでどんな奴からもだから俺と来い、昌弘ぉぉぉ!!!」

 

 

叫ぶ昭弘にそれを聞いた昌弘は静かに呆然としていた。

そして思い出すはヒューマン・デブリとなる前の兄や家族と過ごしていた楽しい記憶。

 

 

そして昭弘はどんな約束も絶対に守ってくれた事を思い出した。

ヒューマン・デブリとして離れ離れになった時も必ず迎えに行くと言って今来てくれた。

そして今度は守ってくれると……そんな魂の叫びを聞いた昌弘はただただ静かに涙を流し続けていた。

 

 

「兄貴……俺、行っていいのかそっちに……兄貴のいる、所に……!!」

 

 

「あぁ、来い!!俺達、鉄華団は歓迎する!!」

 

 

「あ、ああああぁぁっっっ……」

 

 

コンクピット内に光る無数の涙、それを隠すように顔を覆う手。

そして木霊する泣き声。

昌弘はそのまま子供の時のように昭弘に手を引かれて新しい道を歩んでいく。

 

 

そしてそれと時を同じくしてブルワーズの船はシノ達MW隊によって占拠され残った隊長格のMSも三日月によってコンクピットを破壊され戦闘は終了したのだった。

 

 

タービンズと鉄華団に勝負を挑んだブルワーズ。

だが最後は情けなく敗北しその賠償として全財産を奪われブルワーズのクルーもタービンズの資源採掘衛星に放り込まれる事が決定された。

そしてブルワーズにいたヒューマンデブリの子供達は……。

 

 

イサリビのドッグの片隅にて集められたヒューマンデブリ達。

クランクやアインも奮闘した結果マン・ロディの大半を鹵獲する事に成功し殆どの子供達を引きずり出す事に成功した。

 

 

出来る事ならば三日月が自分を殺そうと迫ってきたからと2人を殺ってしまったがそれは仕方がないという物だ。

そのヒューマンデブリ達の元へオルガとカエデがやって来た。

 

 

「ダンテ、これで全部か?」

 

 

「あぁ。団長とカエデ兄さん、こいつら……」

 

 

「安心しろ、悪い様にはしない」

 

 

カエデがそういうとオルガも頷いてブルワーズのヒューマンデブリ達に視線を合わせるようにカエデとオルガは膝を付いた。

ブルワーズのヒューマンデブリ達は警戒するように此方に鋭い視線を送ってくるが団長はそれを受け流しながら口を開いた。

 

 

「火星は良い所でもないが悪い所でもねぇぞ。カエデの兄貴とイシガシの兄貴達のお陰で本部の経営はもう楽になったしな。飯にも肉入りのスープが出るし美味いぞ。」

 

 

「はっ……?」

 

 

「名瀬の兄貴には話は付けて来たんだ。こいつらは俺達が預かる!」

 

 

子供達は何を言っているんだと困惑したように顔を見合わせたりオルガの方を向いたりしているがオルガは更に言った。

 

 

「俺は鉄華団団長のオルガ・イツカだ。俺はお前達ヒューマン・デブリって言われてる宇宙で生まれて宇宙で散る事を恐れない選ばれた勇者達と仕事がしたいと思ってる。俺達の仲間になって一緒に仕事しないか?」

 

 

「でも俺達は……あんた達と戦ってて……」

 

 

「それが仕事だったのだろう。致し方ないことだ。」

 

 

1人の子がそういうとカエデは優しく頭を撫でた。

今まで暴力ばかりで優しさなど受けた事も無かったカエデに撫ぜられた少年にとってそれは暖かくて心地が良い物だった。

 

 

「鉄華団は君達を歓迎しよう、今日から私達の家族だ。」

 

 

カエデの一言が切っ掛けとなってブルワーズの少年達はボロボロと泣き崩れていった。

 

 

優しい言葉が今まで暴力と辛さだけで塗り固められていた彼等の心を優しく溶かして開放した。

しばらく泣き続けていた元ブルワーズの少年達はカエデ達によって食堂へと通された。

 

 

「あっ!みんな!」

 

 

「昌弘……昌弘!!?」

 

 

「昌弘、昌弘だ!!」

 

 

「よかった無事だったんだ!!」

 

 

共に食堂に来ていた昭弘の隣にいた昌弘に少年達は嬉しそうにしながら近づき生きている事を喜び合っていた。

それを見たカエデはやっぱり子供にはこんな笑顔が一番なんだと再認識したのだ。

 

 

「アトラ、イシガシ。準備は出来ているか?」

 

 

「は~い!カエデさん。仕込みは終わってますよ~!」

 

 

「勿論ですよ。カエデ様」

 

 

「私もお手伝いしましたのでバッチリですよ。カエデさん」

 

 

「クーデリア嬢もありがとうな。では、全員で食べるか。」

 

 

食事と聞いて全員、余りいい顔をしなかった。

彼らにとって食事は娯楽などではなくただの栄養補給でエネルギーバーを食べるだけの作業でしかなかったのだ。

またそんな時間が来るのかと顔を暗くしていたら昭弘が声を上げた。

 

 

「今日は兄貴達がお前達を歓迎する為の特別なメニューだ。沢山食って良いんだからな!」

 

 

「そうですよ。座って下さい。」

 

 

言われて席に着いた全員に出されたのは熱々の炒飯、ポテトサラダに甘いタレと一緒になっている焼いた肉、そして暖かなスープにミルクが出てきた。

 

 

湯気とその匂いに一瞬全員呆然としてしまった。

これが食事なのかと…。自分達が食べてきたのと全く次元の違った物だった。

本当に自分達がこれを食べていいのかと全員戸惑ってしまうが昭弘が大きな声で言った。

 

 

「いただきます!!」

 

 

そう言って昭弘はガツガツと食べ始めるのを見ると全員喉を鳴らして一斉に食べ始めた。

もう何時振りなのかも分からない本当の意味の食事だった。

貪るように食べて行く全員の表情は崩れていた。

ブルワーズから来た全員、大粒の涙を流しながら食事を口へと運び続けていた。

 

 

「…な、涙で前が……見えないよぉ……」

 

 

「…うめぇ……うめぇ……」

 

 

「…っあったかいよぉ……」

 

 

「皆さん、お代わり一杯作りましたので遠慮なく食べて下さい。」

 

 

今日、新たに鉄華団の入った少年達は存分に腹を満たした。

ただの栄養補給ではない楽しくて美味しい食事。

彼等の心も同時に満たされていき本当の意味での食事はこれからも続いていくだろう。

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