鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
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カエデはオルガとイシガシからの通信でフミタンとクーデリアが居なくなったと聞いて市街地に向かっていた。
テレパシーでイシガシから聞いていたサヴァランの願いを叶えるがただし、ナボナ達を助けるとは言ってはいない。
あくまで労働者の不当な労働環境の改善だけだ。
その時、イシガシから通信が入った。
「なんだ?イシガシ」
「クーデリアさんを狙っているスナイパーを見つけました。カエデ様から見て左手にある建物の屋上にいます。」
「あぁ、此方も見えた。」
建物内はおろかドア前にも警備が居なくカエデは足音を立てないで屋上まで着いた。
外からは爆音も聞こえて来た。
「クーデリアはあそこか」
「カメラを見ている民衆の前で華々しく散ってもらおう」
カエデはドアを開けて拳銃を構えた。
「では誰も見ていない所でお前達も散ってもらおうか?」
「お、おま」
相手の返事を聞く前にカエデはスナイパーの頭を撃った。
これで外の喧騒もあり此処での殺害は鉄華団が出港するまで気付かれない。
その時イシガシから通信が入る。
「カエデ様、無事にフミタンさんを見つけて三日月達と合流したのでカエデ様も私達と合流を急いで下さい。」
「今行く。」
イシガシと合流するとフミタンとお姫様抱っこで三日月と一緒にいるクーデリア嬢とも合流してオルガ達と合流するとユージンに背負われてるサヴァランがいた。
頬に傷があるあたりナボナ達が死んだのを聞いたか見るかして発狂したのをユージンかオルガに殴られて気絶させられた。
カエデと三日月はイサリビに戻るとバルバトスとナイトメアを出撃させてドルドコロニーにいるギャラルホルンを倒していた。
フミタンside
私は何をやっているのだろうか。
ドルトコロニーでのクーデリアの死を以て労働者達の反乱を拡大させる。それがノブリス・ゴルドンの書いたシナリオであった。
なぜなら、私はノブリス・ゴルドンの間者でいつでも真っ直ぐで穢れを知らない彼女が汚れてしまえばいいと思うくらいに嫌いだ。
けれども、長年一緒にいたせいもあるのか。
あるいは彼女に死んで欲しくないと思う自分もいる。
自分のような不幸な女を生まれさせないようにこの腐った社会を変えて欲しいと願っていた。
あの真っ直ぐさがあれば出来るはずだと心のどこかで信じている自分がいたのだ。
本当に嫌になる。
デモ隊の真ん中で革命の乙女と祭り上げられるクーデリアはおそらくギャラルホルンの弾丸の雨に晒されて死ぬのだろう。
それでは私に助けようなどある訳が無い。
だが、彼女は生き残った。
運がいいのか悪いのかはわからない。
でも、彼女を庇ったデモ隊の女性を看取りながら、 その場から動こうとはしない。
早く逃げろと叫ばなければクーデリアは今度こそ死ぬ。
駆け出したい、叫びたい気持ちを抑え込んでいると……何も起こらなかった。
驚く程に何も…。
三日月くんがクーデリアに駆け寄って動こうとしないクーデリアをお姫様のように抱えるとホテルの方へと走り出す。
これでお別れかとフミタンはふと寂しい気もしたがどうせ私は此処でクーデリアと決別する運命だったのだ。
だからこれでいいと思ったその時だった。
私の手に誰かの手が伸びてきたのは…。
「あ、貴方は……」
肩で息を弾ませて普段の顔はどこへいったのか。
イシガシ・ゴーラムは私の目の前に現れると息を整えて背筋をまっすぐと伸ばして私を見下ろした。
「行きますよ。」
「……どこにですか」
「? 決まって居るでしょう。」
そう言いながら彼は私の手首を掴み私を引き寄せると……いつもは青色に光る十字架のペンダントは赤く光っていた。
「十字架のペンダントが赤く光る。君はその先には必要な人間です。私達の完全なる勝利のためには君が必要なんですよ。」
「……!」
必要…そんなことを言われたのはいつ以来だろう。
所詮は殺しのための間者。
情報収集以外ではメイドの役職どおりの身の回りの世話しかできない自分に対して必要と言ってくれた人間は果たして今までいたのだろうか。
今まで道具として生き、道具として死ぬことを強いられたフミタン・アドモスを正面から見据えて必要だと言う人間は現れないと思っていた。
そんなことを言ってくれるのはきっとこんな無表情で何を考えているか分からない行き遅れの私と同じ無表情で何を考えているか分からないこの少年くらいなのだろう。
「必要とあらば…」
私はそう言って、彼に手を引かれるがまま元来た道を引き返していった。
フミタンside終
カエデと三日月の活躍でギャラルホルンを撃退し地球へと向かう所でフミタンはクーデリアに自らの過去を話したとアトラから聞いた。
その事でクーデリアはある決意をしたらしいがその前にカエデはイシガシを連れてある部屋に向かう。
「……あぁ、キミか」
まずはナボナ達が死んで折角、首吊りを回避したのに船内で自害とかはさせれないからな。
「キミは約束を破ったばかりか、俺をこんなところに拉致して……」
「まだ結果は分かりませんよ。」
「結果はまだ分からない……だって? ………ふざけるな! ナボナさんも! 他のみんなも! みんな、みんな……死んだじゃないか! そんな中でオレだけ生きても……生きても……」
「そんなに言うならば降りれば良い。まぁ、降りれるのならな。」
そう言うとカエデとイシガシは部屋を出た。
その頃、クーデリアはモニターに映る男はノブリス・ゴルドン。彼はかつてないほどの冷や汗をかいていた。
サウナの中にいるのに寒くて寒くて致し方ない。
心の奥から身体の奥から冷えていくような感覚がある。何故このような事になっているのだろうか。
自分の配下であるフミタン・アドモスからの通信が来たと思いきや聞こえてきた声はクーデリア・藍那・バーンスタイン。
自分が始末しろと命令した人物であった。
「今回の出来事、貴方が引き金を引いていたのですね。ノブリス・ゴルドン、フミタンから全て聞きました。」
「はて、何を聞いたのですかね」
ノブリス・ゴルドンはとぼけてみたが効いていないようだ。
「ドルトコロニーへと鉄華団が運ぶ荷物。それを手配したのは貴方の傘下の会社であるGNトレーディング。そしてそのGNトレーディングはギャラルホルンと癒着している証拠を私は完全に掴んでおります」
イシガシとフミタンが共にドルトカンパニーのネットワークに侵入し不祥事などのデータを漁っている際に発見したそれにはギャラルホルンと密接な関係を持っている会社のリストと今回のデモの鎮圧の連携計画書を入手したのだ。
そこには"GNトレーディング"が武器などを用意しギャラルホルンの意志一つで使用不可に出来るように細工するというところまで確りと書かれていたのだ。
「そして貴方がどれだけ下賎で愚かな事をしていたかの証拠も大量に……フミタンから全て話は聞きました。
貴方の部下であったがもうそれも辞めると…」
「……」
「フミタンは"私はあの男に魂まで売った気はありません、お嬢様に尽くすメイドですから"っと言葉を預かっておりますわ」
ギリリっという音を立てて歯軋りが起きる。普段考えられないような力に口から一筋の赤い線が垂れる。
「……それでクーデリア・藍那・バーンスタイン。私に如何しろというのだ?」
「フミタンの事を諦めてくださるなら公表はしませんわ。そして貴方はこれからも私に資金援助を続けてくださるならこの証拠は見なかった事にします。そうすれば貴方はハーフメタルの利権で儲けられるのでは無いのでしょうか?」
「いやはや言いなさるな……良いでしょう.。それで手を打ちましょう。クーデリア・藍那・バーンスタイン。」
同時に通信が途絶する音がサウナ内に響くと思わず身体から力が抜け同時に汗が噴出していた。
あんな小娘に自分が此処まで手玉に取られるなんて思いもしなったことだろう。
火星支部のギャラルホルンさえ操り戦争の戦火拡大による利益を増すフィクサーである自分が……。
兎も角今は何も考えずにサウナから出て思い存分アイスを食う事に決めたノブリスはノロノロとサウナから出ようとして自分の汗で転んで頭を打って気絶してその後秘書に発見され脱水症状を起こして僅かな間、入院したという。
そしてイサリビに話を戻すと…。
「よし出航すんぞ!!」
イサリビはハンマーヘッドとの合流ポイントに向かっていざ意気揚々と地球への進路を取ろうとしていた。
念のためとしてハンマーヘッドは既にドルトから離れた場所で待機しているのでそこへ向かう。
これからは漸く地球を目指す事になる。
ドルトでの戦いも無事に終わった事で最初の仕事を片付ける事が出来ると思っていた矢先の事だった。
ブリッジにアラートが鳴り響いた。
「なんだっ!?」
「エイハブウェーブの反応を確認!戦艦クラスの物、数は3!!」
「映像出します!」
フミタンが操作して出したモニターの映像にはイサリビの後方から迫ってくるギャラルホルンの船ともう1隻が迫ってきているのが見えていた。
だがその内1隻はウェーブの波長が記憶されていた。
火星を出発する際に此方を攻撃して来たギャラルホルンの船であった。
「おいおい、まさか此処まで追って来たのかよ!ご苦労なこった!!」
「フミタンさん、カエデの兄貴達に出撃準備をさせてくれ!」
「了解しました。総員第1戦闘配置、繰り返します総員第1戦闘配置。各パイロットは搭乗機へ」
格納ドックにてナイトメアとバルバトスの調整の手伝いをしていたカエデはすぐにイクサルフリートの服を着てナイトメアのコンクピットに入った。
「すまないオズロック。私とアインのトリトーンはブルワーズとの戦闘の修理が済んでいないのだ。私達は整備班の手伝いをする」
「構わん、新たな機体も居ることだ。」
「すまんな、頼んだぞ!」
クランクの通信内容を頭に入れ着々と出撃準備を済ませていた。
今回の戦力は少ないかもしれないがいまの自分はかなり気分が良いのだ。調子も万端なカエデは喜々としてナイトメアの立ち上げを終了させ颯爽と出撃したのだ。
続いてバルバトスが出撃するとその後に続くように少々キツいピンクに塗装されたグレイズが飛び出した。
『おう待たせたな!今回からこの俺も参加させてもらうぜ!!』
「あれシノ?グレイズで出るの?」
「違うぜ!三日月!こいつは流星号だ!!」
「だが流星っていうカラーリングではないぞ。ピンクは…。」
グレイズに乗り込んでいるのはシノ。今まで昭弘が乗っていた筈の機体は完全にシノの専用機だと言わんばかりに塗装され頭部には鮫のような鋭い目までペイントされていたのだ。
では昭弘はどうなったのかというと最後に飛び出した機体が答えとなっていた。
クリーム色の装甲に特徴的なバックパックとシールドを保持している機体、それこそタービンズの手を借りて改修され昭弘の機体となった『ガンダム・グシオンリベイク』であった。
ブルワーズに使用されていたような重装甲は影も形も無く機体を軽量化、稼働時間が大幅に延長されているのが見た目からでも伝わっていた。
高い汎用性とタービンズが製作した『SS』の加工や武器も搭載されており高い機動性も獲得する事に成功していた。
「昭弘、それ完成したんだね。」
「あぁ、さっきタービンズから受け取った所だ。だけど俺はまだ阿頼耶識に慣れてねえ、援護頼むぜ」
「無理は禁物だ。時には逃げることも必要だからな。」
「おう、俺もこの流星号で活躍してやるぜ!!」
全員の士気が高い中、此方に迫ってくるリアクターの反応を検地する。向かってくるのはグレイズが約6機。
此方の機影を見た瞬間にライフルを構えて早速発砲をして来た。
この距離では撃っても装甲で弾かれるだけなのでつまり脅しや牽制の類であるが鉄華団にそんな手は意味を無さない。
「三日月は好きにやるといい。昭弘とシノはタッグを組んで互いをフォローしてギャラルホルンの機体撃破だ。」
「わかった、カエデ兄さん」
「わかったぜ、カエデの兄貴!」
「おう、昌弘の前で情けねえ姿は見せねえぜ!!」
それぞれがカエデに了承の言葉を返してくると真っ先にバルバトスが飛び出して行きその後を追うかのように流星号とリベイクが追いかけるように速度を上げてグレイズへと向かって行った。
それを援護する為に杖型のハンマーを終い銃を構えるが今回必要かどうかという事を考えていた。
それは通信から聞こえてくる声が原因であった。
「バルバトス、凄い上機嫌だなお前。俺もだ。」
『SS』が搭載された事でバルバトスを動かす三日月の顔は以前より良くなっていた。
期待の反応が良くなっただけではなく機体そのものが軽くなっているかのように動きに更なるキレが出るようになっていた。
超至近距離にて振るわれるグレイズの斧ですら紙一重で産毛だけを切らせるような回避で華麗な回避をしながらメイスを叩きつけ頭部を潰すとそのまま胸部を膝蹴りするとそのまま0距離での滑空砲をお見舞いしていたのだ。
コンクピット部には穿った穴が空きそのままスパークを起こして爆発を起こした。
「うん、やっぱり機嫌良いんだなお前も」
「やれやれ凄まじいな、更にパワーアップしているのが分かるな。」
三日月とバルバトスは明らかに強くなっているのを実感して銃の引き金を引いた。
それは流星号とリベイクが2機がかりで仕留めようとしているグレイズの頭部を捉えたのだ。
「カエデの兄貴の援護か!助かったぜ行くぜ昭弘!!!」
「おう!!」
頭部に受けた銃弾によって動きが鈍ったグレイズ。
その隙にリベイクは一気に距離を詰めると背後に回りこむと両腕ごと拘束するように腰に腕を回して動きを封じると流星号が斧を奪い取ると頭部に突き刺し止めに胸部へ深々と斧を突き刺した。
流星号はブルワーズのマン・ロディから阿頼耶識を移植しているらしくかなり動きをしており同じく阿頼耶識を搭載しているリベイクとの連携が様になっているようにも見えていた。
「良い連携が取れいるな。」
弟分達の戦いに見惚れているようで確りと此方に向かってくるグレイズにカエデは気付くと機体を翻し距離を詰めながら『SS』搭載の銃を連射する。
グレイズも回避行動を取るがそれさえも計算に入れた銃撃に成す術も無く捕まった。
そして近距離にまで接近したナイトメアは杖型のハンマーを装備し直して相手の斧を叩き落とした。
武器が無くなって逃げようとする敵を逃がさ無いようにすぐさま高い機動力で接近してコクンピットを破壊しグレイズを動かぬ屑鉄へと変えたのだった。