鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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舞い降りた地球と厄介事

 

 

「良いか?低軌道だと地球からの引力を受けるから気を付けろ!」

 

 

「うん、なんか機体が重いな」

 

 

「だけど問題ねえ、やってやるぜ!」

 

 

「イシガシ兄さん、おっさん達、オルガ達の事任せるぜ!!」

 

 

「あぁ、任せてくれ」

 

 

「暴れて来なさい。」

 

 

「搬入完了、次のランチを急いでくれ!」

 

 

船の守りをクランクとアインに任せて迫ってくるMSへと向かっていく各機。

多数のグレイズに紛れるように1機全く違う機体がいた。それはキマリスであった。

キマリスはナイトメアとバルバトスを確認すると一気に加速して迫って来たのだ。

 

 

「見つけたぞ宇宙ネズミ共!!」

 

 

「また、貴様か。しつこいな。」

 

 

此方も急加速しながらナイトメアで近距離攻撃を仕掛けるが以前戦った時よりもキマリスの速度は増加しているのかナイトメアの最大出力でもどんどん迫ってきている。

 

 

「ちっ、此処までの速度が出るとはな。」

 

 

「カエデ兄さん、こいつは俺も任せて」

 

 

ナイトメアを庇うように躍り出たバルバトスはあの時落とした予備と思われる同系の大型の槍を突き刺そう迫ってくるキマリスへと向かって行った。

圧倒的な加速による突きをメイスと太刀の二刀流で受け流して頭部を殴りつけた。

 

 

「ぐっ!この宇宙ネズミ共が!!今日こそ引導を渡してくれる!!」

 

 

「何それ、俺そんなのいらないよ」

 

 

再度距離を取ったキマリスは加速してバルバトスへと向かっていくが今度は真正面から向かっていく三日月。

キマリスも血迷ったか思いグングニルを構えてその胸部へと突き動かすが当たる寸前にバルバトスは急激な反転をしキマリスの背中の大型ブースターに組みつきそのままそこへ太刀を突き刺した。

 

 

「な、なに!?」

 

 

「確かに速いけどカエデ兄さんのナイトメアの分身に比べたら単調な突進ばっかりでパターンを見切るのは簡単」

 

 

「くそ離れろ宇宙ネズミ共が!!」

 

 

「分かった」

 

 

バルバトスはブースターを破壊するとそのままキマリスのスラスターを壊してそのまま地球へと向けて蹴った。

地球の引力に引かれてキマリスは落ちていくが残ったスラスターを全開にしてなんとか持ち堪えたのだろう。

あのままだったら何れガスが切れて落下する。三日月はそのままキマリスを放置して降下船へと向かっていく。

 

 

「中々エグいことをしたな。三日月」

 

 

三日月の所業にカエデは少し引きも接近戦を仕掛けてきたグレイズを杖型のハンマーで殴り距離を取るとカエデは笑った。

そしてナイトメアは…。

 

 

「長々とやるのはめんどくさいのでな。」

 

 

カエデは「SS」搭載のペンダントをナイトメアの認証システムに入れた。

 

 

「必殺ファンクション!!デスサイズハリケーン!!」

 

 

タービンズのアミダの機体をボロボロにした必殺ファンクションを発動したのだ。

ナイトメアは左手で杖型のハンマーを右手を頭に持ってくるとT字で赤く光る双眼で左回転しながら上空まで行くと杖型のハンマーの先に大きな黒紫色の球体が出来ていた。

ナイトメアはそれを一気に振り落とした。

 

 

それを受けたグレイズは吹き飛んでしまいそのまま勢いを殺す事も出来ずに地球へと落下していってしまった。

それを見届けたカエデは降下船の護衛に付こうとしたらそこには見慣れぬMSが降下船を守っていた。

 

 

「オルガ、あのMSはなんだ?」

 

 

「あぁ!カエデの兄貴!!アジーさんとラフタさんだ!名瀬の兄貴が心配だからって2人が来てくれたんだ!さっきもグレイズをあっという間に片付けてくれたぜ!!」

 

 

「そうか、それは感謝しなければな。」

 

 

「カエデの兄貴も早く降下船に来てくれ!!もう降りるぜ!!」

 

 

「あぁ、わかった。」

 

 

そのままカエデ達は敵の増援が来ぬうちに地球への降下を開始した。無事に地球へと降下して行く彼等を待つのは一体何なのだろうか……。

 

 

待ち受けた地球外縁軌道統制統合艦隊を突破し地球へと降り立つ事が出来た鉄華団。

降りた先は地球四大経済圏が一つ【オセアニア連邦】の領内のとある島の近くであった。

 

 

降りた時には既に夜中で薄暗かったが鉄華団全員は無事に地球に降りられた事に感動し大声を上げて喜んだ。

鉄華団として初めて請け負った巨大な仕事を地球へクーデリアを送り届けるという仕事を見事に達成する事が出来たと皆喜んだ。

 

 

「うおおおおお!!此処が地球か!!いやっほぉぉおおおう!!」

 

 

「シノさんずり!!俺も!!」

 

 

「シノなんか遅れて堪るかよ!!」

 

 

「海の水はしょっぱいので飲まないように!!」

 

 

海上に着水した降下船から海へと飛び込んでその喜びに浸りながら大声で騒ぎ回る子供達と注意するイシガシを見つめるカエデは笑っていた。

 

 

「此処が地球……美しい所、だなやっぱり……」

 

 

トリトーンのコクンピットから周囲を警戒しているアインだが初めて目の当たりにする地球の海という大きな存在に目を奪われていた。

 

 

夜だというのに月明かりに照らされてキラキラと光っている水面は遥々火星からやってきた自分達を祝福し出迎えてくれているかのように思えた。

同時に自分が来る事なんてないと思っていた地球へと来れた事に感動して1人でこっそりと涙を流していた。

 

 

だがしかし何時までも感動に浸っている訳でもなく早速作業を開始するとオルガが号令を掛ける。

自分たちの降下地点などギャラルホルンは恐らく把握済みだろう。ならば速やかに降下船に積み込まれている荷物を下ろして体勢を整える事が先決となるのだ。

それらを作業を行っている島の奥から1人の老人が姿を現わした。

 

 

「えっと御爺ちゃんは一体何の用で?」

 

 

「いやなんでもお話をしたいとかで……」

 

 

「お前さん達だな?鉄華団というのは地球へようこそ歓迎するぞい」

 

 

「誰だアンタは?」

 

 

和服に身を包みつつも蓄えられたひげと歳が積み重ねられた皺。ただの老人というには威圧感というものがあり只者では無いというのが一目で分かる。

 

 

「儂はこの島の持ち主である蒔苗 東護ノ介じゃ。お主らの事は良く知っておるぞ」

 

 

「持ち主……その悪いな。勝手に荷物を下ろしちまってな。」

 

 

「いやいや構わんよ。それより荷物を運ぶ場所としてこの島にある廃棄された中継基地を提供したいんじゃが如何かな?」

 

 

「何が狙いだ?蒔苗 東護ノ介」

 

 

此方を誘導をしたそうにしている蒔苗に怪訝そうな瞳を投げ掛けるカエデは笑みを浮かべていた。

 

 

蒔苗 東護ノ介という名前にはカエデには覚えがあったのだ。

地球のアーブラウの代表を努めているやり手の政治家であり見た目こそ老人だがその中に秘められている鋭い刃のような部分はカエデには見えていた。

 

 

そしてこの男こそクーデリアが火星ハーフメタル資源の規制解放に関して交渉を進めていた相手でもあった視線を向けると首を縦に振った。

 

 

「少年には嘘は言えんの。だがこの老骨にはもう夜更かしはちと辛くてな。明日の夕刻にこの島にある儂の屋敷に来て欲しい。そこで詳しい話をしようではないか。基地は自由に使ってくれて構わんぞ」

 

 

そういうと蒔苗は去っていくがオルガはカエデやクランクに視線を投げてどうするかと聞いてみる。

クランクも蒔苗が代表である事を承知しているしやり手の政治家には下手に逆らえば絡め捉える事は知っているので素直に使わせてもらおうと進言しオルガもそれを受け入れる事にした。

 

 

結果、鉄華団は蒔苗の言葉に甘える形になり中継基地に物資やMSを運び込んでいくとすると次第に空は明るくなっていき初の地球での朝を迎えた。

 

 

「イシガシ、お前はオルガ達に付いて行け。良いな?」

 

 

「はい、カエデ様。ですがカエデ様は何を?」

 

 

「少しやることが出来てな。」

 

 

そして、全員が少しだけ仮眠を取りオルガとイシガシとクーデリアに数人の団員を連れて蒔苗 東護ノ介の元に向かったのだ。

その時カエデはイサリビの自分の部屋にいた。

 

 

「これを…こうすれば…」

 

 

カエデは三日月のバルバトスに必殺ファンクションを発動出来るように「SS」で作れる加工品を作っていたのだ。

勿論、三日月本人にも必殺ファンクションを付けるか聞いた所…。

 

 

「必殺ファンクションってカエデ兄さんが良くやってる奴でしょ?俺もやってみたい。」

 

 

「まぁ、バルバトスにも「SS」の認証システムを万が一の時に埋め込ん居たからな。それでどんなアクセサリーが良いんだ?」

 

 

「邪魔にならないのなら何でも良いよ。」

 

 

と即答されたのでカエデは「SS」の加工は済んでいまは埋め込むアクセサリーで悩んでいたのだ。

 

 

「やはり無難なのはペンダントだな。」

 

 

カエデは三日月のアクセサリーに「SS」を埋め込むのは十字架のペンダントにした。

 

 

「これで良いだろう。落とすことは無いだろうが一応本人と分かる加工をしたがな。」

 

 

カエデは三日月の十字架のペンダントに月のマークを付け加えて加工作業を終えて片付けていると外から話し声が聞こえて来た。

 

 

「帰って来たか。」

 

 

カエデは三日月に渡すペンダントを持って外に向かうと残っていた鉄華団のメンバーが魚を寄越して来たので受け取って皆は座って食べ始めた。

しかし時苗の所から戻って来たイシガシ、オルガ、ビスケット、クーデリア、メリビットの表情は良くなかった。

 

 

「つまり蒔苗はこう言いたい訳だな。自分は鉄華団を庇ってやっているんだから此方の要求を呑め飲まないなら直ぐに我々をギャラルホルンに引き渡すと言う訳か。」

 

 

「あぁ、そう言う事だ。カエデの兄貴……くそやってくれるぜの爺」

 

 

それを聞いて表情を硬くしたカエデ。戻ってきたイシガシ達の口から話されたのは衝撃的な内容だったのだ。

 

 

現在蒔苗には何の権力も無くクーデリアとの間にハーフメタル関連の交渉も意味は無さない。

だが再び"代表に返り咲ければそれは実現可能だから連れて行け"連れていけないのならば今すぐ庇うのを止めてお前達をギャラルホルンに引き渡すことも出来ると。

 

 

何とも一方的でふざけた条件だがそうするしかないというところまで来ている気もしていた。

だがそれを実行する為には真っ向からギャラルホルンと対決するのを覚悟しなければならない。

 

 

「んで、団長はどういう考えなんだ?」

 

 

「……考え中だ……流石に、まだ考えてぇ……」

 

 

流石のオルガも迷いを見せていた。

顔に影を作り困っていた。

 

 

「受ける必要などありません!鉄華団の皆さんは私からのお仕事を確りと果たしてくださいました。ならば後は私の仕事なのです。大丈夫なんとかなります!!」

 

 

そう後押しするようなクーデリアの言葉にオルガは更に詰った。そしてオルガは1人で砂浜に座りこんで空を見上げた。

満天の星空、少し前まで自分達はあの中に居たというが信じられない。真っ暗な宇宙、それが真実なのに地球からは青い空に浮かぶ星々となっている。

オルガは不思議なものだと言葉を漏らすと背後から物音がした。振り返るとそこにはビスケットとイシガシが居た。

 

 

「なんだビスケットとイシガシの兄貴、まだ寝ないのか?」

 

 

「オルガこそ、如何したの」

 

 

「私は星空を見ていただけですよ。」

 

 

「全然、考えが纏らなくてな」

 

 

3人揃って座りこんだ砂浜は静かに打ち寄せる波の音だけが木霊していた。そんな静寂を破るようにビスケットが言った。

 

 

「オルガ、オルガは蒔苗さんの話を受けようとしてるんじゃない?」

 

 

「……分かるか」

 

 

「うん、まぁ長い付き合いだしね。でもハッキリ言うと僕は反対だよ。危険だしクーデリアさんを送り届けるっていうオルガの言う所の最低限の筋は通してる訳だから」

 

 

「あぁ、筋は通してる。確かにな……」

 

 

"筋"自分が重視しているもの。それはしっかりと通され果たされていた。地球に留まる理由もない筈……。そうない筈なのに火星に帰るという選択肢を選びたくない自分がいた。

 

 

「このまま火星に帰っても俺達はきっと上手くやっていけると思うよ。カエデ兄さんと此処にいるイシガシ兄さんのお陰で本部の経営もやっていけてるし仕事もテイワズから来る。もう確りとやっていけてるよ」

 

 

「だな……帰るっているのも確りとした道の1つだな」

 

 

「じゃあ何で……」

 

 

「俺はよ。ビスケット、今の鉄華団が好きなんだよ」

 

 

何の飾りもない言葉、心に従った結果の言葉に偽りはなくただただ心の中で思い形作られた物。それをビスケットは少し驚いたように受け止めた。

 

 

「CGSを鉄華団にしてよ。皆で馬鹿騒ぎしながらも必死に前に進もうとする鉄華団が好きだ。シノがユージンと女がらみのことで話しててヤマギがそれ見て呆れてるのが好きだ。

 

 

昭弘と昌弘が一緒にトレーニングしてるのを見てるのが好きだ。

カエデの兄貴とイシガシの兄貴がたまに皆を笑わせてが全員で笑うのが好きだ。ミカとアトラ、そしてクーデリアが一緒に皆に飯配ってるのが好きだ。今、皆が居る鉄華団が好きだ。

そうだな。俺は今の鉄華団が好きなんだよ。」

 

 

「オルガ?」

 

 

「俺にとっちゃ……クーデリアも鉄華団の1人なんだよ」

 

 

その言葉を聞いてビスケットは悟った。何故蒔苗の提案を呑もうとしているのか。

鉄華団の1人、クーデリアを残して自分達は火星に戻っていいのかと…もし団員のやりたい事に手を貸して一緒にやり遂げるのが鉄華団じゃないのかと考えていたオルガ。

 

 

「だけど、蒔苗の依頼を受ければ当然危険が付き纏っちまう……今の鉄華団が壊れちまうかもしれねえって心のどこかで思っちまったんだ……でも俺はクーデリアをあいつが見た目的の手伝いをしてえとそう思ってるんだ」

 

 

 

「オルガ……ごめん。てっきりオルガは危険な道ばっかりを選ぼうとしてるって思ってた。三日月に見られてるからって無理してるってでも違った。オルガは誰よりも鉄華団を大切に思ってたんだ」

 

 

立ち上がって笑ったビスケットはそのまま歩き出して行く。それを止めるように名前を呼ぶと振り返ってこう言った。

 

 

「好きにすればいいんじゃない?団長が決めた事ならそれに従うし全力でサポートするよ!!」

 

 

そう言い残して去っていくビスケットにオルガは大きく笑った。

やっぱり自分はビスケットという存在が必要だ。あいつは自分の相棒だと改めて実感させられた。

三日月とは違った頼れる仲間にその言葉が何処までも有難かった。心の楔が消えたようながした。そんな時、今まで喋らなかったイシガシが口を開いた。

 

 

「オルガ、ビスケットが言いたいことを言ってくれましたから私からは話すことが無くなりましたか…1つだけ。」

 

 

「イシガシの兄貴?」

 

 

「私達はいつまでもオルガ達について行きますからね。大事な弟分なので…そうですよね?カエデ様」

 

 

イシガシのその言葉でオルガは木々の隙間からカエデが顔を覗かせていたのだ。

 

 

「オルガ、決めたらしいな?」

 

 

「あぁ。決めたぜカエデの兄貴!なんか心配かけちまったか?」

 

 

「私とイシガシは何時も弟分のことを信じてるから心配なんかしてないからな。」

 

 

「結果的に心配して来てくれたんだろ?」

 

 

「まぁな。」

 

 

互いに言葉を交わすと共に空を見上げた。あの空の向こう側に帰るべき火星があるがその前に一仕事をこなそう。

 

 

「ですがビスケットはオルガの足りない物を補ってくれましたね。私が出る幕では無かったです。」

 

 

「なあ、カエデの兄貴とイシガシの兄貴。俺に足りないものって何だよ?」

 

 

「"明確なビジョン"どんな未来を掴みたいのか。それを考える事だろうな。」

 

 

オルガはそう言われると確かにそうかもと思っていた。

 

 

「また何かあれば私とイシガシに言うと良い。私達がお前に力を貸してやろう。」

 

 

「ありがとう、カエデの兄貴、イシガシの兄貴!」

 

 

そう話しながら3人はイサリビの中に戻った。

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