鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
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夜明け前の早朝にオルガは団員全員を集めた。自身は適当に作った台に立ちながら皆を見つめていた。
「皆、今日までよく働いて来てくれた。もう直ぐ鉄華団初の大仕事も正念場だ。
だけど俺は此処まで皆と此処までこれた事を誇りに思ってる!
今までの場面でもあぶねえ局面はあったがそれを俺達は乗り越えた来た!だからそれはこれからも変わらねぇ!俺達は皆この仕事をやり遂げて火星に帰るんだ!!」
一字一句に気持ちと力の込められた演説に皆身構えてそれを聞いている。
思えば火星から宇宙に上がる時もタービンズに自分達の力を証明する時にもブルワーズとの戦いにも地球に降下する時にも蒔苗を島から連れ出す時もどの場面も本当に危なかった。
島に至っては団長であるオルガやビスケットをカエデが庇わなければマジで死んでいたところだった。
「これから俺達は蒔苗の爺さんを議会に連れて行くが…そこにはギャラルホルンが待ち受けてやがるだろうが俺達は止まらないんだ。
俺達は怯まない。その上で仕事を完遂する。だがお前達に団長として絶対的な命令を出す。
絶対に生き残れ!!絶対に死ぬんじゃねえぞ!!勝手に死んだら団長権限でもう一辺殺すからな!!」
その演説に鉄華団全員は奮起し大歓声を上げた。
自分達だってこんな所で死ぬつもりはない。仕事終わりのボーナスを貰って皆で騒いでこれからもそれを何度も何度も続けるつもりなのだかだから。
そんな思いを語りながら叫ぶ子供達をクランクやアインは見守りながら自分達も何時の間にかそんな思いに感化されていた。その中に混ざろうと思っていた事に驚いていたが自然を絶対に生き残ろうと誓っていた。
ラフタ、アジー、エーコ。タービンズから出向して来た鉄華団を見守る為の三人は団長のオルガが思っていた以上に家族の事を考えていてそのための選択をした事に笑い兄貴分である名瀬に良い報告が出来ると笑っていた。
そしてカエデとイシガシは……これからも弟分達と共に進み続ける事を誓った。
そしてその演説は、鉄華団全員の力となってエドモントンへの侵入を拒むギャラルホルンへと牙を向いたのだ。
エドモントンへと配置されたギャラルホルンの防衛線。通常では撤退するか降伏するのかベターな戦力だが彼らそれなのに猛然と立ち向かって行った。
「オラオラオラオラ!!!!」
「オオオオオオ!!!!」
1機、また1機とグレイズが落とされていた。挟み打ちにしようと背後から迫って来るギャラルホルンのMS隊を撃退いや撃破し続けている。流星号が斧で相手のコンクピットを抉るとリベイクが負けてられるかとハルバードでグレイズの上半身を吹き飛ばすという昭弘の怪力を体現するかのような鬼のような戦いを見せいた。
互いが互いの刺激となり気付けば戦果を競うように戦っていた。
「これで8だ。」
そんな対抗意識を燃やしている理由としては三日月の存在が大きかった。
誰よりも巨大で凶悪な得物を手にしながら誰よりも多くの敵に囲まれながらも悪魔のような鬼神のような戦いをするバルバトス。
メイスを振るえばグレイズごと地面を割り、太刀を握らせれば装甲の内部に滑りこませて抉り壊す。
常に前線に立ち続けて多くの敵を引き付け続けている三日月にギャラルホルンはバルバトスの姿を見るだけで恐怖し士気が下がる。
「さて、この私に"悪夢を魅せし幽霊の魔術師"と二つ名をつけたギャラルホルンの隊員は…何処にいるのだ。しかも何故お前も此処に居る団員の指揮はどうした!イシガシ!」
「指揮権はオルガに譲っていますのでご安心下さいカエデ様。私も時々指示をしますがカエデ様とこのジョーカーと共に戦いたいのです。
今言った言葉は本当ですがもう1つ私はギャラルホルンに怒っています。私に"魔術師の死神"と言う二つ名を付けたギャラルホルンにです。」
カエデとイシガシは凄まじい活躍をしていた。上空から地上のMSの関節を狙い撃ちながらもエドモントンの都市部侵入を図ろうとするMW隊の援護を行うという事をしている。
どちらにしてもナイトメアとジョーカーの魔術師と死神のような外見からは想像も付かない程の戦果を発揮していたのだ。それゆえにギャラルホルンがナイトメアに付けた名が悪夢を魅せし幽霊の魔術師。ジョーカーに付けた名が魔術師の死神。
その姿を見れば抵抗出来ずに殺されていた悪魔に手を貸す魔術師と死神だと称されていた。それを否定する気もないし寧ろ肯定するカエデとイシガシはそのままナイトメアとジョーカーを駆り続けていた。
鉄華団を磨り潰そうとするギャラルホルンだが逆に大きな損害を受け続ける事になっている。既に撃墜されているMSの数は30を超えて更に拡大しているというのに此方は相手に全く有効なダメージを与えられていないのだ。
MWですらまともに撃墜出来ていないそれもある意味当然と言える。ギャラルホルンが経験している戦闘はその皮を被った虐殺のみでありその殆どがゲリラ戦を未経験のマニュアル戦闘が大半だ。
それに加えて上空から援護を加えるナイトメアとジョーカーの遠距離射撃により防戦一方で相手にまともな打撃を与えれていない。
二日間の戦いの末にいよいよギャラルホルンが展開した防衛線の限界が見えてきた。
MSの数もMWも以前と比べれば少ないと言わざるを得ない状況と化していた。
オルガとイシガシは間もなくと迫ったアーブラウ議会代表選挙の投票日、いよいよ本格的なエドモントンと支部への突入作戦に打って出る事とした。
「皆、今日で終わりにするぞ……三日月や昭弘、シノ、カエデの兄貴とイシガシの兄貴の奮闘のお陰であいつらの戦力は大幅に削いでやった!!そしてラフタさんやアジーさん、クランクのおっさんとアインさんのお陰であいつらの補給も十分じゃねえ、今日で終わりにするぞ……俺達は仕事をやり遂げるぞ!!」
「「「「オオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」」」」
そして鉄華団最後の大攻勢が始まった。
補給物資はそこまで届かずに臨時に草原に作られたギャラルホルンの駐屯基地。
そこでは整備班とパイロットの確執が出来ていた。
自分の機体を直せという言葉を物資がないからこれ以上無理だという罵詈雑言、輸送部門を担当するタービンズだからこそ補給ラインの重要性を理解しそれを攻撃していた。
既に機体は満身創痍、パイロットも悪魔、魔術師、死神に恐れを抱き一部はノイローゼを発症していたのだ。
これから如何すればいいのかと迷う部隊長、カルタ・イシューの部下として仇を打つために此処にいるのにそれが出来ずにいる事苛立っていたのだ。そんな時だった待機中のグレイズに次々と銃弾が叩きこまれ爆発していた。
「な、何だ!?」
悲鳴にも似た声が上がると正面から煙を上げて迫ってくるものがいたのだ…鉄華団のMSだった。
バルバトスやグシオンリベイク、流星号にキャプテン・トリトーンにトリトーン、そしてタービンズの漏影、上空からはこちらの物資を集中的に狙ってくるナイトメアとジョーカーと恐れていた奴らが遂に最大限の力を持って強襲して来た。
「「SS」を駆使すれば戦いやすくなるがそれでもこちらの戦力をばらすことになるがこの総力戦には必須だな。」
「えぇ、そうですね。カエデ様」
「行くぞ、イシガシ!」
「はい!カエデ様!」
「「必殺ファンクション!!レインバレット!!」」
カエデとイシガシはMW突破の為に「SS」で必殺ファンクション「レインバレット」で橋を占拠していたギャラルホルンのMW隊を打ち払う。
天からの光の一撃で開けられた希望への道にオルガはカエデとイシガシに感謝の言葉を漏らすとそこへ一気にオルガの乗るMWにアトラと蒔苗、そしてクーデリアの乗せた車、護衛のMWが突入していた。
いよいよ終わるのだ…これで本当に…いやまだ終わらないんだ…自分達がMS隊を引き付けておく必要があるのだ。
「カエデの兄貴、イシガシの兄貴。この前の奴が来た増援連れて来た。」
「そうか、ナイトメア、ギャラルホルンに悪夢を魅せてやろうか。」
「ジョーカー、私もカエデ様に続きますよ!!」
キマリスが大部隊を率いて参上したがそれらに怯む者は一人としていない。これで終わりにするのだ。だがそんな時、空から降った無数の弾丸がナイトメアとジョーカーの装甲を掠めた。
「何事だ!?」
「カエデ様!上を!」
咄嗟の機体操作と今まで蓄積されたデータによるナイトメアとジョーカーの「SS」技術によって難を逃れたが本気で驚いた。
だが今の何だとイシガシに言われて空を見上げるとそこには巨大なMSが2機、空に浮かんでいた。
ガンダム・フレームよりも一回り巨大なそれは1機は地上におりつつももう1機はナイトメアとジョーカーのように空を浮遊し続けながら此方へと睨みを利かせていた。
「おいおい!何だこいつ!?でかすぎるだろ!?」
「俺達の機体の一回りでけぇんだけど………」
「あ、あれってグレイズ!?でもデータにはなにも無い!」
「こんなタイミングで新型を投入するとは……」
「何だ……このプレッシャーは……!?」
驚きが周囲を支配する中でそのMSは声を上げた。
「我ら……地球外縁軌道統制統合艦隊!!カルタ様どうか見届けてください!!我らが果たすカルタ様のご意志を!!!」
「私はあの魔術師と死神を!!」
「私はカルタ様に仇名したこの逆賊を!!」
「「撃つ!!」」
決意を固めように動き出した機体は猛スピードでナイトメアとジョーカーに接近し剣を振りかざしてくるがそれらを回避して「SS」の力で杖型のハンマーで狙うがまるで人間のような柔らかな動きでそれらを回避していた。
「まさかこの動きは私たちと同じ……阿頼耶識だと!?」
「その通りだ!魔術師よ!!我らはカルタ様の為に人間をやめ悪魔になる決心をしたのだ!!」
「我らは決して負けぬ!!カルタ様の為に!!」
人体改造は悪であるという思想を持つギャラルホルンがそんな事をするなんて思えないが現実が此処にあるのだ。
本当にギャラルホルンに阿頼耶識があるとしか思えない動きに阿頼耶識を4つ搭載してるカエデは少し苦しげな声を上げた。
あの巨体で三日月以上の動きにカエデとイシガシと同じく飛行が可能で厄介にも程があった。
「カルタ……見ていてくれ!お前達の部下の戦いぉぉぉ!!!」
そして槍を構えて突撃するキマリス。戦場は、一気に混沌とした物へと変じて行った。
カエデの二つ名は悪夢を魅せし幽霊の魔術師。ナイトメアは悪夢を意味し高い機動力で幽霊のように出たり消えたりして分身などを魅せることから魔術師。
イシガシの二つ名は魔術師の死神。ジョーカーの鎌で機体を切り刻み亡き者にする事とジョーカーの立ち姿を見た人達からはあの世から迎えに来た死神に見えることから死神と呼ばれた。
魔術師はナイトメアを護る為の切り札に見えたから。