鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
全てが始まった日
*
雨が降らない荒野のような不毛な大地。
野生動物による激しい生存競争など行える程の自然もない荒れている大地の上で激しく土煙をかき鳴らしながら走りぬけながら打ち合いをしているものがある。
モビルワーカーと呼ばれる兵器である。
三本足のローラーを駆使しながら地形に合わせるような激しい動きをしながら砲等を動かし目の前の敵目掛けてペイント弾を発射する。
その一発がローラー部分に命中し地面に擦り付けるように車体を落とすMWの中の少年が毒づく。
直後にそれらを見守るようにしている1人のまだ成人してはいない少年が通信機を使いながらまだ残っているMW全機に呼びかけた。
「シノ、アウトです。頑張らないと何時までもあの子達には勝てませんよ。」
『んなこと言ったって、あいつらめちゃくちゃ反応いいんすよ!?』
「その位考慮して撃った方がいいですよ。本日のお昼ご飯争奪MWの優勝者には特盛りとお味噌汁のお代わり付きです。頑張りなさい。」
MWの操縦技術向上の為の模擬戦を見守るセミロングの1人の少年は、通信機越しに鋭いが優しい声を響かせた。
操縦している少年達の耳に響いてくるだけではなくそれによって知らされたこの模擬戦での優秀者に送られる食事の特典という素晴らしい商品の事がより彼らの意欲を刺激して行った。
『うおおおお!今日こそイシガシ兄さん美味いあの料理は俺のもんだ!!それに特盛りと味噌汁ありだぜ!?俺が貰った!!』
『いいや!今度こそ俺が貰うぜ!!三日月!!今日こそ特盛りと味噌汁は俺が貰うからな!!』
『今日も俺が貰うんだ!イシガシ兄さんの料理は美味いからね。』
「全く貪欲な少年達ですね…」
イシガシは通信機を切り模擬戦を見守っていた。
前世は故郷を滅ぼされて復讐を誓い戦い負けて敬愛する"あの方"諸共処刑された。
自分の最後を覚えてないと言うのは一瞬で死んだのだろう苦しみも無く痛みも無く死んだのだろが残して来た仲間たちは無事なのだろうか?
私とあの方は兵士に撃たれて死んだがあの幼き女王の事だ。
仲間達を私達のように存在抹消の刑にならないと思いますがね。
おそらくだがファラムの政治の手伝いだろうと思うが…そうこうしてるうちにMWのお昼ご飯争奪戦は終わったようだ。
聞いた話では最終的に昭弘と三日月の2人が残ったが、三日月が勝者となり本日のお昼ご飯争奪戦が終了したそうですね。
「三日月、美味しいですか?」
「イシガシ兄さんの料理は何時も美味しいよ、もっと食いたいな」
「お代わりしますか?」
「うん」
勝者の特権を活用して本日のお昼ご飯を食い尽くしていく三日月。
大きなどんぶりに盛られた特盛りの食事を周囲の少年達は羨ましそうに見つめつつも次こそはと執念を燃やしたりしている少年達もいる。
私がどんぶりとにご飯を盛ってやってくると三日月は再びお昼ご飯に集中し始める。
それを見守るのは、このクリュセ・ガード・セキュリティ(訳してCGS)の一軍で19歳の少年社員であり、少年達が所属する3番組の教官をしてもう1人一軍に入っている少年社員の部下であり秘書をしてこの会社に入る為に阿頼耶識システムを3っ入れている"イシガシ・ゴーラム"だ。
それにイシガシ本人ともう1人の少年社員の能力も極めて高い。
2人は射撃に至っては誰も敵わずライフルを持たせれば百発百中で走りながらの射撃でも異常なまでの命中率を叩き出しているらしい。
「なあ兄貴、如何したら三日月に勝てんだよ。ずっと俺達負けっぱなしだぜ」
「三日月は基本的に独りだから、他の子達と話して集団で襲い掛かる…それが1番でしょうか?」
「やっぱりか~……俺1人で勝ちてぇんだけどなぁ…」
「昭弘の操作技術も凄いですけど三日月の操作技術もそれ以上ですからね」
「でもイシガシ兄さんよりは全然だろう?」
「私なんかよりカエデ様の方が強いですよ。操作技術は私より上ですからね。シノ、悔しいなら私が頭を撫でますか?」
「い、いらねえよ!!」
イシガシと此処には居ないもう1人は、未成年の非正規部隊の3番組の少年達にも大人気である。
子供、自分達をガス抜きで虐待するような一軍屑野郎達と違って筋を通した事をする大人だからである。
訓練は虐めの要素が一切ない確りとした物、体罰などはせずに口頭で注意しつつ慰めてくれる。
日も落ちた夜、イシガシは自分の命を預けたその人をCGS唯一様付けを付けている人の元に向かっていた。
「失礼致します。カエデ様」
「何か一軍屑野郎共がやったのか?」
「いえ、書類仕事のお手伝いをと思いまして…」
彼の名はカエデ・ビットウェイ・オズロック。
イシガシと共に故郷の復讐をしたが兵士に銃殺されたイシガシのもう1人の仲間だ。
一軍では書類仕事が専門になっているが量が多いのが特徴だ。
「はあ、この書類は社長が本来やるべきものだがあの社長は高みの見物か…」
「えぇ、この書類も自分がやったと言うつもりでしょう。あの社長がやりそうな事ですね。」
「戦場だと最初に逃げるだろうな。ところで例のお嬢様の話と例のアレの整備は大丈夫か?イシガシ」
「はい、整備もお嬢様の動きも万全ですので御安心を…。」
「そうか、ありがとうな。イシガシお前のお陰で多かった書類仕事が終わった。」
「いえ、お茶を御用意致しましたのでお飲み下さい。」
「あぁ、部屋に戻っていい。」
「では、失礼致しました。おやすみなさいませ、カエデ様」
イシガシはカエデと共に書類仕事終えて廊下に出ると身体を伸ばした。
一軍であり教官という役職はカエデと同様に何かと仕事が多いだけではなく、何かと此方を敵視というかゴミのように見てくる一軍から来る嫌がらせのような物まで処理させられている。
「(その目、気に入らないですね。まぁ、私とカエデ様はヒューマンデブリから一軍に上がったのですから気に入らないのでしょうね…まぁ構いませんけど…)」
ハッキリ言って今の一軍の方がよっぽど邪魔だ。
サボりは当たり前で書類仕事はカエデに投げやりで少年達をガス抜きと言いつつ暴行する腐った人間達だ。
イシガシとカエデはそれを発見すると直ぐに止めに入ったり逆に殴り飛ばしたり経理のデータにこっそりと侵入して殴った一軍の給与から治療費をせしめたりしていた。
「(相手だって汚い手を使うなら私達も同じようなことしても良いでしょう?)」
イシガシは誰も居ない廊下で不敵に笑うその時声が聞こえた。
「こんな所で何してるんですか?教官、いやイシガシの兄貴。」
「おや、オルガ。いえたった今カエデ様と一軍と会社の書類仕事を終えていまから部屋に戻る所ですよ。」
声がした方には浅黒い肌をした少年がいた。
3番組のリーダーであるオルガ・イツカ。
どうやら社長が持って来た仕事を彼ら3番組に持って来たのだ。
地球へ行く仕事で使うMWの点検作業の手伝いをおやっさんとやって今終わって来たようだ。
「そっちも終わりですか?オルガ。明日には例の仕事のお嬢様がくるのでしょう?」
「あぁ、だから今日中にMWの整備をおやっさんと終わらせたんだよ。イシガシの兄貴とカエデの兄貴は来れねぇんだろ?」
「本当は行きたいのですが社長に止められてましてね…。それ程に私とカエデ様を手放したくないのでしょう。阿頼耶識システムを搭載して19歳の少年社員だけど3番組では無く一応は一軍の所属って事になってますからね。」
明日、3番組は大きな仕事を持ち込んだご令嬢と対面する。
この火星では今独立への機運が高まっている。
その中心に立っているとも言える人物が明日CGSに来るご令嬢、クーデリア・藍那・バーンスタイン。
彼女を護衛しながらオルガ達3番組は地球へと向かうのだ。
「まぁ、俺は取り合えず出来る事をやるさ、イシガシの兄貴とカエデの兄貴に教えて貰った事を存分に活かしてやるよ。」
「そうしてくれるとこちらも教えた甲斐がありましたね。」
「何時も疑問に思うんだけど、イシガシの兄貴とカエデの兄貴だけが通れるこの扉。この先に何があんだ?」
オルガは首を傾げるがイシガシは不敵に笑う。
「フフッ…知りたいですか?そうですね私とカエデ様の宝物ですね。貴方達が無事に地球から帰ってきたら教えて上げますかカエデ様に交渉してみましょうか?」
「カエデの兄貴が許可出すのかよ?」
「フフッ、カエデ様も3番組の皆さんには甘いですからね。許可を出すと思いますよ。」
「本当か?その話忘れんなよ?イシガシの兄貴!!」
「えぇ、必ず約束です。オルガ」
イシガシとオルガは絶対に帰ってくるという約束を立てて2人は別れてそれぞれの寝床へと向かう。
あの扉の先にある宝物はイシガシとカエデが転生した時に見つけた物だ。
いつか彼等に見せれる時が来る事を願っていた……がそれは唐突に訪れたんだ。