鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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目覚めた静寂なる翼編
魔術師と死神と破壊神の共闘


 

 

 

「こ、これが噂に聞く悪魔って奴かよ!?」

 

 

「か、数では此方が圧倒してるんだ距離をとり…ぐわぁ!!」

 

 

確かにバルバトスは接近主体のMSだ。

距離をとろうとするのは悪い選択肢ではないのだがその援護を行っている魔術師と死神の存在を忘れてはいけない。

 

 

相手は遠距離からの援護狙撃を行う機体なので距離をとればナイトメアとジョーカーが襲い掛かって距離を詰めようとすればバルバトスのメイスで命が抉られるという見事な関係が出来上がっていたのだ。

 

 

その影響か夜明けの地平線団のMSの勢いは大いに削がれその隙に鉄華団は艦の守りを固めるMSを次々と出撃させていたのだ。

 

 

「オオオオッラァァァァッッ!!!」

 

 

ホタルビから出撃した1機のMSが雄たけびを上げながら手にしたライフルを連射しながらなんとか艦に取り付こうとしているMSを薙ぎ払っていた。

 

 

「SS」のナパーム弾を使用しているからかそれを受けたMSのナノラミネートアーマーは剥がされてしまい獅電や流星号などの射撃であっさりと落とされていたのだ。

 

 

その連携の核をなしているのがやや黒っぽくなった強靭な4本腕のMS、改修された悪魔「ガンダム・グシオンリベイクフルシティ」であった。

 

 

「どんどん行くぞぉぉ!!」

 

 

バルバトスと同じくテイワズによって改修されたグシオンは新型「SS」が搭載され性能が向上と必殺ファンクションが使える事になったので昭弘は十字架に鉄華団のマークが入ったペンダントを腕に巻き付けていた。

 

 

「SS」ナパーム弾と通常弾頭を打ち分ける事が出来るカエデがテイワズに依頼して作ったライフルは高い効果を発揮しながら相手を落としていた。

そんな嵐のようなグシオンの弾幕を掻い潜るかのように突破して来たガルム・ロディが迫ってきた。

 

 

「ちっ!なんだ!?」

 

 

突然のアラートで後方から凄まじい速度で何かが突っ込んできた。

それは目の前まで迫っていたガルムに突進をかますとそのまま胴体を真っ二つにするかのように破壊すると更なる前線へと突っ込んで行った。

 

 

その突進力と速度にナイトメアを連想した昭弘は当然だがIFFには味方と表示されていた。そしてそこには十一亡星のエンブレムが刻まれていたのだ。

 

 

「あれが、まさか話に聞いてた……」

 

 

その機体の残痕を追うように昭弘はカメラを動かすとあっという間にMSの防衛陣を突破すると左舷の一艦へと突撃していったのだ。

 

 

無謀とも言える行動だが艦の迎撃さえも無駄と吐き捨てるかのように突撃したそれは莫大な推力によって生じた運動エネルギーをそのまま破壊力に転換するように腕を振るうと艦橋を破壊した。

 

 

「おいおい!?何が起きてんだ!?なんか突っ込んだと思ったら相手の一隻沈んだぞ!?」

 

 

「しかし、シノの流星号よりかなり流星染みてましたね。カエデ様」

 

 

「はぁ、あいつらしいと言えばらしいがな…」

 

 

「んなぁ!?」

 

 

驚きと心外と言いたげな表情をシノが浮かべながらも敵を落としながらも突撃から戻ってきた機体を見つめた。

先程敵艦に突っ込んだというのにもうこちら側に戻ってきていたのでとんでもない推進力だ。

 

 

「すまない、単機突撃をしてしまったが此方としてはそれだけ力になれるという事だろう」

 

 

「その為にこんな派手なアピールをする必要があるか!無茶をするな、フォボス!」

 

 

「そうだな…だが、突いて撃ち貫くのみだ。それが俺に出来る最大限の事だからな」

 

 

それを形容するならば白と青を基調としたトリコロールカラーに赤いモヒカンが目を惹くがスパルタの兵士の様なデザインだが青主体のカラーリングやマントが腰部に付いている機体。

まず目を引くのは機体に複数装備されている大型のバーニア、それがあの化け物のような突進力を実現させているのだろう。

 

 

そしてその突進力を余さず破壊力に転換出来るロングソード「オートクレール」と、レイピア「デュランダル」の二刀流。

試作型のパンドラをフォボスとカエデとイシガシでフォボスに合うように改造した結果誕生した機体「アキレスD9」の力に鉄華団は驚いていた。

 

 

「今がチャンスだ!!フォボスの馬鹿の突進で相手が浮き足立ってるからな!」

 

 

「無茶苦茶な突撃するとは…相変わらず破壊神と言われる戦いですね。フォボス」

 

 

「敵の機体を切り刻んで破壊するお前には言われたくないぞ。イシガシ」

 

 

「けど、まさかMSが戦艦ぶっ壊すとか普通思わねぇよ。しかも単機で一撃だぜ。」

 

 

「アンタ凄いね。ねぇ俺と一緒に突っ込まない?」

 

 

「良いだろう、カエデ、イシガシ、援護を頼むぞ」

 

 

「わかった。」

 

 

「カエデ様と鉄華団の為です。フォボス」

 

 

「よし鉄華団及びギャラルホルン、そして傭兵団イクサルの全員!!今の一撃で彼奴ら驚いてやがる!!今のうちに畳んじまうぞ!!!」

 

 

オルガの号令と共に大攻勢が開始された。

異常な力を見せ付けて既に名が知らたアキレスD9。恐れられているバルバトスとナイトメアとジョーカー、その影響か海賊達は最早まともに連携すら取れていなかった。

 

 

「邪魔だ!」

 

 

「切り刻まれなさい!」

 

 

「どんな装甲だろうと俺の剣で突くのみ!!」

 

 

背後からナイトメアとジョーカーの援護を受けながら前進して行く2機は次々と敵を薙ぎ払っていた。

メイスでコンクピットを潰して装甲の隙間から腕を差込みコンクピット内部を破壊したりと正に悪魔的な活躍をするバルバトス。

 

 

圧倒的な突進力を破壊力に変えMSを粉砕するかのような一撃で相手を突くアキレスD9。

一騎当千の活躍をしていく2機を支えるナイトメアとジョーカー、それらに触発されるように獅電や流星号、リベイクの動きも格段に良くなっていた。

 

 

結果として夜明けの地平線団は構成艦3隻が撃沈させられてMSの大半を沈められるか鹵獲され上にボスまで完全に捕縛されこの世界から消滅する事となった。

 

 

「さぁ海賊共、このイオク・クジャンが正義の鉄槌を……あれ?」

 

 

「はぁ……イオク様が妨害にまんまと嵌ったせいで完全に出遅れたじゃないですか…」

 

 

「わ、私のせいか!?」

 

 

「それ以外に何があると?ラスタル様には確りと報告させていただきますので」

 

 

「ちょっ!?」

 

 

月外縁軌道統合艦隊の部隊の指揮官であるイオク・クジャンがMSで出撃しながら声明を出すが既に戦闘は終了して後始末をしている最中であった。

その影響でアリアンロッドは赤っ恥をかく事になった上にイオクの評判が火星と地球で下がった。

 

 

「ねぇ星の人、カエデ兄さんとイシガシ兄さんとはどんな関係なの?」

 

 

「どんなか……難しいな」

 

 

この後、打ち上げとして鉄華団と傭兵団イクサルはパーティをするのだがそこでカエデとイシガシがフォボスを呼び捨てで親しげに呼んだりしたので感謝の念と嫉妬の念が鉄華団の団員内に渦巻いた。

 

 

「すまねえなフォボスさん。カエデの兄貴とイシガシの兄貴は俺達鉄華団にとってかけがえのない存在でな」

 

 

「気にしていない。カエデとイシガシが慕われる理由は俺も理解している」

 

 

「そうか。ありがとうな…」

 

 

海賊トラブルから数日後

 

 

「そうか、良い感じに事は運んだか」

 

 

「あぁ、こちらとしても問題が多く発生したが何とかする事が出来た。だがそのお陰かここ数週間まともに寝ていなくてな」

 

 

火星の本部へと齎された通信、それを受け取ったカエデは地球からのものであると気付くと自室でその通信を開いた。

 

 

通信相手は鉄華団地球支部支部長であるクランクであった。現在アーブラウの防衛軍設立の為に軍事顧問として動いている鉄華団の代表として毎日奔走しているとのこと。

 

 

途中テイワズから出向して来たラディーチェの裏切りや現地での少年達との確執などもあったがアインが事前に察知しそれを処理したりして緩衝材となってそれらを上手く防ぐ事に成功し無事に地球支部の仕事を完遂する事が出来たとのこと。

 

 

「だか、ラディーチェって奴はとんだ食わせ者だな。罰はしたのだろう?」

 

 

「当然だ。横領に未遂だが機密情報の横流しなどもあったからな..現地の防衛軍に処理を任せたさ。悪を許さぬ皆だから心配いらんだろう。オズロックが回してくれた人の情報のお陰もあったからな」

 

 

「私は何もしてないがな」

 

 

地球での重要な仕事をやり遂げたのはあくまで地球支部の全員の力でありカエデはその手助けをしただけだった。

本当に功労されるべきはクランクやアイン達だ。

 

 

「それでは此方はもう切らせて貰うがまだまだ忙しくてな。やれやれ、しばらくはゆっくり寝られそうになくて適わないな」

 

 

「それなのにやけに嬉しそうだと私は思うがな」

 

 

「フッ…」

 

 

カエデは連絡を切ると椅子に背中を預けながら天井を見つめた。これで地球支部も御役御免でこれからは火星での仕事が中心になって行く。

 

 

夜明けの地平線団を討伐した事でテイワズから手柄として大きな物が与えられた。

クリュセのハーフメタル採掘場の管理採掘を預けるという話だった。これによって更なる財源の確保や仕事の確保まで調達出来た。

 

 

いよいよ鉄華団の皆がMSに乗って戦わなくても無事に生活出来るビジョンが見えてきた。そしてカエデはある番号を入力すると通信回線を開いた。

 

 

「久しぶりだな、またお世話になった。夜明けの地平線団での事とか地球での事でだ。」

 

 

「気にするな、俺とてお前には世話になっているんでな。」

 

 

「フッ…お互い様だな。それと私は貴様をなんと呼べば良い?」

 

 

「ヴィダール、そう呼んでくれ。オズロック」

 

 

通信の先から響いて来るエコーの掛かった声に軽く笑うが矢張り慣れない所がある。

 

 

ヴィダールと名乗る男と思われる通信相手、カエデとイシガシと何処で繋がっているのかは不明だがカエデとイシガシは彼を通じてアリアンロッド艦隊の情報や妨害などを依頼してそれを実行して貰った経緯があり間接的だが鉄華団の夜明けの地平線団の討伐に貢献して貰っているととも言える存在である。

 

 

「ヴィダールか……随分趣味的な名前だな?オーディンかフェンリルではダメだったのか?」

 

 

「そんな尊厳的な物ではないと思うがな。それとそちらはどうだ?此方には早速クジャン公の赤っ恥の件が届いているぞ。」

 

 

「あぁ、終わってるのに正義の鉄槌云々言ってたお坊ちゃまか?」

 

 

カエデのぼやきのような独り言を聞いたヴィダールは深い溜息のようなものを吐きだした。

 

 

「本当に奴はアリアンロッドの指揮官なのか?それにしては随分と無能な人間だと思うが?」

 

 

「むぅ……ハッキリ言ってそうではないな。今のクジャン公、イオク・クジャンの評価が高いのは前クジャン公が余りにも勇猛且つ有能すぎる方だったからだ。

 

 

それゆえにその嫡子であるクジャン公にもそんな能力があるのではないかという期待があるからと言えば満足かな。

次いで言うとまぁ、MSの腕前はハッキリ言って糞だ。あれなら訓練校を卒業した新兵の方がよっぽどいい働きをする。」

 

 

「…そうか」

 

 

「総評すると経験もなく未熟であるに加えてMSの操縦がヘタクソである自覚がない!自分は凄腕と思い込んいておまけに無駄に正義感が強い!さらにお偉いさんという事だな!」

 

 

ヴィダールの歯に衣着せぬ発言に思わずカエデは絶句してしまった。彼自身虚言は言わずに率直な言葉を言う事を好んでいる事からそれが事実であると悟るが事実だとしたら相当な無能という事になるような気がするのだ。

 

 

だが問題児にも程があるだろう。自分の腕前をどうやったらそんな風に勘違い出来るのだろうか。

彼の周囲にはそれほどまでにイオクの手柄に見せ掛けられる技術を持った者がいるのかそれともギャラルホルンお得意の情報操作なのか。

 

 

「私が提供したコンピュータはどうだ?」

 

 

「漸く俺の癖や挙動の学習が終了した所だ。まもなく実戦だな。そのための調整でこれからもまた掛かりきりだ。すまないが今日はこの辺りだ。また連絡してくれ」

 

 

「あぁ、そうだな」

 

 

カエデは通信を切ると同時に室内の呼び出しようのスピーカーからオルガの声が漏れてきた。

団長室に来て欲しいとの事だった。また何か面倒な事でも起きたのだろうか。

 

 

最近、草臥れて来たから新調した鉄華団のジャケットを羽織ると団長室へとカエデは歩き出して行く。

辿り着いた団長室にはオルガやイシガシやビスケットに加えてフォボスの姿まであった。

 

 

「フォボスまで居たのか。どうかしたのか?」

 

 

「カエデの兄貴、それを深めた話をしようと思ってんだ。実はクリュセのハーフメタル採掘場の管理採掘を鉄華団でする事になった。」

 

 

「けど、鉄華団はそれに関してノウハウなんかは知らないので…」

 

 

「そこで今回の採掘場は傭兵団イクサルとの共同経営にする事になりましたので…カエデ様。その打ち合わせをする為にフォボスは此方にいます。」

 

 

「そういう事だ、カエデ」

 

 

「なるほど、歳星に加えて火星でも良く顔を合わせるようになりそうだな。」

 

 

嬉しそうな表情を浮かべるカエデに比べて冷めているような表情だが薄い笑みを浮かべているフォボスにオルガは何処か複雑そうな思いを浮き彫りにしながらそんな思いを仕舞い込みながら咳払いをした。

 

 

「鉄華団本部の空いてるスペースを傭兵団イクサルに使ってもらう事になったからその際の注意事項とか連携に関する事とかもあるからカエデの兄貴とイシガシの兄貴には会議には参加して貰うが加えてこいつこともだ。」

 

 

イシガシがオルガから書類を受け取りカエデへと回した。

カエデはそれを覗きこんで見るとそこには様々なデータと共に写真が貼り付けられていた。

 

 

ハーフメタル採掘場と隣接するように置かれているので現場の写真かと思っていたが合っているようで違った。

そこに映り込んでいたのは地面から顔を覗かせながら何かを抑え付けているかのように埋まっているMSの姿だった。しかもそれは鉄華団としては非常に見覚えがある物だった。

 

 

「これは、ガンダム・フレームか!?こんなお宝が埋まっているとは…」

 

 

「シノがよ…どうしても俺が乗りたいって聞かねぇんだよ。まぁあいつも一番隊の隊長だから相応しいって言えば相応しいんだけどよ」

 

 

「シノは我先にパンドラを欲しがってませんでしたか?」

 

 

困ったような表情を浮かべるイシガシに肩を竦めるカエデ、まぁ幾ら新型と言ってもパンドラは所詮量産モデルの機体。それと幻のガンダム・フレームを比べるのは可笑しい事だろう。

 

 

「良いだろう、隊長機にガンダムっていうのは二番隊と同じだ。

まずは歳星へ持っていく事になるからな。」

 

 

「あぁ、頼むぜ。それとよ…もう一つMSにしてはでか過ぎる物が出て来てよ」

 

 

「でか過ぎるものだと?」

 

 

「あぁ、ついでにそれの近くにあったMWモドキも一緒に歳星に持って行って調べてもらってくれ…カエデの兄貴、イシガシの兄貴。」

 

 

「分かった」

 

 

「えぇ、任せてください。」

 

 

カエデとイシガシはオルガの言葉に頷きその場を後にした。

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