鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
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それに気付いたのは動物の言葉を理解することが出来るなどの能力を有する悪魔の名を冠するガンダムのパイロット、三日月・オーガス。
「っ…」
静かな駆動音が徐々に高まっていくのを三日月の身体が本能が感じ取っていた。
眠りに付いて300年という時を経てそれに命が灯ってしまった瞬間を三日月だけが理解出来ていた。
同時にそれの異常性すら理解していた。それと同時に埋まっている筈のMAから煙が立ちこめた。
それは地面を抉るように広がっていき徐々に大きくなっていきながら赤い土を撒き上げた。
「なっ!!?」
「へぇっ!?」
まるで長い時の経て目覚めた厄祭が目覚めの声を上げているかのようだった。声にすら聞こえるような音は空を裂きながらその目覚めを祝福する福音となった。
身体を持ち上げ、再開するかのようにMSを発見するとそのまま跳躍しイオク達へと襲い掛かった。
純白の機体に根ざすように広がる植物のようなラインでそれは標的を見つけたと歓喜するようにイオク達へと自らの刃と爪を差し向けたのだ。
「グッ……ゲホゲホ……」
「だ、大丈夫かよカエデ兄さん!?具合悪いなら医務室付き合うぜ?」
「カエデ様!ご無理をなさらないで下さい!」
「…大丈夫、だ…イシガシ…シノ…」
突如として体調を崩してナイトメアから降りたカエデに肩を貸すシノとイシガシはカエデの身体をタオルで汗を拭いた。
何が起きたのか分からないがオルガから連絡が入ってきた事が本部に知らされた。
MAが目を覚まし最寄の人口密集地、クリュセへと向かっているのでその防衛線を鉄華団とマクギリスとその副官で敷くという事になった。
その為に鉄華団の動かせるだけの全てのMSを総動員するという事であった。
「私も直ぐに行く、シノ先に行け…MAなんて…鉄華団に掛かれば、大丈夫だろから…」
「あ、あぁ!そうだな!!カエデ兄さん四代目流星号の初陣、派手に決めてやるぜ!!」
駆け出してフラウロス改め四代目流星号へと乗り込んだシノは素早く機体を起動させると高機動形態へと変形させ防衛ポイントへと急いでいった。
それを見送ったカエデは必死に身体を起こしてナイトメアへと脚を踏み出すがどうにも気分が悪すぎた。だがそれでも行かなければならない。
鉄華団の矛となり盾となるという決意の為に一歩踏み出すとフォボスとイシガシが肩を掴んだ。
「そんな状態で何処に行く気だ。カエデ、残れ」
「カエデ様、フォボスの言う通りですから休んで下さい。」
「ダメだ、私は行くのだ。彼らだけに戦わせる訳には行かないのだ。離せ、フォボス」
「そんな不完全な状態で出られると余計に彼奴らに負担をかけることになるぞ」
冷静に簡潔に事実を突きつけて来たフォボスにカエデを休ませようとするイシガシにカエデは唇を噛んだのだ。確かにあの光を見てから身体が何か可笑しいのを感じている。
カエデの精神が何かに襲われるような不快感と圧迫されるような感覚があるのだ。
ハッキリ言って今の状態のカエデは足手まといになる可能性が非常に高い。
だからフォボスは止める生前自分達を引っ張ったリーダーにこれ以上の無茶はさせない為に代わりに自分とイシガシが出るからカエデは大人しくしていろと言うのだ。
「……ならフォボス、イシガシ一緒に行ってくれないか?私のサポートを頼む」
「……はぁ……。本当にこれ以上の問答は無駄のようだな。生前から変わらないな…カエデ、ナイトメアで先行しろ。
俺はアキレスD9で追いかける。イシガシ、カエデが無茶しないように一緒に行け!」
「貴方に言われなくともそうします。カエデ様、サポートは我々にお任せ下さい。」
「イシガシ、フォボス。やはりお前達は私の意思を感じ取るのが早くて助かる。」
生前に星を滅ぼされた時の強く高い意思をカエデから感じとったイシガシとフォボスは折れたように諦めた。
イシガシとフォボスはジョーカーとアキレスD9に乗り込むとカエデと共に防衛ポイントへと飛んだ「SS」を搭載している関係上アキレスD9も飛ぶ事は出来るが機体重量の影響で他の搭載機に比べて飛行高度は非常に低い。
だがそこを自前の推力で強引に浮かせるという荒業でナイトメアとジョーカーよりも少し遅いペースで済む程度に済ませていた。
それをモニターを確認したカエデはやはりアキレスD9も化け物のような機体だと思った。
「くっ……嫌な感じが強くなるな。やりたくないが…そうは言っていられないな」
カエデは一時的にナイトメアをオートに切り替えるとコンクピット内の応急セットから注射器を取り出してそれを腕へと突き刺して注射した。
その中身は所謂アドレナリン、興奮剤であった。
精神を高揚させ強引に精神を蝕むそれを払い除ける為の物で応急セットをしまいながらマニュアルに戻すとクリュセへと続く渓谷が見えてきた。
「っ!!」
同時に襲い掛かってくる強い嫌悪感、だがそれを濃い濃度で注射したアドレナリンが強引に打ち消していた。そしてMAの姿を直視した。
周囲に黒い従者であり兵器であり使い捨ての道具であるサブユニット、プルーマを大量に引き連れながら闊歩するそれは酷く異様なものにカエデは見えていた。
そこには渓谷の上から銃弾の雨を降り注がせている鉄華団の獅電とパンドラ、そしてラフタとアジーの獅電も見えた。
「あれが、MAか……!!」
「カエデ、俺はもう少しで到着する見込みだ。落ち着いて行け」
「分かっている。フォボス!行くぞ、イシガシ」
「はい!カエデ様!ご無理は為さらずに!」
高揚していながらも思考は冴えていた。
赤い鎌を構えて佇むジョーカーと杖型のハンマーを構えるナイトメアだったがそんな時であった。
圧倒的な出力で放たれた一撃が渓谷を抉り取り大量の瓦礫がMAとプルーマへと降り注いで行った。
瓦礫の山は次々とプルーマを押し潰して行きながら平然と進み続けていくMAと分断して行た。
「よっしゃあああああ!!見たかお前ら!これが四代目流星号の破壊力だぜ!!」
「やったぜ!シノ!!そのまま援護射撃頼むぜ!!ガンダム・フレームで近づくとやべぇらしいって話だからな!!」
「分かってるぜ!!オラオラオラ!!」
その一撃を放ったのは流星号を操るシノであった。
自分が此処に至るまでに判明した情報を基に立てられた作戦、MAとプルーマを分断しての各個撃破。
ガンダムはMAに対してリミッターのようなものが発動してしまいまともに動けなくなってしまうとのこと。
故に接近主体のバルバトスは動けずに待機しているらしい。その為に砲撃戦主体の流星号が出張ったという事らしい。
「よし、これなら……!」
見えてきた希望、成功しそうな作戦だったがそこへ飛来した一発の弾丸と共に1機のMSが登場した。
それはイオクの乗るレギンレイズであった。
「お、おい!何だこいつ!?」
「貴様ら邪魔だどけ!!このMAは私が倒す!!そして、部下の仇は私が取る!!私を守ってくれた部下の為に!!」
レギンレイズは残った片腕で保持したレールガンを構えるとそのままMAに向けて連射を開始した。
だがその殆どはMAに命中せずにプルーマとの分断の為に降り注がせた瓦礫へと命中して爆発して瓦礫を崩していくだけだ。
これでは何の為に分断したのかも分からなくなっていた。周囲の獅電がレギンレイズを止めようとする中遂にMAの矛先がイオクへと向いた。
「うおおおおおおお!!部下達よ!私の為に散った!勇者達の仇だぁぁ!!!」
叫びを上げながら連発される弾丸は全く当たらないどころかプルーマを再合流させようとしていた。
だがそれを終わらせようとハシュマルが脚を上げ蹴ろうとした時レギンレイズを抱え込んで飛び上がった機体、それはナイトメアだった。
「馬鹿者!!貴様は何をしているのだ!!折角、奴が分断したのに邪魔する気か!!?」
「そちらこそ私の邪魔をするな!!これは正義の仇討であるぞ!!」
抱え込んだレギンレイズから聞こえてくる聞く価値など無かった言葉に思わずカエデは苛立った。
こんな奴のせいで自分は生前を思い出してこんな気分になっているのか。
弟分達が危険な目にあっているのかと思うとカエデは此奴を今すぐにでも殺したくなってくいた。
「すまない遅れた!」
「フォボスさん!!よかった来てくれたのか!?」
「当然だ。イシガシ、お前はカエデのサポートを頼んだぞ!アキレスD9 フォボス・クェーサー、戦闘を開始する!!」
「わかっています。無事を祈りますよ。」
到着と同時にジョーカーはナイトメアの元に向かってアキレスD9が最大出力で突っ込んで行く。
獅電やパンドラには無い厚すぎるとも言える装甲を武器にしながら突撃していた。
ハシュマルは機械とは思えぬ生物顔負けの動きをしながら脚部のクローで切り裂かんと迫っても鞭のように撓っている尾の刃をアキレスD9に向けた。
「アキレスD9の装甲を、甘く見るなっ!!」
それを2つの剣で受け止めても無事な姿を見せるアキレスD9に鉄華団の皆が勇気付けられた。
必死にハシュマルの動きを止めながらもナイトメアは右手に杖型のハンマー、左腕に片手銃をジョーカーも同じように右手に赤い鎌と左手に片手銃を向け注意を引きながら火線が集中しやすいよう誘導して「SS」の弾を撃ち込めるタイミングをカエデとイシガシは見計らってカエデはイオクに叫んだ。
「何が仇討ちだ!自己満足もいい加減にするが良い!!貴様は愚か者だ!!イオク・クジャン!!」
「なっ……!?」
「元は貴様がMAの事を無視してMSで来てあの厄災を覚醒させたのだ!!部下が守ってくれた!?本当に愚か者だ!!貴様が部下を殺したのだ!!」
「貴方の部下は貴方のような方に仕えて真っ当な仕事が出来たのでしょうか?部下の中には家族も居たでしょう!!上司とは部下を導いたり光を与える存在です!!貴方はそんな存在では無い!!」
アキレスD9の援護射撃を続けながらカエデとイシガシはイオク・クシャンに叫び続けた。
「わ、私は……私はただ、部下の仇を……!!」
「黙りなさい!!金持ちの貴族お坊ちゃんが!!では何故!部下は貴方を守り死んだ!!それも考えずに仇を討つのですか!!?イオク・クシャン!貴様が命を舐めるんじゃねぇ!!!!」
「ぁ、ぁぁっ……」
イシガシの怒りで発せられた言葉に遂に何も言えなくなるイオク・クシャン。彼も此処まで一方的に強く言われた事も無いのだろう。
目眩すらしてきたカエデは捨ててやろうかと思いながら彼の機体を抱いたまま飛行していた時。
「っ!!?くっ!!」
「なっ!なにを!!?」
突然、ナイトメアはレギンレイズを離した。刹那、イオクが見たのは自らの代わりに胸に刃を受けた魔術師であった。
「な、何てことを!!?」
「!!カエデ様!!」
刃に突き刺さったままのナイトメアは鞭の様に振るわれる刃のまま振りまわれ渓谷へと叩き付けられたのだ。
落下しようとする機体をイオクは咄嗟にレギンレイズをクッションにするかのように受け止めたがナイトメアは肩と胸を大きく抉られていた。
「くっ……私も焼きが回ったか……?」
「な、何故!!私を庇った!?そんな理由ない筈だろう!?」
「貴様が、邪魔だった、から…そうなっただけだ…これなら盾にすれば良かったか…(昔ならば…こんな奴は、直ぐに切り捨てて…いた、私も…鉄華団に関わって…生前よりは、復讐心が無くなって…焼きが回ったな…)」
額から血を流しながらもナイトメアを動かすカエデだがまだナイトメアは動く。
ならばする事はあると跳躍しながら「SS」弾を装填するとハシュマルへと発射した。
だがそれすら片足立ちで回避してその勢いまま脚部から弾丸を発射するハシュマルだが普段なら回避できるはずの攻撃すら今のカエデには難しかった。
※イシガシは苛立つと敬語混じりの口調に変化する