鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
緊急事態
*
アリアンロッドから正式に移譲された権利によって協定を結んだ鉄華団はギャラルホルンと大きなパイプで繋がっている大企業へと成長していた。
しかし元は民兵組織でそれを運営しているのは子供達という事もあり経験もしていない事で大変な毎日を送っていたのだ。
「オルガくん、そこはこうするのが良いのよ。」
「団長さんよ、こっちは終わったぜ!次はどうすれば良いんだ?」
「早く終わらせて飯に行きましょうや!」
「あぁ、すんませんね。傭兵団イクサルの皆さん」
「「気にするなよ!!もう仲間みたいなもんじゃないか!!」」
そんな彼らをフォローして経営について必要な知識や技術を伝授して行くのはフォボスがトップを努めて現在は鉄華団と共にハーフメタルの管理採掘を行っている『傭兵団イクサル』の面々であった。
傭兵団イクサルの団員は全員、元ヒューマン・デブリであり差別意識などは皆が無に近くあっさりと鉄華団を受け入れて弟達が出来たと思って彼らとしても仕事を教えているから鉄華団からの受けも良く素直にオルガも助かっていた。
「よし、団長さん!飯を食いに行きましょうぜ!」
「今日はなんだっけ、ケバブじゃないよね?美味しいけど毎日は食べれないわ…」
「確かに美味いけど…食堂が殺伐とするからなぁ…」
「今日は地球では有名な和食とかいう奴らしいですけどね?俺は食べたことないですけど」
「げっ!?マジで?俺、魚苦手なんだけどなぁ…」
思い描いていたかのような日々で忙しく大変ながらも毎日毎日が充実して行っていた。
カエデとイシガシの目標だった武器を持つことの無い鉄華団に近付いていた。
戦いではなく真っ当な商売だけで皆を食わせていけて楽しく明るく過ごしていける鉄華団。
最近では兄貴分であるタービンズの方も景気が良く連絡をすると笑顔で名瀬が出迎えてくれる事にもかなりの嬉しさを抱くようになった。
「そういえば、団長さんって女とかいないの?」
「!いきなり何すか!?お、俺は女なんて別に…」
「そっか、まだ経験してないのか!!よしよしなら今晩一緒にどうだ?団長さん?」
「いいいっ!?か、勘弁してくださいよ!?」
「あんた達はフォボスと同い年で成人してるのに本当に馬鹿なんだから!青少年を穢すんじゃないの!!」
「「男は穢れてなんぼだろが!!」」
「そうなのね、あんた達は私の手によってそんなにも殺されたいのね?勿論、良いわよ。
団員はまだまだ居るからね…けど死んで生まれ変わってもフォボスに声を掛けられること無くてあのスラム街で生きて居たいならね。」
「「それだけは勘弁して!!マジでさぁ!?お前の言うことは洒落にならないから!?」」
「……オルガくんにビスケットくん、あいつらの言う事は本当に真に受けないでね?」
「「は、ははははっ……」」
様々な事が自分よりも経験豊富な彼らにからかわれる事もあるがそれもそれで悪くないと思っていた。
これが平穏な日常の1ページなんだと思って楽しんでいた…書き続けている団長日誌にも毎日こんな事が羅列され続けていた。
「シノ、例の坊ちゃんの様子はどうだ?」
「全然駄目だぜ、オルガ。まともな訓練受けて来なかったんだな。ありゃきっとアリアンロッドも持て余してただろうな。本当に同情しちまうぜ。
あいつの部下になった奴をよ…。それに引き換えてジュリエッタは良い腕してるけどよ」
「ミカとカエデの兄貴と同格だからな」
オルガはシノとそんな会話をしながらも食堂に付けば今日も皆の談笑と食事を貪る音と笑い声が廊下まで聞こえて来た。
今日も料理長であるアトラは大忙しだろうがアトラは楽しみながら仕事をしているのが分かった。
「オルガ、今日もお疲れ様でしたね。今日は地球での人気メニューのカツ丼ですよ。」
「カツドン?おぉっ!すげぇな。でけぇ肉が乗ってやがるな…!?」
「地球では戦いに勝つという思いがあるらしいですからね。お代わりは自由ですからね。」
「おう!所でカエデの兄貴は?」
「カエデ様はご自分の執務室で書類整理中ですよ。私も終わり次第に向かうつもりですよ。」
最近また鉄華団の調理チームに戻って来たイシガシがそう言うとオルガは料理をイシガシから受け取って三日月の隣に座った。
「おや、三日月。昼ご飯ですか?」
「よう、ミカ」
「あっ、イシガシ兄さん、オルガ。うん…今日の訓練は全部終わらせて新しいバルバトスの調整も終わって暇になった」
「そっかでどうだった?新しいバルバトスは?」
「なんか、凄くゴツくなったよ。カエデ兄さんとイシガシ兄さんのナイトメアとジョーカーは見てないけど凄いんだろうな」
「まぁ、確かにな」
歳星へと送り出され改修が施されたバルバトス、ナイトメア、ジョーカー、アキレスD9。
それらも帰って来たが今まで以上のパワーアップを遂げていた。
特にバルバトスは三日月とフォボスとイシガシが討伐したあのハシュマルをそのまま背中に背負っているかのパワーアップを遂げておりそれを見た時に全員がたまげたものだ。
「おぉ!うめぇなこれ……!!すげぇジューシーで本当に美味いぞ!!このカツ丼!」
「あぁ!どんどんお代わりするぞ!!」
「だなっ!!」
まるで競走でも始めるかのように同時にカツ丼をかき込んでいく2人は何処か兄弟のようにも見えた。
そんな時間を過ごしている中でヤマギが食堂に飛び込んでくるかのように走りこんできたのだ。
「イシガシ兄さん!団長!大変です!!」
「何事ですか!?」
「どうしたんだ!?ヤマギ!?」
「タ、タービンズから緊急連絡です!!カエデ兄さんが対応していますけど団長とイシガシ兄さんも団長室に来て下さい!!」
「分かりました。直ぐに向かいます!」
「兄貴から!?分かった。イシガシ兄さんと直ぐに部屋に戻る!」
イシガシはエプロンを抜いでアトラに食堂を任せてオルガは最後のカツを平らげると大急ぎで2人は団長室へと走り出した。
団長室に飛び込むとカエデと通信回線でモニターに映る名瀬の姿があった。
「兄貴!!」
「オルガか!」
「来たか。イシガシ、オルガ」
「カエデ様、ヤマギから緊急事態と聞きました。一体何か?」
「カエデの兄貴!タービンズで緊急連絡って聞いてすっ飛んできたんです!!兄貴、タービンズで何があったんですか!?」
「あぁ、カエデには少し話したんだが…ちとまずい事になったんだ。」
神妙な声の名瀬にオルガは自然と身体が緊張してしまったがカエデとイシガシに肩に手を乗せられて少しだけ緊張が解けた。
あの名瀬が此処まで声を硬くするなんて普段なら有り得ない事だったが一体何が起きたのだろうか。
「テイワズの元ナンバー2、ジャスレイ・ドノミコルスなんだが…そいつが面倒を起こしやがってな」
「ジャスレイとは確か昔に記憶喪失になってジャスレイの会社の大半は名瀬さんが手中にしたって話では無かったですか?」
「あぁ、イシガシの言う通りだ。だが最近になって記憶が戻ったらしくてな…。
あの野郎巧妙に手を回しやがってよ。
元JPTトラストの奴らを引き抜いて歳星から自分の船とMSを大量に奪って逃げやがった。しかも他の傘下が動けないように細工までしやがって…クソが…」
名瀬の声は強張ったままで酷く不快そうな声色をしていた。
「しかもあいつは他の海賊連中を束ねて新しいでかい勢力まで作ってやがったんだ!そいつらは遅かれ早かれ歳星に向かって来るだろうな」
「それは滅茶苦茶にヤバい話だな…」
「あぁ、カエデの言う通りなんだ…かなりやばい。今歳星にはまともな戦力は無いんだ。動けるのはタービンズを含めて少しの戦力しかない状態だ。オルガ、カエデ、2人には悪いが手を貸してもらえるか?」
「勿論です兄貴!!!」
「聞くまでも無いだろう、私達は知らない中では無いのだらな。困った時はお互い様だろう。」
「カエデ様、アリアンロッドにも声を掛けてはいかがでしょうか?その為に同盟関係なのですから」
「流石だな。気づいていたか…イシガシ」
「イシガシの兄貴、やっぱり頭が冴えてるんだな…。俺は焦りで忘れてたぜ…。」
「その悔しさを次の場に活かせば良い。フォボスにも連絡してこちら側の戦力に当てよう。」
カエデは自分達がアリアンロッドと協定を結んだのは大きな理由があった。それはギャラルホルンだろうが構わずに襲撃してくる海賊の存在だった。
ジャズレイが束ねているという勢力は殆どが海賊でギャラルホルンに対抗するために手を結んでいるような物なのだ。
ならばこれを一気に殲滅する為だったらきっとアリアンロッド総司令官、ラスタル・エリオンならば手を貸してくれるだろう。
それをオルガが名瀬にいうと彼は愉快そうに笑った。
「そりゃ良いな!オルガ、イシガシ、お前達良い事を考えるじゃねえか.」
「んじゃ早速ラスタルに連絡を取ります!」
「イシガシ、食堂にいる全員にこのことを直ちに連絡してフォボスにも意思確認して来てくれ。」
「分かりました」
イシガシは話し終わると直ぐに食堂に向かい名瀬から伝えられたことを鉄華団とフォボスに伝えた。
オルガも直ぐにラスタル・エリオンに連絡すると上機嫌に笑いながら承諾して海賊を殲滅する為の一大作戦を計画する事となった。
因みにオルガとカエデが食堂に向かいイシガシが鉄華団内でジャスレイ討伐を発表した際に思い出したかのようにカエデが一言呟いた。
「思い出したぞ、ジャスレイ・ドノミコルス。私を鉄華団からヘットハンティングしようとしてきた奴だったな。当時はそんなことをバカバカしいと思い無視していたがな」
とカエデが言った結果、鉄華団全体から殺意が染み出して異常なまでに士気が高まった。
「言わない方が良かったな。」
「いえ、言ってくれて良かったです。カエデ様」
「ジャスレイ・ドノミコルス、奴は俺が突き貫く」
「俺がやるからよ、星の人」
鉄華団はジャスレイ・ドノミコルス討伐に向けて準備を急いだのだった。
とある船の部屋
「ははは!!こりゃすげぇぞこの機体!ロディ・フレームとは比べ物にするのも失礼なご機嫌な性能だ!!」
「パンドラってたかこのMS!?こんなのが17機ってマジで最高だな!!」
「ジャスレイさんよぉ、アンタの誘いを受けて正解だったぜ!!」
「全くだ。これだけの機体があれば歳星に攻め込んで其処を俺達の拠点にすることも出来るぜ!!」
周囲の人間達からの賞賛などの声を盛大に受けながら機嫌よく酒を飲む男の名は、ジャスレイ・ドノミコルスだった。
記憶を漸く取り戻して準備を整えた彼はテイワズから大量の機体を奪ってそれを自らの艦隊に詰め込むとそれらを手土産にするように連絡を取っていた大海賊同盟への身を寄せていたのだ。