鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い 作:五月雨☆。.:*・゜
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鉄華団のアリアドネの糸の正式利用による仕事受け入れによって裏へのルートを使用しなければ行けない筈の一般的な人々も地球への仕事をする事が以前よりも容易くなっていた。
それらが使えない裏ルートも信用度が高く実力も確かなタービンズに依頼するようになっていた。
それらを襲えれば良いのだが高確率で鉄華団の一部が随伴するので危険が高すぎるからだ。
それらを避ける為に同盟でアリアンロッドの補給船団を襲うとしてもそれらにも鉄華団の護衛が付く事によって火星近海は仕事が出来ない状況になってきていたのだ。
そこへ救いの手を差し伸べたジャスレイ・ドノミコルスであったのだ。
彼の手によって現在テイワズのシステムや戦力は軒並みダウンしてしまっており復旧には長い時間が掛かるのは明白だった。
今ならばそこを襲撃する事で歳星の施設や産業を丸ごと手に入れ息を吹き返す事も夢ではなかった。
「これからテイワズは俺達大同盟、新世代の暗闇団のもんだ!!そして、俺達はもっともっと上へだ!!」
「「「「「おう~!!」」」」」
高らかに宣言するジャスレイに続くかのようにこの大同盟に身を寄せた小規模な海賊団達が声を上げた。
鉄華団によって示された阿頼耶識の優位性、それらを有効に使いアリアンロッドに対抗するために組まれた大船団。
それが新たな門出を迎えようとしていた。
これを祝わずして如何するのだろうかという気分なのだろう。アリアンロッドという巨大な鯨が取れずに小さなネズミからの搾取をする時は終わったのだ。
これからは自分達の時代が来るのだとジャスレイ・ドノミコルスは自意識過剰気味にそう笑っていた。
「―――っ!?お、おいなんだ!この警報は!?」
艦内に響き渡ったアラートにジャスレイは慌てて立ち上がったが上物の酒は床にぶちまけられた。
「エイハブウェーブの反応を検知!!っ!?た、大変です、ジャスレイ様!こちらに10隻以上の艦艇が接近してきます!!」
「んだとぉ!?」
その報告に酒の余韻など吹き跳んだジャスレイ・ドノミコルス。
間もなく歳星に着こうと言う時に……自分が再び返咲く時が目の前にまで来ているのに何故それらを逃さねばならないのか。
直ぐに第一戦闘配備が敷かれたが、大戦力を手に入れた筈の新世代の暗闇団は立ち向かう事が無駄であるとはジャスレイは理解していなかった。
床に撒かれた酒は、まるで噴出す自らの赤い血を暗示するかのように残り香を放ち続けいた。
「ラフタさんから連絡です。敵船団を発見、敵艦数27。ジャスレイの旗艦及び船も発見、これより帰還するとのこと以上です!団長」
「よし、全艦に通達しろ。総員第一戦闘配備!各自持ち場に着け!!ラフタさんのパンドラが帰還を確認したら各艦との連携を確認後に戦闘開始だ!!」
「アリアンロッド艦隊、了解!」
「傭兵団イクサル、承知した!」
「おう!オルガ、中々様になって来たじゃねえか?」
「カエデの兄貴とイシガシの兄貴、俺は2人のことを見て来ましたからね。まぁ、まだまだ程遠い存在ですけどね。」
兄貴分のからかいの言葉を受けてもオルガは鼻の下を擦りながらも指示を飛ばし続けた。
やがて戻ってきたラフタ専用のチューンナップがされているパンドラが見えていた。
元々搭乗していた百里と同様のカスタムが施されているラフタのパンドラ。
大出力スラスターと腕部の格納スペースを搭載したパンドラは通常戦闘だけではなく偵察や斥侯としても十分すぎる力を発揮する機体となっていたのだ。
ラフタのパンドラがハンマーヘッドに戻るのをオルガは確認すると手元のスイッチを押してイサリビとホタルビに通信を開いたのだ。それは団長が使用する専用回線だった。
「鉄華団全員に告げる。これから俺達はテイワズを裏切りやがったジャスレイ・ドノミコルスを潰すんだ。相手は約30隻の大艦隊。こちらはアリアンロッドに名瀬の兄貴のタービンズにフォボスさん達の傭兵団イクサルの船数を含めても17隻、半分ぐらいしかない」
普通に考えればこんな戦力差で戦闘を仕掛けるのは何て狂っているかもしれない。
拠点を防衛するのではなく攻め込もうとしている敵に対してこれから攻撃を仕掛けようとしているのだが仕掛けないのが無難且つ無意味な事だった。
だが鉄華団はしなければならなかった…それには確固たる理由があった。
「…だがやらねえとならねぇんだ!!あいつらはテイワズを潰そうとしてやがるけどな。
だがそんなこと俺達にはどうでも良いことだ!!
お前ら、俺はお前らが別にテイワズを助けようなんて考えなくて良いんだ!!」
それに思わず反応したのは通信士で元テイワズの人間だったらメリビットであった。
仮にもテイワズの傘下の企業である鉄華団の団長から出る言葉とはとても思えなかったからだ。だがその次の言葉を聞いて納得して思わず笑ってしまった。
「あのジャスレイ・ドノミコルスはまだ餓鬼だった俺達をここまで育ててくれた大切なカエデの兄貴を自分の所に来いとヘットハンティングしやがった!!でもカエデの兄貴はそれを断った!俺は素直に嬉しかったんだ。
カエデの兄貴は俺達のことを見てくれていると…だからこそ許せねぇんだ…。
カエデの兄貴にはそれからも俺達のことを見守って欲しいんだ!!だから俺達からカエデの兄貴を奪うとはどういう意味になるのか思い知らせる為に戦え!!!
良いか、てめぇら!団長命令だ!!あいつを"ジャスレイ・ドノミコルス"をぶっ潰せ!!」
オルガは回線を切ったが聞こえない筈の団員達の声が聞こえてくるような気がしたのだ。
当たり前だ!!と大声で返している声がオルガには聞こえて来た。
これもカエデの人徳というかカリスマ性というか人気が成せる業なのだろうと思う。
古参の団員だけではなく新参の団員達もそれを叫んでいたのだ。
厳しい訓練の中に咲く一輪の青い薔薇の花、それがカエデであった。
青い薔薇の花言葉は奇跡・神の祝福。
カエデが道を示す場所には危険もあったが奇跡もありその戦いが終わったあとは神の祝福のように頭を撫ぜてくれたりしてカエデの祝福は鉄華団の活力となって団員たちにやる気と力を与えていたのだ。
確実に鉄華団内で誰が支持を集めているかと言われたらカエデとイシガシと言われるだろう。
メリビットはカエデとイシガシの人気に呆れるような感心を寄せていた。
「団長さん、通信が入りましたよ。ハンマーヘッドとアテナからですがどうしますか?」
「名瀬の兄貴とフォボスさんからか?繋いでくれ」
言いたい事は言ったなと思っているオルガは通信を開いてもらうと通信の先からは大大爆笑している名瀬とアミダに小さく笑っているフォボス、そして双方のブリッジクルーの笑い声が聞こえて来た。
「オ、オルガ、お前言ってくれるなぁ…ぷくくく…ハハハッ!!やっぱりお前達、鉄華団は最高だ!」
「全くそれだから、あんたは坊やって言うのさ…アハハハハ!!」
「フッ、まぁ…お前たちらしくて安心したけどさ」
「えっ!えっ!?」
「オルガ、お前さっきの通信はハンマーヘッドとアテナ(フォボス達)にも丸聞こえだったんだぞ。ククククッ…」
オルガは思わず先程押したスイッチを見るとそれは全く別の通信スイッチであった。
幸いな事にアリアンロッド艦隊には聞かれていないようだが……。
「まぁ…良いさ、さぁ派手にやろうぜ。カエデに手を出そうとした奴への罰をな」
「ふっ、あぁ…そうだな。カエデは俺やスラム街にいた連中に取っても光みたいな奴だったからな。」
「どういうことだ?フォボス」
「カエデはスラム街では良く子供達の話し相手をしていたり死にそうになっている子供達にはパンを与えたりしていたな。
その姿を見た1人の子供が神だって言ったんだよ。
あいつは自分はそんな柄じゃないって言うが当時のスラム街に住んでいた奴らにとってはカエデは神の祝福だったって話さ。
さて、俺もアキレスD9に乗り込む準備を始める。オルガ、名瀬、ジャスレイ・ドノミコルスを潰すぞ。」
「「おう!!」」
まもなく一大決戦が始まろうとしていた。