鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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恐怖の悪夢、ナイトメア・フィアー

 

 

 

 

「向こうもそろそろ焦って来て子供達を使ってくる筈だな、オルガ」

 

 

「カエデの兄貴、頃合いって奴だな」

 

 

イサリビのブリッジにて戦局を見守っているオルガの隣で魔術師のパイロットスーツを着たカエデが言葉を零した。

 

 

向こうからしたら数で有利な筈なのに有利な所が劣勢な状況を覆したいだろう。

その為に阿頼耶識搭載型のMSを大量投入してくることはこちらでも分かっていた。

 

 

自分達は阿頼耶識の対応には慣れていることもあり化け物的な能力を持っている三日月との模擬戦を重ねている事で対阿頼耶識戦は問題ないがアリアンロッドからしたら大量に迫ってくる阿頼耶識は厄介な事は極まりないだろう。

 

 

「アリアンロッド艦隊に連絡、予定通りにMSは3機構成の小隊運用を基本にして欲しい。そこをパンドラや獅電が入らせろ!」

 

 

「此方アリアンロッド了解した、小隊運用を徹底させよう」

 

 

「あぁ、頼む。被害拡大を防ぐにはそうするのが一番だからな」

 

 

連絡を徹底させながらカエデはそろそろ自分もでるべきだと思ってブリッジを後にした。

通路では補給の為に戻ってきているパイロット達に食べさせる食事を持っていくクルーや補給が終わった事を確認して機体に向かっていくパイロット達が視界に入っていた。

 

 

彼らの傍を通りながら新しくなったナイトメアの元へと辿り着いたカエデは即座に機体の立ち上げを開始したのだ。

 

 

「新生ナイトメアの初の披露目だな。また私に力を貸してくれ…ナイトメア(フォボスの方も出撃したようだな…)」

 

 

MA戦にて大破してしまったナイトメア、歳星によってMAのパーツや新造の「SS」などによって新しい機体へと生まれ変わっていた。

 

 

今までは魔術師や悪夢を魅せし幽霊の魔術師などという言葉が似合う姿をしていたが今では恐怖と化した魔術師と言われるようになっていた。

ナイトメアは機嫌良さそうに機関を起動させて行くと今すぐに敵を叩かせろを言わんばかりに出力を上げていた。

 

 

「カエデ兄さん!出撃準備完了しました。何時でもどうぞ!!」

 

 

「カエデ・ビットウェイ・オズロック、ナイトメア・フィアー、相手に悪夢を魅せてやれ!!」

 

 

イサリビから射出され暗黒の宇宙の海へと解き放たれたナイトメア・フィアーは悪夢の如きマントを広げると一気に出力を高めて閃光の如き速度で戦場を駆け抜けていった。

 

 

以前のナイトメアであれば分身などの攻撃で限界であった筈の速度をあっさりと越えていったがまだまだ速度は上がっていた。

 

 

「くぅぅ!これは、想像以上の速度だ。」

 

 

白い閃光となって突き進んでいくナイトメア・フィアーの前に数機の敵のMSが躍り出て来た。

急激な速度で接近して来るナイトメア・フィアーを食い止める為に迫ってきたのだろうがそれを見て無意識なうちにカエデは唇を舐めた。

 

 

「行かせるなぁぁぁっ!!」

 

 

「止まれぇええ!!」

 

 

「恐怖の悪夢、その餌食になるが良い!!」

 

 

罵声を飛ばしながらライフルを乱射して此方を捉えようとして来るジャスレイの雇った海賊達。

しかしそれは超高速移動を行っているナイトメア・フィアーに掠る事もなかった。

 

 

敵は銃口を向け引き金を引いて弾丸が発射されるまでの短い間にナイトメア・フィアーはその射線上から姿を消したのだ。

捉えたかと思えばそれは残像であり攻撃を全く与える事が出来なかった。

 

 

「こ、攻撃!?何処から……があっ!!?」

 

 

その刹那、周囲から襲い掛かってくる弾丸がライフルを抉った。

敵はライフルを手放すが直後に腕の関節に閃光が突進して穿ち腕を爆炎に飲み込んだ。

 

 

周囲を警戒して全速力で逃げ去ろうとするがその初動すら今のナイトメア・フィアーにとっては隙だらけでしかなく手にした片手銃から放たれる弾丸は無慈悲にスラスター、メインカメラに関節といった急所を打ち抜いていき戦闘能力を奪い去って行った。

 

 

「……悪夢を魅せし幽霊の魔術師じゃない……あれは…恐怖の魔術師だ…!!」

 

 

気を失いかけたパイロットが最後に見たのは僅かに動きを止めた魔術師が瞬時に速度を上げて白い閃光となって去って行く姿であった。

 

 

その魔術師の内部ではカエデ自身も今までとは段違いの性能となったナイトメア・フィアーに驚きを感じずに入られなかった。

 

 

「新しいナイトメア……クククッ…では、暴れてやろうか…ナイトメア・フィアー。

お前の恐怖の悪夢と魔術を海賊共とジャスレイ・ドノミコルスに魅せようでは無いか!!」

 

 

その頃、黄金のジャスレイ号では…。

この日ほどジャスレイ・ドノミコルスは自分の行動を後悔したことはないだろう。

あとから悔やむことになるから後悔とはよく言ったものだと思いながらも目の前で繰り広げられる惨状に身体の至るところから汗が溢れ出した。

 

 

高い金を払って雇った海賊達に、取引先から買い付けた阿頼耶識付きのモビルスーツにヒューマン・デブリを乗り込ませて報復へとやってきたタービンズ、鉄華団、傭兵団イクサル、アリアンロッドを迎え撃つ筈だったのだが真っ先に現れた赤い瞳を光らせた白いモビルスーツによってその算段は崩されたのだ。

 

 

破壊力を高める為に「SS」の特殊宝石で作られた球体を埋め込んだ少し変わった形をしたメイスが的確にジャスレイの雇った海賊やヒューマン・デブリの乗るコンクピットを叩き潰していた。

 

 

機体名も乗り主も分からない不気味なMS機体にジャスレイ・ドノミコルスは声を荒らげながら味方に指示を下すが正確かつ無慈悲でナイトメア・フィアーの機体コントロールが可能になったカエデに勝てるはずなどなかった。

 

 

さらにその向こう側に阿頼耶識システムを搭載したパンドラが2機が漂っていた。

その2機は白いガンダム・フレームことナイトメア・フィアーほどの撃墜量でなくても巧みなコンビネーションでMSを沈めていた。

 

 

鉄華団、タービンズ、アリアンロッドのMSによってジャスレイ・ドノミコルスの部隊は既に3分の1が撃墜されたのだった。

さらにそんな状況に追い討ちをかけるかのように白い機体と黒い機体が黄金のジャスレイ号のレーダーを鳴らした。

 

 

「な、なんだ!? 増援か!?」

 

 

「い、いえこの反応は……!!」

 

 

こんな大変な事態にどこの誰がジャスレイ・ドノミコルスに味方するのだろうか。

現れたのは肩にあしらわれていた所属のマークを胸に移した鉄華団の悪魔、鉄華団と魔術師の死神と呼ばれる機体だった。

2体の機体、バルバトスとジョーカーは白い機体ナイトメア・フィアーの近くにいた敵を手に持つメイスと鎌で殴って斬り付けた。

 

 

「お待たせ…ってカエデ兄さんとナイトメアだよね?黒から白になったの?」

 

 

「お待たせ致しました。カエデ様」

 

 

「あぁ、三日月とイシガシか。テイワズの整備長に黒から白にカラーリングされたんだ。まぁ、性能はナイトメアの時より段違いだがな」

 

 

「それで、カエデ兄さん、ナイトメアの名前は?新しくなったんじゃないの?」

 

 

カエデはナイトメア・フィアーを動かして杖型のハンマーを肩に担ぐと三日月に改めて名乗った。

 

 

「悪夢を魅せし幽霊の魔術師、鉄華団の魔術師などと色んな異名を付けられて来たがこの機体の名は"ナイトメア・フィアー"恐怖の悪夢だ!!」

 

 

「バルバトスよりは短くて良かったね。俺もナイトメアの名前は覚えれそうだな…」

 

 

そう答えた三日月だが内心はさらに腕を上げたカエデの機体、ナイトメア・フィアーことに高揚していた。

 

 

「カエデ様、三日月、左側には昭弘とラフタさんと昌弘が居ますよ。ですが他にもこちらに近付いてくる2機が居ますがどうしますか?。」

 

 

「カエデ兄さん、あれって…ジュリエッタとフォボスさんの機体じゃないの?」

 

 

「そうみたいだな、三日月。行くぞ、イシガシ」

 

 

「はい、カエデ様」

 

 

イシガシと三日月がこれまた器用に敵を倒しながらも目線を向けた先には、昭弘のグシオン・リベイク・フルシティやラフタと昌弘が乗るパンドラやシノの"流星王"と名付けられたフラウロスやライドの獅電などの鉄華団が保有する戦力でも主力と呼べる者たちが目に映った。

 

 

さらにはタービンズの新型機である辟邪にアミダの操る小豆色のパンドラがいるのも見えた。

 

 

しかし、その中に余り見慣れない白く他の機体に比べては巨躯なMSとフォボスが乗っているテイワズの整備長に改造されたがイシガシ同様に性能だけを強化されたアキレスD9がいた。

 

 

「カエデお兄様、イシガシさん、フォボスさん、三日月、先日は鉄華団の体験入団でイオク様と共にお世話になりました。 お久しぶりですね。」

 

 

「待たせたな、3人共。アキレスD9 フォボス・クェーサー、ただいま戻った。」

 

 

「久しぶり、ジュリエッタ。星の人もおかえり」

 

 

「あぁ、ただいま。三日月」

 

 

「三日月、貴方と鍛錬した経験をこの戦いで見せつけますので負けませんよ!」

 

 

「うん、ジュリエッタ、俺も負けないよ。オルガとカエデ兄さんとイシガシ兄さんの為にね。」

 

 

よく見ればギャラルホルンの新型だと分かるその機体を改修したレギンレイズ・ブライドにはカエデを兄と呼んで慕っているジュリエッタ・ジュリスと生前カエデの側近で今は傭兵団イクサルの団長、フォボスがアキレスD9で乗り込んで来た。

 

 

「ジュリエッタ、フォボス。お前達は他の戦艦を潰していたのでは無いのか?」

 

 

「部下達に任せて来た、あいつらは俺と同様の力を持っている奴が多いが俺には届かない」

 

 

「ふふん、カエデお兄様のある所、妹分の私が居なくてはなりませんからね! さぁ、カエデお兄様をヘットハンティングしようとした下賎な輩に私が死より恐ろしい絶望を教えてあげますよ!」

 

 

「ジュリエッタ、抜け駆けはダメ。俺もそいつにはイラついているからってもう行っちゃった。速いな…」

 

 

一方的にそう言ってレギンレイズ・ブレイドのアームに取り付けられたブライドソードで畝らせて敵のMSへと切り込んでいくジュリエッタを見ながらカエデは顔をしかめる。

そんなジュリエッタの戦闘スタイルが少しだけカエデに似ているのを見て三日月は首を傾げた。

 

 

「なんで、ジュリエッタの戦闘スタイルがカエデ兄さんの戦闘スタイルに似てるの?」

 

 

「おそらくですが、ジュリエッタさんが前に言っていた映像でカエデ様の戦闘スタイルを真似をしようとしていたのでは?」

 

 

「それもあると思うがカエデのナイトメアの動きを再現することは普通にキツいと思うぞ。

かなりの機動力と攻撃力が無ければ他のMSで分身をやろうとすれば負荷が掛かり動かなくなることが多いらしいからな。」

 

 

「フォボスの言う通り、大体は合っている…前に機動力だけ似ていたパンドラを動かした時に分身を使おうとしたらパンドラのCPUが駄目になったからな。」

 

 

「既に、実践済みだったんだな」

 

 

「だかこのナイトメア・フィアーならば前のナイトメアよりも必殺ファンクションや機体の性能が強化されているからな。他のMSに遅れを取ることはない。」

 

 

「つまりは強いってことなんでしょ?」

 

 

「一言で言うならばそうだろう」

 

 

4人で話ながらも、敵が守る"黄金のジャスレイ号"を目指しながら念入りに頭部やコンクピットを潰すバルバトス、ナイトメア・フィアー、ジョーカー、アキレスD9に敵のパイロットは全滅していた。

 

 

それは味方も例外ではなくて昭弘は「相変わらずカエデの兄貴とイシガシの兄貴は敵に容赦ねぇな」と苦笑するが昌弘も「三日月さんとフォボスさんも強いけどカエデ兄さんとイシガシ兄さんは規格外だよ、分身とか残像を残して敵を倒すんだから」と言う。

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