鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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クーデターと決闘の始まり

 

 

カエデが負傷者の治療に専念してイシガシはカエデの補佐とナイトメアとバルバトスの整備に向かうって倉庫から居なくなった時にオルガは話を切り出した。

 

 

「イシガシの兄貴とカエデの兄貴が居たから俺達は此処まで生きれたんだなって思うのさ…良し今決めた。

ユージン、ビスケット…このままじゃ俺達は殺されてしまうのは事実。なら俺達でCGSを乗っ取っちまおうぜ。」

 

 

「な!!オルガ本気かよ。」

 

 

「あぁ俺は本気だ。一軍の奴らはおそらく腹いせで俺達を殴ってくるのは間違いない。

このまま黙っていてやられるだけの俺達じゃない。

 

 

だからこそクーデターを起こす。

それにマルバの野郎は逃げだして此処にはいない。

なら一軍の奴らさえどうにかしたらな。」

 

 

「なるほどね、カエデ兄さんとイシガシ兄さんにはこれは伝えるか?」

 

 

ビスケットの問いにオルガは首を横に振る。

 

 

「いや、兄貴達には言わずに俺達だけでやる。ビスケット、一軍のご飯の中に痺れ薬を入れておいてほしい。あっ、兄貴達には入れんなよ。」

 

 

「わかった。やるなら今晩だね?」

 

 

「そうだ、昭弘とミカにも協力をしてもらうさ。今晩やるぞ!!」

 

 

そして夜、オルガ達はCGS基地の使われてない倉庫に向かって歩いていた。

その頃、とある一室では…。

 

 

「カエデ様、始まったようですよ。行きますか?」

 

 

「あぁ、行こうか、今までのこの仕打ちに耐えて来たんだから3番組にはご褒美をやらなければな。変わりに一軍屑野郎達には絶望へとご案内しようか。」

 

 

カエデは懐に拳銃を持って立ち上がりイシガシはその少し後ろに付いて2人は3番組と一軍屑野郎達がいる倉庫に向かった。

その頃オルガ達は…。

 

 

「此処にあいつらを収監させたの?」

 

 

「あぁ、兄貴達とは別にあいつらのご飯だけに睡眠薬を入れておいたからな、さーて、行くぞお前ら。」

 

 

中へ入り一軍の人物たちがオルガ達を見ていた。

オルガは一軍は全員いるのを確認をしてから挨拶をする。

 

 

「おはようございます。一軍の皆さん。薬入りの飯の味はいかがでしたか?」

 

 

「ガキ共これは何の真似だ!!」

 

 

「まぁ、はっきりさせたいんですよ。誰が此処の一番かって事をね」

 

 

「ガキ共!貴様ら一体誰を相手にしてると・・・・・・」

 

 

その時、部屋に鋭い声が響いた。

 

 

「ろくな指揮も執れない人間が何を言っているだろうな。貴様らが会社の金を横領をして彼等に渡さなかったり、腹いせに幼い子供達を殴ったり、その金を使って飲みに行ったりしているのもすでに私とイシガシは把握をしている」

 

 

「カ、カエデ・ビットウェイ・オズロックそれにイシガシ・ゴーラム!!てめぇもガキ共を…そうかてめぇがこいつらを!!」

 

 

「残念ながら答えはNOと言います。……このクーデター自体は彼等が立てたこと…ですから」

 

 

イシガシは愛用の拳銃を自分に声をかけた相手の頭に突き付ける。

相手は恐怖で顔をこわばらせた。

 

 

「ま、待ってくれ!!」

 

 

パン!!最後まで言う前にイシガシの銃が発砲をして相手は倒れた。

 

 

「さて・・・・・・これからCGSは俺達の物だ。」

 

 

「「「ふざけるんじゃねぇ!!!!」」」

 

 

「カエデ!!イシガシ!!てめぇらは元ヒューマンデブリの癖に俺達に逆らうつもりか!?」

 

 

「そうだ、元々気に入らなかったんだよ!!ヒューマンデブリの癖に此処(一軍)まで登り詰めたのだってマルバに媚び売ったんだろうが!!」

 

 

オルガ達は次々と一軍屑野郎達から出てくる言葉に驚いているらしい。

 

 

「社長に媚び売ったか…そんな事して私とイシガシに何の得がある?一軍まで登り詰めたのは私達の実力だ。」

 

 

「それもありますが一番の理由は"コレ"でしょうか?」

 

 

イシガシは上半身を一軍屑野郎達とオルガ達3番組に見せた。

 

 

「阿頼耶識システムがミカと同じ3つあんのかよ。イシガシの兄貴。」

 

 

「私は3つだけですよ。私はね…」

 

 

「イシガシ兄さんは俺と同じ3つなんだじゃあカエデ兄さんは?」

 

 

急に話を向けられたカエデは一軍屑野郎達を見ながら三日月の問に答えた。

 

 

「私は4つだ。おそらくはCGSで初めての阿頼耶識システムを4つも埋め込まれた子供は私だけだ。」

 

 

「へぇ、カエデ兄さんだから強かったんだ。」

 

 

そうこう話している内に一軍屑野郎達の何人かが襲い掛かろうとしたがイシガシが発砲をして襲い掛かろうとした大人たちは倒れていった。

 

 

「さぁ選べ!!俺達宇宙ネズミの下で働き続けるのかそれとも此処から出ていくのか。

そしてどっちも嫌ならイシガシの兄貴が撃ったこいつらみたいに此処で終わらせるか…今のあんた達にはこの三択しかないんだよ!!」

 

 

眼鏡の男性は出ていこうとしたがカエデはすぐに止めた。

 

 

「貴様は会計を担当をしてるデクスターだろう?貴様にはちょっと残って貰うからな」

 

 

「うそーーーーん!!」

 

 

こうしてオルガ達のクーデターは成功に終わり、彼らはCGSを乗っ取ることに成功をした。

カエデは後は3番組とイシガシに任せようとしたが…オルガのところへ向かう。

 

 

「オルガ、もし金などに困ったりしたらイシガシを連れてマルバの部屋に連れて行けばいい。」

 

 

「どういうことだ?カエデの兄貴?」

 

 

「あとで分かるさ。イシガシ、此処は任せたぞ。」

 

 

「はい、お任せ下さい。カエデ様」

 

 

カエデはイシガシとオルガにそう言葉を告げると倉庫を出る。

一方でデクスターは計算をしていた。

一軍の退職金及びMWの修理などを考えても運営資金は約三か月しか持たないと言った。

 

 

「おいおいまじかよ。」

 

 

「いや待ってくれ、実はカエデの兄貴から伝言があるんだ。」

 

 

「オルガ、カエデ兄さんからだって?」

 

 

「あぁ、カエデの兄貴曰くイシガシの兄貴をマルバの部屋に連れて行けば分かるといっていたが…どういうことなんだ?イシガシの兄貴?」

 

 

「とりあえず、元社長の部屋に参りましょうか。」

 

 

イシガシの言葉に全員が納得をして元社長の部屋を漁ってみると大きいダイヤル式の金庫みたいなのが現れた。

 

 

「おいおい、金庫が出てきたけどよ。ダイヤル式だろう?開けれねぇじゃんか。」

 

 

「その金庫を開ける為にカエデ兄さんはイシガシ兄さんを残したんじゃないの?」

 

 

三日月の何気ない言葉でオルガはイシガシの方を見た。

 

 

「その通りですよ。三日月は正解ですのでご褒美に私が作った飴をあげましょう。」

 

 

「うん、ありがとう。」

 

 

イシガシはオルガを金庫から下げるとダイヤル式の金庫の解除を開始したがものの数十分で開けることに成功した。

 

 

「成功したので開けても大丈夫ですよ。オルガ」

 

 

オルガは金庫を開けると中から宝石やお金などが出てきた。

カエデはマルバの部屋に金庫がある事を知っていた逃げたことでこの金庫を開けれなかったのだろう。

 

 

「これならかなり持つことができますね!!ありがとうございます、イシガシ兄さん。」

 

 

「えぇ、皆さんにご褒美ですから、それにお金があってもクーデリア嬢を地球へ送る事だけは変わりませんよ。」

 

 

「お前たちすっかり忘れていないか?」

 

 

「何がだトド。」

 

 

「お前たちがドンパチをしてくれたせいでギャラルホルンから狙われていることをな!!」

 

 

「まぁ、あれだけやっちまったらな。」

 

 

全員が考えていると通信が聞こえてきた。

 

 

『監視班から報告!!ギャラルホルンのモビルスーツが一機、赤い布をもってこちらに向かって来ています!!』

 

 

「赤い布だと?」

 

 

一方で外ではおやっさんが驚いていた。

 

 

「あれは決闘の合図だ。」

 

 

「決闘?」

 

 

「あぁ、まさかこの時代で決闘をする奴がいるとは思ってもいなかったがな…」

 

 

その布を持ったグレイズを見て、自分と同じくこのCGSに残った大人であり3番組の皆とイシガシとカエデからおやっさんと呼ばれ慕われているメカニックのナディ・雪之丞・カッサパが少年達の疑問に答えた。

 

 

『私はギャラルホルン実働部隊所属、クランク・ゼントである!!そちらの代表との一対一の勝負を申し込む!!』

 

 

「勝負ってマジかよ」

 

 

「300年前、厄祭戦の前は大概の揉め事は決闘で白黒つけてたらしいですよ。まさか敵であるギャラルホルンの人が本気でやってくるとは思いませんでした。」

 

 

イシガシはは呆れ半分関心半分というところであった。

 

 

『私が勝利したなら、そちらに鹵獲されたグレイズ。そしてクーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡してもらう!!』

 

 

「お嬢さんを!?」

 

 

「相手はそれしか能が無いのですね。」

 

 

グレイズのパイロットであるクランクの要求はある意味イシガシの予想通りと言った所だ。

 

 

此処にある物で価値がある物と言ったらカエデが仕留めて鹵獲したグレイズと、革命の乙女と言われ火星の独立運動の地球では神の声が聞こえたというジャンヌ・ダルクとして祭り上げられているお嬢さんことクーデリアしかいないだろう。

トドは賛成と言わんばかりにさっさと渡してしまおうと声を上げるがクランクは更に言葉を続けた。

 

 

『勝負がつき、グレイズとクーデリアの引き渡しが無事済めば、そこから先は全て私が預かる。ギャラルホルンとCGSの因縁はこの場で断ち切ると約束しよう!』

 

 

「はぁ?何だその条件は、こっちに得しかねえようなもんだぞ」

 

 

「俺らが負けたとしてもあのおっさんが良いようにしてくれるって事か?」

 

 

此方にとっては旨すぎる条件にイシガシは表情を険しくした。

どう考えても罠としか考えられないイシガシは拡声器をオルガから借りて声を上げた。

 

 

「いきなりの会話を失礼致します。その条件幾らなんでも此方に旨みがありすぎだと思うますがそれに貴方にそんな力があると私は到底思えないのですが…」

 

 

『クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄とグレイズさえあれば、私は上と交渉する事が出来る。

私としてもその施設への攻撃は不本意であった。

故にこの命と引き換えとなったとしても必ず交渉を実現させて見せよう!!』

 

 

「なんとも頭のお堅そうな発言ですね。これは何言っても引きそうにないですね。」

 

 

「でもどうします!?これじゃあクーデリアさんは!?」

 

 

「行きます!!」

 

 

皆が迷っている時に件の乙女クーデリアが声を張り上げた。

気丈ながらも強きに言葉を紡ぐ彼女は何処となく戦う覚悟が滲み出しているようにも見える。

 

 

「私が行けば済む話なのでしょう!ならば無意味な戦いは避けるべきです」

 

 

「そ、そうだよな!!んじゃついでに金もがっぽりと貰えるように交渉を…」

 

 

「駄目だ。それじゃあ筋が通らねえ」

 

 

「ああっ!?」

 

 

だがオルガはクーデリアを行かせる事に反対した。

あのクランクという男の言葉が何処まで本当なのかも分からないし、仮にクーデリアを渡したとしても此処が無事であるという確証はないし証明も出来ない。

 

 

元々ギャラルホルンからいきなり攻撃された身としては渡した後は皆殺しに遭うような気がしてならないのだ。

その時、カエデからの通信がオルガ達に入る。

 

 

「話は聞いていた、私が出る。」

 

 

「大丈夫なのか?カエデの兄貴。」

 

 

「私の強さは先程見せただろう。あのMSに私が負ける訳が無いだろう。」

 

 

画面に映るカエデはイクサルフリートのユニフォームを着ていたが背中には4つの穴が空いていた。

 

 

イシガシはクランクへと了承の言葉を返すと、カエデは直ぐにナイトメアの所に向かい始めた。

周囲には戦いに向かおうとしているカエデを応援する少年達が集まっており声援が送られていた。

 

 

「頼むぜ、カエデの兄貴!!」

 

 

「私を誰だと思っている。勝利を相手から貰ってくるだけだ。」

 

 

オルガ達に勝利を貰ってくると返しながらナイトメアは空へと舞い上がりグレイズの眼前へと降り立った。

クランクは直接矛を交えたバルバトスが来ると思っていたのかナイトメアが来た事にやや驚いているように見えたが直ぐにコクピットに戻っていた。

 

 

「それでは、始めようか。クランク・ゼント。」

 

 

『貴様も、子供なのか…』

 

 

「来年成人だからな。いまはまだ子供だ。」

 

 

『……そうか』

 

 

「貴様らはクーデリア・藍那・バーンスタインを捕らえる為だけにたくさんの子供達を殺したのだ。手加減などはいまさら無用だ。」

 

 

外部スピーカーから漏れるクランクの声には何処か悲しそう雰囲気が含まれていた。

出来る事ならば子供と戦いたくないという思いを孕んでいるようだった。

 

 

それを聞いてカエデは先程の条件にある意味納得したのだ。

彼は誠実で真面目で良い大人なのだと、前世では居なかった大人だ。

 

 

あの条件も少年兵として戦っている子供を出来るだけ傷つけたくないという思いから出した答えのようなものなのだろう。

 

 

「ならば…私が負けた時の事は決めいたが私が勝った場合の事は一切言ってなかったな。それについてはどう思う?クランク・ゼント。」

 

 

『…私にはそんな権限はない』

 

 

「真面目過ぎる男か…。では、取り合えずそのグレイズを貰おうか。それと貴様の身柄だ!」

 

 

『良いだろう。勝敗の決定はどちらかの死亡、または行動不能で異議は無いか』

 

 

「異議はない。始めようか。」

 

 

ナイトメアは一歩引きつつも背中に装備していた杖型のハンマーの引き抜いた。

基本接近戦型のナイトメアだが、長距離で攻撃された時の事も考えて銃も装備されている。

杖型のハンマーを構えながら体勢を落とすナイトメアを見たクランクは油断できない相手である事を実感しつつ斧と盾を構える。


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