鉄血のオルフェンズ 次元を超えし出会い   作:五月雨☆。.:*・゜

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タービンズ編
タービンズと元社長との再会


 

 

 

イサリビの内部

 

 

「つまり、今クランク二尉はこの鉄華団で子供達の教師をしていると……?」

 

 

「まあそんな所だ出来る事はその位でな。雪之丞、イシガシ、MS整備のマニュアルだ。」

 

 

「おう、助かるぜ!!んじゃ、イシガシやるぞ」

 

 

「えぇ、分かっています。」

 

 

「お前、カエデ以外には態度悪くないか?」

 

 

「カエデ様は敬愛すべきお方なのです。それ以外は普通の対応ですので別に差別などはしてはおりません。」

 

 

イサリビの格納デッキでは戦闘を終えたナイトメア、グレイズ改、バルバトスの修理とリアクターなどの調整などが行われていた。

そこにはカエデとイシガシの姿もあり、2人は主に一番面倒ともいえるリアクターの調整作業へと入っていたのだ。

 

 

本当は戦闘をしていたカエデもイサリビで指揮を取っていたイシガシも疲れている事だろうが、2人は休みたいとは一切言わずに作業に黙々と働いていたのだ。

 

 

そんな光景を見つめながら、ドックの通路に凭れながらクランクは部下であるアインと話をしていた。

アインはクランクが任務に失敗し死んだものとばかり思っており、その仇を取る為に鉄華団に襲いかかったと言っても過言では無かったのだ。

しかし実際はクランクは生きていてその鉄華団で働いているという。

 

 

「お前も戦ったあの黒いMS、あれに乗っていた少年もあそこにいるだろう。

彼はカエデ・ビットウェイ・オズロックに私は決闘で負けてグレイズと身柄を彼に預ける事になったのだ。そして今は鉄華団で子供達の先生をやっているのだ。」

 

 

「そ、そうだったんですか……」

 

 

アインの胸中は複雑であった。

胸の中にあったのは自分の事を唯一対等に扱ってくれたクランクを殺した鉄華団への怒りと憎しみだけだった。

 

 

実際はクランクは生きていたのだ、それは嬉しいが……その鉄華団には自分の半分も生きていない子供達ばかりが必死に働いていた。

自分はこんな子供達を殺そうとしていたのかと思えてしまう。

 

 

「自分はどうなるのでしょうか。便宜上捕虜という事になるのでしょうが……」

 

 

「そうだな…なあアイン、俺はこのまま鉄華団に残ろうかと思うんだ」

 

 

「の、残る!?」

 

 

クランクから信じられない言葉が出てきた事に驚愕しアインは大声を上げてしまった。

 

 

「何故ですクランク二尉!?まだ原隊復帰は出来る筈です!!」

 

 

「いやアイン……俺はギャラルホルンにはもう戻らない。俺はまだ数日しか居ないがこの鉄華団と行動を共にし先生として子供達と触れ合ってきた。

 

 

幼く罪のない子供達が銃を握る事でしか生きていけないなど……俺はそんな彼等を見捨てて戻る事など出来ないんだ」

 

 

そう言われてアインはかつて自分が周囲から自分が半分火星人の血を引いている事から差別されて自分の機体すらまともにギャラルホルンに整備して貰えなかった事を思い出していた。

 

 

あの時、自分は目の前の人に救って貰えたから生きているんだと思う。あの時、救ってもらえなかったら如何なっていただろうか。

差別に我慢出来ずに火星に戻って不自由な生活を送って居た事だろう。

 

 

「だが彼らが生きていくには今は銃を握るしかない。カエデとイシガシの2人は鉄華団が大きくなりあの少年達がまともな仕事が出来るようになるまで見守るらしい。だから私もそれが今出来る最善の手だと思うのだ。」

 

 

「最善の……」

 

 

「あぁ、そうだ。アイン、お前はどうするのだ?」

 

 

そう問われてもアインは困る。

つい先程までギャラルホルンだった筈の自分だがハッキリ言って自分も今のギャラルホルンには疑問と不満しかなかった。

 

 

クランクの仇を取ろうとしたのも自分を救ってくれた恩師の為だからだ。

だが今恩師は鉄華団にいるのだ。

自分を救ってくれた人がそうするなら……自分もそうしてみても悪くないかもしれないとアインは思っていた。

 

 

「良いのでは無いのでしょうか?」

 

 

「き、君は?」

 

 

「申し遅れました。私は鉄華団の教官職兼相談役補佐、イシガシ・ゴーラムと申します。よろしくお願い致しますよ。アイン・ダルトンさん。」

 

 

「それで良いとはどういう意味だ?イシガシ」

 

 

「簡単な話ですよ、クランクさん。彼は便宜上捕虜ですが此処でギャラルホルンに戻ればおそらくは処刑を免れないことでしょう。ですのでアイン・ダルトンさん。貴方にはクランクさんの補佐として鉄華団で働いて頂きますよ。」

 

 

「…………」

 

 

「おや、この条件では気に入りませんか?でしたらお部屋とお風呂付きで3食ご飯付きのMS整備と子供達の先生として忙しくコキ使いますが…どう致しましたか?」

 

 

「何故、そこまで俺の事を…」

 

 

「カエデ様のご意志です。おそらく大人の人手が欲しいのと思われますが貴方も差別などされて来たのならば…阿頼耶識システムを埋め込まれた子供達も人々から差別の対象になります。

なので貴方も子供達の先生として子供達を導いて欲しいのですよ。戦うだけが人生じゃないとね。」

 

 

「イシガシくん…」

 

 

「あと、カエデ様のことを宇宙ネズミと言ったことはこれから永遠に貴方を許すことはありませんので…悪しからず」

 

 

「わかった、すまない。」

 

 

「おいクランク、サボっている訳では無いだろう?少しナノラミネートアーマーの補強の手を貸せ、三日月や昭弘、他の子供達は宇宙での作業に慣れてないからな。行くぞ、イシガシ。」

 

 

「はい、カエデ様」

 

 

「あぁ、解った」

 

 

「あっ、待ってください!!」

 

 

通路から離れ、無重力の中ゆっくりと整備中のナイトメア、バルバトス、グレイズ改へと向かっていくクランクとカエデとイシガシを止めるようにアインは声を上げた。

 

 

3人は器用に回転ながら此方を見る。

それに恥ずかしそうにアインは頬を赤くしながら声を高くして言った。

 

 

「お、俺もお手伝いしても良いでしょうか!?こう見えてもグレイズの整備をしっかりとして貰えるまでは自分で全部やっていたので整備は出来ます。」

 

 

「ふん、それは助かるな。やはり貴様は重宝する人間だな私の目には狂いは無かったようだ。ではアイン・ダルトン。君にお願いしようか。

 

 

皆、クランクの隣にいるのはアイン・ダルトンと言うらしい。

彼も整備を手伝ってくれると言っていた。クランクの教え子らしいから全員仲良くするんだぞ。わかったか?」

 

 

「「「「はーい!!カエデ兄さん/兄貴」」」」

 

 

鉄華団の少年達が慕うカエデの声に少年達は声を上げてその言葉に従ってアインの傍まで接近しては挨拶をしていた。

アインはそれに戸惑いながらも挨拶をして子供達に手を引かれていたのだ。

 

 

「ねぇねぇ、クランク先生の教え子?って事はアインさんも先生なの?」

 

 

「えっ!?い、いや俺は先生だなんて……!?」

 

 

「じゃ、アイン先生だね!」

 

 

「宜しくアイン先生!」

 

 

「えっ?ええっ~!!?」

 

 

なぜか先生扱いされている事に困惑しつつも、アインを見て暖かな笑みを浮かべているクランクと少しだけニヤついているイシガシを見て思わず助けを請う。

 

 

「皆、アイン"先生"が困っているぞ?さあ仕事に掛かるぞ」

 

 

「そうですよ。アイン"先生"のご迷惑にならないように気を付けなさい。」

 

 

「ク、クランク二尉!!?イシガシくん!!?助けて下さい!!」

 

 

この後、アインは鉄華団に正式に入り再びクランクの部下として子供達の先生及び整備班の班長として仕事をする事になったのだが如何にも班長や先生と呼ばれるのに慣れないのか呼ばれる度に頬を赤らめていたのだ。

その事を知っているのはイシガシ・ゴーラム、1人だけだ。

 

 

ナイトメアの整備も完了しアトラ・ミクスタの作ったご飯も食べたカエデは書類仕事や操縦で溜まっていた疲れを癒す為にベットに潜り込んだその時イシガシからのイヤーカフからの通信が来た。

 

 

「何の用だ、イシガシ」

 

 

「緊急事態です、カエデ様。直ぐにブリッジまで来て下さい。」

 

 

「わかった…直ぐに行く。」

 

 

カエデはイクサルフリートの服のままブリッジに向かう途中に大声が聞こえて来た。

この声は忘れるはずの無い元社長の声だ。

 

 

「人の船を勝手に乗り回しやがって!!この泥棒ネズミどもが!!」

 

 

ブリッジに付くとモニターには元社長マルバが現れてカエデはため息をついていた。

すると元社長マルバが消えて白い服を着た人物が現れた。

 

 

「さっきから話がさっぱり進んでいない…」

 

 

「あんたは?」

 

 

「俺か?俺は名瀬・タービン、タービンズって組織の代表を務めさせてもらっている。」

 

 

「鉄華団団長オルガ・イツカだ。」

 

 

「なーにが鉄華団だ!!」

 

 

「最初の襲撃でオルガ達を置いて逃げだした腰抜けは何処の誰なんだろうな?イシガシ」

 

 

「それは、CGS元社長マルバ・アーケイですね。カエデ様」

 

 

「て、てめぇらは、カエデ・ビットウェイ・オズロック!!?イシガシ・ゴーラム!!?」

 

 

「イシガシ、私は途中来たから説明してくれ。何故元社長が画面の向こう側にいるのか。」

 

 

「はい、ご説明致します。」

 

 

「俺の考えも聞いてくれ、カエデの兄貴」

 

 

「あぁ。」

 

 

イシガシとオルガの口から状況が知らされた。

近付いて来たその船からの通信で顔を見せたのは自分達から逃げ出したCGS元社長のマルバ・アーケイだった。

 

 

そしてそのマルバは元CGSの全資産をタービンズという会社を運営する代表の名瀬・タービンに譲渡するという契約になっているらしくさっさと船を止めろという事らしい。

 

 

だがそれでは鉄華団は事実上の解散、メンバーは真っ当な仕事を名瀬本人が責任を持って紹介するらしいがそれは鉄華団としては許せないとオルガがカエデに伝えた。

 

 

何より自分達が受けたクーデリアの仕事という筋を通せなくなる。

加えて言うなればこれは千載一遇のチャンスでもあったのだ。

地球に行くための案内役が使えなくなったため新しいのを探す必要があったがギャラルホルンと揉めてしまった以上火星の本部の事を頼める大きい後ろ盾が必要となってしまった。

 

 

そこで目を付けたのがタービンズが傘下に入っているテイワズという巨大な組織だった。

しかし、オルガはその要求を突っぱねて自分達の力を見せる事でテイワズ入りを交渉出来るようにしようと考えたのだ。

 

 

「なるほど、申し訳ないが名瀬・タービン、あんたの要求はとても呑めた物じゃない。

私達は鉄華団としてクーデリア・藍那・バーンスタイン嬢を地球まて送ると引きうけた仕事なのだ。それを私達は投げだすわけにはいかない。」

 

 

「……お前達生意気の代償は高くつくぞ。」

 

 

名瀬・ダービンとの通信を切りカエデは格納庫へ向かいイシガシはオペレーターとしてブリッジで指揮を取る。

カエデは出撃前に再度機体チェックをしているとアインがモニターに現れた。

 

 

「オズロックさん、ナイトメアの方もイシガシくんに教わりながら出来る限りの調整はさせて貰いましたが一部分からない装置があってそこは俺はノータッチです。そこは解ってください」

 

 

「構わん、お前も位置につけ。」

 

 

「ご武運を!!」

 

 

何故、アインがカエデに敬語なのかと言うとイシガシとクランクの指示である。クランクにとってはカエデは自分の命の恩人だから。

イシガシは自分のことを好きに呼ぶことを許す代わりにカエデに忠誠を誓うと約束させたのだ。

そしてナイトメア、バルバトス及びグレイズ改、新たにグレイズカスタムと流星号が新たに加わりシノの機体に阿頼耶識が搭載されていた。

 

 

 

「MS部隊出撃、ガンダム・グレイズ出撃どうぞ。」

 

 

「イシガシ兄さん、そこは流星号で頼む!!」

 

 

「ガンダム・流星号出撃どうぞ。」

 

 

「よっしゃ!!サンキュー、イシガシ兄さん!!ガンダム・流星号 ノルバ・シノ出るぞ!!」

 

 

「続いて、ガンダム・グレイズ改出撃どうぞ。」

 

 

「ガンダム・グレイズ改 昭弘・アルトランド出る!!」

 

 

「続いて、ガンダム・バルバトス出撃どうぞ。」

 

 

「ガンダム・バルバトス 三日月・オーガス 行くよ!!」

 

 

「最後になります。ガンダム・ナイトメア出撃どうぞ。」

 

 

「ガンダム・ナイトメア カエデ・ビットウェイ・オズロック 悪夢を魅せてやろう!!」

 

 

イサリビから猛スピードで発進したナイトメアは先に出撃していたグレイズの改造機のシノ(命名:流星号)と昭弘のグレイズ改と三日月のバルバトスにあっという間に追い付いた。

 

 

「待たせたな、三日月、昭弘、シノ。」

 

 

「別に待っちゃいねえよ、カエデの兄貴。」

 

 

「うん、ナイトメアって凄い速いんだね。」

 

 

「そんな事より来るぞ!!」

 

 

鉄華団が所有し出撃可能な存在の中でも矢張り速度ではナイトメアが飛びぬけて速度に秀でているので合流した際にはブレーキを掛けて速度を調整しないとあっという間に追い越して敵艦にカエデ1人で特攻を掛ける事になるのだ。

 

 

レーダーには前方から2機のMSが迫って来ていた。

望遠するとマッシブな身体つきをしたMS。

近接に入り込まれると中々きキツいと思うカエデ。

 

 

「昭弘の知り合いか?」

 

 

「そうな訳ねぇだろう!!?カエデの兄貴!アンタは俺を何だと思ってるんだよ!?」

 

 

「暇さえあれば筋トレをしてるバカだが仲間想いの昭弘・アルトランド。」

 

 

「俺の印象それだけかよ!!?」

 

 

「だが、仲間想いは此処にいる全員に言えることだな。」

 

 

などというくだらない話をやっている間にイサリビにいるオルガから通信が飛んでくる。

如何やらもう1機のMSが出現し此方を攻撃し続けているとの事だった。

誰か2人戻ってきて欲しいという要請だった。

 

 

「んじゃ俺とシノが戻るよ。カエデ兄さんと昭弘に此処任せるよ」

 

 

「!………ああ、任せろ!」

 

 

「三日月、シノの事を頼んだぞ。初めてのMS操縦だからな。」

 

 

「うん、わかった。」

 

 

反転して一気に戻っていくバルバトスと流星号を追撃するようにタービンズのピンク色のMS、百錬がライフルで追撃を仕掛けるがナイトメアは杖型のハンマーを回しながら銃弾を防いだ。

 

 

「邪魔をするもんじゃないよ坊や」

 

 

「申し訳ないな、タービンズのパイロットよ。」

 

 

ナイトメアは素早く機体を切り返しながら相手の肩を杖型のハンマーで殴りつけながら一気に距離をとってまた近付いて強い力でまたタービンズの機体を杖型のハンマーで殴るのだ。

 

 

「中々、やるじゃないか。どんな坊やなのか顔を見てみたいよ。」

 

 

「そりゃどうも、だけど勝負は負けられんな。」

 

 

「それは、私達も同じだよ。」

 

 

オクスタンランチャーに持ち替えながら迫ってくる百錬を振り切るように速度を上げつつ消えたり出たり幽霊のように杖型のハンマーを振るい百錬の関節を狙っていたつもりだったがそこも確りとカバーするように装甲が覆われてナイトメアの攻撃が余り通じていない。

 

 

「…堅い装甲だな。」

 

 

「旦那持ちだからね、この位がちょうど良いのさ!!」

 

 

「それは贅沢な事だな!!(どうする、切り札の分身をやるか…だが…)」

 

 

再び間接狙いだがそれをあっさりと回避した上に回避先を先読みして杖型のハンマーをあっさりと防御しされた。

 

 

それを見てカエデはタービンズのパイロットも全く油断出来ない相手だと実感していたのだ。

力量は互角かもしれないけど負ける気は毛頭ない。

迫ってくる弾丸を高い機動力でスケートのように避けつつ昭弘の方へと目を向けるが其方は苦戦を強いられていた。




観てくれてありがとうございます。m(_ _)m
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