絶望の渦中、生きるMessiahは何を見る?   作:綠月

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プロローグ ~失われた理解者~

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この世には、二つの意がある。

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その日、私は書物の仕入れに人里に出ていた。書店をやっているわけではない、自分用だ。能力でなら新たな本を取り寄せることができるかもしれないが、それがどこからのものか分からないから問題を起こしたくない身として出来ない。普段どのような本を読んでいるのかというと、他の世界に関するものが多い。もちろん小説などの本もあるが、最近は異世界に関する知識を深めたいのだ。別に賢者になりたいわけではない。とにかく、人里の書店で購入した本を入れた袋を片手に帰路についていた。

 

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善意と悪意だ。自我のある者のほとんどはこの二つに行動を起こす。

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雨が降るかもしれないような、曇天の日だった。魔法の森と呼ばれる瘴気に満ちた森につき、自宅に到着する。玄関前で、私は初めて異変に気づいた。

「・・・この気配、まさか・・・!」

対侵入者撃退トラップがことごとく潰されているのに気づいたのだ。人や妖怪に寄り付かれたくなさに半殺しに出来る程のトラップを玄関先から仕掛けているのだ。それが無効化されていたり、壊されている。目に見えなくとも気で分かるのだ。私は嫌な予感を抱きながら、家の中に入る。頭に思い浮かぶのは同居している一人の女の安否。私の知り合いは少なく、見知らぬ奴が家に来ることは全くない。一瞬、攻撃を無効化する事が出来る能力を持つ知り合いを思い出すが、もし彼女ならば強引に入ろうとせず、外で待機して私に連絡をよこす。金品目当ての下賤な命知らずだろうと仮定し、ある部屋の前まで進む。

 

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しかし、世の中には善意を持たず、悪意しか持たない者がいる。

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ドアを前に一つの気配を感じ取る。しかし、嗅覚が血の匂いを感じ取った。この部屋は同居している女の部屋だ。ここでふと、侵入者は本当に金品が目当てなだけの下賤な命知らずなのかという考えが脳裏によぎる。それだけの目的なら人だろうと妖怪だろうとあの女がどうにかしてくれる。だが、対侵入者撃退トラップが全て潰されていたのだ。並大抵の輩が出来る事ではない。そう考える程私は警備を強くしているからだ。この先にいるのは女と血を流している侵入者か、あるいは…。意を決して、私はドアノブを回す。

 

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これは、悪意しか持たないで生まれた一人の男が引き起こした・・・

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目の前の光景を一瞬疑った。そこにいたのは、体全体がどす黒いオーラに包まれた異形と…頭部と四肢を失い、血を流す同居人、ラムダの姿があった。そこまで認識したところで、私は滅多に出さないだろうと自分でも思う程の怒りと憎悪を異形に向けていた。異形は私を見るだけで何も言わない。何が目的だったのかもうどうでもいい。能力である私のスタンド(このスタンドという存在は手に入れた後に調べて分かったものだ)、『ブレイカー・ソルジャー・レクイエム』(以降B・S・R)を出し、ありったけの鉄球を異形にぶつけた。本当はもっと容赦なく攻撃したかったが、既に亡骸となったラムダの事を考えてそれを抑えた。もちろん殺意は十分に込めたが。異形はやけにあっさりと死んだ。ラムダと戦っていた時に傷があったから弱っていたのかは分からないが、過ぎた事だからどうでもいい。それより、彼女を蘇らせなくては…。彼女の亡骸にBSRの手を触れさせ、蘇るように念じる。BSRの能力はありとあらゆるものの創造、女一人を蘇らせる事ぐらいわけない、そのはずだった。しかし、一向に彼女の体は再生しない。やがて気づいた、彼女の体を謎の呪詛が蝕んでいたのだ。それがBSRの能力を拒絶しているらしい。どうやらあの異形は物理的な力よりこういった呪いの力を専門とするらしい。ならその呪いを払拭すればいい。そう思いBSRの能力を使う…。

「・・・何故だ、何故出来ない!?」

しかし、こちらもまったく効かなかったのだ。私のBSRの力がだ。少しの間、何度も試したが…結局、彼女を蘇らせるのは失敗に終わった。

「・・・・・・ラムダ・・・」

受け入れられない。亡骸を抱きかかえ、静かに涙を流す。私の…私の事を分かってくれる、唯一の理解者だったからだ。

 

一方、とある別の家でも…

「んでだよ・・・なんでなんだよ!何が起きてやがる!」

ラムダを殺した異形と同じ異形に殺された人口兵器、熊野御堂の亡骸を抱える一人の聖女の姿がいた…。

 

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最高に、最悪な物語である。

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YKN.1 ユウ 生存確認。
YKN.4 ストレリア 生存確認。
今回の犠牲は・・・
YKN.20 ラムダ 正体不明の異形の襲撃に遭い、死亡。
YKN.3 熊野御堂聖月 ラムダの時と同様の異形の襲撃に遭い、死亡。
残り・・・159名。

今回タイトルが本当に思いつかなかったので実はまだ仮のタイトルだったり。あと死の描写もっと詳しい方がシリアスっぽいのかしら。
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