長い廊下を歩き、一つの大きな扉の前へ足を止める。
「遅ぇよ、やっと来たか。早く中に入れ。」
ノックをしようとする直前に向こう側からあの忌々しい声が聞こえた。その声に内心で舌打ちし、扉を開ける。大広間なのに明かりが少ないせいで全体的に少し薄暗い。まっすぐ進んでいけば、玉座にふんぞり返りながらこちらを見る二つの目の光。辺りが薄暗いせいで全身が見えないが、どうでもいい。その光の前に足を止め、手にしていた荷物を下ろす。
「・・・命令通り、永遠亭を破壊してきました。お望みの品はこちらに。」
誰かに対して敬語を使うという、腹正しく二度としたくないことをする。目の前の光は置いた荷物を見ず、こちらをあざ笑うかのような色を含めた。
「指示の報告以外に顔は出さないって言ったろ?堅苦しい言葉は望んじゃいねぇ。そもそも、お前自体が嫌なんじゃなかったのか?」
こちらを見透かしたかのような言葉に苛立ちが収まらない。今すぐこいつを能力で服従させてやりたいが・・・。
「まぁそんなことはどうでもいいけどな。じゃ、また何か頼み事するかもしれねぇからそれまで引っ込んでろ。」
礼の一つもなしにそう言い捨てられる。せめてものお返しに無視するように引き返してやる。
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残された二つの光が、置かれた荷物を見る。その次の瞬間、荷物が操られたかのように動いて二つの光の近くにきた。
「・・・あの女、スタイルもいいしぶっちゃけ俺の好みなんだがなぁ・・・プライドが高すぎるんだよなぁ。ま、探せば他にいい女もいるだろうが。で、こいつが蓬莱の玉の枝か。こんな枝きれが月の姫とやらの宝には思えねーんだがな・・・ま、有効活用させてもらうがな。」
フッと荷物が消えた。その後に二つの光は瞬きをしてから薄暗い大広間から消える、最後に一言を残して。
「あいつらのおかげでこの幻想郷とやらの住民もゆっくりとだが減らせている・・・報告によれば抵抗し始めた奴らもいるらしいが、どうせ俺に勝てはしねぇさ。」
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「・・・駄目ね、どこにも見当たらないわ。」
お面をつけた人物の言っていた森にへと来ていた私達は離れすぎないように手分けしてりょく殿を探していたが、どこにも姿はなかった。あの人物の言っていた事は嘘だったのだろうか。そんな事を考えていると、足下に何かの破片が散らばっているのが見えた。それを手に拾い上げる。
「これは・・・何だ?」
それは透明で、硬い素材で出来ているようだった。注視すれば、その破片の幾つかには紫色の液体がこびりついている。何なのか気になるが、りょく殿とは関係が無さそうなので放っておくことにした。
「シャル、ここは一度家に戻らないか?りょく殿が帰っている可能性もある。」
「ここでずっと探しているよりはいい考えでしょうね、そうしましょうか。」
りょく殿が無事である可能性に賭けて私達は人里に帰ることにした。
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異形に襲われる事無く家に帰ることは出来たが、りょく殿の姿はそこにもなかった。また虱潰しに探しに行こうとすると、他に居候している人達に呼び止められた。りょく殿の姉妹であるりょう殿とりく殿だ。そういえば異変の事を話していなかったかと思いだし、りょく殿の事も含めて話すと、
「何だと!?じゃあ俺も探しに行くベ!」
「私にも行かせてくれる?りょくが無事でいるかどうか分からない状況で家でゆっくり出来ないからさ・・・。」
こんな感じで同行するのを要求されたが、未だ角の女性達とは一緒にいる。人手が多いのは良いことだが、家にも誰かを残しておきたいという事で話し合った結果、自称伊達政宗と角の女性、シャルを家に残して、りく殿とりょう殿、私の3人で改めてりょく殿の捜索に行くことになった。この時に分かった事だが、自称伊達政宗達は持ち家が無かったらしく、私達の居候先の内装にとても興味を示していた。次に探しに行くことにしたのは霧の湖。吸血鬼が住んでいると言われている紅魔館もその近くにあるので、そこで聞き取りをするのも悪くないという算段のもとだ。シャルも行きたがっていたが、じゃんけんで決まったことなので仕方がない。
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毒を好いている変な研究者と行動を共にする事になった私は、そいつの要望で愽麗神社にへと来ていた。
「今研究中の試験毒が全て完成しますように、皆にとって毒が身近な存在になれますように・・・」
その研究者は今賽銭箱の前で凄い願掛けをしている。声に出す必要は果たしてあるのだろうか。ちなみに賽銭は入れていない様子。私は早く人里に帰りたいというのに、この男はある毒を作るための素材を集めてからにさせてくれと言う。一人で行動するという選択肢もあったが、森で出くわしたあの異形。次も無事でいられる確証はない。何せここから人里にはあの森を通らないといけないし、森を避けて遠回りするのも山を幾つか越える必要がある。それならまだこの男を引き連れている方がマシだ。最悪勝算の無い敵が出ても囮にして逃げれば良い。そんな事を考えながら男が願掛けを済ますのを待つ。
「・・・ねぇ。」
「っ!?」
ふと背後から声をかけられビクリとする。背後を見るとそこには緑髪の獣人がいた。虚ろな目でこちらを見ている。
「あなたの頭は・・・これで、除夜の鐘と同じくらい叩いても平気?」
獣人はそう言葉を続けて、斧を取り出す。戦うつもりかと警戒する。
「無理に決まってるじゃん。というか何、除夜の鐘と同じ回数って・・・」
「・・・一度、やってみたいの。」
虚ろな目に何かに憧れているかのようなキラキラとした光が数秒入る。これが俗に言うサイコパスとかいう奴なのだろうか・・・。その間に願掛けを済ませた研究者が話に割り込む。
「へぇ、斧で人の頭部を何度も叩きたい願望とは変わっているね。まぁ僕とて一般から見れば同じように思われはするが・・・」
「・・・あなたは、どう?」
獣人に斧の先を向けられた研究者は少し慌てて言葉を続ける。
「まぁ待ちたまえよ、僕でもそれは無理だ。そんな毒は作っていない。だが、それに耐えられるかもしれない奴ならいるぞ。」
そして奴とやらの特徴を言い出すが、どう考えても異変によって現れるようになった異形の事だ。
「君はただ戦いたいんじゃなくて斧で誰かの頭を何度も叩きたいだけなんだろう?あいにく、奴は君を見つければ殺す気でかかってくるだろう。そこでだ・・・僕の手元には少しの間動きを封じられる毒を持っている。それがあれば君の望みも簡単に叶えられるだろう。どうかな、それまでの間、僕たちと行動を共にしてみないか?」
「・・・・・・。分かった、いいよ。」
研究者の誘いに獣人が乗る。
「いや、ちょっと待ってくれる?あんたこのヤバそうな奴を連れて行く気?」
研究者に確認すると、彼はこっちの方を見て笑みを浮かべる。
「一人より二人、二人より三人だ。僕の予測によればこの女は今、ただの夢見る少女状態なだけに過ぎない。こちらに危害を加えるつもりも無さそうだし、ここは戦力を増やすチャンスだ。」
話している私達を見る獣人の目は変わらず虚ろげなまま。何を考えているのか全く分からない。背後から襲われてもおかしくなさそうだが、この男の誘いを受けた分には大丈夫・・・なのかもしれない。彼女がそれでいいならといいかと考えることにした。
YKN.34 りく 生存確認。
YKN.126 りょう 生存確認。
YKN.164 ナディア・グレイ 生存確認。
今回の犠牲は・・・
無し
残り・・・161名。
??? 敵性存在確認。
討つべき敵は・・・3名。
邂逅編いつ終われるかな・・・もう次の○○編のネタ思いついたのに。(早い)このペースだと全YKN出すのに一年以上はかけそう、160体以上は流石に多かったか・・・?しかし減らしたくは無い。仲間外れは・・・寂しいもんな。(殴 とりあえず今年は後2、3話投稿したい。