転生したら暴虐の魔王になれそうな件   作:デントウ

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暴風大妖渦(カリュブディス)

 ヨウムを英雄にするという計画が始まり、数週間が経ち、ヨウムはかなり強くなっただろう。無論、たかだか数週間では劇的な身体能力の向上は難しかったが、ハクロウより教わった技術と、クロベエ達が作った武具、さらに、俺の教えた<武装強化(アデシン)>もある。仲間達も同じ様にかなり強くなった。ロンメルには幾らか魔法も教えた。今ならばバッファーと魔法アタッカーの両方をこなせるだろう。

 

ヨウム「それじゃ、行ってくるぜ」

 

 ヨウム達はそう言って旅立った。

 

…………

 

 それから、ミリムという存在に皆が慣れてきた頃。

 

トライア「お久しぶりで御座います。盟主様方」

 

 現れたトレイニーの妹、トライアはかなり鋭い殺気を纏い、ところどころダメージを受けた様子だ。

 

リムル「その殺気と姿はどういう訳だ?」

 

 リムルが問うと、トライアは答える。

 

トライア「……はい。緊急事態です。厄災級魔(カラミティモンスター)物である。暴風大妖渦(カリュブディス)が復活致しました。かの大妖は、魔王に匹敵する力を持ち、我が姉君達が足止めをしていますが、まるで歯が立ちません。そして、あの大妖はこの地に向かってきています!」

 

 カリュブディス、フューズによると、強さは魔王に匹敵するが、言葉が通じず、ひたすらに暴れ回る知恵なき魔物だそうだ。だが、【魔物召喚】によってメガロドンという鮫型の魔物を呼び出して暴れるのだと言う。

 

ユレム「ふむ……」

 

 顎に手を当て考える。鮫型……か。

 

リムル「ユレム……? どうしたんだ?」

 

 リムルはこちらをひきつった顔で見る。どうやら、口角が上がっていた様だな。

 

ユレム「喜べ」

 

リムル「は? 何言ってんだよ……魔王級の脅威がこっちに向かってきてるんだぞ……」

 

 ああ、一応魔王級の力を持つそうだな。

 

ユレム「今日は宴会だ。大量の鯨の刺身が入ったのでな」

 

 周りは唖然としている。ふむ、おかしなことを言ったか?

 

リムル「バカかテメェは!?」

 

 恐らく亜音速級の速度でゲンコツを入れられた。

 

…………

 

 会議室に、ソウエイやガビル達を呼び、会議が始まった。勿論だが、戦うことになった。ミリムが行きたいと言ったが、シュナとシオンによってバッサリと切り捨てられていた。問題はあるまい。

 ああ、そういえば<周辺察知(ジリピア)>が効かなかった理由としては、空中の魔力が乱され、察知ができなかった様だ。仕方がないだろう<周辺察知(ジリピア)>は、<飛行(フレス)>などに比べて魔力の操作が繊細だ、少しでも乱されれば容易に状態が見えなくなるのだろう。おそらく、暴風大妖渦(カリュブディス)の影響だろうな、確か【魔力妨害】の固有スキルがあると言っていた。

 

 ドワーフ王国方面へと伸びる街道上にて、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。カリュブディスの姿がもうすぐ見える頃だろう。それまでの待ち時間を利用して、トレイニーから色々聞いていた。

 

トレイニー「このカリュブディスですが、遥かなる昔に生まれ、死と再生を繰り返しています。凶暴なる天空の支配者、流石は森の支配者にして守護者たる、"暴風竜"ヴェルドラの申し子と言えるでしょう」

 

リムル「まってくれ! ヴェルドラの申し子……?」

 

 リムルが咄嗟に聞くと、トレイニーは答えた。どうやら、カリュブディスはヴェルドラから漏れ出した魔素溜まりから誕生した魔物なのだそうだ。なるほど、俺とリムルと同じ様な形で生まれてきたのか……。そうなると、此方に向かってきているのにも合点がいくな、俺たちとカリュブディスは兄弟に近いのだから、それに、リムルの中にヴェルドラがいることに気づいたのかも知れぬ。

 

 そんなこんなの会話をしていると、合計14の魔物の群れが現れる。その中で一際大きい魔力を持ち、最も巨大な体長の化け物がいる。カリュブディスである。成る程、少々肉が硬そうだが、食べれなくはないだろう。

 

ユレム「ふむ、これは……」

 

 カリュブディスを【魔眼】で解析すると、その魔素はある者と酷似していた。

 

ユレム「……フォビオか」

 

 前に来た、魔王カリオンの配下である三獣士の1角、黒豹牙のフォビオだ。<思念通信(リークス)>か何かで事情を聞きたいが、少し弱らせたい。今のままでは、聞いてる間に攻撃されるだろう。

 そして、戦端が開かれる。ペカザサスナイツは現在向かってきている。彼らが来ると大規模な魔法は控えねばなるまい、なので、接触と同時に仕掛ける。

 

ベニマル「喰らえ、黒炎獄(ヘルフレア)ッ!」

 

 カリュブディスと1体のメガロドンが、ベニマルの黒炎獄(ヘルフレア)を喰らう。しかし、何事もなかった様に、カリュブディスは悠然と空を泳ぐ。メガロドンは身体の大半を燃焼されたが、それでも、前のオーク達の様に灰燼と化すことはなかった。予想通りだ。いや、メガロドン1匹分が食べれなくなってしまった、流石にあの様子では焼き魚も無理だろう。

 

リムル「それじゃあ予定通り、分散させて各個撃破していくぞ!」

 

 皆はリムルの号令に従い、各部隊で1匹ずつメガロドンを請け負い、撃破を始める。あらかじめ、なるべく原型を留め、そして鮮度を保つ様に言っておいた。無論、全員で生きて撃破することが優先だがな。




食欲は魔王をも滅ぼす。
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