ミリムが去ってから、数ヶ月が経過した。特に問題もない、平穏な日々だ。そんなある日、魔王カリオンから使者が来た。
使者曰く、『互いの国から使節団を派遣し、国交を結ぶのが有益かどうか、見極めようではないか』だそうだ。
こちらからは、団長としてベニマル、その補佐としてリグル、その他ボブゴブリンが数名使節団としてユーラザニアに向かうことになった。
早朝、礼服に着替え、演説の準備をする。リムルから、
リムル「こういうのはお前のほうが得意だろ? 彼方からの使節団の対応はなるべく俺がやるから、頼んだ!」
と、丸投げされた。問題はないがな、今回の演説は、直接他の国の者へ話すわけではないからな。
そうして、皆が集まる広場にて、俺は壇上に上がり口を開く……。
ユレム「さて、ベニマル、今回の使節団派遣は、今後のテンペストの経済的繁栄、及び、精神的繁栄において、非常に重要性が高い。相手は魔王という、この世界への影響力が高い者が相手だ。特に、ユーラザニアは、弱き者は国にすら入れないという、武力重視の国家だ。故に、決して舐められることのない様にベニマルを選んだ。俺とリムルが選んだのだ。胸を張って行ってこい」
激励の言葉を述べる。
ベニマル「ハイッ!」
ベニマルもその言葉によって気合が入ったのか、大きく返事をした。
ユレム「そしてリグル、及び同行するボブゴブリン達よ、それはお前達にも言えることだ。決して舐められるな。自信を持って行け。
それと、多少の失敗は許そう。だが、最近は良くなったとはいえ、ベニマルは激昂すれば相手に手を挙げてしまう可能性がある。それでは、友誼を結ぶどころか、敵対する可能性がある。ベニマルの世話は任せたぞ?」
『ハイッ!』
ベニマル「耳が痛いな……」
ベニマルは説教をされる子供のような顔をしている。
ユレム「だが、相手に認められることが目的ではない。こちらも見定める目で行き、良い友誼が交わせるかどうか、お前達の目でしっかりと確かめてこい。吉報を待っている!」
そう締めくくる。すると溢れんばかりの大歓声が場を支配する。使節団の者達は真剣な顔で、しかし力みすぎず、適度な緊張感を持っているようだ。これなら安心だろう。
それから、ランガがベニマルの影に潜み、盛大に景気良く使節団は旅立った。
…………
リムル「なあ、ユレム……」
使節団を送った翌日、リムルから話をかけられる。
ユレム「どうした?」
リムル「いや、今度ドワルゴンに行くだろ? 今回も留守番してもらうことになるんだけど……」
ふむ、そんな事か?
ユレム「問題ない。お前が行っている時に使節団が来たら国主がいなくなってしまうしな」
一応、日程の調整は行なっているが万が一ということもある。
リムル「まあ……それは期間ずらしてるし大丈夫だと思うけど。その時俺、演説するんだけど……」
なるほど、それの確認か。
ユレム「自信がないのか?」
リムル「そういう事……。ユレムってこういうの得意だし、見てもらいたいんだ」
リムルが紙を差し出したので、内容を確認する。
ユレム「ふむ……」
数秒で読み終える。
リムル「どうだ?」
ユレム「短い。謙りすぎだ。情に訴えすぎる。の3点だな。総合すると10点だな。無論100点満点中の。良いところは本音が書いてあることくらいか」
リムル「随分辛口評価でございまして……」
言いたいことは悪くないのだがな?
ユレム「さて、改善点だが、
短いのは努力しかない……1500文字くらいにすれば問題なかろう。それなら5分は稼げる。
謙りすぎは簡単だな。敬語をなくせば問題あるまい。
問題は情に訴えすぎることだが、理想論を語るならば、必ず実現させると宣言せよ、『したい』ではなく、『してみせるから見ているが良い』と言うくらいの方が良いだろう、自信のあるものにしか民はついてこないぞ」
リムル「確かに…………ユレムってさ、俺より外交向いてないか?」
ふむ、そうか?
ユレム「それほど変わらぬだろう。俺とて、外交と言うものを前世ではまともに見たことがないからな。単なるイメージから語ってるだけだ。ああ、あと心理学を齧ったことがあったか……」
リムル「ふむ………ありがとな、ユレム! 助かった!」
ユレム「ああ、頑張れよ、リムル」
…………
獣王国の使節団の迎え入れは、最初こそ一波乱あったが、それ以降は大きな問題も無く、無事に終わることが出来た。ベニマル達も帰って来て、結果は上場だったそうだ。今のところはお互いに利のある関係が結べそうだ。
そんなある日、リムルがイングラシア王国へ向かうと言った。
ユレム「大方予想はつくが、何故だ?」
リムル「ああ、実は……」
どうやら、シズの心残りである、生徒達がイングラシアに居るようだ。その事についてリムルは夢を見たらしく、その夢では『時間が無い』と言っていたようだ。どれほどの猶予があるのか分からぬが、シズの魂の受肉はいくらでも時間をかけられるが、これに関してはなるべく早く対処しなければいけないだろう。それに、その生徒達を助ける――そもそもどのような危機なのか分からぬが――過程でシズの魂を呼び戻すのに使う精霊も準備できる可能性もある。
リムル「ユレムも行くか?」
ユレム「この町の皆ならば問題はないだろうが、流石に国主が2人とも国を開けるのは良いとは言えぬ。それに、俺の場合人間への変装もまだ完全とは言えぬ、魂は<
それに、イングラシアに行く過程で外交をできるやも知れぬ。
リムル「……分かった、俺がいない間、町は頼んだぞ」
ユレム「無論だ」
サブタイが外交なのにユレム君一切外交してない件。