ふむ、名指しか。さて、なにが目的だ……?
ユレム「テンペスト……と言うよりも、俺本人に用事があるのか」
俺は、その1団の先頭に立つ男に話をかける。この者は、この11人の中で特に危険な者、此奴はその強さは勿論だが、それ以上に、腰にある剣、あれは普通の剣だとは思わぬ方がよかろう。
???「ああ、我々の目的は、名目上は魔物の国、テンペストの視察が主な目的だが、同時にユレム=テンペスト本人の調査がある」
その目的を調査対象に言ってしまっては意味が無いのでは無いか? ただ、気になるのは……。
ユレム「なぜ俺だ? 俺は表舞台には立っておらぬ。普通に考えれば調査すべきはリムルのはずだが?」
???「それは、ユレム=テンペスト、お前の名が、我らが神と同じ名を持つからだ」
ほう?
ユレム「我らが神?」
ルミナス教は一神教では無かったか?
???「我らが父、ユレム、その存在は我々
八神騎士団……その神ユレムが秘匿されてるならば、八神騎士団も、別の形で他の者たちには伝えられているのだろう。
ユレム「お前はなぜ、そこまで俺に秘匿すべき情報を教える? 機密が漏洩するとは考えなかったのか?」
???「ああ、だが、その心配は無い。我々の今回の任務は、お前の調査、そして……
捕縛だ」
捕縛だと? 俺が神の名を名乗っていた為に不敬と捉えただけならば、捕縛を確定事項にはしないと思うが……やるとしても、事情聴取だのを挟むだろう。西方聖教会は魔物の敵と聞いたが、此奴らは多少話は分かりそうだからな。問答無用で連行というのも不思議な話だ。
ユレム「くはは、俺を捕縛だと? 笑わせるな、お前達に俺を倒せるとでも思っているのか?」
???「当たり前だ。もう既に、お前は包囲されている」
此奴の部下であろう10人が姿を消している。周囲を見回すと、俺の逃げ道を断つように位置どりをしている。無論、初めから逃げるつもりなどないが。
???「我が名はトウジ、
八神透慈……? ふむ、異世界人か。
…………。それにしても、昔の武士でもあるまいに。まあ良い、合わせてやるとしよう。
ユレム「我が名はユレム、ユレム=テンペスト。お前達を絶望させ、叩き潰して見せよう」
それを聞き、トウジは剣を抜く。すると、眩い光が漏れる。その光は、魔素を浄化する光、魔物に対して、圧倒的な特攻を持つ、いわば聖剣であった。その光を放つ刃は美しい純白であり、黄金に輝き、鍔の部分に青い宝石が埋まっている柄が付けられた長剣である。俺は、その見た目に覚えがあった。
ユレム「霊神人剣エヴァンスマナ……? しかも、本来の柄か……」
そう、あの霊神人剣エヴァンスマナだ。しかも、それは11章以降の本来の柄を取り戻した方だ。アニメの範囲では元の青い柄しか出ていなかったが、13巻(下)の表紙に描いてあったのを俺は覚えていた。
トウジ「……!? まさか、この霊神人剣を知っているだと……? お前、何者だ?」
ユレム「俺はユレム=テンペスト、それ以上でも以下でもない。1つ聞こう。お前はその剣に本当の意味で選ばれたのだな?」
この世界の霊神人剣がどのように持ち主を選ぶのかは知らぬ。だが、あの剣が本当に霊神人剣と同等の力を持つならば、多少苦戦するかもな。
トウジ「ああ、この剣を抜けるのは、俺だけだ」
……なるほど、ならば……。
ユレム「なるほど、では、始めるとしよう。<
剣を出したところで、獲物の力では圧倒的に劣る上、恐らく実践経験も相手の方があると思って良い。ならば、下手に剣を使うよりも強化した打撃で叩くほうが良いだろう。
トウジ「……! 速い……だが、<
深層魔法だと? いや、驚いている暇はないか。俺はトウジの斬撃を躱し、距離を取る。が、俺を囲む騎士達が襲いかかる。
ユレム「……<
近づいてきた者は吹き飛ばす。そこそこの火力を出したが、大きな傷にはなっていない者が多そうだ。やはり、霊神人剣の影響か思ったような火力は出せぬな。それに、恐らく霊神人剣は掠っただけで、致命傷とはいかずとも、俺の精神体にそこそこのダメージが入るだろうな。とはいえ、今使える魔法では決定打にはならぬだろう。
トウジ「上手く手が出せないな……だが、勝てない相手ではない! 行くぞ!」
八神騎士団の者達が連携して襲いかかる。魔法は……大した効果は出せぬだろうな。ならば、物理攻めるほかない。騎士の剣を持つ手を蹴り上げ、剣を奪い取り、薙ぎ払う。
トウジ「近接戦闘も出来るのか……ユレム=テンペスト、俺はお前を侮っていた。ここからは、本気だ!
<
騎士達の希望が魔力に変えられる。<
トウジ「【
俺とトウジだけを含んだ結界が展開される。その空間内の魔素が浄化される、それでは俺もまともに魔法が扱えぬ。さて、どうしたものか?
ユレム「なるほど、俺を弱体化させるか、だが、1対1ならば俺に分があるぞ?」
そうは言ったが、<
トウジ「そうかもな、お前は強い。これだけ力を削いでも、恐らく正面から戦えば俺が負ける。だが、次の一撃、僕の全てを出し尽くせば!」
ほう? まさか、<
『告、強大なエネルギーを感知、
発生源確認……成功しました。
発生源は個体名トウジ=ヤガミ。
原因解明……成功しました。
ユニークスキル【
全身全霊、【大教授】曰く、自身の全エネルギーを集約し、1撃に込める。その結果、使用後1時間動くことさえできなくなる。普通に避ければ問題ないが、【大教授】の予測ではその最高速度は光速を超える。弱体化した俺では、来ると分かっていても回避は困難を極めるだろう。ならば……
トウジ「!? まさか、正面から受ける気か!」
クロベエ作の刀を出す。<
今の俺に出来る対抗策がコレだ。避けるよりはまだマシだろう。
トウジ「………………ッ!!!」
トウジが地を蹴る。霊神人剣が振るわれる先には、俺の刀がある。
刹那、2つの刃は交差する……。
トウジの強さ的には、現時点のリムルよりは強いです。ただ、ヒナタと比べると、スキル、頭の回転の速さ、戦闘技術などは劣っています。なので、
リムル<トウジ<ヒナタ≦ユレムという感じですかね。
ただ、トウジの場合霊神人剣があるので、そこである程度は日向との実力差が埋められています。