門をくぐり、先へ進むと会場に出る。そこには円卓がある。12席あり、10名の魔王とリムルで1席……ああいや、カリオンが行方不明と言っていたか? となると2席余るわけだ。すでに何名か座っているな。妖艶な赤髪の男……体つきで男と分かるが、そこを考慮しなければ男女の判別がつきずらいな、あれがギィ、最強最古の魔王。それと金色に輝く妖精、ラミリスだったか。バース以上の大きさの巨人、ダグリュール。そして、末席にリムルが座っている。
ロイがラミリスの隣に座る。すると、リムルがこちらを見る。解析をしているのか。
『告、複数の者に解析鑑定を行われましたが、【スキル耐性】により
ふむ、確かルミナスの話だと、古参の魔王は2000年前の俺を知っている者も居るらしい。その者が気づいたか? 見たところリムルにはバレてはいないようだな。それにしても、リムルも前より遥かに強くなっているな。魔王に覚醒したんだったか、魔素量は前の10倍以上に跳ね上がっている……いや、リムルにヴェルドラの存在を感じない……? そうか、【大賢者】が進化したのか、それにより演算能力が向上し、【無限牢獄】の解析の時間を大幅に短縮できた……大方そんなところか。
そうしていると、他の魔王たちも集まってくる。やはり各々がかなりの実力を有している。金髪の魔王、レオンがリムルと何やら話をしていたな……シズ関連だろうが、何を話していたのだろうか? ふむ、ダグリュールの隣が空いているな。カリオンか? いや、それとは別で空いている席がある。まあ良い。すると、最後にクレイマンがミリムを連れて現れる。ふむ、操られているようには見えないが……。
『解、個体名:ミリム=ナーヴァに対する呪法を解析……呪法は確認できませんでした。個体名:ミリム=ナーヴァは、呪いやスキルによる干渉は受けていないものと推測』
やはりか……するとクレイマンが口を開く。
クレイマン「さっさと歩けッ! このウスノロがァ!」
ミリムに対して怒鳴りつけ、ミリムの頬を殴ったのだ。それを見て、会場の者の殆どが目を見開く。ルミナスでさえ驚きで目を見開いている。他にも周囲を見回すと、クレイマンを睨みつける者も何人かいる。リムルもその1人だ。
まったく、クレイマンも馬鹿なことをする。自身の力を示したつもりだろうが、あれではただ他の魔王のヘイトを買っただけだ。さらにはミリムの支配も出来ていないときた。このまま見ていれば勝手に滅びゆくだろう。
そうこうしたいると、
ユレム「(まったく、寝てもいいだろう。どうせ仮面でバレはせぬ)」
ルミナス「(阿呆、そう簡単にこの魔王たちの目を誤魔化せたら苦労せんわ)」
<
さて、リムルが動いたな。リムルが出した映像には、オークロードの時のゲルミュットから、今までの事変が映し出された。そして、リベリオ達に向かわせた戦の地で、クレイマンの配下がカリュブディスとなり、それをバースが封じていた。何をやっている……? わざわざベニマルの攻撃を邪魔してまで……。
少々呆れていると、シオンとランガにリムルが、クレイマンの配下たちとミリムを相手に戦うことになっており、円卓は消えていた。リムルが食ったか? リムルが数的不利を悟りラミリス配下の悪魔を呼ぶが、ギィの作った結界により分断される。そうして戦闘が開始するが、ミリムの存在が大きいな、それによりシオンがクレイマンと人形を同時に相手している。ミリムがいない、又はミリムの代わりに別でもう少し弱い者が出てきていたならば、戦況は遥かに変わっていただろう。
そんな中、ラミリス配下の悪魔がギィを説得し、戦いに参戦する。数的不利は無くなったが、やはりリムルにミリム相手は難しいか、苦戦中である。だが、打開策として、おそらく【
筈だった。
???「グアああああ!!!! な、なんだ!? いきなり酷いではないか!」
突如現れたそれは、金髪に褐色の肌、そしてどことなくリムルの面影を感じさせる男だった。もしや……?
リムル「おいヴェルドラ、何でここに出てきたんだ!?」
やはり、ヴェルドラか、ふとルミナスの方へ目をやると、驚き半分に怒り半分という表情で目を見開いている。
どうやら、ヴェルドラがここにきた理由は、マンガがいいところで終わっていたからだそうだ。気持ちはわかるが……。まあ良い、そこからはミリムの相手をヴェルドラが行う事で形勢を逆転させた。
ミリム「なんでそんな事をする必要があるのだ? リムル達は友達なのだぞ?」
やはり、操られてはいなかったようだ。一安心したところで、俺はあることを思い出す。
ユレム「そういえば、トウジに剣を折られたままだった、用意せねばな……」
<
ふむ、俺が思案している間に、なにやら色々進んでいるようだ。カリオンの変装も解けている。ミリムも、以前にリムルがプレゼントしたドラゴンナックルをつけている。獣王国の復興の目処もたった所で、クレイマンに最期の刻が近づきつつあった。
突如、クレイマンから膨大な魔素が溢れ出す。クレイマンは進化した、真なる魔王では無いが、多くの魂を魔素に変換した事により、魔王種を超え得る存在に。しかし、それでもリムルには届かない。抵抗虚しく地に伏した、そうして、リムルによって魂ごと喰われる……。が、
俺は<
リムル「……?」
リムルも若干訝しんでいるように見える。あとギィにも見られている。が、すぐに目線を戻し、リムルが魔王になることを認めた。各々が感想を述べる中「ロイが下賎なスライムなどが……」と言うとヴェルドラがこちらに移動してくる。
ヴェルドラ「ほう、下郎、我が友を侮辱するか? おいミルスにユレムよ、従者の躾がなっておらんぞ。我が教育してやろうか?」
ルミナスの顔が若干引き攣ったようになるが、すぐに氷のような無表情になる。あとミルスとは誰だ。
ルミナス「何の話でしょう? 私は魔王ヴァレンタイン様の忠実なる侍女であり、こちらは執事ですが?」
俺が変なことを口走る前にと思ったのか、ルミナスが俺の事もフォローする。
ミリム「おいダメだぞ! バレンタインは正体を隠していて、恐らくユレムの存在も秘匿しているのだ。ヴェルドラよ、それを言ってはダメなのだ!」
その、言ってはダメな事をミリムは自身の口で言っているわけだが……。ルミナスから黒い妖気がドッと溢れる。
ルミナス「チッ、忌々しい邪竜め、どこまでも妾の邪魔をするか……。それに貴様、妾の名まで忘れたか。本当に、人を苛つかせるのが上手いものよ。ユレム、もう良い」
ユレム「そのようだな」
俺は仮面を外し、刹那のうちに普段の服へ着替える。
ユレム「久しいな、リムル。それと正しくは、ミルスでは無い。ルミナスだ」
リムルがこちらを見つめる。
リムル「ユレム! 良かった、無事だったんだな……!」
ユレム「ああ、すまぬな、心配をかけた。街の皆は元気か?」
リムル「ああ。だけど、皆んなユレムのことを心配してる。この
リムルの言葉に頷く。
その後、ロイが戻り、カザリームのことやカリオンとフレイの魔王の席の返却があった。するとルミナスがこんなことを口走った。
ルミナス「ユレム、お主魔王にならぬか? いや、正確には魔王に復帰せぬか? どこぞの邪竜のせいで元の計画は白紙になったが、お主が魔王となり、妾と同盟を組めば、元の計画の代わりにはなる」
なるほど、先の約束の代わりか。俺としては構わぬが……。
ギィ「俺は構わないぞ? あのユレムが復帰するとなりゃ、俺としても面白い」
ミリム「ワタシも賛成だぞ!」
ギィ、ミリムに続き、主に古参魔王の受諾を得て、トントン拍子で俺が魔王になる。
リムル「待ってくれ! 復帰ってなんだ? それじゃ、ユレムが昔に魔王だったみたいな言い草じゃ無いか!」
ユレム「リムル、お前は知らなかったな。俺も最近知った話だが、2000年前、ユレムの名を持つ魔王がいたらしい。その者が、俺と同じ魔法を使っていた。何かしらの理由で転生したのだろう。そうしてお前と出逢った」
リムルは驚きを隠せないようだ。それもそうだろう。
リムル「そうか……」
少々納得のいかない様子だな。まあ、仕方ないだろう。
ユレム「とはいえ、俺とお前の関係は変わらぬ」
俺は、ギィの配下のメイドに案内され、空いていたダグリュールの席の隣の席に座った。すると、ふとリムルがこんなことを言う。
リムル「そうか、もう十大魔王じゃなくなったのか」
その言葉に魔王達がぴくりと動く。
ダグリュール「困ったな、威厳的な問題で、また新たな名称を考えねばなるまいよ……」
ルミナス「幸いにも、いまは魔王たちの宴の最中、ここに全魔王が揃っているのだし、よい知恵も浮かぶと言うものよ」
何を言っているんだこの者どもは……と考えていたが、どうやら魔王の人数がよく移り変わり、弱いものから死んでいく為、気づいた時には既に魔王の上限は10人となっていたらしい。また、人数が変わるたびに名称を変えるが、なかなか決まらず、何度も
ラミリスが「九大魔王」と言いかけると、無言の圧力でかき消される。身勝手どもめ……。ギィの一言で協調性を見せるかと思えば、一瞬で崩れ去る。そんな中、ヴェルドラがリムルに話を振る。たしかに、いままでに何万体もの魔物に名前をつけてきたが、途中からナンバーをつけ始めたからな。だが、実際真面目につけた者に関してはなかなかネーミングセンスは高い。ラミリスなども賛同し、リムルが決めることとなった。何やらギィが囁いていたが、気にしないほうが得だろう。
暫くリムルが思案する。
「"
反対は無さそうだ。そうして、新たな魔王の呼び名が決定した。
それは
以上だ。俺の支配地はデルゾゲード周辺だそうだ。
…………
時は遡る
魔王たちの宴の会場に入った俺は、そこにいる者たちの解析を行う。だが、1人だけ何も分からなかった奴がいた。ソイツは、黒いロングコートを着て、怪しげな仮面をつけており、ヴァレンタインの後ろに立っていたことから配下だとわかる。ソイツに関しては、解析を行なっても抵抗される。妖気も完璧に抑えてるし、何も分からなすぎて怪しげな奴だった。
【
『告、クレイマンの
なんだと? となると、元々と同じ程度の力で、生き返る可能性があるってことか……?
あの怪しい男、ユレムだった。良かった……。でも、2000年前にユレムがいた……? どう言うことだよ。それに同じ魔王か、ところで、ユレムには二つ名的なのあるのに、俺だけ無い……。
暴虐の魔王のルビ考えるのも色々悩みまくりました。直前まで、
以上、制作裏話でした。ほかにも話すことがあったら後書きに書くかもです。
【スキル耐性】自身へのスキルを自動で