転生したら暴虐の魔王になれそうな件   作:デントウ

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成長者

 ユレムが居ないが、問題は無い。もともとこの戦いには手出しさせるつもりはなかった。

 

リムル「いくぞ、ヒナタ……」

 

ヒナタ「ええ……」

 

 新星(リムル)聖人(ヒナタ)の剣が交差する。

 

…………時を同じくして…………

 

 【魔眼】にて視るが、秘匿力が増しているな。

 

ユレム「1ヶ月と少しで、随分腕を上げたようだな?」

 

トウジ「ああ。以前のようには行かないぞ?」

 

 そう言いながら、トウジは霊神人剣を抜く。その聖なる光は、以前のように俺を弱体化させようと煌々と力を強めるが、そう簡単には行かぬ。俺とて成長する。以前よりも圧倒的に、あの光への耐性がついた。今の俺には、光程度では効果を示さない。

 

トウジ「流石に、以前のような効果はなさそうか」

 

 それくらいは想定済みだったようで、特に焦る様子もなく、こちらに向かってくる。間合に入った瞬間に、残像が見えるほどの速度での連続突き、それにより多少重心がズレたところへ足払いをされるが、飛び上がって顔面へ膝蹴りを入れる。

 

トウジ「……! くっ……」

 

 なんだ? 違和感を感じるな。

 

ユレム「<獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)>」

 

 魔法術式を100門描き、魔力を込めて行使する。黒き太陽がトウジを襲うが……。

 

トウジ「概念切断……!」

 

 <獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)>が術式ごと破壊される。そういうスキルか? ただ切っただけには見えぬ。

 

ユレム「そういえば、最近新しい魔法を覚えてな」

 

 術式を描く。

 

ユレム「<魔炎(グレガ)><魔氷(シェイド)>、<深印(ドラム)>……<深魔氷魔炎相克波(ジェ・グレイド)>」

 

 闇を秘めた炎と魔を宿した氷が交わる。銀に輝く炎と氷の魔法波は、容赦なくトウジを襲う。トウジも先ほどと同じように魔法術式を切る。が……。

 

ユレム「<深源死殺(ベブズド)>」

 

 魂に干渉可能な漆黒に染まった拳にて、トウジの土手っ腹を殴る。

 

トウジ「ぐぅ……。が!? あ゛ぁ゛……」

 

 やはりおかしい。ダメージ以上に痛みを感じているのか?

 

トウジ「はあ……今度は切る……!」

 

 剣を構える。霊神人剣、下手に触ればどれだけダメージを喰らうかわからぬ。折れるやもしれぬが、使うか。

 

ユレム「傀儡剣クレイマン」

 

 収納魔法から取り出す。クレイマンの等級は、特質級(ユニーク)上位、使い続ければ、いずれ伝説級(レジェンド)になるだろう。流石に魔王だっただけはあるな。

 

 お互いが振り抜き、剣が交差する。剣の性能で若干押されるが、身体能力で押し返す。が、トウジの力が急激に強くなり、弾かれる。

 

トウジ「……隙あり……!」

 

 予想外に弾かれたため、隙を作ってしまった。その隙を当時は見逃さない。的確に急所を狙い突く。だが、トウジの剣速ならば、ギリギリ……。

 

ユレム「……なに?」

 

 急所は外せたが、霊神人剣が突き刺さる。それだけでも、魂へかなりダメージが入った。

 

 不自然な身体能力の増加、急速な剣速の上昇。さらに、最初の剣よりも遥かに、無駄な動きが少なかった。無論、元々極まった使い手だったが、それ以上に、重心のブレや癖だったであろう、必要以上の力の入れ方が、一目瞭然というほどに変わった。これ程すぐに剣が変わるなど普通はありえぬ。

 

 もう一度、本気で解析してみるか。【魔眼】に【薫陶之王(ミネルヴァ)】の補助をつけ、再度解析する。

 

抵抗(レジスト)の突破……

成功しました。スキルが以前の【不屈者(クジケヌモノ)】に加え、ユニークスキル【断絶者(タチキルモノ)】と【成長者(ノビルモノ)】を獲得しています』

 

 【断絶者(タチキルモノ)】に【成長者(ノビルモノ)】……か、この短時間で2つもユニークスキルを獲得するとは、驚いたな。

 

トウジ「今……抵抗(レジスト)を破られたな、ということは、このスキルのことも見られたのか」

 

ユレム「ふむ、分かるのだな?」

 

 【大教授】や【大賢者】のようなスキルもないだろうに、よく分かるものだな。

 

トウジ「ああ、昔から、魂のことには敏感でな」

 

 ふむ……まあ良い。一先ず、解析の結果だが……

 【断絶者(タチキルモノ)】は、魔法やスキルを断ち切り、破壊するスキルだ。そして【成長者(ノビルモノ)】は、自身の行動の悪癖や修正点を、魂から改竄・修正するスキル、さらに、同等か格上との戦闘では自身のあらゆる能力をが向上し続けるという、厄介なスキルだ。だがその代償として……。

 

トウジ「……ぐっ、がぁ……!」

 

 魂へ耐え難いほどの痛みが伴う。勿論、自身が発動させている間以外は、痛みも走らぬ……これを知って尚、使い続けるものなど居ないだろう。この男以外はな。今も、恐らく解析に対する抵抗(レジスト)能力を修正しているのだろう。それに、上昇する能力には、魔力量や魔力の操作能力なども入る。

 

ユレム「だが、解せんな、自身と同等、または格上との戦闘中は常に能力が上がり続ける。だから、常にかなりの痛みが走り続ける。だが、お前にはその素振りがないな?」

 

 そう言うと、トウジはフッと笑う。

 

トウジ「それくらいの痛み、とっくに慣れた」

 

ユレム「くはは、全くなかなかどうして、勇者だな」

 

 聞きたいことは聞いたので、再度構える。




トウジ君には、流石に根源を7つ持たせるのもアレだなと思ったので、激痛が走るスキルを獲得してもらいました。
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