転生したら暴虐の魔王になれそうな件   作:デントウ

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勇者の称号

 先ほどの攻撃で、霊神人剣の力が直接身体に流された。無論、まだ余裕はあるが、次まともに喰らえば命に指がかかりかねん。それと、少々身体が動かしずらいが、魔力は問題ないな。

 

『告、使用可能な魔法文字が追加されました』

 

 魔法文字の情報が送られる。コレは……使えそうだな。だが、問題はトウジの成長性だ。時間をかければかけるほど強くなる。先程からも、更に右肩上がりに強くなり続けている。

 

トウジ「さっきまでよりも、全然対応できる。これなら……勝てる……!」

 

ユレム「そう簡単に勝ちを譲るほど、俺は甘く無い」

 

 <獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)>を乱射する。一部明後日の方向へ飛ばしたが……。トウジの間合いに入ったものは全て断ち切られる。まあ、それは予想通りだ。

 

ユレム「<獄炎鎖縛魔法陣(ゾーラ・エ・ディプト)>」

 

 空中で、しかもトウジの間合いで複数描かれた、<獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)>の炎を媒介とした魔法術式、黒き太陽の鎖がトウジを包囲する。が、1箇所、逃げ道を作っておいた。鎖を斬られたらと思うが、だとしても俺の方が早く動ける。ならば、罠だと分かっていても、それに敢えて嵌ることで対処可能だと動くだろう。そもそも逃げ道に気づかなければ、それまでだが。

 

 予想通り、逃げ道から脱出を図る。そこを狙う。

 

ユレム「<雷界滅電陣(ギル・デモリア)>」

 

 傀儡剣に黒き雷を纏わせ、切り掛かる。

 

トウジ「そう来るだろうなッ! 」

 

 勿論、それは分かっていただろうな。だからこその、明後日の方向へ飛んだ<獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)>だ、それらは空中で爆ぜさせ、それでもう幾つかの<獄炎鎖縛魔法陣(ゾーラ・エ・ディプト)>を描いておいた。

 

トウジ「……!?」

 

 トウジは黒き炎の鎖がトウジの動きを止める。

 

トウジ「ぐぅ、ああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 トウジの力が急速に成長する。【成長者】が持ち主の危機を打破するため、その権能を強める。トウジの際限なき力により、<獄炎鎖縛魔法陣(ゾーラ・エ・ディプト)>が破壊される。

 すると、目にも留まらぬ速度でトウジが近づく。これは……少し予想外の成長度だな。霊神人剣の刃が、目前へと迫る。避けられぬか。

 

トウジ「……!?」

 

 霊神人剣が止められる。それは、高い密度を持つ黒きオーロラ。

 

ユレム「<四界牆壁(ベノ・イエヴン)>だ。存外、即興でもなんとかなるものだな」

 

 先程使えるようになった魔法文字、それを利用し、今作り上げた。ただ、魔力効率が悪い。おそらく、デルゾゲードを覆うように出せば、全体の魔力の1割は削られるだろう。こんなもので世界を4つに分ければ、俺1人で足りないだろう。今の2倍あってもおそらく無理だ。

 

トウジ「……まだ、全力を出していないな?」

 

 ふむ。

 

ユレム「何のことだ? 十分本気でやっているが」

 

トウジ「ああ、確かに本気ではやっている。だが、出す手を制限しているだろう? 大方、1つ切り札を隠していると言ったところか」

 

 何故わかる……いや、経験か。確かに、まだ使っていない手はあるが。

 

ユレム「……ああ、いいだろう。使ってやるが、次の攻撃を乗り切ってみせよ」

 

 トウジが剣を構える。それを見て、俺も攻撃を開始する。

 

ユレム「<波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)>」

 

 可能性の俺を10人程度作り出し、ある魔法を発動させる。

 

ユレム「<闇矢(エイル)><光矢(セイル)>……<混沌矢(テイル)>」

 

 光と闇が混ざり合い、形容し難い見た目となった矢がトウジ目掛けて放たれる。融合魔法<混沌矢(テイル)>闇の引力と光の発散が混ざり合い、触れるものを全て消滅させて進む。規模を大きくすればメドローアになる。放たれる相手からすれば、死の雨だろう。おそらく、【断絶者】と霊神人剣ならば斬れぬ事はないだろうが、全て斬るのは現実的とは言えぬな。

 

トウジ「この程度か!」

 

 初めは避けるのに集中していたようだが、慣れてきたようで、避けながら近づいてきた。

 

ユレム「これでくたばって貰っては、俺が困る。<圧死領域(アジャイサ)>」

 

 <混沌矢(テイル)>によって開けられた地面の穴がつながり、線となる。その線は1つの魔法陣を描いている。<圧死領域(アジャイサ)>、結界を作り出し、その結界を縮める事で、中の存在を圧死させる。

 

ユレム「さて、どう生き残る?」

 

 結界に一筋の切れ目ができる。ふむ、思っていたよりも力づくだな。それに、意外だ、内側からの攻撃にはかなり強くしたはずだが……。

 

トウジ「お前の手は、全て斬ったぞ!」

 

 さて、

 

ユレム「結界から出たからと言って、安全だとでも思ったか?」

 

 全方向から、<混沌矢(テイル)>が同時に襲いかかる。

 

トウジ「そんな……!?」

 

 自身に迫る矢を見て、彼は何を思ったのだろうか? 俺には分からぬ。だが、それはきっと、お前の更なる成長を見出すための必要な1手のはずだ。

 

トウジ「霊神人剣、秘奥が壱…――」

 

 トウジの魔力が消える。【魔眼】にも映らぬ、なるほど、そう来たか。

 

トウジ「――<天牙刃断(てんがはだん)>」

 

 無数の光の剣閃により、<波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)>によって作り出された可能性の俺が一呼吸の間に全て滅ぼされる。

 

ユレム「流石だ、認めよう。トウジ、正真正銘、お前は"勇者"だ。故に、俺の最後の武器を使う。言っておくが、手加減はできぬ、死ぬ気で耐え切れ、でなければ滅ぶと思え」

 

トウジ「ああ、勿論だ。お前の全力に、俺は打ち勝つ!」

 

 それを聞き、俺はフッと笑う。そして……

 

ユレム「来い、<理滅剣(ヴェヌズドノア)>」




光矢(セイル)
 光の矢を放つ魔法。着弾地点で弾けて、小さな穴が開く。破裂の威力は込める魔力(矢の大きさ)に比例する。

闇矢(エイル)
 闇の矢を放つ魔法。着弾した際に周囲のものを引き寄せるので、土などに当てた場合、着弾地点に土が引き寄せられる。引力の大きさは込める魔力(矢の大きさ)に比例する。

混沌矢(テイル)
 闇と光が混ざり合った矢を放つ魔法。触れるものを全て消し去る。魔力を多く込めれば、大きくなり、メドローアや虚式「茈」の様な光景を作り出せる。原理的にもそこそこ似てる。

圧死領域(アジャイサ)
 自動で縮んでいく結界を作り出す。外からの干渉は簡単だが、内側から破壊するのは困難。あれ? 領域展k……何でもありません。

 ちなみに、作者は呪術廻戦は結構好きです。予告しておくと、領域展開みたいな魔法を出す予定があります。今回の<圧死領域(アジャイサ)>もそうですが。詳細はまだ秘密ですし、クロスオーバーにするほどでもないですが「ん? これ、領域展開みたいやなぁ」と思う程度のものが。
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