恢復のクインテット   作:ブラック5930

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序章『Misanthropy Inferno』編
第1話「煉獄」


 

——暗く

 

——暗く

 

——深い闇の底で

 

 

響く声が聞こえる

 

 

『可哀想にねえ。

まだあんなに小さいのに……』

 

『これからどうするんだ。

私達の誰かがあの子を引き取ってやらないと』

 

 

『うう……

⬛︎⬛︎⬛︎さん……どうして逝ってしまわれたのですか…

私よりも早く…あまりにも……』

 

 

『事故……そんなアホな。

あなたに限ってそんなことがある訳がない。

あなたはこれからも、世界を照らし続けるべき存在だった……その筈なのに…!』

 

 

鼻につくような香の匂いが漂い

 

灰の香りと混ざり合って場を支配する

 

 

『あの子、泣いていないわ』

 

『気丈な子だ。

だが、親の死に目に泣く事が出来ないとは…

先が思いやられるようだ』

 

 

蝋燭の火が揺らめく

 

炎が舐めるように広がる光景を焼き尽くし

 

違う景色が浮かぶ

 

 

 

 

 

『人殺し!!』

 

『出てこい、ぶっ殺してやる!!』

 

『割れてんだよ、てめぇの場所は!

何人特定班いると思ってんだ、バカが。

とっくにお見通しなんだよ』

 

『隠れてられんのも今のうちだぞ?』

 

 

外から響く大きな声に、耳を塞ぐ小さな少年を

 

大きな腕が包み込む

 

 

『⬛︎くん。

気にすることはないよ。

ただの逆恨み、ヒーロー気取りの偽善者共の言葉なんてね。

君は人を殺してなんていない。

そうだろう?』

 

『そうよ、⬛︎。

あなたは悪くないの。

だから隠れていなさい。私達が何とかするから』

 

 

頷く少年の姿が炎に包まれる

 

再び景色が移り変わり、夜の屋内の様子が浮かぶ

 

少年は目を覚まし、廊下に出る

 

用を足す為に歩き、襖越しに漏れてくる声に足を止めた

 

少年は耳を澄ませる

 

 

 

 

 

『もう限界よ、あなた。

いつまであんなお荷物をおいておくつもり?

私、もう耐えられないわ』

 

『……そうは言ってもだな。

私達にも立場というものがある。

⬛︎⬛︎家の血縁者は多い。

ここらで私達が恩を売っておかねば、後々不都合になるだろう』

 

『ガキ一人くらい何だってのよ。

適当に言いくるめて⬛︎⬛︎だけ頂けばいいでしょ』

 

『君の悪いところはそういうところだ。

もっと考えたまえ。

⬛︎を納得させたとしても、他の血縁者が邪魔をするに決まっているだろう。

…正義屋共は警察に通報すれば済む話だ。

今の手間よりも、先々の利益を考えねばね』

 

 

少年は揺れるようにして、フラフラと襖から離れる

 

足音を殺して去るその景色を炎が舐め取る

 

再び、景色が切り替わる

 

 

 

 

 

雷鳴が轟く

 

一軒家の屋内にて

 

響く雷の音に少年は身を縮ませた

 

日中から空を覆う分厚い雲が外の景色を夜のように暗く染め

 

黒雲からは稲妻が煌めく

 

 

『…停電しないといいけど』

 

 

呟きを漏らす少年は立ち上がり、居間と廊下を繋ぐ扉に手をかけて

 

 

『———っ!』

 

 

煌めく稲光、轟く雷鳴

 

一際強く聞こえた落雷の音に身を震わせて

 

思わず振り返った少年は

 

 

『え………?』

 

 

稲光に照らされて

 

居間の出入り口と役割を一体化した大きな窓に

 

大きな影が手を振り上げて立っているのを見てしまった

 

 

『うわあっ!?』

 

 

影がその手を振り下ろすと同時に

 

けたたましい音が鳴り響き

 

飛来するガラス片が少年の頬を切り裂いた

 

 

垂れる血など今の少年に気にする余裕はない

 

窓が叩き割られ、ガラス片が散乱する非現実な光景に呆然と立ちすくみ

 

 

そんな少年を嘲笑うようにけたたましい笑い声が響く

 

 

『バーハッハッハッハッハ!!!

やってやったぞ!!』

 

『おいおい、通報不可避だぜこんなんw

お?ちゃんと情報通りいるな』

 

『でもガキ一人か?

面倒くせぇのが付いてる筈だが……

まぁ丁度いいや、運が良かったな』

 

 

『え?は……?』

 

 

割れたガラス片を踏み締めて

 

土足で室内に上がり込む大柄な男

 

その後に続くように何人もの男がぞろぞろと室内へと踏み入っていく

 

 

状況を呑み込めず、困惑する少年に

 

顔を歪ませ、笑みを浮かべた男達が迫る

 

 

『よお、おチビちゃん。

約束通り会いにきてやったぜ?』

 

『や、約束……?』

 

『なんだ?毎日送ってやっただろ?

俺達の心よりの気持ちを込めた手紙をさ』

 

『………あ』

 

 

思い当たり、少年の顔が恐怖で歪む

 

男達の下品な笑い声が響く中、力が抜けて座り込んでいた少年は、扉に手を伸ばし

 

 

『———!』

 

『おっと、連れない真似はするなよ』

 

 

足を掴まれ、引き倒される

 

 

『い、いやだ!やめろっ!』

 

『いって……コイツ……!

おい⬛︎⬛︎!!スマホ向けろ、撮り逃すんじゃねぇぞ!』

 

『そんなキレんなよ⬛︎⬛︎。

ガキに蹴られたくらいでマジになっちまってさ。

まぁ任せとけ、世紀の瞬間だ。

⬛︎さんの敵討ちとくりゃ、俺達も明日は有名人だなぁ』

 

『しっかり撮っとけよ!

後から撮れてませんでした、じゃ殺すのはてめぇの方になるぞ』

 

『バーカ!そんなヘマしねぇよ。

おら、さっさと始めろよ。

てめぇがまずは一発、俺らはそれからだろ』

 

『それもそうか。

おい、バットよこせ』

 

 

暴れる少年を抑え付け

 

男は仲間から鉄の棒を受け取る

 

 

恐怖に歪む少年と視線がかち合い

 

男が笑みを深めれば、堪らずに少年は叫ぶ

 

 

『お、おまえら…何なんだよ!?

やめろ、やめろよっ!やめてくれ!!』

 

『やめろと言われてやめる奴はいねぇよ。

あの世で⬛︎さんに土下座しな、親殺し』

 

 

男はバットを振り上げ

 

思い付いたように言葉を続ける

 

 

『何か……そうだな、アレだわ。

そうそう、俺達は……

()()()()()だよ』

 

 

言葉と共に、金属製のバットが振り下ろされる

 

棒は吸い込まれるように少年の額を捉え———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞼を開く

 

薄暗い部屋で鳴り響くアラームを

 

拳を叩き付けて止め、男は身を起こす

 

 

荒れ放題の部屋

 

カーテンは締め切られ、陽の光を通さぬ部屋は照明も消えており、暗闇に包まれている

 

滅茶苦茶に散らばった楽譜や

 

幾つものファイルを踏み付けて寝台から身を起こした男は、握り締めていたモノが床に転がった事で足を止める

 

 

鉄製の器具

 

俗にいう楽譜スタンドというそれは、滅茶苦茶に歪み折り曲げられ、一塊の鉄の棒切れと成り果てていた

 

それを再度掴み上げ、バットを担ぐようにして肩へと乗せた男は、部屋を出て()()を始める

 

 

「…………」

 

 

2階から1階に掛けて、部屋の隅々まで見逃す事なく見回りを終えた男は

 

ようやく満足したようにスマホを取り出し、時刻を確認すると

 

素早く身支度を始める

 

制服に袖を通し、中も確認せずに鞄を片手で持ち上げ、扉を開けようとして

 

男はもう片方の手に持った棒を思い出したかのように見つめる

 

 

「………」

 

 

暫くの沈黙の後、無造作に後方へと棒を放ると

 

そのまま外へと続く扉を開いた

 

 

ナニカに激突し、モノが壊れる音が盛大に響いても男が振り向く事はない

 

乱雑に閉められたドアから鍵のかかる音が響く

 

室内と外を繋ぐその扉は、外側から大きくへこむように歪んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8:20 AM

 

 

都内某所

 

東京都立神山高等学校

 

共学生のありふれた高校であるその場所は

 

朝の喧騒に包まれていた

 

 

「昨日の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎見たか?

あれマジやべーよな!すげぇー!って声出たよ」

 

「中々できないよな、ああいうの。

芸能人魂っていうの?やっぱプロはちげぇや」

 

 

「やっべ、課題やり忘れた。

すまん⬛︎⬛︎、見せてくんね?」

 

「しょーがねぇなぁ。

じゃあ代わりに今日の昼おごりな?」

 

「勘弁してくれよ!

最近金ねーんだって!今月もギリギリなんだ」

 

 

登校した生徒達が入り混じり、駄弁り

 

他愛もない話に花を咲かせている早朝の廊下にて

 

 

「…おい、やべーぞ!!!」

 

 

息を切らせて走ってきた一人の生徒の声が喧騒を切り裂いた

 

 

「な、なんだ?」

 

「どうした⬛︎⬛︎、そんなに慌てて。

あっ、さてはこの間のが先生にバレたか?」

 

「おいおい、オレ達まで巻き込むんじゃねぇよw」

 

 

「——違う!そんなんじゃねぇ!!」

 

 

半笑いの級友達の言葉を、切り捨てる

 

尋常ではないその様子に次第に周囲も心配の色を覗かせ始める

 

 

「なんだよ……本当にどうした?」

 

「はぁ…..はぁ……

みんな、聞いてくれ。()()()が来た」

 

「アイツ?」

 

「おい待てよ、まさか」

 

「…そのまさかだ」

 

 

「氷室だ、アイツが向かってきてる。

さっき校門のとこで見かけた!」

 

「な———」

 

 

瞬間、騒めく

 

その名前に生徒達は強い反応を示す

 

 

「う、嘘だろ?退学になったんじゃ…」

 

「ああ、その筈だが…

先生も止めちゃいねぇ。

留年の次は退学だのと散々騒がれた癖にだ」

 

「ふざけんなよ…

そんなバカな。あれだけ派手にやって、

おかしいじゃねぇか」

 

 

 

「———おい」

 

 

 

「は?なんだ今は———

って……おま……っ!ひ、氷室………!」

 

 

いつの間にか静まり返った辺りに

 

響いた声に振り返り、生徒は固まる

 

 

生徒の背後に立っていたのは、同じく神高の制服に身を包んだ男

 

しかし、まず目を引くのはその身長

 

おおよそ1年の枠には決して収まり切らない周りよりも一回り、どころか二回りも大きく

 

高い身長のせいで、見下ろすような形になっている

 

 

そのボサボサに乱れた男性にしては異様に長い黒髪と

 

影の落ちた顔に唯一輝く赤い双眸も相俟って、凄まじい威圧感を醸し出す男は生徒を睨むように見詰めており

 

その威圧に呑まれた生徒は、数歩後ずさる

 

 

「…廊下の真ん中で何喋ってやがる。

邪魔だろうが、どけよ」

 

「お、おう……ごめん…」

 

 

逃げるように傍に逸れる生徒に一瞥もくれず

 

男は歩みを進める

 

 

「マ、マジじゃん。

これからどうすりゃいいんだよ」

 

「大丈夫だろ、余計な事しなきゃ。

お前、絶対絡むなよ?」

 

「当たり前だろ。

オレは⬛︎⬛︎みたいにはなりたくねぇんだ」

 

 

「こっち来るぞ……」

 

「やめろ、目合わせんな。

刺激するなよ、絶対に」

 

「わかってる。

……って言っても、どうすっかな。

お前は良いだろうが、俺は同じクラスなんだぞ」

 

「祈るしかねぇだろ。それにいざとなりゃ…」

 

 

騒めく周囲やヒソヒソと会話する生徒には目もくれず、男は目的の教室の前まで辿り着く

 

ドアに手をかけたその時——

 

 

「おー、すぐ戻るから……

———ってうぇ!?ちょ、あぶな——」

 

「………!」

 

 

中から飛び出してきた生徒と派手に衝突する

 

男は踏み止まるが、

 

生徒の方は跳ね返されるように室内に倒れ込む

 

 

「———ってぇ……

悪い、前見てなくて………」

 

「………え

ひ、氷室……?」

 

「…………」

 

 

自分がぶつかった相手が誰か認め

 

生徒は一瞬硬直した後、慌てて逃げ出そうとして再度倒れ込む

 

腰が抜けたようになり、上手く動けない生徒に男は近付いていき、生徒は悲鳴をあげる

 

 

「ち、違うんだ……これは事故で…

ごめん!悪気はなかったんだ!」

 

「…………」

 

「ひ、ひ……っ!

やめろ、やめてくれ…

くそっ!お前ら、()()()()()———」

 

「………あ?」

 

 

無言で歩みを進めていた男が言葉に反応し

 

生徒も失言に気が付いて口を抑える

 

 

「あ……ち、違う…」

 

「なんだ。

テメェ、()()()欲しかったのか?

そりゃ気付けなくて悪かったな」

 

 

口の端を歪ませて笑みを浮かべる男に、生徒は絶望的な表情を浮かべる

 

弁解もするも、男は既に聞いてなどいない

 

 

「だったらお望み通りくれてやるよ……!」

 

 

怯える生徒を視界に収め、嗤う

 

男は足に力を込め———

 

 

「………おい!何やってんだよ」

 

 

一人の生徒が背後から男の肩を強く引き、その動きを止める

 

 

「……何のつもりだ?彰人」

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 

男の肩を掴んだ生徒

 

彰人、と呼ばれた眩しいオレンジに黄色のメッシュが入った髪が特徴的な生徒は声を荒げる

 

 

肩を掴まれた男は上げかけた足を下ろすと、彰人の方へ向き直る

 

 

その隙に何人かのクラスメイトの手を借りて、倒れていた生徒はその場を離れて行った

 

 

「…テメェのセリフだと?

俺はまだ何もしてねぇだろうが。

首突っ込むには早ぇんじゃねぇのか?」

 

「冗談言うなよ。

お前、今そのまま蹴るつもりだっただろ。

暴力はやめるんじゃなかったのかよ」

 

「証拠もねぇ事をベラベラと……」

 

 

周囲の騒めきを気にも止めずに、

 

彰人と男は睨み合う

 

 

「言いがかりはやめろ。

大体、いつまで掴んでやがる」

 

 

肩を掴む手を乱暴に振り払い

 

そのまま男は逆に彰人の胸倉を掴み上げる

 

 

「ゴチャゴチャうるせぇな。目障りなんだよ。

テメェから殴られてぇのか?あぁ?」

 

「………っ!やってみろよ………!」

 

 

胸倉を掴まれ、見下ろされながら放たれる男の言葉に

 

彰人は一切怯まずに睨み返す

 

 

二人の睨み合いは続き、永遠にも続くかと思えたその頃に

 

 

「チッ………」

 

 

「……ぐ…」

 

 

突き飛ばすようにして男は彰人を解放し

 

そのまま教室へと入っていく

 

 

「おい!大丈夫か、彰人!」

 

「お前無茶苦茶しやがって…!」

 

「怪我はないか?一度保健室に…」

 

「……大丈夫だ。

どこもケガはねえ。気にすんな」

 

 

周囲に集まった生徒達との会話もそこそこに切り上げ

 

彰人は教室へと入ると

 

クラスの隅の席へと座る

 

 

遠巻きに不安そうに見つめるクラスメイト達を尻目に

 

隣へ座った彰人に一瞬目を向け

 

素知らぬ顔で目を閉じた男に、彰人は溜息を吐く

 

 

「(……ったく、このバカは)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

 

「———おい!」

 

 

下駄箱付近にて

 

足を止めた男は、背後から響く声の方へ目を向ける

 

 

「……何だよ。

学校で話しかけんなって言っただろ」

 

「オレもそのつもりだった。

お前があんなバカなことやらかさなきゃな」

 

「…おい彰人、少し落ち着け」

 

「……冬弥。これが落ち着いていられるかよ」

 

 

掴みかからんばかりの勢いで言葉を放つ彰人を、濃紺と暗めな水色の半分に分かれた青髪が特徴的な生徒が嗜める

 

冬弥、と呼ばれた生徒の声にも怒りが収まらぬ様子で彰人は言葉を続ける

 

 

「どういうつもりだよ?

お前は何もかも台無しにしたいのか。

どうなんだよ!」

 

「…何の話か解らねぇな」

 

「とぼけんな。

次は退学だぞ、まだやんのか?」

 

「何もしてねぇだろ。

暴力を振るうように見えただ?

テメェの勝手な勘違いで下らない時間を使わせんな」

 

「……お前…!」

 

「だから落ち着け、彰人。

…靱もだ」

 

 

冬弥の言葉に、男もそちらへ視線を向ける

 

 

「お前の言い分はわかった。

その話はもういい」

 

「…冬弥!」

 

「彰人。…それよりも、今週末はどうする?」

 

 

彰人を制し、言葉を続ける

 

その言葉に男は一瞬目を細めた

 

 

「今度のイベントは相当規模が大きい。

俺達三人で歌うことになるだろう。

だが……まだ練習はともかく、合わせすらロクに行っていない」

 

「イベント当日までさほど時間はない。

いい加減この辺で———」

 

 

「……必要ねぇ」

 

 

「は……?」

 

 

冬弥の言葉を切り捨てるように紡がれた言葉に、彰人が声を漏らす

 

そんな二人を視界に収めながら、男は言葉を続ける

 

 

「聞こえなかったのか?必要ねぇよ、そんなもん。

合わせがなんだ。

そんなもの、当日にやれば良い」

 

「それともなんだ。

テメェらは自信がねぇのか?

今から余計な時間を使ってまで一々練習しなきゃ揃わねぇ程度のレベルにしか仕上がってねぇのかよ」

 

「…………!」

 

 

紡がれた挑発的な言葉に

 

彰人は怒りを懸命に抑え込む

 

 

「……やらねえってんならそれでいい。

その代わり……!」

 

「……ハッ。

俺が足手纏いになると思ってんのか?

本気なら、テメェの正気を疑うぜ」

 

「安心しろよ。

当日までには完璧にしてやる。

テメェらこそ、下らないミスが頻繁するなんて無様な仕上がりを見せてくれんなよ」

 

 

吐き捨てるように言葉を紡ぎ

 

ひらひらと手を振り去っていく男を

 

今度は二人も追わなかった

 

 

その姿が遠ざかり、消えた頃に

 

ぽつりと彰人が呟いた

 

 

「……んだよ。

あいつ、ずいぶん調子悪そうじゃねえか」

 

「本当にな。

どうにも、おかしな様子だ。

何か嫌なことでもあったのかもしれないな」

 

 

彰人の呟きに、冬弥も真剣な表情で言葉を返す

 

 

「あんなんで本当に週末やれんのか?

……ったく、なんでオレがこんなこと考えなきゃいけないんだよ」

 

「……何にせよ、俺達は俺達にできることをやるしかない。

帰ったらすぐに集まろう」

 

「…おう」

 

 

頭を掻き

 

二人は靴を履き替え、帰路を辿っていく

 

 

空一面に広がる暗雲はその行く末を示しているようだった

 

 

 

 

 




筆が乗ったのでそれなりの文字数になりました。

ifについて。やるならどっち

  • ほぼ確実にあり得ない展開
  • 割とあり得たかもしれない展開
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