恢復のクインテット   作:ブラック5930

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第10話「認めてくれたから」

 

シブヤ区某所

 

比較的安めの防音スタジオの一室

 

 

ギターを掻き鳴らしていた手を止め、靱は室内のもう一人の少年を見る

 

少年はただマイクをぼんやりと見詰めながら椅子に座り込んでおり

 

そんな様子に靱は溜息を一つ吐いた

 

 

「……おいテメェ。

いつまでそうしていやがる気だ。

明日はイベントに出るんじゃねぇのか?」

 

「…………」

 

「……おい。…彰人!

いい加減にしろ!練習する気が無いなら帰るぞ」

 

「……ん。ああ……悪い」

 

 

強く言葉をかけてようやく我に返り

 

それでも普段とは程遠い様子の彰人に靱は目を細め、言葉を続ける

 

 

「テメェから頼み込んだ癖に、上の空とは良い度胸じゃねぇか。

事と次第によっちゃ——」

 

「…………」

 

「………っ。この野郎……!」

 

 

一度意識がこちらに向いても、少しすればすぐにまた放心し始める彰人

 

まるで魂が抜けたようにぼんやりしている彼に、靱は拳を握り

 

 

「……はぁ」

 

 

ゆっくりと拳を開いて息を吐く

 

 

「………冬弥の事か?」

 

「…………っ!」

 

 

続く言葉に、彰人が初めて大きな反応を示す

 

こちらを向いた彼に靱は言葉を紡ぐ

 

 

「ここまであからさまなら馬鹿でも解る。

そんだけ気になるんなら、テメェ等で話してくりゃ良いだろうが。

何を意地張ってやがる」

 

「………。

…別に、意地なんて張ってねえよ」

 

「話す意味なんてねえ。

あんなヤツ、もう相棒でもなんでもねえんだからな」

 

「…………フッ」

 

 

低いトーンで返す彰人に靱は鼻を鳴らして答える

 

 

「……なにがおかしい?」

 

「さぁな、テメェに言う必要もねぇ。

…冬弥からBAD DOGSを抜けるとは聞いたが……

彰人、テメェはそれで良いんだな?」

 

「……ああ」

 

 

気色ばむ彰人を軽く流し、靱は逆に問いかける

 

その問いに彰人は間を置いて答え

 

彼の目を見ていた靱は、やがて視線を逸らした

 

 

「……そうか」

 

 

短く答え、ギターを片付け始める彼に、彰人が間を置いて言葉をかける

 

 

「……それだけかよ」

 

「……あ?なんだ、テメェ。

止めて欲しかったのか?」

 

「……!そんなわけじゃ………!」

 

 

声を荒げる彰人に、靱は呆れたように目線を送る

 

 

「これはテメェ等の問題だ。

BAD DOGSはテメェのチームだろ?

俺が一々口出しするような話じゃねぇ。

彰人、テメェが冬弥と喧嘩別れしてこのまま俺とももうやらねぇってんならそれはそれで良い。

別に俺はソロでやっても構わねぇしな」

 

「好きにしろよ、彰人。

だが……」

 

 

ギターをケースに仕舞い担ぎ上げた靱は扉に手をかける

 

その状態で振り返り、彰人に目を向けて

 

彼は言葉を紡ぐ

 

 

「俺は冬弥の代わりにはなれねぇし、テメェの相棒にもなってはやれねぇ。

第一、俺が組んでも良いって思ったのはテメェとアイツの馬鹿さ加減とアホ臭ぇくらいの真っ直ぐさが良いと思ったからだ。

あの時見かけたのがテメェ1人だったら、俺はきっとここにいねぇ筈だからな」

 

「頭冷やしてよく考えろよ、馬鹿野郎。

テメェは()()()()なんて選べるくらい賢い人間なのかどうかをよ」

 

 

「…………」

 

 

言い残し、靱は扉を開き部屋を出て行く

 

 

部屋に残された彰人一人だけが佇んでおり

 

 

「…………ちっ…」

 

 

やり切れぬ想いの舌打ちだけが響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ライブハウス裏手

 

 

歩いてくる一人の少年に気が付いた少女達は声を掛ける

 

 

「あ、彰人」

 

「……お前らもいたのかよ」

 

 

言葉を返す彼は、心なしか普段より不機嫌そうに見える

 

そんな彼に首を傾げつつ、悪戯っぽい表情を浮かべて杏は言葉を続ける

 

 

「いちゃ悪い?

それより、ひとりなんて珍しいじゃん。

もしかして、ついに相棒に逃げられた〜?」

 

「あ、杏ちゃん……!」

 

「…………」

 

 

こはねが慌てて二人の間を取り持とうとするも、対する彰人は無言

 

少しして、一言だけ言葉を返すと彼は踵を返す

 

 

「……あんなヤツ、最初から相棒じゃねえよ…」

 

 

そのまま彼女達には目もくれずに去って行く彰人の姿を見送って

 

杏は不思議そうに首を傾げた

 

 

「……何あれ。しょんぼりしちゃって……」

 

「やっぱりケンカしちゃったのかな。

大丈夫かな……」

 

「そうなのかもね。

でも、こはねが心配してやるほどのことじゃないって」

 

「……う、うん…」

 

 

杏はREDの一件に相当腹を立てている

 

こはねの初舞台を卑怯な小細工で台無しにされた恨みは根深く、彰人と冬弥の仲違いにも大した興味を示していないようだ

 

 

そんな彼女とは対照的に、こはねは不安そうに再度彰人の去った方角を振り返った

 

 

 

 

 

 

その翌日、シブヤ区メインストリート

 

大きな音楽ショップにて

 

 

少女は満足気に袋を抱えていた

 

 

「ふふ。予約してたCDは受け取れたし、

あとは杏ちゃんとの待ち合わせまで………あっ!」

 

 

こはねの目に止まったのは今正に音楽ショップを出ようとしている背の高い一人の少年

 

見覚えのあるその姿へ、思わず彼女は声を掛ける

 

 

「あ……あの、青柳くん……」

 

「………………。

……ああ。小豆沢か。久しぶりだな」

 

「う、うん。久しぶり……」

 

「ああ……」

 

 

「「…………………」」

 

 

声を掛けたのは良いが、元から物静かな二人だ

 

会話は続かず沈黙が場を包む

 

 

そんな中こはねは勇気を振り絞り、口を開いた

 

 

「え、えっと……青柳くん……」

 

「……なんだ」

 

 

「その……青柳くん、

最近イベントにも出てないし………

WEEKEND GARAGEにも来てないけど、どうしたの?」

 

「昨日、たまたま東雲くんと同じイベントで歌ったんだけど、思いつめた顔してて……。

それに、ステージでもキレがないって、杏ちゃんが……」

 

「………東雲くんと、ケンカしたの……?」

 

 

「…………………………」

 

 

おずおずと紡がれた言葉に、冬弥は長い沈黙を返し

 

やがて、口を開く

 

 

「ケンカしたつもりはない。

……俺は、な」

 

「……むしろもっと早くこうするべきだった」

 

「あ……」

 

 

一言、二言短く言葉を返すと、冬弥はそのまま足早にその場を去って行く

 

そんな姿に少し落ち込むこはねに、慌てて駆けてきた少女が声を掛ける

 

 

「こはねー!ごめん、ギリギリになっちゃった!」

 

「あ、ううん。私もさっき来たところだよ」

 

 

笑いかけ、しかし少しその表情を曇らせて、こはねは言葉を続ける

 

 

「……あのね、杏ちゃん。今青柳くんと会ったの。

多分だけど、青柳くんも元気なくて……」

 

「へー、そうなんだ。

てことは……かなり本気のケンカしたのかな?」

 

「でも、こはね、なんでそんなにあのふたりの心配してるの?

私達にあんなことしたヤツなのに……」

 

 

怒っているというよりも、心底不思議そうに杏は疑問を浮かべる

 

そんな杏へ、こはねは小さく言葉を返す

 

 

「だって、WEEKEND GARAGEではよく会うし…」

 

「それに、いろいろあったけど、

私達のこと、認めてくれたから……」

 

「それはそうだけど……」

 

 

彼女の言葉に困ったように返す杏へ

 

 

「……悪い。

今、ちょっといいか?」

 

「え?えっと……」

 

「あ!あんた、REDのイベントの時に

彰人達とグルになって音止めたヤツ!」

 

 

声を掛けてきた男の姿を認め、杏は大声を上げて指差す

 

 

「なに。なんか用?」

 

「そ、そのことで謝りたいんだ。

あれは……彰人達は関係ないことで……」

 

 

「「え?」」

 

 

紡がれた言葉に、二人の声が揃う

 

疑問を浮かべる彼女達へ、ミュージシャンの男は詳しく説明をしていく

 

その説明をひとしきり聞き

 

 

「あれ、彰人達が仕組んだわけじゃなかったの?」

 

「ああ。彰人達は、あんたらと真っ向勝負するつもりだったんだ。

音を切ったのは……その、オレが勝手にやったことで……」

 

「はぁ……なんでああいうことするかな。

イベント台無しになったじゃん」

 

「ほ、本当に悪かった!」

 

 

勢いよく頭を下げる男に、杏は溜息を吐く

 

そして思い付いたように彼へ問いかけた

 

 

「…でも、なんで急に?

黙ってたらわからなかったのに」

 

 

彼女の問いに

 

神妙な面持ちで顔を上げ、男は言葉を紡ぐ

 

 

「……オレは、正直あんたが七光りでちやほやされてるだけだと思ってた。

だがあんた達のパフォーマンスを見て……

それが間違いだってことに気づいた」

 

「あんた達の歌はすごかった。

オレもあんた達みたいに、オレの音楽でもっとイベントを盛り上げたいって思ったんだ」

 

「だから、その……あんた達の邪魔して

本当にすまなかった!!」

 

 

「うーん、わかった!

もうあんなことしないでよね、約束だよ!」

 

 

男の言葉に、杏は少し間を置いて快活に返す

 

 

何度も頭を下げながら男が去って行くのを見送って、考え込む杏にこはねが声を掛ける

 

 

「杏ちゃん……」

 

「そっか……彰人達、なにもしてなかったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に翌日

 

神山高校、図書室前

 

 

「…………?」

 

「冬弥、ちょっといい?」

 

「…ああ」

 

 

同じ委員会の先輩に言われて廊下に出た彼を、杏が迎える

 

彼女に導かれるままに冬弥は足を進めていき

 

辿り着いた先は中庭

 

 

そこには、身を隠すように蹲っていた少女がおり

 

二人の姿を認めると、おずおずと立ち上がり口を開いた

 

 

「あ……こ、こんにちは」

 

「小豆沢?なぜここに……」

 

「あんたと話したいって言うから、ここで待っててもらったの」

 

 

ここは神高

 

いる筈のない宮女の生徒であるこはねの姿に、冬弥は疑問を浮かべる

 

それは当然彼女自身も気にしていたようで、杏に対して不安そうに問いかける

 

 

「杏ちゃん、本当に大丈夫?

私、違う学校なのに……」

 

「バレなきゃ大丈夫だって。

うちの学校、交流試合とかで他の高校の子よく来るし、というか、バレてもばっちり誤魔化すし!」

 

「白石……お前、風紀委員じゃなかったのか」

 

 

そんな彼女の問いに笑顔で答える杏に

 

流石の冬弥も呆れたような目を向ける

 

 

「天馬先輩とか神代先輩とかと違って、

こはねは神高の風紀を乱さないからいーの」

 

「ほら、こはね。

言いたいことがあるんでしょ?」

 

「う、うん……」

 

 

言葉を軽く流し、杏はこはねを促す

 

相棒の言葉に背を押され、こはねは一歩冬弥へと踏み出して口を開いた

 

 

「あの……青柳くん。

もう東雲くん達とは一緒にやらないの?」

 

「最近知り合ったばかりの私がこんなこと言うのはお節介だってわかってるけど……」

 

「……なぜ、そんなに気にかける。

俺達はお前に……」

 

「あれ、あんた達がやったんじゃないんでしょ?」

 

 

こはねの言葉に、少し表情を曇らせた冬弥の言葉を杏が遮る

 

 

「やった人が、ちゃんと説明してくれたよ。

彰人達は、本当は真っ向勝負するつもりだったって」

 

「青柳くん……」

 

「…………」

 

 

杏の口から並べられる真実に、こはねの不安気な言葉に、

 

冬弥は観念したように目を閉じる

 

そしてゆっくりと、口を開く

 

 

「……俺は彰人ともう一度歌う気はない。

そのことに、特に理由は……ない」

 

「そんな……

青柳くん、東雲くんと歌ってる時、すっごく楽しそうなのに……」

 

「………楽しそう?」

 

「え?」

 

 

固い調子で紡がれた言葉に籠るのは拒絶の意

 

 

しかし悲しそうなこはねの言葉に、冬弥は目を開いて反応を示した

 

 

「………そうなのか。

楽しそう、なのか、俺は」

 

 

確かめるように呟く彼に、杏は小さく吹き出す

 

 

「何それ、自覚なかったの?」

 

「……ま、正直、あんたって表情筋動かないから

考えてることまったく読めないけど……」

 

「彰人達とやってる時だけはよくわかるよ。

すっごく楽しんでるって」

 

「………………」

 

 

杏の言葉に、冬弥は再度沈黙を返す

 

 

やがて彼は踵を返し、その場を去ろうとした

 

 

「……悪いが、用事がある」

 

「ちょっと!用があるなんてさっきは……」

 

 

「待って青柳くん!」

 

 

杏の言葉にも止まらず、その場を離れる寸前に

 

彼の前に立ち塞がったこはねがその足を止めさせる

 

 

「……………」

 

 

体格差から酷く小さく見える彼女を見下ろして

 

冬弥は仕方なさげに再び聞く体勢に戻る

 

 

「私…一度は、みんなみたいに真剣になれてないから

もう、イベントに出ちゃダメなのかなって思ったんだけど……」

 

「でも、誰に何を言われても、

私自身がやりたいって思ったの!

もう1回、杏ちゃんと一緒に歌いたいって思って…!」

 

「青柳くんは……本当はどうしたいの?」

 

 

「………………」

 

 

彼女から紡がれる言葉に

 

彼女の真っ直ぐな瞳と目を合わせて

 

冬弥は考え込む

 

 

「あ……」

 

 

しかし、彼女をすり抜けるようにその横を通り過ぎて去って行ってしまった彼を見送って

 

こはねはしょんぼりとした様子で呟く

 

 

「……私、やっぱり、余計なことしちゃった…」

 

 

そんな彼女へ、彼女の相棒が明るく声を掛ける

 

 

「そうでもないんじゃない?

こはねのおかげで、あいつのことちょっとわかったし」

 

「え?」

 

「どっかの誰かさんと一緒で、

けっこう頑固なタイプっぽいってこと」

 

「……誰かさん?」

 

 

小さく笑い、杏は言葉を続ける

 

 

「どういう事情があるかはわからないけどさ。

もうちょっと自分に素直になればいいのにね」

 

「それで、どうする?あきらめる?」

 

「………」

 

 

杏の問いに、こはねはほんの少しの間を置いて

 

ハッキリと答えを返す

 

 

「……もう少しだけ、がんばりたい…!」

 

「そう言うと思った」

 

 

確信していた

 

そんな表情で笑う杏は、言葉を続ける

 

 

「じゃあ、うちで作戦会議しよっか。

私も最後まで、付き合うからさ!」

 

「うん!………あ…」

 

 

頷き、こはねはふと思い出す

 

BAD DOGSの三人目のメンバーを

 

 

「…そうだ、杏ちゃん。

氷室くんは何か知ってるんじゃないかな?

聞いてみたら、きっと……」

 

「え?靱?…あー………」

 

 

こはねの提案に、杏は珍しく言葉を詰まらせる

 

 

「えっとね、こはね?

あいつはそういうの素直に聞いてくれるようなヤツじゃないというか……

多分俺には関係ない〜とか言ってくると思うから……」

 

「……え?そうなんだ。でも……」

 

 

思い浮かぶのは諦めかけていたあの日の記憶

 

 

「(雰囲気は怖いし、口調も荒いけど……

あれは私を励ましてくれてたんじゃないかな?

ちゃんと話せば協力してくれるんじゃ……)」

 

 

「うーん……」

 

 

考え込むこはねに、杏は言葉を重ねる

 

 

「まあ、その、悪いヤツじゃないんだけどね。

あいつに話すのはやめといた方がいいんじゃない?

そもそも相談するにしても……

靱だけはないかな〜、なんて」

 

 

「……あァ?

誰が()()んだ?」

 

 

「あ……」

 

「げ……靱…!?」

 

 

あまりにもタイミングよく背後から響く低い声

 

 

その声に振り向いた二人は、制服の上からコートを羽織り、見下ろすように二人を睨み付ける少年

 

話題の人物である靱の姿を認める

 

 

引き攣った表情を浮かべる杏に、靱は言葉を続ける

 

 

「おい、昼間から堂々と人の陰口か?

良い度胸だな、テメェ。

……大体なんでソイツがここにいるんだ。

神高だぞ、ここは」

 

「あ、私……」

 

「ちょ、誤解だってば!

こはねは私が呼んだの。冬弥と話がしたいって言ってたから……」

 

「…冬弥と……?」

 

 

目を細める彼に、観念した様子で杏と、こはねは先程までの話を説明する

 

その話を聞き終えて

 

彼は口を開く

 

 

「……ふん。それで、なんだ?

テメェ等が首を突っ込みたくて堪らねぇってのは解った。

それはそれとして、何でそんな事を俺に話すんだ」

 

「それはその…氷室くんにも協力してほしいなって」

 

「…協力?」

 

「そう!

あんた、あのふたりとずっとやってたわけでしょ?

何かしら事情くらい知ってるよね?

だから……

というか、靱がふたりを仲直りさせてやればいいじゃん!」

 

「あァ?なんで俺がそんな事を……」

 

 

二人の言葉を受けても、靱は不機嫌そうに顔を歪めるばかり

 

そんな彼へ、杏が言葉を重ねる

 

 

「なんでって……同じチームの仲間でしょ?

パフォーマンスにも影響出るくらい落ち込んでるんだし、あんたがまず何とかしにいくもんじゃないの?」

 

「…………」

 

 

杏の言葉に靱は暫く黙り込む

 

沈黙の後、彼は口を開く

 

紡がれる声のトーンは低い

 

 

「……仲間だと?俺と、アイツ等が……

…まぁ、それは良い。

だがアレは俺が口を出すような問題じゃねぇんだよ」

 

「相棒同士のやめるやめないの話に、同じチームだろうが部外者の俺が口を出す筋合いはねぇ。

元々アイツ等は二人でやってたんだ。

後から来た俺がそこに首を突っ込んで無理矢理誘導するなんて真似が出来るか。

アイツ等の問題は、アイツ等が解決するべきだろ」

 

「…………」

 

 

返ってきた言葉は、少女の想像よりもしっかりとしたモノだった

 

しかしそれは要するに、自分は関わる気は無いと言っているのと同じモノであり

 

少女達は項垂れる

 

 

しかし

 

 

「……おい、話は終わってねぇぞ」

 

「……え?」

 

 

彼は言葉を続ける

 

 

「だから俺はアイツ等に直接何かする気はねぇ。

だが……別にテメェ等に協力しないとは言ってねぇだろうが」

 

「えっと……それって」

 

「……あぁ。

アイツ等から事情そのものは一応聞いてる。

主観混じりだからあんまり宛にはならねぇが、何も無いよりはマシだろ。

……俺も、アイツ等に解散されんのは困るからな」

 

「…氷室くん……!」

 

「靱!あんたけっこういいヤツじゃん!」

 

 

紡がれた言葉に、こはねと杏は笑みを浮かべる

 

軽く背中を叩く杏を煩わしそうに睨み付け、靱は歩き出した

 

 

「……うるせぇな。

下らねぇ事抜かしてるとこのまま帰るぞ。

WEEKEND GARAGEで作戦会議すんだろ?

さっさと行くぞ」

 

「はいはい。

まったく、あんたも素直になればいいのにね♪」

 

「おい……マジで帰るぞ……!」

 

 

苛立ちながら歩みを進める靱に続き、杏とこはねも歩き出して行く

 

その途中

 

 

「(あれ……氷室くん、なんで杏ちゃんのうちで作戦会議するって知ってたんだろ。

それは説明してなかったのに……)」

 

「(……もしかして)」

 

 

「……ふふっ」

 

 

照り付ける日の下で、こはねは小さく微笑んだ

 

 

 

 

 





順風満帆ですね

ifについて。やるならどっち

  • ほぼ確実にあり得ない展開
  • 割とあり得たかもしれない展開
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