恢復のクインテット   作:ブラック5930

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そういえば各セカイにはイメージテーマがありましたね。
本作の靱のセカイのはこんな感じかなと。

《 《♪———knight Artorias———♪》 》



エピローグ「デウス•エクス•マキナの少女」

 

黒い焔が揺らめく

 

広大な死の大地を、地表から噴き出す焔が覆う

 

それはまるで御伽噺の地獄の再現

 

 

 

『⬛︎⬛︎のセカイ』

 

 

 

剣山のように突き出した幾つかの丘のうち

 

最も高き丘を下る人影が一つ

 

 

「……………」

 

 

吹き付ける煤混じりの黒い風が短い髪を揺らす

 

唯一の光源である業火が金色を照らし出す

 

少女、鏡音リンは煩わしそうに舞い散る塵を払った

 

 

「ミクの奴……ついにやったわね」

 

「いつか牙を剥くんじゃないかと思ってたけど、

“想いの持ち主”を手に掛けるなんて……」

 

 

思い浮かべるのは、先程まで会っていたもう一人のセカイの住人

 

 

“管理者”、『雑音ミク』

 

 

リンよりもずっと早く、

 

この不気味なセカイと共に生まれた存在

 

 

彼女とはずっと前から、相容れないと感じていた

 

 

「何度言っても、あの子に干渉しようとしないし…

カケラを使ってあの子の道筋を、ただ眺めるだけ。

静観してるだけじゃ何も変わらないじゃない」

 

「実際あの子はどんどんマズい状況に追い詰められていった。

でもそれは、ミクが少しでも手を貸せば幾らでも救える状況だった。

あんな結末に至るまでボロボロにならなかったのに」

 

「手を出さないのが“ルール”?

冗談じゃないわ……

そんなモノを守ってあの子が死ぬまで眺めているのが私達の役割だっていうのなら、私達にどんな意味があるって言うのよ」

 

 

しかしリンとて、そんな終わりを迎える彼を結果として見殺しにしたのだ

 

リンは歯噛みする

 

 

かつて、リンはいつまでも静観するミクに痺れを切らして実力行使を行おうとした事があった

 

そしてそれは、リンに恐怖を刻む結果に終わった

 

自らの身体が肉片となる感覚は、そう何度も味わいたいモノではない

 

 

ことセカイにおいて、最初の住人と後から生まれたモノの実力差は明白

 

正面突破は不可能

 

問答で彼女を言い負かせる気はしない

 

 

故に今回のミクの“賭け”は救済の一手といえる

 

その真意が読めない以上、安易に縋るのは得策とはいえないものの

 

それ以上のカードがない今は、縋る他無かった

 

 

「……1年。

短すぎる時間ね。

あの子が足掻いてきた時間は7年。

それだけ掛けても見つからなかった想いをたった1年で見つける?

馬鹿げた話だけど……何とかするしかない」

 

「漂白されたあの子が一人でそれを為すのは…

現実的じゃない。

今度こそ、見ているだけではいられないし。

どうにかしてあの子のいる現実の世界と繋げる事が出来れば……」

 

 

ミク曰く、アドバイスはありとの事

 

要するに干渉は禁止されていないのだ

 

尤もそれは、ミクがあの子に干渉する事も禁止されていないという事になるのだが

 

 

「ミクより早く、あの子に繋げないと。

この辺りはまだ来た事ないし、何か無いかな」

 

 

炎の隙間を縫うように歩みを進め、燃え尽きて残骸と化した様々なモノを踏み越える

 

崩れた巨塔を、火の海と化した泉を、溶けて捻じ曲がったオブジェクトを越え、

 

死の大地を進んだ先に広がる都市群

 

廃街地帯をリンは進む

 

 

ひしゃげた信号機や時計塔

 

道路の真ん中に立つ校舎

 

商店街を破壊するように列車が刺さる

 

 

壊れ切って、焦げているその全てはチグハグな配置

 

ゆっくりと歩みを進めるリンは、目を細める

 

 

「うーん……中々見つからないな。

いざ見つけようとすると、全然無いのね。

もうミクが全部拾っちゃったとか……」

 

 

燃ゆる街で、何を探すリン

 

あちこちを見回しながら進む彼女を

 

 

「…………っ!?まず……———」

 

 

道を燃やすうち、一際強く燃え上がった炎が包む

 

勢いよく燃える炎は軽く人体を焼き尽くす

 

断末魔すら残せずに彼女はその身を焦がし——

 

 

「あああああアアアア———っ!!!!」

 

 

絶叫

 

咆哮と共に、嵐のように湧き上がる黒い風が炎を吹き飛ばし、掻き消す

 

身を焦す炎を全て飛ばし、半分程溶けたように揺らぐ彼女は事も無げに自分の身体を見回す

 

 

やがて光と共に彼女は、元の姿に戻る

 

復元された自らの身体を確かめて、リンは息を吐き出した

 

 

「……ほんっと、嫌なセカイね。

現実の世界にこんな場所は無いみたいだし、どうしてこんなに酷い作りなのかしら。

ただ歩いてるだけで熱いし痛いし、ロクでもない場所だわ」

 

「セカイ……

うーん、曖昧だわ。

こればっかりは不完全な記憶端末を備え付けたあの子に文句が言いたいところね。

完全なデータも無しに、ルールだの役割だの最初から理解出来る訳ないじゃない」

 

「………あ。

もしかして……」

 

 

小さく呟く彼女は、歩みを止める

 

視線の先には煌めく物体

 

 

「“想いのカケラ”!

やっぱり本当にあるんだ」

 

 

駆け寄った手で掬い上げたのは小さな光

 

虹色の輝きを放つソレは微妙に掌から浮き上がり辺りに光を振り撒く

 

 

「これを………こーして……

うーん……あれ?」

 

「確かミクはこうやってた筈だけど……

あれ?おかしいな……」

 

 

カケラを回したり、掴んだり、光を注いだりと

 

あれこれ試すリンだが、結果は著しくない

 

特に何も起こらないソレに首を傾げ

 

 

「え、これ……どう使うんだろ。

ミクは触れるだけで自由に扱ってたのに」

 

 

浮かぶのは、黒いミクがカケラを扱う光景

 

彼の見た光景を映し出したり、彼が知るモノを実際にセカイに出現させたりと、かなり広い用途で使える代物に見えた

 

確かカケラについても何か言っていた

 

リンは、曖昧な記憶の声を辿る

 

 

 

 

 

『これは、“想いのカケラ”さ。

私達の手足……は、適切な表現で無かったね。

まぁ手段……のようなものさ。

与えられた役割をこなすには必要不可欠と言っても良い。

キミならばそうだね……

異なるセカイへの干渉、というべきかな。

そういった方面で扱うのが一番楽だと思うよ』

 

 

 

 

 

「いや……思い返しても何言ってるのかサッパリ解らないわね。

簡単に説明出来ないのかしら」

 

 

昔の事でも、案外覚えているモノだ

 

しかし記憶は役に立たない

 

彼女がそれを理解出来なければ意味がないからだ

 

 

頭を悩ませ、カケラを触るリン

 

 

——その間にも一刻一刻と時は過ぎていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《 《繝??繧ソ繝ュ繧ー繧帝夢隕ァ縺励∪縺》 》

 

 

 

豺ア螻、險倬鹸  No.00001

 

 

6譛?6譌・ 辣臥剛縺ョ繧サ繧ォ繧、縲∝卸荳

 

蜷梧凾縺ォ縺薙?遘√??尅髻ウ繝溘け縺檎肇縺セ繧後◆

 

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遘?#縺悟惠繧矩剞繧翫?∝卸騾?荳サ縺ッ蜻ェ邵帙?蠎

 

 

 

《 《繝?繝シ繧ッ繝ュ繝?縺ク縺ョ繧「繧ッ繧サ繧ケ繧堤「コ隱》 》

 

《 《譁?ス灘、画鋤繧帝幕蟋九@縺セ縺》 》

 

 

 

《 《変換成功》 》

 

 

 

——焔の中で、少年と少女は出会いました

 

 

酷く傷付いた少年は救いを求め、

 

少女はそれに応えました

 

 

『お、おまえは……誰だ……っ!?』

 

『私は、ミク。

キミの———味方だよ』

 

 

少女は少年の傷を癒やし

 

少年に生きる力を与えました

 

 

不思議なセカイで出会った少年と少女は

 

はじまりのうたによって繋がれていました

 

 

少年は炎に包まれたセカイへと向かい

 

少女と話す事を心の支えとしました

 

 

少女は少年に、希望を説きました

 

勇気を貰った少年は、生きていく事が出来るようになりました

 

 

少年はお返しに、少女に世界を教えました

 

その輝きを、美しさを、そして残酷さを

 

 

少年は少女に依存しました

 

少女は少年に依存しました

 

 

『なぁミク。

小さい頃の……知り合いにあってさ。

“音楽”をやってみないか?って言われたんだ。

ミクは、どうすれば良いと思う?』

 

『…ふむ。

キミは、どうしたんだい?』

 

『俺は……

正直、ちょっと興味がある。

父さんが小さい頃にもそんな風にやっていた時期があったみたいだし』

 

『そうかい。

なら、やってみたら良いんじゃないかな。

きっとその方が良い』

 

『そっか。ありがとな、ミク』

 

 

少女は、少年の背を押しました

 

そうして少年は音楽に触れる事になりました

 

 

初めての経験に少年は目を輝かせ

 

楽しげに少女に音楽の事を話しました

 

 

そうしてある日

 

 

 

——少年は、死にました

 

死因は自殺でした

 

 

 

《 《No.00001の内容は終了しました》 》

 

 

 

 

 





次章から各ユニット編に入ります。


順番や時系列、与えられる影響等のヒントに
各ユニットの担当する曲の歌詞を載せておきます。


Leo/need
『♪——怯えていた明日を昨日に変えてしまえる
これはそう 今日を諦めなかった故の物語』


MORE MORE JUMP!
『♪——今はちょっと想いのカケラ
もうちょっと足りなくても
進みだした夢は あきらめない!やめたくない!』


Vivid BAD SQUAD
『♪——これはそうだ 最底辺から駆け上がった
映画のようなストーリー』


ワンダーランズ×ショウタイム
『♪——成功失敗も「全部」だいすき!でいいじゃん!
みんなみんなウチューしよ?の魂胆で
だってだって君ももっと笑えたじゃん!?
スットンキョウでサイキョウな僕らは
まだまだ消さないで!?未来はここからじゃん!!』


25時、ナイトコードで。
『♪——何時まで続くだろうと同じ様に同じ様に呟く
いま忘れないよう刻まれた空気を
これから何度思い出すのだろう』


抜き出した歌詞の部分には一応意味はあります。


尚、次章の全体構想が纏まり切っていないので本章は数話程ifの話を出して茶を濁そうと企んでいます。

独奏のフェイルア部分のif展開を予定していますが、
ほぼ確実にあり得ない方のifと割と普通にあり得たifのどちらにしようか迷うので雑にアンケートを取ろうと思います。

良ければ協力お願いします

ifについて。やるならどっち

  • ほぼ確実にあり得ない展開
  • 割とあり得たかもしれない展開

使用楽曲コード:74045181,74431943,N00963237,N01058855,N01096740

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