偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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またフリーレンネタだよってことで初投稿です。

今回からフリーレン要素激強で参ります……‼︎ まちカドまぞくとは?


ダンジョン攻略体験かぁ……夢の中とはいえ殺意マシマシのトラップとか仕掛けないでしょうね?

 

「………………うむ、これで呼びたい奴ら全員を集められたようだな」

 

 

 とある日の夜、白哉達が就寝している頃。夢魔の世界にてここの主人であるリリスがそう呟く。

 

 そしてこの世界にて、子孫であるシャミ子・彼女の眷属兼恋人の白哉・魔法少女の桃・先日仲間よりも先にこの町に引っ越したフリーレンなどといった、多摩町の知り合い達が集められていた。

 

 ちなみにこの夢の世界に誰が集められたのかは、以下のリストで確認してもらうといい。

 

 

 リリスに集められた者達

 

☆チート武器を使う召喚師転生者・白哉

☆多摩町の未来を守る心優しき魔族・シャミ子

☆姉の軍隊を支えようとする姉想いの妹・良子

☆フィジカル抜群の域を超えている魔法少女・桃

☆物静かな反面かなりのパワープレイな男性魔法少女・柘榴

☆遠距離お茶の子さいさいな魔法少女・ミカン

☆やるべき仕事はやり遂げようとする元使い魔・ウガルル

☆妖術や霊術は多彩な陰陽師・拓海

☆主の天然に振り回されるもきっちり援護する式神・蓮子

☆凄腕ってレベルじゃない天才マッドサイエンティスト小倉

☆元祖顔負けしそうな忍術使い・全蔵

☆料理も妖術もお手のものな魔族・リコ

☆占いは絶対(?)当たる二足歩行のバク魔族・白澤

☆料理の修行中な元魔法少女・朱紅玉

☆朱紅玉に忠実な婚活中の犬の魔族・ミト

☆太陽を克服した本好き吸血鬼の魔族・ブラム

☆天候を操れるかもしれない魔法少女・奈々

☆その実力は未知数なしっかり者令嬢魔族・マリン

☆マリンを命懸けで守る鬼の魔族・バトラー

☆二千年以上生きたエルフの魔法使い・フリーレン

☆非戦闘魔法を実戦で用いる魔法使い・ガタルフ

☆性格も武器の振るい方も豪快な女戦士・ナディア

☆叫ぶし壁張れるし噛みつき攻撃もできる魔物(?)・サケブシッポ

 

 

 この中にはばんだ荘には住んでいない者が六人いるため、夢魔の領域取り込まれるとは思えないのだが、そこに関しては魔力に関するとある仕組みがあるためご愛嬌とさせてもらいたい。今気にすべき問題はそこにあらずでもあるから、だ。

 

 

「あの……ごせんぞ? みんなを集めて一体何をするおつもりなのですか?」

 

「よくぞ聞いてくれたなシャミ子よ。今からその理由について話してやるからちょっと待つがよい」

 

 

 シャミ子に夢の世界で集合してもらった理由について問いかけられ、リリスはそれに答えるためとしてキョロキョロと何かを探す仕草を見せる。

 

 

「おぉやはりいた。良子、小倉、フリーレン。ちょっとおぬしらもこっちに来い。一緒に説明するぞ」

 

「うん、わかった」

 

「はーい‼︎」

 

「いいよ。説明の補足とかなら得意だと思う」

 

 

 どうやら良子・小倉・フリーレンは、何故かリリスが白哉達をこの世界に集めた理由についての事情を理解していた。そのためか三人揃って何の躊躇いもなくリリスの隣へと移動していき、彼女が夢魔の力で生み出した巻いている紙や教鞭などを持ちだした。

 

 

「クックック……余が何故おぬしらを呼んだのにはワケがあるのだよ」

 

「いやそれをさっき優子が聞いてきたんですけど。何まだその質問されてないよ、みたいな感じにしてるんですか。それはさすがに無理がありますって。誤魔化すのが得意な主要キャラが出ている漫画やアニメを見て出直してもらってもよろしいですか?」

 

「色々と雰囲気作りするのは大事であろう⁉︎ 後、なんか辛辣な気がするのだが⁉︎」

 

 

 何やら敵か味方かすら不明な謎の組織のボスになりきっているかのような雰囲気を曝け出していたものの、白哉に指摘を入れられその雰囲気を台無しにされる。そしてとやかくダメ出しされる。ドンマイ、ごせんぞ。

 

 

「まあまあ。とりあえず話ぐらいは聞いてあげなよ」

 

「あぁ………………まぁ、フリーレンさんがそう言うのでしたら」

 

「えっ、何その間……」

 

「いやちょっと待て⁉︎ なんか余とフリーレンとで反応のぬるさがあまりにも違う気がするのだが⁉︎」

 

 

 フリーレンの呼びかけにより変なダメ出しをしなくなった白哉。この反応の差は一体何なのだと言うのか……これにはリリスに同情できることだろう(何様だよ)

 

 

「あぁ……コホンッ。おぬしら、フリーレンがファンタジーな時代から生きてる事は既に知っておるよな?」

 

「えぇ、まぁ……」

 

「そこで余は気づいたのだ。その時代で生きてきた者は、その時代でしか体験できないことがあるのではないのかと。それをフリーレンに聞けば、何かを夢の中で再現できないかと思ってな。そこで一昨日、余はゴミ拾いでたまたま遭遇したフリーレンにある頼み事をすることにした」

 

 

 フリーレンが生きた時代の一つに接点を置きながら、リリスは自分が何を伝えようとしているのか、それを語る前の前準備として何を行ってきたのかを明かし始める。

 

 その準備としてか、何処からかプロジェクタースクリーンが降りてきたのと同時に小倉と良子に軽くジェスチャーを送る。すると良子がいつの間にか出ていたパソコンのとあるファイルを開き始め、小倉がそれを白哉達に公開するべくプロジェクターを起動させた。

 

 

「ここからは、白哉には悪かったと思うけど、協力してもらった召喚獣達の雑な実体験の演劇で私達が何をすることにしたのかを話すね」

 

「学校のイベントでよくやるヤツだ⁉︎ ってかあいつら、またいつの間に俺の知らないところでなんかやってたのか⁉︎」

 

 

 どうやら召喚獣達がまた白哉に黙って行動していたらしく、主人である白哉は怒りと驚愕の混じった感情で叫んだ。何度も主人に断りの一言すら聞かずに勝手に行動されているのだ、その分の怒りが爆発するのも無理はない。

 

 

「(ま、まぁいいや。あいつらにはせめて一言なんか言ってから自由行動しろって釘刺すように説教すればいいし。とりあえず今は、フリーレンさん達が何をすることにしたのかを聞かないと)」

 

 

 説教の後回しをすることに決めた白哉は、深呼吸して沸き立っていた怒りを抑える。今その怒りを出したままにしても時間を割くだけだと理解しているからだろう。

 

 そうしている内に、プロジェクターから一つの映像が浮かび出した。そこに映っていたのは、リリスの髪を模したカツラを被っているウサギのピョピョンと、フリーレンの髪を模したカツラを被っている柴犬のシバタが対面している映像であった。

 

 

『リリス、話って何?』

 

『フリーレンよ、おぬしは魔法を使える人間や剣・斧を使えるが蔓延っている時代を生きていたと言っていたな?』

 

『言い方……まぁそうだけど、それがどうかしたの?』

 

『いやなに、何か企んでるとかではないのだぞ』

 

 

 被っているカツラに合わせて、ピョピョンがリリスを、シバタがフリーレンを真似するかのように会話を進めていく。実体験の演劇だとフリーレンが言っていたため、実際に行っていた会話の再現といったところだろうか。

 

 

『もしそれが本当だとしたら……その……ゲームとかでよくあるダンジョンとかもあるのか?』

 

『あるよ。今ではトラップとか魔物とか全部いなくなって、改修などして観光地や世界遺産になってるけどね』

 

『別に今のダンジョンがどうなってるのかなどはどうでもいい。余が聞きたいのは、そのダンジョンがそれぞれどのような仕組みになってるのかということだ』

 

『どういうこと?』

 

『それはだな……』

 

 

 どうやらリリスは、フリーレンがこれまで行っていたダンジョンについて何か聞こうとしていたらしい。ダンジョンの仕組みがどうなのかと問いかけているため、そこ何かの参考にするつもりなのだろうか。

 

 と、ここでリリス役のピョピョンがダンジョンの事を聞いてきた理由について話そうとしていたところで、フリーレン役のシバタに耳打ちをし始めた。本題は後々リリス自身の口から明かそうという考えによる、二匹の演技によるものだろう。

 

 

『ふむふむ……なるほどね。確かにそれはみんな楽しめそうだし、私もあの頃のワクワクをもう一度楽しめてWin-Winになるってわけだ』

 

『おぉ、もしや協力してくれるのか⁉︎ ならば───』

 

『あぁでも、今夜すぐに決行……とか早まったことするのはやめてよ』

 

『む? 何故だ?』

 

『ほら、他人の頭にしか入ってない情報を基に夢の世界で再現する……というよりは、それを上手く頭の中で想像するにも限度があるでしょ? だからね。私自ら記憶を直接見せれるようにすれば、再現しやすくなっていいと思うのだけど』

 

『ふむ……つまり、今夜おぬしの夢の中に潜ってもいいってことになるのか?』

 

『そういうことになるね』

 

 

 リリス、何やらダンジョンに関連することについての発案したらしく、それを夢の世界で実現するためにフリーレンに相談することにしたようだ。何を実現するつもりなのかは未だ不明ではあるのだが、普通ではない事を行おうとしているのは確かなのだろう。

 

 

『何なに⁉︎ ねェ二人して何話してるの⁉︎』

 

『お、小倉さん……い、今ぶら下がらないで、危ない……‼︎』

 

『うわでた。いや恥ずかしがりすぎだぞピッピちゃん。顔色が丸分かり』

 

『おぉ、天井に住んでる人がいるって話は本当だったんだね』

 

 

 ここで新たな召喚獣が姿を現す。逆さまの状態で現れたのは、小倉の髪を模しカツラを被り眼鏡を掛けたハムイン・ボルタに、良子の髪を模したカツラを被って顔を真っ赤にしているピッピの姿が。

 

 この演出からして、実際の登場の仕方も細かく再現されていることが明らかになっていることだろう。ちなみにだがピッピは、良子の役を演じるまたは演劇をやる事自体を恥ずかしく感じているのか、オドオドとした様子を表情から見せていた。

 

 

『ぬうぅ……後で執拗に聞かれる方が嫌だから、教えてやるしかないな。実はだな、かくかくしかじかで……』

 

『実在したダンジョン⁉︎ 何それ面白そう‼︎ その話、私も乗っていいかな⁉︎ というかもっとフリーレンさんが生きたファンタジー時代について色々と聞きたい‼︎』

 

『いいよ。ロマンを過剰に求める人と話し合うのも悪くない』

 

『わーい‼︎ やったー‼︎』

 

『ダンジョン攻略……面白そう。良も聞いていいかな?』

 

『せっかくだ、おぬしもこの会話に参加しても良いぞ』

 

『やった……‼︎』

 

 

 と、ここでプロジェクターの電源が落ち、プロジェクタースクリーンには何も映らなくなった。が、それでも良子はパソコンを動かし続けているため、画面の表情切り替えを執り行っていると見てもいいだろう。

 

 

「そして、この話し合いの末、余達がこれからある企画を実行することに決めた」

 

 

 リリスがそう語った途端、再びプロジェクターの電源が再び開き、黄土色のレンガが積み立てられた大穴らしきものが映像として映された。ところどころ錆びているかのような箇所があり、古風感を漂わせている。

 

 

 

「第一回‼︎ フリーレンが体験したダンジョンをオマージュしたヤツ攻略会、開催決定ー‼︎」

 

 

 

 そう宣言するように叫んだのと同時に、先程叫んだ言葉そのものがポップな文字フォントで映像に映し出された。まるで実際に開催しそうな一大イベントのオープニングのように。が、白哉はそのタイトルの一部に対して疑問を抱いた。

 

 

「ダンジョンをオマージュしたヤツ……?」

 

「ちゃんと再現できてるかどうかも分からないし、それらをごっちゃした影響もある。あと小倉が提案したトラップもあるものだからな……」

 

 

 フリーレンにダンジョンを攻略していた時の記憶を覗かせてもらったとはいえ、そのダンジョンの数と種類が多い。それらを混合させたものだと語っているため、それに対する不具合が起きないかどうかという不安を過らせていた。

 

 が。それでもリリスにはある程度の自慢できるところもあったようで、先程まで不安気な表情からフンスッと言いながら胸を張った様子になる。

 

 

「だが!! それでも実際に体験したいとの事で話し合いに参加しなかった我々三人で話し合って仕掛けやルートを決めたのだから、おぬしらが十分に楽しめる要素マシマシなはずだ!! これからフリーレンが今回やるこのイベントのルールを教えるので、耳の中をかっぽじってよーく聞くがよい!!」

 

 

 リリスがそう語り終えると、良子の元へと移動してフリーレンにこの後の事を託した。それに了承するように、先程までリリスがいた位置にフリーレンが立つ。

 

 

「それじゃあ、ここからは私がルール説明するからよく聞いておいてね」

 

 

 ここからフリーレンが、ダンジョンを攻略するに当たって覚えておくべきルールが何なのかの説明に入る……と思われたが。

 

 

「とはいっても、基本は今回攻略するダンジョンの最深部に辿り着ければ合格するってなだけだけど。別に早いもの勝ちでどうなるのかとかそんなものはないから、罠に気をつけながら焦らず進んでいくといいよ」

 

 

 ルールは単純。ただダンジョンの最深部に到達すればいいだけという、あまりにもシンプルなルール。辿り着くのに使用してはいけない手段など何一つなく、咎める気もない。一言で言えば、ルール説明が大雑把ということだ。

 

 これには白哉達も拍子抜けのあまりずっこける羽目に。もう少しダンジョンのあった時代に合わせた特殊な条件云々があったのではないか、そう考えていたところも皆あったらしく、全員がそのような反応を見せる他なかったのだ。

 

 

「それとこれ、受け取って」

 

 

 そんな白哉達の心境など気にせずフリーレンがそう言うと、彼女と白哉達の間に突然一台のダイニングテーブルが現れる。これもリリスの夢魔の能力によるものだろう。

 

 そしてそのテーブルの上には、何やら土で作られたかのような人形が入っている、数十本もの瓶が置かれていた。

 

 

「これは私が出会った凄腕魔法使いが作った、脱出用ゴーレムが入ってある瓶。リリスが再現してこの夢の世界の要領で作ってくれたんだ」

 

「脱出用?」

 

「ダンジョン攻略に行き詰まった時や勝てない敵相手から逃げるためのものとして作られた、安全性の高い魔道具だよ。危険と感じた時に瓶を割れば、ゴーレムが巨大化して使用者をスタート地点にまで連れてってくれる。まぁ戻れば脱落と見做すけど」

 

 

 どうやら命の危険性の高い罠も備わっており、フリーレンは夢の世界とはいえ参加者が死ぬことは好ましくなく思っているらしい。そのため、リリスに自分の記憶を通して夢魔の力でリタイア用の措置の再現をも頼み込んだようだ。

 

 

「さて……大まかなルールは以上だけど、何か質問したい人はいる?」

 

「はい‼︎ 大アリやで‼︎」

 

 

 ダンジョン攻略イベントに関する質問の時間が設けられたと同時に、朱紅玉が勢いよく挙手してきた。今にも強烈なツッコミをしそうな勢いだ。

 

 

「もしかしてと思うんやけど、ここにいる人達……っつーかメンバー(?)は全員強制参加なんですか⁉︎ 能力持ちでもそれが戦闘向けのじゃない人だっておると思いますし、そもそもアタシはもうその力なんて持ってないんですよ⁉︎ なのに、そんなアタシ達がテレビゲームとかの方やないダンジョンを攻略やなんて……」

 

 

 どうやら朱紅玉は、闘うのが苦手な者に対する考慮はしないのか、そもそもこのダンジョン攻略への参加拒否は認められないのか……そんな不安を過らせていたようだ。

 

 

「強制はしない。自由参加でOK。これに参加しない人達はリリス・良子・小倉と一緒にモニターで観戦できるし、参加したいのなら夢魔の力で再現されたこの魔導書で魔法を覚えさせられることだって可能だよ」

 

 

 無論、フリーレンはそれらに対する処置を考慮していないわけがない。ダンジョン攻略に危険性もあることを考慮していない彼女ではなく、白哉達がどんな能力を持っているのかを把握したりプライバシーやコンプライアンスを考慮したりもしていたようだ。

 

 そして説明している中で、皆の気づかぬ間にリリスに指示を出したからなのか、テーブルに数十冊もの分厚い本……魔導書が出現した。これらに書かれているものを読めば、自然とその魔法を覚えられるとのことだ。

 

 

「ま、多数参加のイベントだから全部は渡さないけどね。でもどれも私がこれまで見てきた攻撃魔法で、どれもこのダンジョン攻略で使えそうなものばかりで使い勝手がいいから、覚えておいて損にはならないと思う」

 

「そ、そうなんか……まぁ一般参加でもOKな配慮があるんでしたら、アタシはもう何も言いまへんけど……」

 

 

 どうやら使用できる魔導書には数があるらしい。独り占めされる可能性や、魔導書の使い過ぎで予想だにしない事態が起きる可能性を考慮してのルールの一つを設けていたようだ。

 

 

「あ。でも既に何かしらの能力を持ってた人でも、一冊だけなら魔導書を使ってもいいよ。桃もシャミ子も白哉も……あとみんなも」

 

「えっ?」

 

 

 能力を持った人でも一冊は魔導書を使ってもいい。その言葉を聞いたシャミ子が思わず呆けた声を上げた。まさか既に魔法などの攻撃系の能力を持っている人でも使用できるという事実に、驚きを隠せずにいたようだ。

 

 

「いいんですか、私達まで選んでも?」

 

「うん。みんな魔法使いがいた時代の攻撃魔法が気になると思っているだろうから。それに、私もみんながあの時代の魔法を使うのを見てみたいしね」

 

「は、はぁ……」

 

 

 フリーレンのみんなへの期待を高めているかのような発言に、思わず苦笑を浮かべるシャミ子。謎のプレッシャーが押し寄せてきたのだ、無理もない。

 

 

「他に質問したい人いる?」

 

「別に質問ってわけじゃないけど……さっき観戦の方に回れるって言ってましたよね? なら僕はそっちに行ってもいいですか? 仮に魔法を持てたとしても、ギックリ腰とかで詰んじゃうと思いますし。チームで組めばさらにみんなに迷惑を掛けてしまうので……」

 

 

 ここで観戦……リタイアの方に回ることを意思表示する者がいた。白澤である。自身の身体が弱いことを自覚しての適切な判断として、リタイアする方向に回ったようだ。

 

 

「いいよ。さっきも言った通り、無理強いするつもりなんてないし」

 

 

 無論、フリーレンもそれに対してとやかく言うつもりはない。白澤の体を労い、リタイアを許可した。

 

 

「ウチも観戦でえぇ? ダンジョン攻略っての結構面白そうなんやけど、ここ夢の世界やろ? ウチはご飯とお銭が実際にもらえないイベントには参加したくないんよなぁ」

 

「なるほど、ご飯にお金か……」

 

 

 白澤に続くように、リコもリタイアを要求する。そこで好みとなる報酬が貰えないことを呟いていたため、フリーレンはそこに接点を当てるかのように考え込み始める。

 

 悩みに悩んだ僅か五秒。何か思いついたのかのような表情となり、フリーレンは突然むふーっとしたドヤ顔をリコに向けてきた。一体何をするつもりなのだと感じたのか、リコは思わず引き攣った表情で後退った。

 

 

「えっ。きゅ、急になんで笑いよるの……? 怖っ……」

 

「ご飯かお金に関するものがほしいって認識でいいかな? だったら、リコにはこれに参加してクリアしてくれたらアレを教えてあげるね。“夢に出た食材や料理の味を再現しやすくなる魔法”を」

 

「えっなんやのそれめっちゃ使いたい」

 

 

 リコ、後退りしていたのが嘘のように、興味を示した魔法の事を明かそうとしたフリーレンに食いつく。料理することが生き甲斐な彼女にとって、夢の世界の味を現実世界で再現することができる魔法は、料理への探究心を燻らせるもの。それを伝授できるこの機会を逃すわけにはいかないのだ。

 

 

「じゃあリコも参加するってことでいいかな」

 

「えぇよ‼︎ 絶対クリアしたる‼︎ “夢に出た食材や料理の味を再現しやすくなる魔法”……そこからどんな料理を作れるんか楽しみや‼︎」

 

「覚えられるのはクリアできたらだけど、ね」

 

 

 釘を刺すようにリコのリタイア拒否を確認したフリーレン。他にこのイベントへの質問をする者がいるかどうかを確認し……一つ頷いてから良子と小倉の方に目線を向け、そこから何かしらの合図を出してから再び白哉達の方に向けてから再び口を開く。

 

 

「それじゃあ、今からダンジョン攻略のチーム分けを発表するね」

 

「あ、チーム分けとかするんですか?」

 

「うん。スタート地点の入り口は三つあるし、ダンジョン攻略を円滑にしてかつ少しばかりの競争力を上げるために……ね。後、ソロでやってる時のトラブル回避のためでもある。というかみんなダンジョン攻略は初めてでしょ? なら初挑戦でソロは絶対に危ないよ」

 

 

 フリーレン、最初はちょっとしたゲーム感覚にさせるためだと語りながらも、皆の安全性を計るための措置を施すつもりのようだ。ここが夢の世界とはいえ、仲の良い者達を危険に晒さないための配慮とも言えよう。

 

 そう説明したフリーレンは、早速と言うかのようにチームの発表……する前に少し言い淀んだ様子になった。

 

 

「あ、ちなみに各チームのリーダーは既にこちらが決めてるよ。一つは私。もう一つはナディア。残りはガタルフに任せる」

 

 

 既に誰をリーダーにするのかは決定しているらしい。フリーレンの考えからすると、自分と長く関わってきた上にダンジョンの事をよく聞いた者である、ガタルフとナディアの方がリーダーとして適任だと感じたのだろう。

 

 

「お言葉ですがフリーレン様、何故僕と姉さんを各チームのリーダーに? 戦闘経験の多い桃さんや柘榴さんの方が適任であると思われますが……」

 

「私はリーダーでもいいんだけどなぁ。責任感もある上にみんなから期待されてるって感じがあっていいし」

 

 

 が。ガタルフとナディアは実際の戦闘経験が、桃や柘榴どころか白哉よりもかなり浅い。そのためなのか、ガタルフは桃か柘榴をリーダーの方が判断の良さが適切ではないかと考えているようだ。ナディアは乗り気だが。

 

 そんな彼の遠慮と異論を半々否定するかのように、フリーレンは首を振った。

 

 

「戦闘とダンジョンは全く違うよガタルフ。戦闘というのは大抵が一つのエリアで目の前の敵と闘うもの。ダンジョンは広い領域で複数ものエリアの仕掛けを対処するもの。桃達の場合、後者の方を体験してきた者は少ないだろうし、その回数も多くはないはず。ならばダンジョンの知識を多く叩き込まれたナディアとガタルフが適任ってわけだよ」

 

「叩き込まれたって……貴方の思い出をたくさん、というか散々聞かされただけなんですが? あっいえ、別にそれを嫌っているわけではないのですが……」

 

 

 戦うこととダンジョンを攻略することは全くの別物であることを語り、ダンジョンの知識が詳しい者の方がリーダーとして適任していると感じていたのだろう。入れ知恵を受けただけでリーダーを勤めてもいいのだろうかと、ガタルフは未だに自分がリーダーになることに納得しきれてないが。

 

 

「それじゃあチームリーダーを決めた理由も教えたことだし、これからリリスが各チームのメンバーを教えてくれるから、よーく聞いておくようにね」

 

「……ん? 今、誰が決めたと言ったんスか?」

 

 

 ようやく決められたチームメンバーの発表……といきたいところで、白哉は何かに引っ掛かりを感じた表情を浮かべる。リリスが各チームのメンバーを決めた、という言葉に不穏を感じたようだ。

 

 リリスは魔族や魔力に関する情報に詳しく、その知識力がためになる場面はそこそこあった。だがそれと同等に、桃の弱点を探ろうとしたりシャミ子に悪知恵を与えようとしたりと、悪評となりかねない事もしているので、白哉は彼女の事を完全には信用出来ずにいる。

 

 そして、子孫だからということもあり白哉よりも尊敬の意思が強いシャミ子でさえも、今回ばかりは祖先が決定づけた事への不安を募らせていた。

 

 

「あ、あの……何故ごせんぞが決めたんですか? てっきりここもフリーレンさんが決めたものなのかと……」

 

「なんか『そこは余に決めさせてくれー‼︎』って必死にお願いされた」

 

「えぇ……」

 

 

 前と似た状況での幻滅とまではいかなかったものの、フリーレンに必死に懇願するリリスを想像したのか、青褪めて引き攣った笑顔になるシャミ子。祖先が醜態を晒したものの実際の現場を見なかったため、どのように反応すればいいものだと困惑しているようだ。

 

 

「そ、そこの成り行きなど別にどうでも良いではないかフリーレンよ‼︎ と、とにかくだ‼︎ 各々の連携が取りやすいようなメンバーに分けてやるのだから、耳の穴をかっぽじってよぉーく聞いておくのだぞ‼︎」

 

「今からプロジェクターに表示させるから、ごせんぞは無駄な浪費せずに他の方にそれを回してくれて大丈夫だよ? 負担は分けてやるものだから」

 

「いやそれはそうだが⁉︎ せっかく余が決めたのだから余の口からも発表させて⁉︎ ってか無駄な浪費って何⁉︎」

 

 

 チーム分けの発表をすると語るものの、良子がプロジェクターでそれを行うから休めと言われ、思わずツッコミを入れてしまうリリス。自信満々に自分の口から説明する気満々だったためか、そのツッコミの音量も先程よりも上がっていた。

 

 ほんのちょっとした一悶着がありながらも、リリスはプロジェクターに表示された内容通りに各チームのメンバーを発表した。ちなみに以下の通りである。

 

 

☆フリーレンチーム

 フリーレン(リーダー)

 白哉

 シャミ子

 リコ

 全蔵

 サケブシッポ

 

☆ナディアチーム

 ナディア

 桃

 柘榴

 朱紅玉

 ミト

 マリン

 バトラー

 

☆ガタルフチーム

 ガタルフ

 ミカン

 拓海

 ウガルル

 蓮子

 ブラム

 奈々

 

 

「なんかフリーレンさんのチームの方が一人少なくないですか?」

 

「ダンジョンの経験豊富なフリーレンがいるから、実質一石二鳥だと判断してくれれば良い‼︎ 実際フリーレンは滅茶苦茶強いし、何ならここにいる誰よりも強い‼︎ あーあ、余が全盛期の力を持っていれば、少なくとも彼奴と互角になっていただろうなー‼︎」

 

「泣きながら意地張らないで。見苦しいよ」

 

「辛辣なこと言うな‼︎ クッ、このクソボケエルフめぇ……‼︎」

 

 

 フリーレンのチームの数の少なさから、何故かリリスの全盛期の強さがフリーレンと同等かどうかの戯言みたいな話になっていた。リリスが全く全力になれないことは確かだが、実際の実力が不明なためか、皆が皆リリスはフリーレンと互角なのかという実感が湧かずにいた。

 

 

「……まぁよい、そんな事よりも今は此奴等にダンジョンを楽しんでもらうことが一番だからな。この激スゴダンジョンに挑戦してもらい、見事全員……特におぬしにギャフンって言わせてやるとしよう‼︎」

 

「言質、取ったからね。簡単すぎるものだったら夢魔の力の使い方について教えてもらうからね」

 

「ウグッ⁉︎ ま、魔力関連だから魔法として本当に使いこなせそうで怖い……ぜ、絶対満足させてみせよう‼︎」

 

「なんか二人だけの対決になってね?」

 

 

 三チームに分かれての攻略競争のはずが、まさかのリリスとフリーレンによる賭け事になった。これに呆れてものが言えない一同であった。ってかはよ始めろや。

 

 

「ところで、そこのデカ耳て青い魔族とスーツを着た赤い魔族は一体誰?」

 

「そういう貴方こそ誰なのよ? こっちはずっとそれ聞けなくて黙ってたけど」

 

「あ。マリンとバトラーの事、フリーレンさんに教えるの忘れてた……」

 

 




マリンとバトラーはこの時フリーレンとは初対面


おまけ:台本形式のほそく話その42

シャミ子「白哉さん‼︎ カーテン魂さんがC105通販にて、冬の学校帰りに肉まんを半分こする私と桃の描き下ろしアイテムを八種も出したみたいですよ‼︎ 通販は来年の一月六日までやるそうです‼︎」
白哉「カ、カーテン……何? ってかなんで不満そうなんだ?」
シャミ子「その時に描かれた私のイラスト、尻尾がハートの形を作っていたんです‼︎」
白哉「あ、そうなんだな……えっ? まさかそれで何か不満な気分に?」
シャミ子「だってこれじゃあ私が桃に恋愛感情を向けてるように思われるじゃないですかッ‼︎」
「私は白哉さんの恋人なのにッ‼︎ 桃は柘榴さんに好意があるのにッ‼︎ これじゃあ何かの詐欺かと思われちゃいますよッ‼︎ あっちが本家・原作ですけどッ‼︎」
白哉「いや、えっと……そういう感性や見方は人それぞれじゃねェか?」
「っつーかさ? 俺達の方を本家本元だと言い張るのやめてくれね? 一応、こっちが二次創作なんだしさ……」
「って何言っちゃってんの俺。二次創作て……」
シャミ子「でもッ‼︎ 原作漫画やアニメではっきりとした百合要素なんて出てないんですよッ⁉︎ なのにこんな勘違いイラストなんか出してッ‼︎ この小説のファンのみなさんに失礼だと思いませんかッ⁉︎」
白哉「何その偏見的解釈。まるでファン全員が百合を否定してるように聞こえるからやめてくれね?」
シャミ子「こうなれば、私と白哉、桃と柘榴さんがそれぞれいちゃついてる原作漫画・アニメ画のAIイラストを作って世界中にバラ撒いて───」
白哉「もっとやめろォォォォォォッ⁉︎」


ふとシャミ子と桃の肉まんのヤツの公式ツイートを見て、急遽書いちゃいました。何やってんだろ俺……
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