偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
なのにそれに関することの感想どころか、感想自体が1つしか来ない……注目すべき回なので何個か感想来ると思ったんですけどね……
前回シャミ子が白哉君にこっそりキスしてたのに……
前回シャミ子が白哉君にこっそりキスしてたのに‼︎
どうも、昨日クラスメイトのバイトの助っ人を頑張った白哉です。同日にまだ原作初登場回に出てない原作キャラ──陽夏木ミカン──に優子よりも先に出会ってしまいました。しかも初登場時の目的とは逆に、魔法少女として役割を果たすためではなく観光で来たとのこと。つまりはオフの日の彼女に出会ったってわけだ。
けど彼女に出会ったおかげで、俺は降り注いできた大木の下敷きになる可能性を回避することができた。彼女が来てくれなかったらどうなっていたのやら……ヤベッ、背筋が凍ってきた。もうネガティブなもしもを考えるのやめよ。
その後何故か俺の事を社会人か大学生だと勘違いしてたらしいため、同級生であることを伝えたら驚かれたんだけど。いや、俺身長は特段高いってわけじゃないと思うし、顔が大人っぽいと言われてもそれだけだし、勘違いされる要素少なくね?
まぁ誤解はちゃんと解けたので、とりあえずこの件は良しとしよう。問題となったのは、俺の腕に陽夏木ミカンが使ってた香水の匂いが付いてしまったことだ。下手すればその匂いに気付いた優子が勘違いを起こし、浮気者と勘違いされてヤンデレモードと化しそうだったから。ヤンデレモードになったら監禁・脅迫とかされそうだったから。優しい性格の彼女にそんな事してほしくないんだよな……
上述でもあった通り、優子が香水の香りを嗅いだことによる勘違いをすることは俺を死の世界へと誘うのと同じことだ。だって俺、彼女に嫌な程愛されてるもん。彼女が自制してるだけで愛の重さは表に出てないだけだもん。俺が気づけてないところもあるけども。
なので真っ直ぐ帰ってすぐさまシャワー浴びてミントの香りのボディソープをめっちゃ使ったなー。どうしても香水の匂い消して誤解を生まれないようにしたかったから……。いや、それはそれで別の誤解が生まれるんじゃね? 違う方向性で疑われるんじゃね? 翌日になって気づいたことだけど。
まぁとにかく、一日過ぎてしまったものは仕方ない。とりあえず飯食い終わったから学校行く準備して、先に外に出て待ってくれてる優子と合流して、色々と誤解したままなら何とかしてその誤解を解かないとな。上手くそれができるのか分からんけども。
【マスター、出る前に一言だけ言われてもらってもいいかメェ〜?】
「ん?」
忘れ物ないか確認したので出ようとしたら、掃除機で玄関を掃除してるメェール君に呼び止められたんだけど。何だろう? 昨日の誤解されるかどうかの事で話があるのか?
けど昨日お休みもらって自分のいた世界に帰ったんじゃね? そしてその事を朝飯食ってる時に話したばっかだよね? だとしたら一体何の用……
【いつかは自分の本当の本心をシャミ子ちゃんに伝えた方がいいメェ〜。それか気づくべきだメェ〜】
………………えっ?
えっ? 今、なんて? 俺の本当の本心? どゆこと? それ、どういう意味?
【……いや、今のは僕の独り言だメェ〜。やっぱり別に気にしなくてもいいメェ〜。それか忘れてもいいメェ〜。呼び止めてごめんだメェ〜】
「えっ? お、おう……。とりあえず、行ってくるわ……」
えっと……一体何だったんだ? 『本当の本心に気づけ』とか言ってきた癖に『気にしなくてもいい』? 「忘れてもいい』? じゃあなんで言ってきたんだ?
うーん……『忘れて』とか言われてもやっぱり気になっちまうんだよなぁ……。とりあえず、偶に今言われたことを思い出して、自分が本当は何をどう思ってるのか考えてみるか。それで何かに気付ければ良いのだけど……
何はともあれ、今はさっさと優子のところへと行くか。いてきまー。
【………………昨日結界を通してマスターの一日を覗き見して、シャミ子ちゃんが昼寝中のマスターにキスしたところを見てしまったから、変な事言ってしまったメェ〜。ま、気にしてくれなかっただけよかったのかもしれないメェ〜……】
ん……? なんかメェール君がぶつぶつと呟いてたけど、なんて言ってたんだ? いや、ああいうのはプライバシーに関わることだから聞かない方がメェール君の為かもな。それよりも優子と合流合流、と。
お、いたいた。ちゃんといた。モヤモヤとした感じとかも出してないな。平常心を保ってる……いや、それは表面下だけの可能性もある。ここはいつも通りの挨拶で確認してみるか。
「おはよう優子」
「あぴぇ⁉︎ あ、お、おはようございます……」
えっ……? な、何故急に顔を真っ赤にしてんだ? 昨日の匂いが付いたことでは、優子が恥ずかしい思いをするような事にはならないはずなんだけどな……
まさか俺、自分では気付いてないけど『ヤベー』と思われるような真似をしてしまったのか? それに対して優子が羞恥心を覚えて……みたいな?
「どうした顔真っ赤にして……? お、俺なんかやらかしたの……? もしそうだとしたら、正直に話してくれるか……?」
「へっ⁉︎ あ、い、いえ⁉︎ びゃ、白哉さんは何もしてない……何もしてないですよ⁉︎ と、というか⁉︎ 別に白哉さんが悪いことをするはずがないですよ⁉︎ びゃ、白哉さんは、ね⁉︎」
「俺、は……? やっぱり何かやらかしちまった……?」
つーかさぁ……さっきからその反応は何なんだ? なんで怒られたくないが為に、いい加減な嘘による弁解で怖い大人による説教から逃げようとする馬鹿みたいにしどろもどろになるんだ? かえって気になるんだけど。俺が何をやらかしたのか鮮明に教えてくれよ……
「だ、だからそんなことは……む、寧ろやらかしたのは私の方で……」
「は?」
「あっ⁉︎ と、とにかく⁉︎ 早く学校行きましょうか⁉︎ そ、そろそろ行かないと遅刻しそうですし……」
「お、おう……?」
そう言うと、優子は何故慌てふためいたのかの理由とか教えることもなく、その場から逃げるように通学路を走って行ってしまった。とりあえず、俺も追求させずに追いかけるか……
うーん……。不思議な程に全く掴み所がない感じだな。優子は別に嘘をついてるわけじゃなさそうだけど、じゃあなんであんな挙動不審になるんだ……? 女性というのは分からんところが多い……
ってか、さっき『やらかしたのは私の方だ』とか言ってたんだけど、優子が一体土日で何をやらかしたと言うんだ? むぅ……気になってしょうがないのだが……
♢
「……で、なんで俺は昼休みに小倉さんに引き摺られてるんでしょうね? しかもなんで捕獲用ネットに捕まってしまったんだよチクショー」
「ごめんねー。召喚獣を捕まえようと設置していたんだけど、まさか主である平地くんを捕まえちゃうなんて思ってもみなかったからさー」
「謝りながらどっかへと連れて行かないで? つーかウチの召喚獣で何しようとしてたのかね君?」
昼休みにて、俺はこのように何故か小倉さんに連行……というよりは完全に捕獲されています。購買のパンを買いに校庭通ろうとしたらね? いつの間にか小倉さんがウチの召喚獣を捕まえるために用意していた、落とし穴仕掛けの捕獲用ネットによって捕まったわけですよ。
ってか、俺の友達なのか仲間なのかどう解釈すればいいのか分からないけど、それでも大切な存在であることに間違いないあの子達を捕まえるとかどういう了見だ。ふざけんな。……召喚獣の皆、いい加減な判断してごめん。
というかこの日は確か、優子が千代田桃に借りた分の金を返そうとしたら、なんやかんやで千代田桃に家族がいない事を知ってまた決闘を先延ばしすることになったってイベントだよな? チクショーが、せっかく介入しても大丈夫そうな原作回を間近で見る機会がパーじゃねーか。どうしてくれる。
あ、でも放課後に優子が妹の良子ちゃんに何か買ってあげるっていう原作イベントが残ってるんだった。……しゃーない、そのイベントの為にも小倉さんが行おうとしそうな何かから無事に生きて帰らねーとな。
ってか小倉さん、そんなに筋力なかったよね? なんで俺を捕まえたネットを両手で引っ張る程の力を出せるの? 研究したがると馬鹿力でも出せるのかね?
「……で、何が目的だ? 危なっかしいことなら全力で抵抗してでも断らせてもらうからな」
「え〜? 別に大したことじゃないよー。だからそんな怖い顔で睨みつけないでくれる? 私、修羅場は避けたいから」
「じゃあはよ俺をこのネットから解放させろ。めっちゃネットの中狭いし、手足とか色々と網に引っ掛かる。内容次第なら協力するから、はよ」
「あ、ごめんね。今解くね」
あー、やっと解放してくれた。その後すぐに俺が逃げ出すかもしれないってのに、よく解放させてくれたな。丸まった感じになってたから背中いてー……
「で? ウチの召喚獣を使って何をする気だったんだ?」
「ん? ただのデータ収集だよ? 平地くん、たくさんの召喚獣を持っているらしいでしょ? 千代田さんから聞いたの」
「あの振り回し魔法少女が……」
千代田桃め、何勝手に俺の転生特典のことをバラしてんだよチクショー。おかげでウワサが広まり変な注目を浴びる羽目になるだろうが……
あっ。それならあの魔族と魔法少女の共同特訓の時に『誰にも言わないで』と千代田桃に釘刺すべきだった。言い忘れてたわ。
むぅ……何はともあれ、捕まってしまった上に一回協力するみたいなこと言ってしまったし、仕方ない。こうなってしまった以上、条件付きで乗ってやるか。
「……わかった。許可を出してくれた奴だけならいいぞ」
「やったー。平地くんってなんだかんだ言ってやっぱり優しいね。シャミ子ちゃんだけに飽き足らず誰に対しても」
うるせェやいコンニャロー。優子になるべく優しく接してるからっていつも優しいとは思わないことだな。優しく接するのは時と場合によるぞ? さっきのデータ収集を頼んできた時だって、取り方次第では心を鬼にしてでも取らせないつもりでいるからな? どうやるのかは分からんけど。
まぁともなくだ。協力を承諾してしまったのだから、メェール君から教わった召喚獣達との連絡を取る手段を使って、小倉さんによるデータ収集に協力してくれる奴がいないか聞いてみないと……
と思った矢先。昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。あ、色んな意味で助かったかも。でもパンは買えなかった……
「えっ⁉︎ もうそんな時間⁉︎ あーあ……仕方ないや。ごめんね平地くん、データ収集はまた今度やらせてね」
「おう、わかった。もう二度と頼み込まないでもらいたいけどな」
心底安堵していた感情を抑え、俺は小倉さんの言葉に対してそう言いながらさっさと教室へ戻ることにしました。もうしばらくはマッドサイエンティストに絡むのはごめんだね。
ちなみに優子は千代田桃への一括返済を原作通り認めて貰えず、千代田桃に『返済は毎月五十円ずつで余ったお小遣いは家族や自分に使って』と言われたそうです。ウインナー挟んだ八つ切りパンで買収されそうになるが、彼女に家族がいないという話を聞いて承諾したらしい。うん、家族がいない者の寂しさを考慮してあげたんだな。やっぱり優子は優しい。
ちなみに二回目。この話は優子の口からではなく杏里の口から聞きました。遠目で見てくれててよかったよ。優子から聞こうとしたら何故か朝の時と同じ様に顔真っ赤にして言い淀んでいたから、なんだか聞くに聞けなくて……
♢
昼寝していた白哉さんにうっかりキスしてしまったことで彼に対する罪悪感を持ちながらも、なんとか平常心を取り戻そうとしている私です。朝白哉さんと会ってすぐしどろもどろになってしまいましたが。
今のところ安心できるのは、白哉さんがキスされた事を覚えていないのが不幸中の幸いだってところでしょうか。その時の白哉さんは寝ていたので、もし起きていて覚えていたのなら今までのやらかしよりも気まずくなりますよね、絶対。それこそ白哉さんに『愛が重いってレベルじゃないだろ』とか思われてより一層警戒されますし……
それでも白哉さんと顔を合わせられず上手く話し合えない中、私はそれを誤魔化そうと本日の目的の一つである桃への健康ランド代の返済を試みることに。ってか弁当箱が私のバイト先で大量に買ったウインナー一色って、食のバランス考えてます⁉︎
で、早速返済して闘いを申し込もうとしましたが、『バイト代の大半を全部巻き上げたくないからもっと自分のために使ったら?』と言われました。けど断らせていただこう! なるはやで借りを返し封印を解いてこそまぞくの一歩を歩めるのです‼︎ 後、武器を買おうとした日の時の戦犯の一人であること、私は忘れてませんからね‼︎
大体借りを返してもお小遣いがちょっとだけ余ります。今日は放課後、妹の良に何かプレゼントを買ってあげるんです。……って、アレ? なんか変な間が出来た後に一括返済を断ってきた⁉︎ しかも返していいのは月五十円だけって、めっちゃ少なっ⁉︎ ある意味鬼畜過ぎません⁉︎しかも 八つ切りパンで打って出てきた⁉︎ 薄っ⁉︎ だから断らせていただくと……
えっ? 気になってこちらから聞いてみたんですけど、そのざっくり弁当、自分で用意した? しかも家族がいない? ……何だろう、なんだか悲しそうな顔してるから、嘘をついてるようには見えない……
えぇい! 薄いパン採用! やっぱり今月は五十円だけ返す‼︎ 後、今日だけなんでも言う事聞いちゃります‼︎ 今度からは四つ切りじゃないと言うことは聞きませんからね‼︎
♢
放課後。俺は原作通りに良子へのプレゼントを買おうとする優子と千代田桃に同行して商店街に……
ということはせず、敢えて多摩町にある図書館に行き、門のところでスマホを弄ってます。とは言っても別に調べたい流行り言葉とかはそんなの別にないので、この図書館の事に関する口コミを調べてるだけだけどね。オイ誰だ今つまらなさそうなことしてんなと言ってる奴は。
なんで優子と千代田桃に同行しないのかって? なんでだろうな……。何故かこの日は、俺が近づく度に優子が顔真っ赤にしてアワアワしてばっかりだったから、少しでも俺から離れる時間を作って落ち着かせようと思ってね。まぁ彼女の心を安定させる為のほんの僅かな処置ってワケだ。
まぁでも、本当は原作イベントを間近で見たいという欲があるわけで、後から俺もあそこに行くのであまり意味はないでしょうけど。原作突入前まではイベントに介入する事を避けようとした人の考えじゃねーなこれ。
なんで後から行こうとするのか、だって? なんでかというとね……
「あれ、
「こんにちは、良子ちゃん」
図書館で宿題を終わらせて出てきた、優子の妹・良子ちゃんと待ち合わせするためである。いやこっちが勝手にここに来ただけだし、不審者感が出てしまってるけど。
ちなみに前にもちょっと言ってたと思うけど、良子ちゃんとは生まれてきた時から仲良くしている。初めて顔を見た時はやっぱり赤ちゃんだったからなのか、可愛すぎてめっちゃ頭撫でたり頬っぺたぷにぷにしてたな。けどその時の良子ちゃんの赤ちゃんとは思えない程の呆然とした顔は、なんていうか……その……しばらくトラウマになりました。溺愛しすぎたわ。
あ、ちなみに良子ちゃんには俺が召喚師になったってことは伝えておりません。良子ちゃんは勘がいいから勝手にバレるだろうなとは思うけど、もしバレたら『なんで今までその力を使って助けなかったの?』みたいな感じに疑われて信用されなくなってしまう。仮に仮定を含めて話したとしても信じてくれなさそうだし……
「白兄、今日はお姉と一緒じゃなかったの?」
「んー? 今日は商店街に行くんだろ? だから良子ちゃんを無事にそこまで連れて行く為のエスコートをしようと思ってな。ホラ、小さい子を誘拐して身代金を要求するクソな大人……不審者とかもいるし」
別に嘘は言ってない。前世でもそうやって子供を利用して金を取ろうとするクズがいたものだ。だから魔族とか魔法少女とかがいるこの世界でも、そうやって身代金目的での誘拐やコンビニ強盗がいてもおかしくない。それが現実というものだ。
「良はそんな大人がいそうな狭い道とかは通らないし、出会ったとしても言葉巧みには乗らないよ?」
「あー、うん……。良子ちゃんは他の子と比べて賢いからそういう風に対処できるだろうけど、念のために……ね?」
「……何だろう。白兄はいつも優しいけど、今日は怪しさも出てる気がする。言動だけだとその不審者ってのと似てるみたい」
「ごもっともです、はい……」
うん、自分でもこの行動は怪しいと思っているよ? 幼女を待ってる十代後半以上の男性って、一般からすればロリコンとか色々な方面で悪く思われるやん。なんで待つことにしたんだろうね俺って。
「とりあえず行こう? お姉が待ってるから」
「……はい」
けど良子ちゃんは小学生だからなのか、自分が来るのを待つ以外の方法はないのかとか、こんな事して恥ずかしくないのとか、そんな事を言ったり聞いたりしてくることはなかった。うーん、何だろう……。深く追求してくれなかったことは助かるけど、変なことをしてしまった自分からしたら、なんだか複雑なんだけど……
で、やって来ました原作開始から二回目のショッピングセンター・マルマ。優子と千代田桃は三回目ですけど。うーん、なんだろうな? 物語という認識と現実という認識がごっちゃになってるから、もう一度来てもそれほど喜べない感じが……
「びゃ、びゃ、白哉さん……⁉︎ ア、アレ……? 先に帰ってったのでは……? どうして良と一緒に……?」
そうこう考えていたら、良子ちゃんを待っていた優子と千代田桃と再会していました。で、優子はまたもや俺を見て顔真っ赤にしてたけど、今度は『なんで来たの?』みたいな戸惑いによるものもあるからか、すぐに落ち着いてくれました。
うーん……そこまで落ち着けられたのなら、なんで昼休みまではアワアワしてたんだ? むぅ、最近のこの世界の女の子の心情というものは分からんな……
「良が図書館から出た時に偶々白兄と会ったから、せっかくだしついて来てもらった」
「あー……そういう事。迷惑だったか?」
「あっ、いえ全然‼︎ 寧ろ良に付き合ってくれてありがとうございます‼︎」
よかった、優子も俺が来たワケを理解してくれたし、ようやくいつも通りの彼女らしさを取り戻してくれそうだ。ひとまずは色々と安心したよ。
♢
放課後、商店街。白哉さんには先に帰ってもらい、私は言質を取って同行してきた桃と二人で良を待つことにしました。ちなみにここまではなんとか桃に私が白哉さんにキスしてしまったことはバレてません。後は良の欲しい物を買ってあげて帰れば今日はもう大丈夫……と思ったのですが。
何故⁉︎ 何故白哉さんまで良と一緒に来たのですか⁉︎ 白哉さんの気が変わったにしても、良と一緒にだなんてどんな偶然なんですか⁉︎その時また白哉さんの顔を見てテンパっちゃいましたが、今度はなんとか早くも落ち着きを取り戻せました。時間が経てば人は自然と本調子を取り戻せるものなんですね……
二人の話によれば、良が図書館で宿題を終わらせて出た時に偶々白哉さんと遭遇し、良が商店街に行くことを知った白哉さんが保護者みたいな感じに同行することにしたらしい。過保護なのか、それとも……むぅ、なんだか複雑です……
「ところでお姉、その人は?」
あっ、そういえば良は桃の事を知らないんでした。良には桃と熾烈な戦いをしてるって言っちゃいましたし、桃の正体は隠しておかないと……‼︎
「こちらは親友の桃ちゃんです‼︎」
「えっ⁉︎」
「ありゃまぁ……」
ちょっと桃? 何かつてない顔してるんですか? 何目を見開いてるんですか? そして照れるな‼︎ うっかり言ってしまった私のちょっとした本心を聞いた白哉さんじゃないんですから‼︎ 話合わせて‼︎
そして白哉さん? 何『こいつ隠し事したいからとはいえマジか』みたいな反応してるんですか? そういう反応されるとなんか傷つくのでやめてもらえませんか⁉︎ 良に今桃が魔法少女であることがバレたらどうなるのか分かってるのですか⁉︎
あっ。よく考えたら私、アワアワせずに白哉さんと話せた。よかった、やっといつものように落ち着けて白哉さんと話せる。……やっぱり、キ、キスしてしまった事は忘れられないけれど。
まぁ何はともあれ、早速良のために何かプレゼントでも……えっ? 自分は何もいらないから、大事な闘いに備えて私のためになるものを買って欲しい? そんな事言わないでください‼︎ 闘いよりも家族や大切な人達の方が大事なんです‼︎ 何でも選んで‼︎
いや包帯と家庭の医学の本って、衛生兵にならないで⁉︎ 怪我なんてしませんから‼︎ 大丈夫だから‼︎
ん? 兵法書? いやおねーちゃん今のところ軍は率いないから⁉︎ というか読めるんですかそれ⁉︎
今度はお徳用ひじき……いや戦争から離れてはいるけど、ご家庭の栄養に気遣わなくていいから‼︎ ……まぁでも、余ったお金で検討してみましょうかね? お得だし。
むぅ、良は自分のやりたいこととか欲しいものとかで探そうとしないですね。逆に私の魔法少女との闘いの力になりたいと何らかの兵士になろうとしてるし……良は本当に小学生ですか?
「優子、ちょっといいか?」
あ、白哉さんが手招いている。良へのプレゼント選びに悩んでたから存在を一瞬忘れてました、すみません……。けど、さっきよりも落ち着いて顔を見れるようになった……かな?
で、一体何事ですか?
「ほら、あれ見てみろよ。良子ちゃん、カメラ屋の方をじっと見てるぞ。きっとあの店の中のヤツだ」
「白哉くんも気づいていたんだね。良ちゃん、ここに来た時からあっちをちょいちょい見てる」
え? もしかして二人とも、良が本当は何が欲しいのか分かるのですか?
「ちっちゃいカメラ……といかめら? 良、これが欲しいんですか?」
「えっ⁉︎ いや……見てただけ‼︎ ちっちゃくてかわいいカメラだなーっておもっただけ‼︎ 図書館でカメラの雑誌とかずっと見てたから‼︎ じゃっかん目に入っただけ‼︎」
すごくすごい欲しいんですね‼︎めっちゃ焦ってる‼︎ 私の事を色々と気遣って遠慮しようとしてる‼︎ 可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。えぇっと、値段は二千円強……よし、買える‼︎
「こんなの全然安いもんです! 買っちゃいましょう‼︎ それでお姉ちゃんの雄姿を撮ってください‼︎」
フフンッ。闘いに関われそうな意見も言ったし、これで良へのプレゼントは決まりに……え、ちょっと待って。何故ありがとうと言いながら泣くのだ⁉︎ おねーちゃん何かやらかしてた⁉︎
「だってお姉、最近無理してる時尻尾がしなしなになるから分かりやすい……」
「えっ⁉︎ そうなんですか⁉︎」
「気づいてなかったんだ」
「まぁ大まかな尻尾の動きなら俺でもどんな感情を出してるのかわかるけどな」
は? ちょっ、ちょっと待ってください? なんで白哉さんも桃も私の感情を尻尾で見てわかるのですか? こっちは上手く感情を仕舞い込んでるはずなのに、尻尾の動きで察知されるとは……いや、そんなはずは……
念のため、私の尻尾がどんな動きをしてると私がどんな感情を出してるのか、二人に聞いてみました。悩み事の時は自分の体の周りをグルグルさせる、気が乗らない時は地面にペタン、緊張してる時は凹凸に曲がる、わくわくの時はフリフリと動かす……
あ、これら全部当てはまってる。私でもそれら感情になるとそういった動きをしちゃうんだった。でもなんで二人ともそこまで私のこと理解してるの? すごく怖いんですけど。
「で、今の尻尾は『なんで二人ともそこまで私のこと理解してるの? すごく怖いんですけど』かな」
「何故そこまでわかる⁉︎」
「おー、千代田桃お前すごいな。そこまで具体的な感情までわかるのか。俺なんか『どれだけ観察されてるの私? ちょっと怖い』って感じにしか把握出来なかったってのに」
「それだけでもわかる白哉さんも怖いです‼︎」
ぐぬぬ……これはさすがに危険ですかね。まだバレてないかもしれないとはいえ、このままだと白哉さんに対する感情も尻尾を通してバレるのも時間の問題なのでは……。自分の尻尾の動きには十分注意しなくては……
けど、よかったって思うところも見つけられたので悪い気はしませんでした。私、学校でなるはやで桃に借りを返すって言ったけど、良のあの顔を見られて、今日何かしてあげられてよかった。
だから借りは時間かけて絶対に返すことにします。じゃないと桃と闘えないからな‼︎ 魔法少女よ、血糖値高めにして待ってるがいいですよ‼︎ フハハハハ……ウヘッウヘッ‼︎ む、咽せた……
「あの……記念すべき最初の写真は、お姉と白兄を撮りたい」
「「ファッ⁉︎」」
ちょっ、今、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた⁉︎ き、昨日のキスよりかはマシかもだけど、その時の事も考えたら、白哉さんに近づくにしてはかなりの勇気がいりますじゃんこれ⁉︎ 私の寿命、縮んでしまうのでは⁉︎
♢
いつの間にか本調子を取り戻してた優子を見ながら、俺は彼女の良子ちゃんへのプレゼント探しを見守ることにした。けど良子ちゃんは魔法少女と闘っているという誤解らしきものを把握していたのか、中々自分が本当に欲しいものを選ぼうとしない。子供にはめっちゃ難しい本を二冊も選んでるし、小学生がそんなものを読むには早すぎます。
ん? よく見たら千代田桃、優子達に気づかれないようになんか料理に関する本を読んどる。あ、そういや優子の魔力の特訓の時、100%牛肉のワイン仕込みハンバーグ、だっけ? それを作ってあげるって約束をしてたんだった。それで料理を頑張ろうと……うん、難しいことに挑戦するのは良いことだ。優子には黙っておいてあげるから、頑張れ。
あ、良子ちゃんがトイカメラの方にチラチラと視線を向けてる。ふむ、やはり原作通り彼女はカメラが気になってしょうがないのか。よし、ここで俺が千代田桃よりも先に動いて、優子にトイカメラを買ってあげるように促そう。
で、俺に呼ばれた彼女の反応は……よし、平常心を保ててる。もうしどろもどろにならなさそうだ。で、俺に続いて千代田桃も良子ちゃんがトイカメラの方に目が向いてる事を促してる。そして優子は原作通り良子ちゃんにトイカメラに買ってあげるようになった。やったぜ、原作通りになった。
で、この後優子の尻尾による感情の話題が出たけど、俺も簡単な感情を理解できるからであってか、原作とは違う細かい部分の変化まではさすがに気付けなかったぜ。……何だろう。会って二・三週間しかない人が俺よりも幼馴染の感情を理解してるって現実を知ったとなると、なんか複雑になる……
しばらくしてトイカメラの説明書を一通り把握した良子ちゃんが、そのカメラを持って俺達のところに来た。よし、次は原作通りの優子と彼女の親友という設定にされてる千代田桃のツーショットが……
「あの……記念すべき最初の写真は、お姉と白兄を撮りたい」
「「ファッ⁉︎」」
いや俺とかよ⁉︎ 俺と優子のツーショットかよ⁉︎ そこは撮られる側も考慮して、同性かつ親友(という設定)同士という組み合わせで優子と桃を撮ればいいでしょ⁉︎ なんで俺と優子の異性同士でなんて……
あ、いやよく考えたら、こっちの方が妥当だな。良子ちゃんからしたら三人の中から誰と仲が良いのか、そして自分のしたい事に一番協力してくれそうな人達は誰なのか、などと考えていけば、姉である優子やその幼馴染で良子ちゃんに優しく接してた俺にお願いするのが先決だな。
「いやいやいやいや、それは……白哉さんの許可もないと……」
「何を今更。妹のレアなお願い、聞いてやろうぜ。良子ちゃんだってそれほど我が儘は言ってないはずだろ?」
「うぐっ……は、はい……」
うん、恥ずかしいという気持ちは分かるよ? お前の俺に対する想いは別に分からなくもないし、それ以前に異性同士が近づくというのも抵抗しちゃうよね? けど、これは妹の心の底からの願いなんだ。聞いてやらないと姉の尊厳とその親友の良心が、な?
優子も渋々了承してくれたことで、二人肩を並べて撮ってもらう事に。優子の方は羞恥心を噛み殺してるためか硬直してたのに対して、俺は今の彼女の肩に手を置いて肩組む感じにしていいのかどうか迷ってたら、『はいチーズ』という合図が聞こえてきたので思わず手を振る感じのポーズにしてしまいました……いきなり異性の肩に手を置くのは色々考慮しちゃう、はっきりわかんだね。
その後は原作通りに優子と千代田桃のツーショットが行われ、良子ちゃんがどうやって写真を印刷するのかどうかで悩んでいたところに、千代田桃が自持ちのパソコンとプリンターで印刷すると言ってくれた。
後はなんか優子にとっては知らない写真の印刷に関する用語が千代田桃の口から出て、良子ちゃんからも千代田桃への敬意の光が出ていた……アレ? これは俺が見えてる幻覚じゃね?
そしていつも通りの優子の『これで勝ったと思うなよ』からの後で教えてという正直な願いが。うん、意地を張っても結局分からない事は素直に聞きたくなっちゃうよね。それが人間の本当の正しさというものだよ。
にしても、何だろうな……俺と優子のツーショットはどんな感じになったんだろうな? なんか、すごく気になってきたんだけど、なんでなんだ……?
はい、いつの間にかシャミ子はなんとか羞恥心を冷ましていつも通りに戻りましたー。けどいつかはあの時のキスを思い出して、また悶絶してもらいたいですね〜(黒笑)
では、感想お気に入り高評価ここすき登録よろしくお願いします(それ色んな意味でOUT)