偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
年末のこの小説が結果の分からない回でよかったのだろうか……ま、えぇか(オイ)
「な、何故だ……⁉︎ どうしてこのようなことになってしまったのだ……⁉︎」
ダンジョンの各エリアを見れる監視カメラの映像を見ていたリリスは今、髪の毛がクシャクシャになるくらいに頭を抱えていた。それもフリーレンがミミックに噛みつかれた時以上に、だ。
「確かに余はフリーレンから、複製体を作れる魔物がダンジョンの一つにいたことを聞いた……そしてそいつの複製体と戦った時の記憶を見させてもらい、それを参考にして再現できるようにしはた……だ、だが、さすがにダンジョンに参加してないどころか、現界すらできてないはずの千代田桜と那由多誰何の複製体まで、何故出来てしまったというのだ……⁉︎ こ、こうなるのは余も予想してなかったぞ……⁉︎」
リリスが夢の世界で作成したダンジョンのボス・
フリーレン曰く、リリスが夢魔の能力で生成した
だが、リリスは
「ど、どうする……⁉︎ 各々の現在地に戻れるようにしてから一度こっちに全員ワープさせるか……⁉︎ だ、だがそれを複製体が逃すとは思えんが……‼︎」
ここが夢の世界とはいえ、参加者達の身の安全を確保する必要がある。そのために一旦攻略ゲームを中止すべきかと考えるリリスだが、ダンジョン攻略者の排除に容赦無いであろう複製体がそれを許すのかという不安が過り、さらに頭を悩ませる。
「人の記憶からそのそっくりさんを作る……すごく面白そう‼︎ 現実世界でも作れるかどうかやってみたいなぁ……‼︎」
「そんな呑気な事を言ってる場合かッ‼︎ 今シャミ子達は大ピンチに遭っているのだぞッ⁉︎」
「い、一応この後の優子君達がどうなるのかを占ってみ……あ、どうしよう。水晶とかの占いに必要なものがないから、この後どうなるのかが想像できそうにない……」
「ちょ、ちょっと待て今から余の能力で出してやるからッ‼︎」
さらには小倉が白哉達の安否そっちのけで発明できないかどうかと口にしたり、白澤がリリスを安心させるべく占おうとするもそれに必要なものが無く困惑したりと、そんな二人への対応でリリスは更なる焦りを見せることとなる。
「大丈夫、お姉達なら心配いらないよ」
「へっ? りょ、良子よ……何故そう言い切れるのだ?」
そんな中で、一人落ち着きを見せている者が。良子である。彼女はカメラ越しにて作戦会議で話し合っているシャミ子を見ながら語る。
「お姉達もなんで桜さんや誰何って人の複製体がいるんだって驚いてたけど、それでもどう戦おうかとみんなで話し合って、それらを突破しようとしている。困難に真剣に向き合おうとしている」
語っていく良子の視線の先に見えるのは、カメラ越しにて誰かが場を和ませるために何かを呟いたからなのか、思わず軽く吹いて笑っているシャミ子の姿。これから大事な戦いがある時に笑うということは、緊張がほぐれ冷静に戦えることと同義と言っても良いだろう。
そんなシャミ子の表情を見て、良子も釣られるように微笑んだ。その表情はまるで何かに確信がついたかのようだ。
「本気で困難に立ち向かうお姉達なら、きっと……いや、絶対このトラブルにも勝つよ」
「良子……」
大切な家族で尊敬する姉への、信頼性を持った笑顔。彼女とその仲間達ならば、必ずやり遂げてくれるだろう。良子はその可能性を……否、白哉達──特にシャミ子──を信じることに賭けたのだ。
真っ直ぐな瞳からの、真っ直ぐな想い。良子のその強い意思に心を打たれた──押し負けた──リリスは、口に弧を描いて頭を描き、溜息をつきながらカメラ越しのシャミ子を見据える。
「……やれやれ。子孫が妹に信じてもらってるというのに、先祖には信じてもらえてないというのはかわいそうすぎるではないか。後、我ながらどうかしている。仕方ない、こうなれば余も最後まで、彼奴等の勝利を信じる他ないな」
「子孫は最初から最後まで信じてあげようよ?」
「あっ……うん……そうだったよね………………」
なるべくカッコいいセリフを言ったものの、良子による子孫に関する指摘を受け言い淀んでしまう。そして後悔し始めた。何故子孫が無事でいられること・困難を乗り越えられることを信じて途中で信じてあげられなかったのだろうか、と。
♢
一方、その頃。ダンジョンのとあるエリアにて、リコと奈々が曲がり角のある壁の隅から顔を覗かせていた。二人の視線の先に見えているのは……髪や服をも含めた全身が灰色となっているシャミ子の姿。彼女も
「本当にいたんだね、複製体。しかもちゃんとこのエリアに誰がいるんだってのが当たってる」
「本来魔法を使えへん奴がここで魔法を使えるようになってよかったわぁ。ここにシャミ子はんがおると分かれば、きっとあの子らのいる場所も当たっとると思う」
「これはフリーレンさんに感謝ですね。敵の居場所を捉えることができる程の魔力探知の魔導書を、みんなに渡してくれたのが結構活きましたしね」
どうやら彼女達はフリーレンから、ダンジョン攻略前にリリスの夢魔の力で作られた魔導書の一つである魔力探知の魔導書を受け取っていた。そのためなのか、ダンジョン全体にいる複製体の魔力から誰の複製体がいるのかを判断することができたのだ。
だが、正確に複製体を発見したとはいえ何もかもぎ上手くいくとは限らない。たった今二人がシャミ子の複製体と出会ったことで、とある不安が過ってきた。
「で、でも本当に私達だけでシャミ子ちゃんの複製体に勝てるのでしょうか? いくら彼女の体力が一般程度とはいえ、イメージを反映させたなんとかの杖の能力がそれをカバーしているので、そのイメージ次第では勝つのが難しくなるのでは?」
シャミ子が持つなんとかの杖は、所有者のイメージを反映させることで様々な能力が使える形に変形させることができる。そのイメージ力次第では、相手にとって不利な能力を使用して有利な状況を作ることも可能で、リコと奈々が敗北する可能性も高くなるのだ。
だがしかし、そんな彼女への対抗手段がないとも限らない。リコにはシャミ子相手に適用できる可能性のある手段を持っている。
「心配いらんよ。ほら、複製体って心をもコピーしとるんやろ?」
「まぁ確かにそうですね。模倣しているだけ、心を持ってはいないらしいですけど」
「ほならシャミ子はんが何が好きなのかとか、何に対してどう思っとるのかとか、そういうのもコピーされとるはずや。それを利用して、ウチがアレの気を晒してみる」
そう言いながらリコは一枚の葉っぱを取り出し、それを頭の上に乗せた。途端、彼女の身体が一瞬にして明るい爆発のように煙が漂い出してきた。
そして煙が晴れた時には、リコはシャミ子の複製体の近くにまで移動していた。互いの相性次第では、その時点でリコが負けてしまう可能性があるのだが……
それは、リコの姿がそのままであればの話である。
「よっ、優子」
『ッ⁉︎』
今のリコの姿は……変化の妖術によって変わっていた。それもシャミ子の恋人であり眷属でもある、平地白哉であった。その姿を見たシャミ子の複製体は思わず目を見開いて固まり、その場を微動だにしなくなってしまう。
「(ア、アレ? 動揺してる? 複製体は心を持ってないはずじゃ……)」
「(奈々はん、今のうちやで)」
「(あっはい)」
動かなくなる程に上手くいくとは思っていなかったのか、奈々は固まってしまったシャミ子の複製体を見て、困惑しつつもリコの合図で天井に両手を掲げた。
刹那。僅か一秒足らずでシャミ子の複製体の頭上に黒い雲が現れ、そこからそこから巨大な雷撃が複製体の頭上から全身へと強く叩き込まれた。奈々の天候関連となる魔法の一つである、
魔法で作られたものと言えど、元は土から生成されたようなもの。打ちどころが悪かったからなのか、シャミ子の複製体はそのまま原型を保てずに砕かれ、徐々に砂となって消滅していった。
「攻撃させる間もなく倒せちゃった……また時間掛けて復活してしまうけど、これでしばらくは大丈夫かな」
「他の人達はまだ別の複製体と戦ってますし、俺達はそっちの加勢に行きましょう」
白哉に変化したままのリコ、白哉の口調かつ白哉の声質で話しかける。これに奈々は謎の悪寒を感じたのか背筋が凍り、ブルルッと身体を震え上がらせた。
「あの、リコさん……も、もう白哉君のなりきりはいいですからね? なんかその、なりきりすぎて逆に違和感を覚えると言いますか……」
「えぇ〜? 男に化けることなんて滅多にないことやのにぃ」
「あっそうなんですか……」
この時、奈々は思った。桃がシャミ子に変化したリコと話している時はこんな思いをしたのだろうか、と。後、悪戯目的で知り合いに変化するのはもうやめてほしい、と。
♢
夢魔の能力によって形成されたダンジョンの、ゴールへと繋がる扉のあるエリア。そこでは七人の魔力持ちの人物が、双方の出方を窺うかのように対峙していた。
片方は多彩な技を持つ槍の使い手・白哉。イメージ通りに杖を変形させられる魔族・シャミ子。町を支えた魔法少女の筋トレ好き魔法少女・桃。そしてエルフの魔法使い・フリーレン。
もう片方はフリーレンの複製体。多摩町を魔族と魔法少女が共存できる町にした魔法少女・桜。世界を『無』に戻そうとした魔法少女・誰何。
次世代の多摩町を守ろうとする者と一つ昔の実力派魔法少女、そしてそれぞれを束ねる古来の魔法使い。二つの勢力が今、各々の目的を果たすためにぶつかり合おうとしていた。
お互い──全員すぐには動かず、相手の出方を窺う。少しでも考え無しの行動を取ってしまえば、それを読み取られてからは相手のペースに飲み込まれるがまま不利になってしまう可能性が大きいからだ。どのタイミングで行動を開始すれば良いのか、出方を見極める必要がある。
だが、動き出したタイミングも、どのように動いたのかも、奇遇にもお互い一緒だった。
───
───
───ハリケーンセイバー
───影斬り
───ダークネスピーチスラッシュ
───スプリングスシールド
双方から放たれた漆黒の雷がぶつかり合い、刃のように斬り裂く風で生まれた竜巻を黒い斬撃が爆散させ、桃色と黒色の混ざった懺悔機の波が桜の形をした光の盾に激しく当たって弾けた。
強力な魔法・技同士がぶつかり合い、周囲を揺らす。支柱は震え、壁の一部が崩れ落ち、その瓦礫の一部が衝撃波によって浮遊する。これが実力派同士がぶつかり合ったことで生まれた、激戦の始まる瞬間だとでもいうのだろうか。
だが、この場面では片方の陣営が見たところ有利と言ってもいいものだ。
「(優子の方は……よし、上手くバレずに隠れられたな)」
周囲をよく見渡せば、先程まで白哉達と一緒にいたシャミ子の姿が見当たらない。どうやら魔法同士の衝突で双方の視界が遮られたことを機に、彼女は壁などの物陰に隠れ、念入りにまぞくステルスを用いながら身を潜めたようだ。
だが、これは『逃げ』ではない。『勝つための作戦の一つ』なのだ。シャミ子は強敵との戦いを恐れていないわけではないが、恐れているからといって目の前の敵から易々と逃げる子でもない。仲間との作戦があるからという理由もあるが、彼女も彼女なりに仲間に貢献しようとしているのだ。
そんな彼女に答えるべく、仲間達もまた動き出す。
───
───
───ワールプールウォール
───影突き
───桃色の旋風大回転斬り
───桜の花びらの手裏剣
溢れんばかりの炎が双方でぶつかり合い、白哉の全身を覆うように貼られた渦潮の壁が突きによる真っ黒な奔流を防ぎ、桃が回りながら剣を振るうことで巻き起こる旋風が手裏剣のように飛びかかってきた桜の花びらの形をした光を次々と弾いた。
ぶつかり合った魔力が弾ける中、三体の複製体が目の前の敵から目線を逸らした。
「(魔力探知が途切れた。しかも
どうやら三人とも、魔法の衝突の最中に姿を眩ましたシャミ子を探しているようだ。
戦いの最中に身を隠している者は、いつ・どこで・どのタイミングで仕掛けてくるのかを的確に判断することが難しい。そのため、実際に逃げられたとしても不意打ちなどを警戒せざるを得ないのだ。
「(戦ってる隙に潜伏したシャミ子を警戒している。元から魔力の量が高くないからなのか、初めての魔力調整でほぼ完全に魔力を隠せている彼女がどのようなことを仕掛けてくるのかと思っている感じかな)」
これ以上シャミ子の居場所の詮索をさせまいと、フリーレンは自身の複製体、そしてなるべく他の複製体にもこちらへと意識を持っていかせるべく
無論、フリーレンの魔法を通せば危険であることはどの複製体も──主にフリーレンの複製体──察している。桜の複製体と誰何の複製体はその場から飛び上がり、フリーレンの複製体は敢えて防御魔法を展開して
「(でも、互角の相手・馴染みのある者である相手・実力を測れていない相手の対処で手一杯でもある。シャミ子を探す余裕なんてあるはずがない)」
空中に飛べば、本来なら人は無防備になりやすい。その隙を逃さんと言わんばかりに、白哉がダイレクトスナイプを放ち誰何の複製体に、桃が桜の複製体を超える跳躍力で剣を頭上へと振り下ろす。それを誰何の複製体は槍を前進に振り回して弾き、桜の複製体は桜の花びらの形をした光の盾で防ぐ。
「(私の強さは
「(だからこそ、シャミ子の潜伏は上手くいく)」
爆発によって巻き起こった砂塵が吹き荒れる中、フリーレンはその砂塵で姿が見えなくなった複製体の動きを警戒するように周囲を見渡す。
「(シャミ子の実力は、三体とも私達三人よりもかなり劣ると勘違いして直感しているつもりでいる。彼女には悪いけど、本人である私もそう思っている)」
刹那、砂塵が割られるように吹き飛ぶ。飛行魔法による高速移動を用いたフリーレンの複製体が、それに合わせるように背後から飛び出してきた二体の複製体が、フリーレンに接近し近距離で攻撃魔法を放つ態勢を取っていた。彼女が陣営を指揮しているのだと勘づき、先に消して大幅な戦力低下を狙うつもりだ。
「(だって彼女はまだ
それでもフリーレンの冷静な表情は崩れなかった。シャミ子の役割が上手くいくことを信じて……否、成功することを確信しているからだ。
♢
それは、白哉達がダンジョン内の複製体を倒すための作戦会議を開いていた時のことだった。
『シャミ子、この前私が見せた
『
フリーレンに
ちなみにだが、シャミ子は夢の世界での特訓以来、彼女のイメージ力は日々上昇している。そのため、実際に
『おぉ、私の杖の再現度も高い……なら、実際に撃てるかどうかも見てみたいからやって見せてよ』
『えっ』
シャミ子、突然の要望に固まる。
『で、でも……それを撃つための的とかそういうのがないので、ここで撃つのに抵抗があると言いますか……』
『そこはフリーレン様がやりますので』
『あっやっぱりそうなるんだ?』
『当たり前です。人に難題押し付けておいて自分は何食わぬ顔をさせるわけにはいきません。言い出しっぺの法則というものがあることを覚えておいてください』
『うっ……』
ガタルフ、フリーレンをシャミ子の
『わかったよ、私が的になるよ……シャミ子、
『えっあっはい……』
しょぼしょぼとした表情そのままの感情を持ってしながら、フリーレンはシャミ子に
だがそれでも、シャミ子は
ちなみにフリーレンは白哉達を巻き込まないようにと壁際へと移動し、白哉達も
『そ、それじゃあいきますね……───ゾルトラァァァクッ‼︎』
高らかに叫んだのと同時に、杖から風圧の強くて速いかつ太い奔流となる閃光──
今にも吹き飛ばされそうになる一同だが、足を踏ん張らせたり抱きつかれ抑えてもらったり飛行魔法で爆風を回避したりと、皆が皆様々な手段で吹き飛ばされることを防いだ。
爆煙が晴れた時には、防御魔法を前方に展開させ
『ウゥッ……やっぱり私の力ではそれほど期待できるような威力を出すことができなかった……』
『そんなことないよ。よく見て』
『えっ?』
フリーレンを自分をよく見ろと促されるシャミ子。改めて前方を見れば……防御魔法のバリアの一つに、半分に割れているかのような亀裂が出来ているのが見えた。
『フ、フリーレンさんのバリアに、ヒビが……』
『す、すごい……‼︎ 僕がやっても、一発目からそうなることはなかったというのに……‼︎』
シャミ子、自分がフリーレンの事をほんの少しだけとはいえ押していたことを信じられなかったのか、自身でもこの結果に驚きを隠せずにいた。
この状況に白哉達も何人かが驚いている表情を見せ、特にガタルフは自分でもフリーレン相手に出来なかったことをシャミ子がやってのけたことが衝撃すぎたのか、その驚きを誰よりも隠せずにいた。
『初めて使う魔法なのに、頭の中でイメージした内容に合わせるようにここまでの威力で三個も出せたんだ。私の防御魔法が間に合わなかったら、たとえ倒せなくてもかなりの爪跡を残せていたと思う。だから誇りに思った方がいいよ』
『わ……私が、それほどまでに立派なまぞく成長できていた……ってことですか……?』
『うん、そういうこと』
『そ、そうですか……えへへっ』
シャミ子、あの魔法の匠でもあるフリーレンから多大な評価を受け、さらに疑問に思いながらも照れた様子を見せる。ここが夢魔の世界であることを利用しながら行ったこととはいえ、正直に褒められたのがこそばゆかったのだろう。
彼女が褒められて悪い気分になっていないことを理解したのか、フリーレンは彼女に肯定的精神を与えんと口を開く。魔力の形とも言える蒸気を少量出し、それを四角や菱形などの立体のある形に変えながら。
『魔力の扱いに慣れてるお姉さんとして、一つアドバイスをするよ。魔法ってのはイメージの世界だ。上手く想像したことをイメージすることができれば、それを感覚で再現できるかもしれない。そこからどう魔法の使い方が上達するのか、それができるのがいつの日になるのかも、君の頑張り次第ってわけ』
『私の使い方次第で、魔法が変わっていくと……なんか、期待しちゃいますね……』
魔法の能力云々が使用者次第で変わる。良い方向にも悪い方向にも。それを聞いたシャミ子は心の奥底で気分を昂らせた。自分のイメージ次第で強い魔法を生み出せるという事実に希望を持てたようだ。自分には可能性がある、と。
『そう。誰もが使える一般魔法である
『そ、素質……‼︎ そ、そうですか。私に素質が……‼︎』
魔法の独自の強化をすることが見込める。それを聞いたシャミ子は自分の可能性にさらなる期待を昂らせた。
しかし、何故かすぐに不安そうな表情を浮かべながら俯く。この後に行う作戦の内容を思い返し、自分の役割の重大さも考えたからなのだろう。
『で、でも……本当に上手くいくのでしょうか? あの三体の複製体をたったの一撃で倒せる程の威力がすごく高い
世界を揺るがすだろう実力を持つ三体の魔法少女の複製体を、一度に倒せる程の
そんな彼女の頭を後ろから優しく撫でる者がいた。
『大丈夫だ、お前なら上手くいくさ』
『びゃ、白哉さん……?』
シャミ子の恋人であり、悠久を共に過ごすパートナーとしての眷属でもある、白哉である。
『優子……お前はここまで結構成長してきたんだ。俺の事で苦しんでいた時もめげずにどう対処していけばいいのかを考えたり、修羅場ような出来事に巻き込まれたとしてもそれを解決しようと必死になったり……でも、それをいつも解決していったんだ。強い精神を持ってして、な』
いつもシャミ子の側にいた彼だからこそ、白哉はシャミ子自身が気づいていない程の心の成長をしていたのを今まで見てきた。だからこそ、白哉はシャミ子をこれまでの恩返しのように奮い立たせようとしているのだ。
『それに、お前は夢魔の力やなんとかの杖を上手く使いこなしているんだ。立派なまぞくへと成長するために、みんなやみんなの愛するこの多摩町を護るために、一生懸命頑張ってきているんだ。だから上手くいくはずさ。
『白哉さん……』
『自分を信じるんだ、優子。そうすりゃあ、やりたい事が上手くいくはず……いや、絶対上手くいくさ』
シャミ子の事を誰よりも見ており、シャミ子の事を誰よりも期待しているからこそ、白哉は彼女に向けて嘘偽りのない笑顔を向ける。彼氏の満面の笑みにときめかない彼女ではなく、ボンッと水蒸気爆発したかのように顔を真っ赤にする。そして……
『はいッ!! わかりましたッ!! 必ず成功させちゃりますッ!! やってやりますよーッ!! 見てろよ偽者どもーッ!!』
『えっ切り替え早っ……』
それに看過されたためなのか、己を鼓舞する形となり、自信をつく形となった。あまりの切り替えの早さに白哉に少々引かれたが。
♢
そして現在から少し時間が遡る。ゴールへと繋がる扉のあるこのエリアの、一本の支柱に密かに隠れていたシャミ子。三体の複製体の動きを見ながら、一発で強力な
「(
その間に、理想となる
「(大丈夫……私は夢魔のまぞく。夢の世界でならなんでもできる。たとえここが現実世界だとしても、理想のイメージを上手く再現出来れば……‼︎)」
成功するという暗示をかけている中、飛行魔法による高速移動を用いたフリーレンの複製体が、それに合わせるように背後から飛び出してきた二体の複製体が、フリーレンに接近し近距離で攻撃魔法を放つ態勢を取っていたのが見て取れる。
本来ならここで、シャミ子がフリーレンを助けようと焦るところだろう。だが、今の彼女はそのような乱れを起こさない。これもフリーレン達の決めた作戦。なるべく複製体全員をフリーレンに引き寄せ、そこに強力な魔法を当てるための陽動である。
「(今だ、ここ‼︎)」
敵全てが一箇所に集まったのを機に、シャミ子が動き出す。支柱から姿を見せたのと同時に、シャミ子が複製体に向けて構えた杖から、無数ものの魔法陣が展開された。
「
???「え? ぼくの技名が他のみんなと比べてシンプルすぎる? 仕方ないじゃん、原作では戦闘回なんてポッと感のある一回だけだったんだし、その時は技名なんて言わなかったんだし、妄想ってことでいいよね? ってなわけでよいお年を〜♪」