偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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不安要素となるオリジナル回だけど今後に繋がるらしいので初投稿です。

後書きにて宜しければ是非やってほしいというものがあるので、最後まで読んでくださいね。


スカしキャラだって良い奴は絶対いる……いや、こいつはスカしキャラじゃなくてただの過保護。 ♦︎

 

 いつになったら白龍様や色んな召喚獣達を呼ぼうかなと迷っている白哉です。

 

 昨日は何故か優子に会話するのを避けられました。土日の間に俺何かやらかしたのかなーとは警戒してましたが、優子は何故俺を避けてしまうのかをしどろもどろな感じで中々教えてもらえませんでした。いや、よく考えたら避けられてる時点で答えてくれるのは無理に等しかったな、失態。でもなんか『自分のせいだ』とかは言ってたみたいだけど、何だったんだ……?

 

 けど時間が経つに連れて優子は段々といつも通りに話してくれるようになりました。『普通ならそうなるのに何日かかかるかもしれないのになー』みたいなことは思いましたが、なんか半日で終わったそうです。結局なんでまともに会話してくれなかったんだ? むぅ、どうしても気になってしまう……

 

 そんなこんながありながらも、小倉さんの実験台にされてしまう事を避けたり、優子の妹の良子ちゃんのためのプレゼントを探したりと、色々と大変でした。ま、一昨日のヒーローショーのバイトよりかはマシかな? 着ぐるみの中めちゃんこ暑かった。ファンクーラーでも入れとけっての。

 

 閑話休題。これ一度言ってみたかったんだよなー。

 

 今日は確か優子の運命がさらに動く日、だったはず。優子が良子ちゃんの撮った写真の印刷のために千代田桃が渡したパソコンを持って帰ることになった時、小倉さんが無理矢理飲ませてきた薬によって、まぞくの力が覚醒して危機管理フォームに変身できるようになるイベント……だったよな? この後の展開で超重要になると……

 

 けど……その……あの衣装、正直エロすぎんだよな……。ネタバレになるけど、あの衣装は着る本人である優子自身も恥ずべき衣装だと言う。上はビキニで臍出てる=胸元見えて腹周りが寒い、脇も見える、セクシーなパンツ丸見え……

 

 うーん……やっぱりエッチだよな、アレ。それをこれからはよく拝見することになってしまうだろうな。漫画とかでも二巻と五巻ではよく出てたし(六巻以降は買ってないから知らん)、優子自身も段々日常で使うようになってしまうし……

 

 うん、これ俺自身がヤバくなるかもしんない。あんなエッチな衣装を何度も見てしまうと、俺いつかは狼(意味深)になって優子を襲ってしまいそう(意味深)……

 

 だからといって、慣れて性欲が微塵も出なくなるというのも考えると、それはそれでなんかものすごく虚しく感じる……

 

 というか、なんで俺は学校でこんな事考えてるんでしょうね? 何? 俺ってかなりの変態なのかな?

 

 

「なーに一人で悩み事をしてるんだい? びゃーくやくーん」

 

 

 うげっ、この爽やかさのある美青年な声は……

 

 ふと俺が後ろを振り向けば、そこにいたのは細身かつ顔立ちがめっちゃいいイケメン男子が。薄紫色の瞳に、肘に近い程の長さがある青い髪、額のちょっと上ら辺の左右には黒くて細いメッシュが見える。

 

 彼の名前は仙寿(せんじゅ) 拓海(たくみ)。俺が今まで会って来た男子の中で、原作に出てもおかしくない気がする性格の持ち主だ。何故原作に出るかもしれないのか、だって? 何故かと言うと……

 

 

「ハハハッ、まるで恋路に悩む王子様じゃないか! 恋をしたいけどどうすれば告白が上手くいくのだろうという試行錯誤を繰り返している……ま、『なんか大人びてる顔してる』と噂されてるキミなら彼女どころかハーレムの一つや二つは作れそうだけど!」

 

「あーはいはい、お世辞どうも」

 

 

 ハッキリ言って、ウザい。この言葉巧みだけれども人が良いのか悪いのか分からんし、思ってる事をペラペラを喋り出してる……ウザい。

 

 あっ、けどこのウザさは偶に、たまーにしか出ない。多くても週に二回か三回は、フォローしてんのか貶してんのか分からないけどなんかムカつきそうな感じの言葉を話すぐらいから、これだけでは別に嫌と言う程の脅威ではない。

 

 ウザいと思える理由は……別にある。

 

 

「………………ところで白哉、キミ昨日は小倉君の仕掛けた罠に嵌められたんだって?」

 

「……まぁ、そうだけど?」

 

「そうか……」

 

 

 オイ、昨日小倉さんに絡まれた事を肯定した瞬間に何突然真剣な顔してんだ。まさか、お前……()()()

 

 

 

「大丈夫だったか⁉︎ 怪我してなかったかい⁉︎ 病院行かなくて大丈夫なのか⁉︎ 今からでも医療セット使おうか⁉︎ 何なら医療費払おうか⁉︎ 親父やお袋に頼めばすぐに出してくれるはずだ‼︎ ところで何故キミは小倉君に捕まった⁉︎ キミ小倉君に何かしてしまったのかい⁉︎ それとも小倉君がお前の事で何か良からぬ事でも企んでたのか⁉︎ キミに何か心当たりがあるのならすぐに思い返そう‼︎ 悪い事だったら小倉君に謝ろう‼︎ そうじゃないのならこれは完全なる横暴の可能性が高いぞ‼︎ 一か八か先生というか校長先生に相談しよう‼︎ そして小倉君に落とし穴などのトラップを仕掛けてもらわないようにしよう‼︎ そういやキミがあのトラップを受けたのは昨日の昼頃だったよな⁉︎ 購買に行く途中だったよな⁉︎ ということは昨日昼飯食べれなかったのか⁉︎だったら今日は俺が購買に行って何か買ってきてやるよ‼︎ 何が食べたい⁉︎ 焼きそばパン⁉︎ メンチカツパン⁉︎ それとも期間限定のパンかい⁉︎ あ、話は変わるけど今日の宿題はやって来たのか⁉︎ 出来てないところや分からないところはあるかい⁉︎ あったら教えるし、何なら答え見てもそれがバレない解き方をネットで調べるからそれを一緒に取り組まないか⁉︎」

 

 

 

 こ の 過 保 護 さ よ。

 

 実際に怪我しようが怪我しなかろうが、知人がほんの少し……ほんの少しでも酷い目に遭えば過剰な手当しようとしたり医療費を出そうとしたり、酷い目に遭った原因を探って二度とそれを起こさないようにと怪我防止グッズなどの何かしらの対策を押し付けてくるしで、うるさい上にしつこい。

 

 

「それとキミの幼馴染の吉田君……じゃなくてシャミ子君もいたよな⁉︎ 彼女ちゃんと栄養摂ってるか⁉︎ 後で購買とかで何か買ってあげた方がいいかい⁉︎ 家族にも何か食材とかたくさんあげても大丈夫か⁉︎ それか飯作ってあげた方がいいかい⁉︎ 彼女そんなに金銭良くないと聞いたぞ⁉︎ もしや借金取りにでも追われてるのか⁉︎ 親父やお袋に頼んで借金取り消してあげようかい⁉︎ 金なら心配いらないぞ⁉︎ ウチは結構金稼いでるから、返してもらえなくても十分な生活ができるぞ⁉︎」

 

 

 異性に対してもこのように、理由もなしに過保護になる。邪な気持ちや下心といったものなど彼にはない。見た目や普段の言動から勘違いされそうな気がするが、結構人が良い。逆に人が良すぎてウザいと思える程だ。

 

 一言で言えば別に悪い奴ではない。悪い奴ではない……のだが。

 

 

「……拓海。まず一言いいか?」

 

「俺にできることならなんでも……ん? なんだ?」

 

とりあえず落ち着け。静かにしろ。いくらなんでもペラペラ喋りすぎだ

 

「あ、すいませんでした……」

 

 

 もうホント、どんだけ喋るねんこいつ。どんだけ他人に対して心配性になるねん。一方的に喋りすぎて中々俺が喋るタイミングが掴めんのだけど。もうマジで鬱陶しいんだけど。

 

 

「で、何しに来たんだお前? まさか昨日の事で俺の事を心配してるだけなのか?」

 

「ん? 仲の良い奴が大変な目に遭った時は救いの手を差し伸べるのは当然じゃないかい?」

 

「じゃあお前も俺に助けを求めるって事になるよな? お前が心配事を先に口にしないで話しかけてるってことは、お前も何かしらの悩み事があるってことだろ?」

 

「ッ……‼︎」

 

 

 図星か。こいつ他人に対しての癪に触るけど和ませようとする事や心配事をペラペラ喋る癖に、自分に対する事は隠すか遠回しにする癖があるんだよな。困ってる事があるなら素直に言えって話だよまったく。

 

 

「ぬぅ……。まさかお見通しされるとはな……」

 

「ナルシストと見せかけてガチの心配性というキャラは強すぎるからな、自然とお前の癖の一つぐらいは分かってしまうんだよ」

 

「そういうものなのか……」

 

「うん、そういうもの。で、何の用なんだ?」

 

「………………」

 

 

 オイオイ、急にだんまりになるなよ。人は助け合いなんだからさ、悩み事ならさっさと吐いてしまえよ。

 

 

「……先に一つ聞かせてくれないか? キミ……召喚獣という精霊っぽい動物を出せるというのは本当かい?」

 

「………………は?」

 

 

 オイ、ちょっと待てや。俺は召喚術が使える事をこれ以上広めないようにしてるんだぞ? 千代田桃にも口止めしてるんだぞ? なんで知ってんだよ?

 

 

「あー……違ったのかい? なんか佐田君が『なんかすごい力を持った動物を召喚できるらしいよ‼︎ 私と小倉ちゃんはまだ一体しか見てないけど』って言ってたから……」

 

「ア ゙ッ⁉︎ 刺客いたの忘れてた⁉︎ 杏里アンニャロウ‼︎」

 

 

 ヤベェ、盲点だった……。そういえば杏里の奴、優子の体質の事や家族にかけられた呪いとかを洗いざらいにカミングアウトしてしまう情報流出魔?だったわ。俺がリリスさんの一時期復活の時にコウランを召喚してたから、他人にバラしてたな……‼︎ あの野郎、後で覚えとけよ……‼︎

 

 

「なぁ、その反応からして……」

 

「……あぁそうだよ、本当だよ。で? その召喚術が使えるこの俺に何の用だよ?」

 

「………………」

 

 

 ア、アレ? 急にだんまりになったぞ? 本当はこんな事頼みたくないのだけど、みたいな感じか? まぁ過剰なまでの心配性になる奴だからな、頼み事をするのも気が引けるのだろうな。

 

 うーん、まだるっこしい。ここはガツンと言ってやるか。

 

 

「他人の心配をする時はベラベラ喋る癖に、自分の事となると何も言えないのか? お前ってそんな臆病な奴だっけか?」

 

「むっ……」

 

 

 おっ、喰いついてきた。やっぱり馬鹿にされるとイラッとくるよね。誰だって喧嘩腰にされると結構頭にくるよね。わかる。

 

 

「……なら言うだけ言おう。本当は俺の正体をバラしたくはなかったのだけど……」

 

「……ん? 『正体』?」

 

 

 は? こいつ何言ってんだ? 今、俺の正体とか言わなかったか? 何その厨二病なことを……いや、色んな奴が住んでる多摩町の住人ならあり得るかもしれない。魔法少女と同じ立場の奴か、それとも魔族か……

 

 

 

「実は俺……陰陽師なんだ」

 

 

 

 俺や原作の知らない第三勢力だった。あ、忍法が使える全臓も忍者っぽいから、第四勢力? いや、原作でも第三勢力がいたような、いなかったような……

 

 

 

 

 

 

 結局本当に拓海が陰陽師なのか気になったので放課後、先に優子に『用事あるから』と言って別れて拓海と待ち合わせ。そして彼の家へと赴くことになった。ん? パソコン運びの回? どうせパソコンは無事に優子の手で傷とかなく吉田家に運ばれるので気にしない。

 

 危機管理フォームは……今はまだ見ない。見る方もめっちゃ恥ずかしい衣装だもんな、アレ。アレ見たら俺はどんな顔するのか、獣となって襲いかかってしまわないか、色々と気にしちゃうから……。少しは初見する日が遠のいたか……?

 

 おっと、今は原作の事は考えないでおこう。どうせ何事もなく原作(シナリオ)通りに進むのだから。

 

 つーわけで、閑話休題。

 

 さっきも言ったけど、俺は今、拓海に案内される形で彼の家に向かっている。で、今は多摩町の何処かにある林の中にいます。森にしては木々は思ったよりも少なかったから、林とさせていただきます。

 

 で、その林の奥には普通のよりはちょっと小さい神社があった。思ったよりも建築に使われていると思われる木材はヒビやコゲなどといった古さがある感じのものではなかった。建てられたばかりのものか、はたまた修繕で建て替えられたのか……

 

 

「ここが俺の実家である仙寿神社だ。彷徨う幽霊などを除霊したり、住処を探してあげたりするのがウチの主な仕事なんだ」

 

「ん? 『住処を探してあげたり』?」

 

「実は幽霊の中にはこのまま現世に留まって、時代の変わっていく多摩町などを見ていたいなどと言って、成仏したくないとか言うのもいるんだ。けど長く現世をうろちょろしてたら、情のない他の陰陽師や魔法少女に問答無用に襲われる危険性も孕んでいるから、あらかじめ悪意の部分だけ除霊しておいて、そこから幽霊が見えるものにバレない住処を探して与えるんだ」

 

「へ、へぇ……」

 

 

 いやちょっと待って。陰陽師なんて実際に会ったことないから分からんのだけど、最近の陰陽師って只々除霊するわけじゃないの? 幽霊の気持ちに寄り添って除霊するかしないかを決めるの? そして幽霊は悪い事さえ企まなければ自分の意思を陰陽師に対して貫いてもいいの?

 

 へぇ、この世界の陰陽師も穏健派魔法少女みたいに敵対する者への情をかけてくれるのか……。やだ、なんで原作は陰陽師を出してくれなかったのさ。幽霊の意思に寄り添えるんだぜ? 漫画タイムきららだから男キャラが出しづらい? 知ったことか、こんなにもキャラが濃くて優しい陰陽師なんだから出してあげろや。

 

 

「……で、ここに俺を呼んだってことは、俺にも召喚術の力を使っての除霊か住処探しを手伝えってことか? 後者なら召喚獣がいなくても出来そうだけど……」

 

「いや、除霊の手伝いではあるけど、俺たち陰陽師みたいなことをする必要はないよ」

 

「えっ? どういうことだよ?」

 

「入ってみればわかる」

 

 

 陰陽師みたいなことしなくていいと言われて疑問に思いながらも、とりあえず拓海に誘われるが如く神社に入ることにした俺氏。ちなみに両親は別の除霊案件があってなのか出掛けている。俺の手伝いを借りる必要のある幽霊を息子任せにするとか、拓海の両親はどういう了見してんの?

 

 その奥にある畳の多い広々とした部屋に行くと、そこには全身真っ黒な人……というよりは全身が影に覆われた全長五メートルの巨人?がいた。もしや、あれが幽霊? こいつ相手に、俺は何をしろと……?

 

 

『バトルゥ……モンスターとバトルゥ……』

 

「ス○ブラかド○クエオンラインみたいなバトルをしないと成仏しないんだ、この幽霊」

 

「はい、お疲れ様でしたー。お邪魔しましたー」

 

「ちょっと待てェェェェェェッ⁉︎」

 

 

 なんだよス○ブラかド○クエオンラインみたいなバトルをしないと成仏しないって。なんか個人的に馬鹿馬鹿しく感じたから、即Uターンして帰ろう……

 

 と思ったけど、突如として青いオーラらしきものを放つお札が数枚ほど浮遊してきて、俺の進路を塞ぐ。ふと後ろを見れば、拓海が浮遊してるのと同じ青いオーラらしきものを放つお札を持った手を俺に向けていた。あ、本当に陰陽師だったのですね。

 

 

「キミは召喚師だろう⁉︎ わかる! なんでそんなことするんだろうと思う気持ちはわかる! けどそうでもしないと成仏しないんだよ‼︎ お願いやって! お願いだからやって‼︎」

 

「うるせーよ。ゲームみたいなバトルしたいなら、友達とやる感覚でテレビゲームすればいいだろ」

 

「リアルファイトみたいな感じじゃないとダメだって言うんだよ‼︎ 陰陽師と闘おうにしても『面倒臭がられて途中で無理矢理除霊されそうだからヤダ』って言うんだよ‼︎」

 

 

 なんて我が儘な幽霊だこと。けど陰陽師の前だと未練残したまま除霊なんてのは嫌だよね、それは分かる。それでも成仏する条件が馬鹿馬鹿しく思えるから早く帰りたい。

 

 

「闘いが終わってあの幽霊が成仏してくれたら、ちゃんと召喚獣の手当をしてあげるから‼︎ 何なら飯でも奢るから‼︎ 後でお礼金でもあげるから‼︎ だから手伝ってくれ‼︎ ホントお願いだから‼︎」

 

「ちょっ、せがむなせがむな‼︎ あぁちょっと⁉︎ 今詰め寄ってきたら俺、浮いてるお札にぶつかっちゃうって⁉︎ 分かった‼︎ 分かったからはよ離れろ‼︎」

 

 

 ヤベッ、反動的に承諾しちゃったよ……。あーもうクソッ、爽やかイケメンフェイスが情けなくせがんでくるんじゃねーよ……

 

 

「よし、頼むよ‼︎ 獣でもスト○ートファイ○ーみたいな闘いが出来るようにしてくれたまえ‼︎」

 

「ス○ブラかド○クエオンラインみたいなバトルをしないといけないんじゃなかったっけ? つーか今、上から目線になってなかった?」

 

『はよ、モンスター出せぇ……』

 

「お前は胡座かきながら要求してくるな‼︎ お前それで悪霊だったらなんか性格悪く思えて腹立つ‼︎」

 

 

 この野郎、なんでこんな悪霊かどうかも分からない滅茶苦茶な除霊の条件を出してくる幽霊を相手にせにゃならんのだ……‼︎ いや、拓海に迫られて強制的に闘う羽目になったのだけど。

 

 えぇい、闘うことになってしまったのなら仕方ない。こいつを倒すのに適してる奴を出してさっさと勝たせてもらわないと……‼︎

 

 で、誰を呼び出す?

 

 突進攻撃が得意な熱血系の牛・ポーフ? あんな巨体相手に全長二メートルの奴が勝てるとは思えない。ボツ。

 

 スパイの訓練を積み重ねたクール系雛鳥・ピッピ? 運動神経とか抜群だって言うし、ワンチャン……いや、身長差がありすぎるし雛鳥だから飛べないんだった。ボツ。

 

 蹴りがめっちゃ強い兄貴格の馬・ヒヒン? いや同じく身長差に問題があるし、なんかポーフよりもワンパターンな攻撃しそうだから、彼もボツ。

 

 ……よし、ここはあの姿になって、召喚できる奴のレパートリーを増やすとしよう。あの姿までになれば、増えた魔力でのサポートも出来るだろうし、何より身長差が少ないor他の能力で身長差を埋めれる奴を呼び出せる。

 

 決めた、今こそ力を解放する時‼︎

 

 

 

「………………我が名は召喚師・白哉───‼︎」

 

 

 

 刹那、俺の全身が真っ白な光に包まれ、一瞬にして制服とはまったく異なる衣装が変わっていく。この間わずか一秒ッ‼︎ いやいくらなんでも変身完了時間が短くね? そんなもんなの?

 

 

「おっ……おぉっ……? びゃ、白哉君の姿が、変わった……?」

 

 

 光が収まり、俺の服装は銀色の線が入ったフード付きの白のノースリーブで青い襟に白い線が入っているジャケットへと変わっていた。右の二の腕には二足歩行で翼付きの龍を模したアームアクセサリーが付いていた。

 

 ……アレ? この衣装、ほぼ色が違うけど、どっかのネットで見たキャラの服そっくりじゃね? 確か、ディ○ニー関連のイケメン勢揃いのゲームの情報のヤツだったような……

 

 まぁ、いいか。とりあえずこの姿になったことで魔力っぽい何かが増え、アイツを呼べる。なんか格ゲーみたいなことをしたいあの幽霊相手にはピッタリな召喚獣だ。

 

 

「餓狼、召喚‼︎」

 

 

 両手を翳した先の畳に浮かぶ魔法陣。そこから一瞬にして放たれた光の柱は、召喚師にならずにクラックを呼び出した時よりも大きかった。その柱を突き破り現れたのは、全身灰色の毛に黒い爪、紅い瞳を持つシンプルな姿の狼──餓狼だった。

 

 

「よし、餓狼!! 初対面でいきなり悪いけど、あいつ闘いたいと言って成仏しないんだ。だから一回相手してやってくれないか? 多分、物理攻撃があの幽霊でも通じるようになると思うから」

 

 

 いきなりの押し付けですまん……と思いながらも状況の説明を餓狼にしてあげる俺氏。すると全てを理解したのか、餓狼は……

 

 

【え……なんでさ。なんであの幽霊の対戦相手に俺を呼んだのさ。俺、一応狼だけど格闘できるけどさ、人間みたいに闘えるとは限らないよ? どうせ格ゲーのを真似ただけなんだからさ……。だからさ、リアルの格ゲーしたいなら人間の格闘家を呼べば良いじゃん。どうせ俺なんか……】

 

「えっ、マジで狼なのにネガティブなのかよ……」

 

 

 いや、召喚獣リストに書いてあった通りの性格やな。本当にネガティブの一言が表されてるよ。自分を卑下してるよこの狼。狙った獲物に喰らいつく自然界のハンターのはずなのに、そんな内気じゃダメやん。

 

 

『さぁ、勝負しろー……』

 

「そしてこの幽霊はお構いなしに闘いたがるな。幽霊って何だっけ?」

 

 

 なんか気怠くシャドーボクシングしながら表舞台に出ろと急かしてくるんだけどこいつ。けどまぁ、さすがに長時間も友人の家にあんな巨人?が居座っても気味が悪いから、こちらとしても餓狼にはあちつと闘ってもらいたいな……

 

 

「……餓狼、お前の好きなものって?」

 

【……格ゲーソフト……】

 

「おっ、ちょうどいい。以前スーパーの抽選会で新発売の餓○伝説の最新作を引き当てたから、アイツと闘ってくれたらあげるよ」

 

【やります】

 

 

 おま、いきなりハッキリとした声でOKの返事出してきたな。さてはこいつ、ネガティブな癖に格ゲーの事になるとなんか前向きな性格に変わるのか? 後でメモっておこう。なんか格ゲーで釣ってカモにしそうだけど、頼み事する時の最後の手段として格ゲー絡みの褒美を出すようにしようか。

 

 すると餓狼は視線を幽霊に向け、尻尾を立てて警戒する姿勢を取り、鼻面に皺を寄せ、牙を剥き始めた。おぉ、これぞ狩りをするかボスの座を巡る闘いをする狼って感じだ。

 

 けど、あれで格ゲーみたいな闘いが出来るって召喚獣リストにも書いてあったけど、どうやるんだ……?

 

 

『ウオオオオオオ‼︎』

 

 

 って、そうこうしてたら幽霊がダンッダンッと足踏みしながら餓狼に向かって走ってった⁉︎ ちょっ、ここ神社内……。ってか、幽霊なのに足が床に触れた瞬間に揺れとか音とか発生したんだけど、肉質持てるの?

 

 あ、続けて餓狼も走り出した。しかもさすがは狼と言ったところか、素早く巨人の左側──死角に回った。スゲェ……

 

 

【まずはこの神社から追い出そうかな……庭園の方に吹っ飛ぶように昇龍拳

 

 

 いやちょっと待て。

 

 ハァ? 昇龍拳やて? それスト○ートファイ○ーの主人公とかが使うアッパー技やんけ。なんでそれを右前足を上に上げただけで出来るの? しかも幽霊がなんか思いっきりぶっ飛んだ。

 

 

パワーゲイザー

 

 

 今度はス○ブラにも参戦した餓○伝説のアメリカンファイターが使う、地面に拳を叩きつける技やん。それで幽霊に腹パンすな。

 

 

バーンナックル

 

 

 叩きつけられた反動で浮いた幽霊に、今度は両手を広げるポーズを取ったあと、気を纏った拳を突き出しつつ突進する。これもアメリカンファイター使用の技やん。さっきからどれも現実世界では絶対覚えられない格闘の技を使っとるやんけ。子供達の憧れとも言える必殺技を狼が簡単に使えるとか羨ましすぎる。

 

 

【最後にシメの真空・波動拳ー】

 

 

 最後にスト○ートファイ○ーの技。か○は○波みたいな感じに気弾をぶっ放すヤツじゃん。しかも真空というからめっちゃ強い方じゃん。実際にドデカい気弾出てるやん。幽霊に直撃して爆破したじゃん。

 

 ………………もうやりたい放題やん。

 

 というか幽霊にも攻撃とかさせてあげなよ。一方的にボコボコにされるとか、幽霊が不遇すぎる。結構可哀想すぎる。

 

 そう思いながらめっちゃ攻撃喰らって横たわっている幽霊を労り合唱していると、その幽霊がふと何か喋り始めた。ん? 餓狼の一方的な攻撃に対する文句か? そうに決まってるだろうな……

 

 

『グフッ……フフフッ……我が生涯に、一片の、悔い、なし……』

 

「いやアンタはそれでいいの⁉︎ 一方的にやられたのにそれで満足なの⁉︎」

 

『結果がどうであれ、リアル格ゲー出来たの、は、嬉しい……』

 

 

 え、ちょっ、なんか淡い光に包まれて消えていったんだけど。成仏した? 満足して成仏していったって言うの? アンタ何も攻撃どころか防御すら出来なかったよね? 攻撃喰らっただけで満足するとか、貴方はマゾですか?

 

 

「……こいつもホントに何なの」

 

【早く終わらせようとしたの、よくなかったのかな……。どうせ俺なんか……】

 

「お前はすぐネガティブに戻るなよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 ゲームみたいなバトルをリアルでやりたい幽霊を満足?させ成仏に成功した俺は、餓狼が突如再び現れた魔法陣を通して帰還するのを見送った後、夕日が昇り始めていることに気づき帰ることにした。

 

 帰ろうとは、しているのだが……

 

 

「そのまま帰るのか⁉︎ 本当に大丈夫なのかい⁉︎ 召喚師とやらには初めて変身したんだろ⁉︎ 初めてだから結構疲れるはずだろう⁉︎ だったらもう少しここで休んでた方がいいぞ⁉︎ お茶もお菓子も出す‼︎ わらび餅とかあるし、アイスとかもある‼︎ それとも何か⁉︎ ケーキでも食べたいのかい⁉︎ 何なら作ってあげようか⁉︎ あ、スマホの充電はするか⁉︎ 充電器の予備あるぞ⁉︎ 夜までいてもいいぞ⁉︎ 帰りたいなら両親に頼んで車で家まで送るぞ⁉︎ いざとなれば泊まってここで宿題やっててもいい‼︎ 分からない問題とかあれば教えるぞ⁉︎ 夕飯は何が食べたい⁉︎ キミの好きなものでも構わない‼︎ 俺料理も出来るからなんでも作ってあげれるぞ‼︎ ちなみに一番得意なのは親子丼だ‼︎」

 

ご心配‼︎ どうも‼︎ 大丈夫です‼︎

 

 

 過保護が自分家で休ませようとしてくる。何なら泊まれとせがむ。ウザい上にしつこいよ、この過保護陰陽師。なんかさらっと料理自慢もしてる気がする。

 

 早く離れろ‼︎ 俺ァ早く家に帰りたいんだよ‼︎ そうしてる間に夜になりそうだよ‼︎ 迷惑なんだよ‼︎ 後確かに召喚師には初めて変身したけど、体に影響とかは全然出てないから‼︎ 大丈夫だから‼︎ いやマジで‼︎

 

 あーもう‼︎ なんでこんなにも過保護すぎる陰陽師が、原作まちカドの漫画に出なかったのでしょうなぁ⁉︎ いや出たとしてもウザったらしいったらありゃあしないけれどもね‼︎ つーかおま、腕掴む力強めるなHA☆NA☆SE‼︎

 

 

「もし俺の身に何かあったら電話するから‼︎ それくらいはするから‼︎ 電話来なかったら大丈夫だと思え‼︎ 頼むから‼︎ はよ帰してくれ‼︎ ホント頼むから‼︎」

 

「ぬぬぅ………………分かった。止めようとして悪かった」

 

 

 おい、了承するまでの間が長すぎるだろうが。どんだけ友達というか知人の事が心配なんだよ。返って相手に迷惑がかかるって事に気づけよ。ホント何なのこいつ。

 

 

「除霊の手伝いをしてくれて本当に助かったよ。じゃあね、身体には本当に気をつけて」

 

「わかってるって」

 

 

 ふぅ、やっと手を離してくれた……。あぁよかった、やっと帰れるゥ……

 

 

 

 

 

 

 過保護という名の束縛から解放されたことによる溜息をつきながら帰路を辿る白哉を見送りながら、拓海は何やら不安気な表情を浮かべていた。その表情を作っていた彼の脳裏には、疑惑の花が咲いていた。

 

 

「あの白哉君までもが普通の人には絶対にない力を持っていたなんてな……。ずっと他の人に隠してたんだな、自分の力を」

 

 

 これまで拓海は、自分が陰陽師である事をクラスメイトに知られることを恐れていた。もしも自分が陰陽師である事がバレてしまえば、クラスメイトは自分に対して余所余所しくなるのではないか。遠慮したり特別視したりするのでないか。拓海はその思考から学生生活に支障が出る事を恐れ、小学生の頃からずっと自分が陰陽師である事を隠し通してきていた。

 

 しかし今日、彼は初めて他人に自分が陰陽師である事を明かした。それも、両親の身内ではない者に。

 

 本来なら誰にも明かそうとはしなかった一家の官職。白哉にその官職での悩みがあるのではないかと勘付かれるまでは、誰にも明かす気など彼にはなかった。しかし、その気が一転したのはある出来事があったからだ。

 

 事の発端は一週間前、ふと白哉から妖気に似たものを感じ取った時だ。

 

 彼が召喚師である事を知るまでは、拓海は彼をいつもと変わらず明るく他人と接し、シャミ子とは仲良さげなラブコメよろしくな一面を見せる、そんな只々普通の健全な男子として見ていた。

 

 そんな彼から妖気に似たものが感じ取られるわけがない、気のせいだ。その日はそう言い聞かせて白哉を放置していた。

 

 しかし、拓海が感じたその妖気は、土日の休みが過ぎても消える事はなかった。増大しているわけでも悪化しているわけでもないが、知り合いから突然感じられるその『何か』が、拓海は気が気ではなかったようだ。

 

 そこで昨日、杏里に白哉の変化について問いかけたことで、白哉が召喚師である事を知った。そして察した。彼も自分と同じく、普通の人が持たない力を持っていることをずっと隠していたのだということを。

 

 だが、実際の予想とは違ったところもあった。それは二つ。

 

 一つは、彼には姿を変えて自身が持つ妖気に似た何かを増大させる能力もあったということ。その気になればその妖気を用い、呼び出した獣の強化だって出来るかもしれない。

 

 だが重要なのは二つ目。それは、白哉が召喚師になれたのは、昔からではなく約一ヶ月前だったということだ。その事実は白哉の口からは発してはいない。だが、白哉の自身の姿が変わった時の反応、そして餓狼との会話から、召喚師になれたのは最近ではないかと断言したのだ。

 

 その真実を知ったのと同時に、拓海の脳裏に新たな疑問の花も咲く。何故白哉は突然召喚師になれたのか。何故手に入れたばかりかつ使用するのが初めてとなるその力を難なく使いこなしているのか。そして……

 

 

「白哉君……キミは一体、何者なんだ……?」

 

 

 魔族の先祖リリスの脳裏にも過ぎっていたこの疑問は、問われようとしている白哉本人にしか知らない……

 

 




うーん……自分で言うのも何だが、なんだこのおかしな文才は。

召喚師となって魔力も召喚できる召喚獣のレパートリーも増えた白哉君の衣装は、ツイス○のスカ○ビア寮生の寮服からアレンジして作りました。
キッズ向けカードバトルゲーム「オ○カバ○ル」に出てくる召喚師キャラの衣装が第一に思い浮かんだ時、そこからカッコ良さも考えたら、この衣装の方がその召喚師キャラの衣装と似てるんじゃね? とふと思い、あぁなったってわけです。

そしてお前書きでも先に言ってますが、知らせです。この回を投稿する一日前にて、この小説に関する質問を承るコーナーを設置しました。この部分がわからないなどと言った、こちらが付け損ねた補足に関するものなどに答えていきたいので、よろしくお願いします。https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=289431&uid=379192

では今回はここまで。感想お気に入り高評価ここすき登録よろしくお願いします(またそれか)

追記

3人目のオリキャラ・仙寿拓海くんの挿絵を貼り忘れてたので載せときます。
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