偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
今回、シャミ子の運命が大きく変わり始める……⁉︎
おはようございます、白哉です。
昨日は優子の初めての危機管理フォームイベントを避け、二人目のオリ男である拓海の陰陽師の仕事を手伝いました。とは言っても、その時の仕事の内容の問題で拓海はほぼ全く陰陽師の力を見せてくれなかったし、俺も召喚師の衣装に初変身したとはいえその姿の時に出せるヤツを召喚しただけだけどね。
にしても、まさかあの拓海までもが魔族や魔法少女に引けを取らない能力をお持ちになるとはね……。いつもは誰に対しても過保護なったり時々スカしキャラっぽいところも見せたりと、原作に出てもおかしくない濃いめのキャラを出してくれてた彼が、ねぇ……。原作の作者さん、やっぱり男キャラもたくさん出した方がいいッス。きらら作品の定義とかは無視だ無視。
で、初めて召喚師覚醒フォーム……あ、衣装変わってパワーアップした時の姿をそう呼ぶことにしました。あの姿になった時の感想ですが、アレ別作品のキャラの衣装をパクってね……? 何処ぞの宴好き褐色王子様の色違い版ですか。まちカドまぞくに初期からノースリーブ衣装に変身する奴なんていないとはいえ、さすがに別作品のキャラの衣装は……
後、その時に呼べる召喚獣が強すぎました。まだあの姿になったの昨日が初めてなので一体しか呼べませんでしたが、その時に呼んだ餓狼がそりゃあもうすごくて。四足歩行なのになんで有名な格ゲーキャラの技使えんの? そして幽霊に動く余地も与えず一方的だったのですが? 訳がわからないよ。
うーむ、なんか釈然としなかったな。召喚師覚醒フォームに初変身したって感じがしないし、拓海の陰陽師としての力は変なオーラを持ったお札を浮遊させるところしか見れなかったし、帰る時にも拓海が過保護になってくるし……何だったんだ昨日は。
いや、過ぎた日の事はあまり深入りしないでおこう。昨日は拓海が陰陽師一家の息子だと知った。俺も初めて召喚師覚醒フォームになった。この二つの情報を得ただけで充分だ。この話はもうおしまいや。
というわけで、いつも通りメェール君が作ってくれた朝食を済ませたから、さっさと学校に行く準備をせねば。
……その前に、一つ気になることがあるので一言だけ言わせてほしい。
「なんか勝手に出てきた召喚獣、メェール君の他にも出てきたんだけど」
そう呟きながら振り返ってみると、フローリングワイパーとかハンディモップとか持ってる、雛鳥とかハムスターとか柴犬とかがいた。一つの部屋にたくさん動物入らないでほしいけど? 大体ここ、アパートぞ? 激安だからなのか大家さんらしき人見当たらないけども。
【うおおおおおお‼︎ マスターの部屋の清掃もやってやるぜぇえええ‼︎ この世界に来たの初めてだけど、やってやるぜ‼︎ 熱血だああああああ‼︎】
【暑苦しい上に牛の癖に、足踏みなどをせず埃を散らかさないとは……丁寧系熱血漢というものもいるのだな。変わってる】
【うるせーよスバメなのかキジなのか分からない雛鳥が。足のめっちゃ早い上に体に星マークある俺よりも地味な癖に】
【口悪いな可愛いハムスターなのに】
【ちょっ、タンスの隙間から怒りの睨みきかさないでお願いだから】
【シバタはゴミ出しに行って来てくれ‼︎ 俺は食器洗いと風呂掃除をやっておこう‼︎】
【うん、吉田家の皆さんや他のゴミ出しに来た人達に見つからないようにするよ】
【おう‼︎ もしもの事があればテレパシーで伝えてくれ‼︎ すぐに対処しよう‼︎】
めっちゃ騒がしいやん。召喚獣達の作った結界のおかげで苦情は出なさそうだけどさ。
結界があるからかデカい声で叫びながら、掃除機咥えて走ってゴミ吸い取ってるのは、金色の二本角に赤い体を持つ、熱血漢ならぬ熱血牛のポーフ。
ハンディモップ持ちながらタンスなどの隙間に入って埃を取っているのは、体毛が薄い鼠色となっている、スパイ活動らしきことが出来る雛鳥のピッピ。
フローリングワイパーの上に乗ってスケート感覚でフローリングしながら、ピッピを煽るも睨まれてすぐ弱気になったのは、黒い毛での星型のマークが作られていた、超速スピードを持つハムスターのハムイン・ボルタ。
雑巾掛けを終えて食器洗い用のスポンジを咥えているのは、茶色い身体のシンプルなスタイルに加えてロングヘアみたいに長い黒の鬣を持つ、兄貴格な馬のヒヒン。
前足で持ってるトイレブラシでのトイレ掃除を終え、ゴミ袋を出すように頼まれて了承したのは、甘栗色の体毛を持つシンプルな姿の、吠えない代わりに鋭い目付きで威嚇すると言われている温厚系芝犬のシバタ。
以上の五体を含め、玄関で俺を見送りしようとするメェール君を含めた六体が今、俺の部屋に(勝手に)召喚されて掃除しています。
いや出過ぎじゃね? 俺の部屋を掃除してくれるのは嬉しいけどさ、出てきてくれるのは二・三体だけで充分でしょ? たくさん出ると全体の負担は減るだろうけどさ、数多くね?
【あぁ、彼らの事は気にしなくていいメェ〜。どいつもこいつも、ただ出番が欲しくて勝手に出てるだけメェ〜から】
「で、出番って……? まぁこんな平和な世界だから、しばらくは彼らが出る機会はないだろうけど……」
【あ、『出番』って言葉は……というか小説のワードはメタ発言だから、この世界では禁句だったメェ〜。ごめんマスター、今のは聞かなかったことにしてメェ〜。いや本当に】
「えっ? お、おう……?」
出番? 小説? メタ発言? 急になんでそれらのワードが出てきたのさ。俺が知ったらいけない領域なの? それら。
まぁその、アレだ。召喚獣達しか知ってはいけなさそうなことはプライバシーの問題とかあるから、ここは聞かないでおいてあげた方が彼らのため俺のためか。
「まぁいいけど、俺が出掛けてる間は部屋荒らしたり喧嘩したりしないでくれよ? じゃ、行ってくる」
【【【【【【いってらっしゃーい(メェ〜)(‼︎)】】】】】】
うおっ、うるさっ⁉︎ 一斉に返事しなくていいんだぞ⁉︎ 鼓膜っ、鼓膜が痛い‼︎ マジで痛い‼︎
そんなこんながありながらも、ようやく部屋から出た俺氏。今日もさっさと優子と合流して、一緒に登校するぞー。よし、今日もちゃんと集合場所に優子が先にいる。俺も早めに出てるつもりだけど、なんで毎回彼女が先に着くのかな……
と思っていると、ふと優子の顔がなんか強張っていることに気づく。これは多分、アレかな……あの原作イベントをやってきたんだな。
……うん、これは指摘したら優子へのプレッシャーが
「おはよう優子」
「あ……お、おはようございます、白哉さん……」
「今日はなんか顔が引き締まってる感じがするな。ちょっとした勝負でも申し込むのか?」
「え。あっ……ま、まあ出来ればそうでもしたいなーと……。と、特に内容は、考えてませんが……」
「……そうか」
うーむ、罪悪感と恐怖が混ざり合って不安のオーラが募ってるって感じだな。うん、ヤンデレになりそうな事とは全く関係ないな。やっぱりあの原作イベント関連だな。自分のした事が災いしないかどうかで怯えているようにも見えるし。
ってことは、ついに魔族と魔法少女の関係性も変わっていくのか。そこから俺がどう関わっていけばいいのかも、考えられそうだな……
♢
それは昨夜、私が封印空間にてご先祖と再会した時でした。何やら半日位前から私の魔力が絶好調とのことだったので、ご先祖が寝ている桃の潜在意識に入り込んで、私に血液を渡すように仕向ける──洗脳しろと提案してきました。
寝てる間は理性のガードが弱いから桃もグズグズになると仰っていましたけど、桃はどうコケてもそんなことにはならないと思うし、何より洗脳は気が進まなかったですね。けど桃に余計なケガをさせずに済む上に、封印が解ければ借りも返せる……直接対決を避けれるとのことで実行することにしました。
早速ご先祖が私の魔力で具現化した
何はともあれ、早速生き血を分けてもらうように暗示をかけようとしました。けど子桃曰く、単純な血液譲渡じゃないとこの町の平穏を守るための魔力が大幅に減り、弱くなってしまうと聞かされました。魔法少女の血って、そこまで重要だったのですね……
『でも何も出来なかった』。そう言った子桃が泣いた途端、ヘドロが増量してかなり焦りましたね。もしあのヘドロで二人とも溺れ、夢の中で溺れたらどうなるのかと考えると、かなりの危機を感じました。
ここは溺れたくない‼︎ なんとかしないと‼︎ そんな一心で、私は昼にできるようになった危機管理フォームの変身による風圧で周りのヘドロを吹っ飛ばした‼︎ これで楽になったので、子桃と協力してヘドロを強制スッキリ心の大掃除をする事に。でも『なんで服を脱ぐのか』と勘違いされたくなかったですね‼︎ 色々なところが露出してるだけなので‼︎ 自分でもめっちゃ恥ずかしかったし‼︎
大分片付いてちょっと殺風景になったけど、ちょっと景色をよくする事に成功しました。けど改めて暗示しようとしたら、惜しくも時間切れ。でも目覚めた後も夢の中ははっきりと覚えていました。もし桃もこの事を覚えていたらとなると、結構不安になってきました……
そんな不安を抱えながら、私はいつものように白哉さんと一緒に登校することにしました。けど、学校に向かってる途中で、白哉さんに……
「今日はなんか顔が引き締まってる感じがするな。ちょっとした勝負でも申し込むのか?」
昨日何があったのかと勘付かれました。さすがは私の好きな人、というべきでしょうか……偶に重たくなる感情をも受け止めてくれるからなのか、私の考えてることはなんでもお見通しな感じですね……
「え。あっ……ま、まあ出来ればそうでもしたいなーと……。と、特に内容は、考えてませんが……」
「……そうか」
いや分かっていながらなんで嘘ついたの私。白哉さんの勘は鋭いんだから、勘づかれたらもう隠し事は無意味だってのにいい加減気付いて。
……ここまで来たら、もう仕方ないですね。昨日夢の中でしたことを全部話して、この後どうすればいいのか相談しましょう。白哉さんなら、何か良いアドバイスをくれるかも……
「……白哉さん。実は──」
「おはよう、二人とも」
「ごめんなさいでしたあああ!!」
「うおっビックリした⁉」
さ、最悪だぁああああああ!! よりによってなんでこのタイミングで桃が来るのですかぁあああ⁉ どうしよう、白哉さんに言う前に桃の口から私のしてきたことが出てきて……
「さっ、さばかれる……サバのように……」
「……何の話?」
「あっ……覚えてない?」
「なんかよくわかんねーけど、とりあえず怖がるのやめろよ。千代田桃に何かを疑われるぞ」
「……桃でいいよ。今気づいたけど、まだフルネームで呼ばれてたんだね、私……」
「あ、そうだった。名前で呼んでもOKなの忘れてたわ、ごめん」
よ、よかった……とりあえず桃は夢の事を覚えてないようですね。ま、まぁ普通は夢なんて覚えられるわけないですもんね……
って、アレ? なんか桃、いつもと様子が違うような……
「というかちよ……桃。お前、すごく顔色が悪いし髪ボサボサだけど、大丈夫か?」
「そうかな。そういえば昨日くらいから風邪っぽいかも。それに、よく分かんないけどびっくりするくらいコーラが飲みたくなって……」
あ、よく見たらリットルサイズのコーラを持ってる。よくよく考えたら私、夢の中で子桃に渡してたような……
これってまさか、夢の中での出来事が少しばかり影響してる……⁉
「あと……少し、調子悪い……」
「桃⁉」
危なっ!? 桃が急に倒れこんだ⁉ キャ、キャッチしてそのまま潰されなくてよかった……私が。
「……ちょっと、これはやべーな。俺達がいなかったら倒れ込んだ時どうなってたか……。優子、俺がスマホで先生にこの事を連絡するから、お前は水買ってきて桃に飲ませてやってくれるか?」
「あ、はい!! 買ってきます‼︎」
白哉さんの冷静な判断に任せて、とりあえず私達は近くの公園のベンチに座らせてからお互いすべき処置を行うことに。あ、公園のとこに公衆電話が。あれならもし白哉さんがいなくても、なんとか連絡手段も取れるかも。
にしてもあの桃が体調を崩すなんて……。もしかして……潜在意識の大掃除が、良くない影響を及ぼした?
「変な夢を見たんだ……」
「!!」
「夢? どんなのだ?」
「あまり覚えてないけど、嫌な夢……。でも……最後は安心する感じ……の……。あと、露出魔が出てきた気がする……」
「………………一応聞くけど、それって変態のおっさんか?」
「なんか、女の人だった気がする…‥」
「……変わった夢だな」
やっぱりあんまり夢の事は覚えてないようですね。それに最後は安心する、か……。多分、そこまで悪い影響は出てないようですね。
あと、その夢に出てきた人、私です……。そして露出魔じゃないです、戦闘フォームです……。やっぱりあの露出度の高い服は、絶対ご先祖にリテイクしてもらいたいですね。人前、特に白哉さんには恥ずかし過ぎて見せられない……
この後は私が荷物を持ち、白哉さんが肩を担ぐ形で桃を家にまで送ることに。この時桃が半分寝てる感じで隙だらけだったので、この隙に生き血を取ろうかと思ったのですが、桃がまさかの『ごめん』と言ってきたので、悔しくも生き血はまた別の機会にしちゃいました。あの桃が弱気な感じに謝ったのですよ? 調子が狂っちゃいますよアレは‼︎
で、しばらくして桃の家に到着。一瞬公民館に住んでるのかと思っちゃうくらい立派な感じでした。貴様ローン云々は大丈夫なのか? よく高校生一人でこんな立派な家に住めましたね⁉︎
ん? ここまで来れば後は何とかなる? 何言ってるんですか桃! そんなフラフラだと荷物持てないし途中で倒れ込みますよ‼︎ 心配……じゃなかった。ここまで来たからには、多少の情報を盗んで帰るのが礼儀‼︎ 特別にこの宿敵が看病しちゃりますよー‼︎
「……よし、ここまで来れば優子一人でも大丈夫だな。んじゃ、悪いけど先学校に行って……」
「えっ。ちょっ、ちょっと待て‼︎ 貴様ここまで来て何故病人を他人に任せてどっかへ行こうとする⁉︎」
「いや俺も出来れば最後まで看病してやりたいけどさ、その……なんつーか……お前の嫉妬を買ってしまいそうで……」
「あっ……」
そ、そうでした。私、白哉さんが他の女の子と絡んでるのを見ると、嫉妬したりマイナス方面での勘違いをしてしまうのを忘れていました……というか、なんで自分の性格とか癖を忘れるんでしょうね⁉︎
ってかそんなこと言ってる場合じゃない‼︎
「た、たしかに白哉さんが他の女の子の家にお邪魔するのが……その、癪になってしまうのは否定しませんが……今は四の五の言ってる場合じゃありません‼︎ 今優先すべきなのは、桃を安静にさせることとその為の安全確保‼︎ 人の善処を放置なんてしたら色々と気まずくなったりしますよ‼︎ 色々と‼︎ だから手伝って‼︎」
「お、おう、そうだったな……悪かった」
「い、いえ。今までの私にも非はありますが……と、とにかく‼︎ は、早く入らないと桃が苦しくなるままですよ‼︎」
な、なんだか恥ずかしさが湧き立ってくる気がしたので、早くお邪魔しなければ‼︎ さっさと桃の家に入りたい‼︎ そして桃を看病することだけを考えたい‼︎
「……今のイチャイチャしてるのを見てたら、少しは楽になったかも」
「「べ、別にイチャイチャしてるわけじゃないです/ねーよ‼︎」」
♢
桃が露出魔コス……じゃねーや、危機管理フォームになった優子に会った気がするという夢を見た事を知ったところで、優子と一緒に桃を家まで連れて行くことに。原作を知った自分からすると、露出魔の優子ってエロいけど狂ってそうでなんか嫌な感じがするんだよな……
そんなくだらない事を考えながらも、公民館らしさマシマシな桃の家に到着。後は優子一人でも桃の看病が出来そうなので、ス○ードワ○ンの如くクールに去ろう……としたけど優子に止められました。
えっ? いや看病手伝えってお前、自分がヤンデレなの忘れてね? お前が嫉妬とかして変なところで暴走したら俺と桃が困る……えっ? そんなこと言ってる場合じゃない? 病人を安静にさせるのが最優先? あー……うん、正論ですねすみませんでした……
って桃、おま、今俺らがイチャイチャしてると思ってるのか⁉︎ ち、違うから‼︎ イチャイチャしてねーから‼︎ ほら、優子も息ぴったりに否定してくれてるから‼︎ 大体人前でイチャイチャみたいな空気読まないことしねーから‼︎ 勝手な解釈はやめて‼︎ マジで恥ずい‼︎
まぁそんなこんなで、やっと桃の家のドア前まで来ました。なんか優子がオートロックの暗唱番号を間違えるとザリガニまみれの水槽に落とされ、鼻の壁を挟まれるのではと呟いていた。発想がバラエティ番組じゃねーか。出○さんに仕向けるドッキリとかじゃねーんだから。もし本当ならロックした本人も間違えたらヤバいって。
「暗証番号は、ごろごろにゃーちゃん」
「うん? はい?」
「間違えた。56562」
「
やむを得ない状況とはいえ、ナンバーロックの暗唱番号教えてくれてあざす。にしても可愛いナンバーだな。
はい、お邪魔しまーす。早速リビングに入ってすぐ桃をソファに寝かせつけ、俺は薬箱を、優子は体温計を探すことに。けどそれを持ってる桃本人はそれらが何処にあるのかを忘れてしまってるようだ。おま、自分の物は自分でちゃんと管理しないとダメでしょうが。不安なら紙にでも何処に何があるのか書いておきなさいな。
あ、いきなり優子がパソコンデスクにてハートフルピーチモーフィングステッキを発見した。あ、桃もハートフルピーチモーフィングステッキと言った。一文字も間違えなかったぜ俺☆ よくこんな難しい言葉を覚えられたもんだなー。
ふと、俺の足をスリスリするものが。おぉ、魔法少女のナビゲーター・メタ子ではないか。一発芸感覚で神託をくれる良き猫さんじゃないですか。あ、優子の尻尾気に入ってガジガジしてる。やっぱり魔族の尻尾は猫じゃらしなのかね?
桃曰く、昔は結構喋ったらしいが、彼女が魔法少女としてのやる気をなくした上に結構年をいったため、もう九割七分普通の猫になってるらしい……『時は来た』と喋れる時点で九割七分じゃねーよ、五割普通じゃねーよ。
でも、なんだろう。失礼だけど白龍様もこの世界に転生した俺の為に特典の事を教えてくれたから、実質俺のナビゲーターじゃね? そしてなんかメタ子と意気投合して仲良くなるんじゃね? やべぇ、急に試したくなってきた。
「せっかくだし、メタ子の遊び相手を呼んであげようか? ウチの召喚獣、メタ子と息が合いそうだし」
「おぉ、なんか私も見てみたいです。ペッ……動物達のじゃれ合う姿が見られそうというか……」
「そうだね、私もペット同士の戯れってのを見てみたいかも」
「言おうとしたけど気が引けた『ペット』って言葉をサラッと言った‼︎ ナビゲーターですよねメタ子って⁉︎」
「俺の召喚獣もペットと捉えるなよ……まぁいいや。白龍様、召喚」
召喚獣をペット扱いされた事に不満を感じながらも、俺は白龍様を呼び出した。うん、俺が召喚師の姿になってないためか、初対面した時よりもめっちゃ小さい五十センチサイズとなって出てきた。そして全体がデフォルメとなっていて可愛い。
というか、すみません白龍様。メタ子の遊び相手になってもらうために貴方の初召喚をしてしまって……。しかもよりによってまだ喋れない状態だと言うのに……
って、白龍様? なんでスケッチブックと黒ペンを持ってるんですか? そしてなんで呼ばれたとわかってすぐメタ子と顔合わせてるんですか? えっ? どゆこと?
【はじめまして。いつも白哉が魔法少女に世話になってるよ】
『時は来た』
【いやいや、今の俺はただの使い魔的存在だから大した奴じゃないよ?】
『時は来た』
【あーわかるわかる。お互い言うべき事を言わないところとか、なんで気づかないんだってところとかがよくあるよな】
『時は来た』
【だよなぁ、そうしてもらった方が楽だもんなー】
『時来てるぞ』
【確かに、俺ら早くも仲良くなれそうだ】
『時だぞ』
【おう、これから仲良くしていくとしますか】
『まだその時ではない』
【オッケー】
……なんか、白龍様がスケッチブックに文字書いてメタ子と会話してるみたいだが。そして白龍様の文字を書くスピードが思ったよりも早いんだが。けどメタ子が『時は来た』としか言っていないせいで、会話の内容が理解できないんスけど。逆になんで白龍様はメタ子の言葉がわかるんですか。なんか羨ま。
「……二人は白龍様とメタ子が何を話してるか、わかるか?」
「えっ⁉︎ い、いえまったく……」
「私もこれっぽっちも……。いつも何も考えずに『時は来た』と言ってるものだから」
「……さいですか」
つーかそもそも、桃は兎も角なんで俺は優子にまでメタ子の言葉を訳してもらおうとするのかな? ここは白龍様になんて言ってるのか問いかけておくべきでしょうが。なんか実際に話通じ合っているんだし。
「白龍様、メタ子と何を話してたのですか?」
今の俺の言葉に反応したのか、白龍様はまた素早くスケッチブックに文字書き始めた。よし、これでメタ子が何を話してたのかがわか……
【メタ子曰く、トップシークレットだそうだ。プライバシーの侵害だぞ】
「口止めされてるんスねチクショー‼︎ なんだよプライバシーの侵害って‼︎」
「あはは……私も聞いてみたかったです」
おのれメタ子ォォォ‼︎ お前なんでさっきの会話を訳させようとはしてくれねーんだよ‼︎ 翻訳の許可がないとお前の心情とかがわかんねーだろ‼︎ そうすれば桃もメタ子への対応を変えてくれるってのにー‼︎
……まぁそんなくだらない嘆きはここまでにしまして、さっさと薬を探さないと。おーい桃、薬箱とかのある場所マジで忘れてんのかー? え? あんまり病気になった事がない? なったとしても薬を使う程の重いものじゃなかった? 結構健康管理守ってんだな……
「そうだね、十年くらい前に薬箱を使ったような……」
「ちょっ⁉︎ それはもう見つけない方がいいやつです‼︎」
『時は来た』
【千代田家の飲み薬終了のお知らせ】
「です! 薬にも賞味期限があるんです‼︎」
「早くも仲良いね」
「いやちょっと待って? 白龍様は何を狙ってその言葉にしたんですか? そしていつの間に優子と仲良く? 俺聞いてないんですが」
なんか優子の頭の上にちょこんと乗ってるし、優子にナデナデされてるし。別に羨ましいってわけじゃないけど、メタ子同様仲良くなるの早すぎませんかね?
「……まぁいいや。俺、ちょっと薬局行って風邪薬と新しい薬箱を買いに行ってくるから、優子は白龍様と一緒に桃の看病しに行っておいてくれ」
「あ、はい。そうしていただけると助かります。じゃあ私はせめて桃の頭を冷やしておきますね」
「おう」
まぁ別に俺がここに残って桃の看病を一緒に続けるのもいいけど、変な真似をして
……白龍様も大事なイベントを良心で妨害しちゃったりしないだろうな? まぁ彼も原作を知ってそうな感じを見せてくれてはいたから、多分大丈夫だとは思うけど……
「えっ? ちょっと待って。別に薬箱まで買わなくてもいいんじゃ……」
「飲み薬でないにしろ、十年も使ってないのがあったら湿ったりして効果が薄まるものだってあるかもしれないだろ? 消毒液とか絆創膏とか。長く放置した医療用品を使って万が一な事が起こるリスクよりも、新しいものを使った方が後々効率良いって」
「そ、そっか……じゃあお願いしようかな」
「うい」
「あ、なんか面白い返事ですね」
ここは別に嘘をついてるわけじゃないよな? 箱の中をずっと開けずにいたら自然に湿気とかが増えるはずだし、それによって絆創膏とかが痛む可能性だってあるし、湿気によってダメになるものだってあるはずだし、半分は騙してない……よな?
後優子、今俺の返事を面白いと言ったね? 正解。俺が前世いた世界でもそういったノリの軽い挨拶が一時流行ってた時期があったんだよ。だからそこははっきり言って正解だったぜ。
まぁ何はともあれ、薬箱を買うためにさっさとクールに一度家から去るとしますか。二人は
「桃、氷はどの扉に入って……ん? なんだろ、これ?」
「あっ‼︎ やっぱ冷蔵庫ダメ‼︎ シャミ子、冷蔵庫は開けないで……うっ‼︎」
「桃⁉︎」
あ、家を出ようとした時にはもう始めてましたか。それじゃあ蛇足になりそうな自分は気づかないフリしてさっさと出ますか。
♢
白哉さんが桃の家を出たのとほぼ同時に、私が冷蔵庫で何かを見つけたら、何故か無理して立とうとした桃が思わず転倒してました。ドジっぽい様子を見せる桃もなんかレアかも。
というか、なんで無理して立とうと……えっ? 冷蔵庫にある皿を見てほしくなかった? 一体何を盛りつけていると……何これ? なんか結構ドロドロしてる感じが……まさか、魔族をちねって作ったモニュメント……⁉︎
「それは……失敗したハンバーグ」
「えっ⁉︎ ……この黒さ、禍々しさ……捌いた魔族の純度高い怨念をふんだんに使用した……」
「普通の牛のハンバーグ‼︎」
な、なんだ……私ってばてっきり、魔法少女はぶちころがした魔族を食糧にして食べる時があるのかと思ってました……。一瞬だけ魔法少女に対してピュアとは結構かけ離れたイメージを持ってしまってすみませんでした……
でも、なんだろう……桃のこの料理を見てると、何故か私もこれと似たものを作りそうな気がします……
なんというか……白哉さんの事を想いすぎて変なものを入れて、その料理が失敗したしてないに関係なくヤバいのにも関わらず、白哉さんに無理矢理食べさせてしまいそうな自分をイメージしそう……
桃には申し訳ないけど、この料理を見ておいてよかった気がする。料理する時は変なものは入れないようにしようという意識がより一層強くなりそうなので……ホント気をつけないと白哉さんも私も危ないですね、ホントに。
ところで何故ハンバーグを作ってたのかと問いかけてみたら、魔力修行の時に、私が強い魔力を頑張って出した記念として作ってあげようとしたそうです。いやアレは貴様に唆されて白哉さんへの想いをカミングアウトしてしまったことによるおかげであって……
でも料理はいつも出来合いで、何度やってもおいしくできなかったらしい。捨てるのもよくないから消費してたけど、毎食ひと口で心がいっぱいになってたとか……。いや、失敗したのを一口ずつ長い時間かけて食べてたら病気になりますって。寧ろそれが今回の病気の原因では?
私のために作ったのならば、これはいただきますね。なんか桃が止めようとした感じですが、気にせず口に運んじゃいました。ところで味は……あっ。
「見た目で焦ったけど、全然まずくないじゃないですか。外はゴリゴリ、中はドロドロで、ちゃんと生の玉ねぎと塩の味がします」
「それは果たして大丈夫なの……?」
「大丈夫。本当にダメな食材は、口に入れると痺れるか喉が本能的に餌付くので、それ以外のものは食べられるものです」
「食のストライクゾーン広いんだね……」
なんか引かれてる気がするけど、とりあえずこのハンバーグは完食させていただきました。味は大丈夫でしたよ、いやホントに。
ん? 恥ずかしいところを見せちゃった? 別に今の桃をダメな奴とは思ってませんよ? それに、自分のダメなところが人にバレるのを怖がっていたら、いつまでたっても前に進めません。私もうっかりを起こしたりドジを踏んだりと色々やっていますが、ちょっとずつでも前に進んでいるつもりです。
白哉さんに対しての愛が重くなってしまうところだって、いつまでも抑えてばかりでいる気はありません。あくまでこっそりではありますが、ある程度暴走しないようには曝け出して良い感じにアプローチしていこうと思っています。
まぁ、まだそれを行動に起こせていないんですけどね……
だから桃もそのダメな事を恥ずかしい事の一言で片付けないでください。寧ろそれをバネにして成長していってください。……倒しづらくなるので複雑ですが。
「シャミ子は強いんだね。……じゃあまた作って味見してもらおうかな」
「是非に‼︎ 今度は肉の味が分かるくらい塩の量を減らすといいと思います。せっかくの牛なのに塩と玉ねぎと炭しか分からなかったので」
「………………やっぱり最低限うまくなってから持ってくる」
「なんで⁉︎」
なんか変な間が出来た⁉︎ そして前言撤回された⁉︎ 次ハンバーグ作る時に上手になるアドバイスを出しただけなのに⁉︎
なんか引っかかりはありますが、この後いくら一人暮らしだからってこんなんじゃ桃の体が壊れそうってことで、今度ウチにご飯食べに来るように誘うことに。おかーさんに作り方教えてもらえば桃でもハンバーグ作るの上手くなると思うし、白哉さんも事情を分かってくれれば、簡単なものなら教えてくれると……
あ、しまった。また白哉さんが他の女の子と絡むことを考えてモヤモヤしてしまった。ホントこういうのは直していきたい……
とりあえず、桃は寝てください。その間に濡れタオルを用意しておでこにぺたっとさせてあげますから。早く病人から魔法少女に戻ってくれないとやりづらいのだー!
で、桃にはまた寝てもらったけど熱はあるけど呼吸は落ち着いたかな……寝顔は強そうには見えませんね。
とか見てる場合じゃない‼︎ これで勝ったと思うなよ‼︎……小声で言うと物足りない‼︎
あ、そうだ。ウチならうどんの買い置きがあるかも。家から持ってこようかな……あっ、その間に白哉さんが帰って来そうだし、二人宛として書き置きはしておかないと。
あっ、白哉さんの場合はメタ子の話し相手になってる白龍様を通して伝えておけばいいですね。って、いつの間にか寝てた。むぅ、仕方ない。やっぱり桃と同じく書き置きで……ん?
あ、桃の左手に傷口が! さっき転んだ時に出来たんだ。血も出てるし、ハンカチで拭いておかないと。にしても、桃が怪我するところも初めて見ますね……も〜〜〜っ今日の桃はホント調子が狂う〜‼︎
よし、止血もしたし、絆創膏を貼って、メモも残しておいて……ふぅ、そろそろうどんを取りに行きましょうか。氷枕は冷やしてあるかな〜。
この時、私はまだ気づいていなかった。ここまでの私の行動で今、色々と大切なものを手に入れたことに───
薬買いに行った白哉君を余所に流れる原作……まぁ『止まれ』と言って止まらないのが物語という名の現実ですからね、仕方ないね♂ それに今は知人の安静が第一ですし。
本編に関する質問を受け付けてますので、疑問に思うことがあれば是非こちらに↓
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