偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
最新話のストックを溜めすぎてしまったので、葛藤しながらもその一つを土曜日じゃないけど消化しようと決めた結果、結局一週間経たずに最新話投稿しちゃったぜ‼︎ 反省はしてるが後悔はしてないぜ‼︎(おい
ハハッ、見ろ! 校庭の木の葉がゴミのようだ‼︎ いや箒で集めて袋に入れて捨てるから確かにゴミだけれども。
そんなくだらないことを考えている白哉でーす。
俺は今、優子と杏里と珍しくその場にいた拓海の四人で校庭の掃除をしてます。拓海が先に校庭の掃除をしていたところに俺達が偶々居合わせって感じなんですよね。
原作では拓海は登場する描写を一切書かれてないから、ここで優子と杏里に遭遇することないのに……俺という転生者が介入されたことで、原作で登場する予定のないキャラの運命とかが微調整されてる?
ちなみに拓海とは一昨日にて喫茶店に連れてってもらいました。それも『あすら』に、原作キャラっつーか優子よりも先に。しかも拓海は二週間に一度は手伝いに行っているとのこと。
実家の陰陽師の仕事の手伝いもあるだろうに、リコさんの賄い料理の事もあるから大丈夫だろうかと心配にはなっていたけど、あいつの食べる量的には問題なかったため、俺は何かしらの助力をしないでいることにしました。改めて考えたらよかったな拓海、お前の様子がおかしくならずに済んで。
そんなこんな今日も正常な拓海と、優子と杏里の四人での校庭の清掃をしてるわけですが、思ったよりも意外と木の葉とかポイ捨てとかが結構あるな。ポイ捨てしてる奴も意外と多くね? 衛生面とか考えやがれや。
まあ大抵は拓海がシュバババッと集めてくれたわけなんですけどね。それも超スピードで、草むらとかに隠れているゴミも見逃さずに。いやこいつ几帳面な部分もあるのかよ。過保護几帳面時々ナルシストってどんだけキャラが濃いねん。
と、そんなこと考えている間に体育祭実行委員会を呼びかけるアナウンスが流れてきた。
「あ、私行かなくちゃ。ごめんだけど三人ともゴミお願い」
杏里はそう言って小グラウンドへと離脱していった。確か体育祭は秋頃に行われるはずだけど、もうその準備に取り掛かるのか……いや、別にそうではないのかも。
「杏里ちゃんはいつも忙しいですね」
「まあ心配事言いながら勝手に色々やってくれる、何処かの誰かさんとは違ってまだマシだけどな」
「ん? 誰だいその人は?」
いやお前だよお前。お前じゃい。たった今細かいところ隅々までゴミ拾いしてたお前だよこの過保護几帳面時々ナルシスト。自分がどれだけ勝手に他人のために最善を尽くしていたのか自覚しろよ。
って、拓海の奴いつの間にかさらにゴミがないか探しにどっか行っちまった。拓海の奴、どんだけ繊細だったんだよ……
「……あっ‼︎ ちょうどいい所にいたわ‼︎」
おや? この聞き覚えのある女の子の声は……
声がする方向に振り向けば、そこにいたのは、ウチらが着てる桜ヶ丘高等学校のではない制服──淡黄色のブレザー──を着ている蜜柑色の髪の少女・陽夏木ミカンだ。俺と優子は二回目の再会だ。
「そのツノ……貴方、優子よね?」
「ゆう……こ……? えっ?」
「……何よそのきょとんフェイスは」
「……あっ‼︎ 私の名前ですよね⁉︎ すみません、最近名前で呼んでくれる人、白哉さんとおかーさんくらいで……あっ、白哉さんというのは今私の隣にいる銀髪の人で、私の幼馴染です」
おい優子。お前幼馴染の俺がいつも『優子』と呼んでるのに、なんで俺と清子さん以外に名前呼ばわりされると自分の名前がパッと来なくなるんだよ。両親に付けてもらった大切な名前だろうが。
あっ。周りから『シャミ子』とよく呼ばれるようになって、それが自分の中でも定着してしまったから無理もない……のか?
「あぁ、貴方が白哉っていうの……って、あら? 貴方、どこかで会ったような……」
「おう、久しぶり。公園の時は助けてくれてありがとな」
「……あぁ‼︎ あの時落ちてきた大木に埋もれそうになっていた人‼︎ 名前聞いてなかったから思い出せなかったわ、ごめんなさい……」
「えっ……? 白哉さん、いつの間にミカンさんと会ってたんですか? しかも今の会話からして、白哉さんもミカンさんに助けられて……?」
「ん? まぁな」
ミカンが俺を助けてくれた時の事を思い出したところで、優子が俺達の会った経緯について聞いてきたので、素直にその日に何があったのかを教えてあげることにした。
その日俺は全臓のヒーローショーのバイトの助っ人をしていたこと、その帰りに降ってきた大木に押しつぶされそうになったところに陽夏木ミカンが放った柑橘色の矢で救われたことを教えてあげたら、勘違いされることなく優子は納得してくれたよ。
その後ミカンがさっきまで桃と一緒にいたけど気がついたらはぐれてしまったことを教えてきた。そのため優子がゴミを捨ててからでよかったら一緒に捜すと言ったあげていたので、俺も『一緒に協力する』と一言だけ言ってあげました。
そしたら『親切にしてくれても別にいいことない』とか『ゴミ運ぶくらいなら手伝ってあげてもいい』とかという、ツンデレなのかただの優しい子なのかちょっと分からない反応をしてきたミカン氏。まあ良いことを喜んでくれるのは嬉しいけどな。
……ってちょっと待て。何ゴミ袋じゃなくてごせん像を選んでんだ? ゴミってか? 空のペットボトルが入ってるペットボトルクーラーだと思ってんのかね? それ、というかその人は優子ら魔族の先祖やで? 封印が解かれればもしかすると無双キャラになるかもしれへんぞ? 言葉を慎めよ……‼︎
『お主よ、その町の魔法少女か? 穏健派のようだが何故ここに?』
「転校のための書類をもらいに来たのよ」
『そうなのか……って、転校⁉︎」
「声デケーですよリリスさん。耳イテェ……」
まあ驚くのも無理もないかな。魔族というか闇の一族が敵対している光の一族というか魔法少女が、突然その敵のいる学校に転校するだなんて予想だにしないものな。
はいこらリリスさん。何『燃えるゴミ風の像と愉快な一族のために転校という一大事をするのか』と言うんですか。アンタ自虐しながらミカンにゴミと間違われることを根に持たないでいただけます? 当の本人も悪気はなかったしわざとじゃないって言うので許してあげなさい。
ん? 何? ミカンは桃よりもまともなのかもしれないけど、隠れ筋トレ好きなのかもしれない、だって? いや、優子? お前は桃の魔法少女像を通して他の魔法少女までもが筋トレ好きだと思うんじゃねーよいい加減にしろ。
ほら、ダンベルかお花のどっちが好きなのかという質問でも、ミカンはお花と選択したぞ? これがよく見る魔法少女のイメージやから、桃を通してイメージするのやめなさいな。
おい、泣くなよ……『普通の女の子な魔法少女だ』とか呟きながら泣くな。これが本来の魔法少女像だっつってんでしょうが泣き止みなさい。
「私……桃が『魔法少女はまともな子が少ない』……みたいに言ってたから、少し不安だったんです。でも……ミカンさんがとてもいい人で、ホッとしました」
「優子……お前それ『ミカンを先程まではヤベー奴だとちょっとディスってたんだ』と言ってるようなものだぞ? それはそれで失礼じゃね? 今そう例えた俺も失礼だけど」
つーか今よく考えたら、それを口に出してしまう俺の方が一番失礼なんだけどな……
「ハッ⁉︎ よ、よく考えてみたら確かに……すみませんでしたミカンさん‼︎」
「えっ……いや、別に褒められたって何も出ないし、ディスられても気にはしないわよ。……私、貴方達が思ってるほどまともではないわ。桃だって今頃……私の力のせいでピンチになってるかもしれないの」
「桃が、ピンチに⁉︎」
「ええ……最悪、街中で職務質問不可避な格好で困ってるかもしれない。だから早く見つけてあげないと‼︎」
「ミカンさんの力って一体⁉︎」
うわー、他人を警察にお世話になってしまう恰好にさせてしまう力とは、一体どんな力なんだー(棒)。
今の俺はミカンのこの話を聞いても『どうでもいい』と思っている態度になってはいるけど、それは原作で得た知識からミカンの力を理解しているからであって、こう見えてその力による暴走を警戒しています。どんな力なのか、だって? それは……
って、そんな独り語りしてる間にいつの間にか先生や小倉さんから捨てるゴミ袋の追加を頼まれることになっていた。
先生にプリントのシュレッダーゴミを捨てるのを頼まれたのはまだいい。だが小倉さん、にわとりの羽などの部活で使ったゴミの元は一体どこから調達したと言うのだ。あ、待て。逃げるな質問に答えやがれェ‼︎
「あ、あれ? さっきまでピカピカだった場所が……急にゴミまつりです」
「……まるでゴミ増量のバーゲンセールだな」
我ながらなんだよゴミ増量のバーゲンセールって。何処ぞのプライドの高いツンデレ王子のモノマネなんてする必要ないやろうがい。
「やっぱり……今も呪いが抑えられてないみたい」
「呪い……⁉︎」
「ちょっと知らない場所で緊張してたのかしら……あ、やばっ、心拍数上がってきた……‼︎」
それは……ちょっとまずいな。原作の物語には存在しないはずの俺がこの場に介入しているだけでも、ちょっとしたズレでミカンの呪いが強くなる可能性だってあり得るしな。
「二人とも……急いで‼︎ 私の力が暴発する前に、私から逃げて‼︎」
「えっ⁉︎」
ヤベッ⁉︎ 優子が持ってるゴミ袋が光り出したぞ⁉︎ まずい、ゴミ袋が爆発しても周りに被害とかが起きないように、物の周りにシールドみたいなものを貼れる能力を持ってる召喚獣を出して……
あっ、そういった能力を持った召喚獣はいないんだった。どうしろというんだよこれ、原作よりも被害が酷くならないことを祈るしかないってのか……?
「変幻術・祝福玉‼︎」
「「「えっ?」」」
刹那。突然ゴミ袋が青い球体に包まれだした。そして中で爆発音が鳴ったけど、周囲にゴミとかヤバい何かとかが散乱することはなかった。これには思わず俺も二人と一緒に呆けた声を発してしまう。
えっ……正直助かったけど、何これ?
俺まだ召喚獣を出してないんだけど。そいつに助けてもらったわけじゃないんだけど。優子の魔力の量と質でこんなことできるかというと難しいし、大体こんな唐突な事態にすぐ対処出来るわけないよな普通誰でも。ミカンかやっと来たかもしれない桃でも青色の魔法も出せるとは限らんし……
じゃあ一体、誰がこんな大助かりな魔法みたいなものを……?
「よかった……間に合ったみたいだ」
ふと聞き覚えのある……というかミカンに会うまで聞いていた声が再び聞こえてきたので、俺はその声がする方向へ顔を左向け左した。
そこには、青いオーラらしきものを放つお札を持った右手をこちらに向けている拓海が、向こう側の掃除を終えてきたのかこちらに来ていた。
「二人とも、大丈夫だったかい? そこのオレンジ髪の人も」
「えっ、た、拓海くん……? あっ。は、はい。なんとか……」
「だ、大丈夫だけど……えっ? 何そのお札……?」
「拓海か……悪い、助かった」
「いやちょっと⁉︎ なんで貴方だけそんなに驚いてないのよ⁉︎ なんか魔法みたいなの使って私達を助けてくれたんだけど、誰なのこの人⁉︎」
まあ二人は今の拓海を見たらそんな反応するだろうな。どっかの一族でもないかもしれない存在の奴が、いきなり魔力に似た何かを用いた術みたいなもので俺達を助けてくれたら、流石にビックリするわな。
ちょうどいいや。拓海も隠し事をする状態や余裕はないみたいだし、これを機に二人に話すか、拓海が仙寿神社の陰陽師の一人であることを。
「ああ実はだな、こいつ、仙寿拓海は……」
「すまない、ちょっと離れててくれ。この霊術……変幻術は数秒後に爆散するくす玉というかクラッカーみたいに紙テープが飛び散ってしまうから」
「「えっ」」
「……は?」
今、なんて言った? クラッカーみたいに、紙テープが……? は?
「ヤバい被害が出ないとはいえ、結局ゴミが散らかるだけじゃねェかその術はテメーコンニャロォォォォォォォォォッ‼︎」
発狂するかの如くそう叫んだ瞬間、俺達四人は爆発による青い光に包まれた。そして、誰もいなくなった……嘘、みんな無事だわ。勝手に殺すなって話だよな。
♢
突然ですが、私シャドウミストレス優子は、桃と同じ魔法少女である陽夏木ミカンさんと出会った経緯についてお話しします。
ミカンさんと出会ったのは日曜日の事。杏里ちゃんに商店街イチオシのゆるキャラ『たまさくらちゃん』の着ぐるみの中の人を任された時の事でした。
その日は着ぐるみが結構重いし暑くて、チラシやアメ配って混乱してましたね。あと、子供達に人気なのはちょっと楽しいけど、たまさくらちゃんの設定公募がカオスってどういうこと⁉︎
で、途中で足つまづいて倒れそうになった時に、ミカンさんに助けられました。その時はぶつかりたくない存在にぶつかってどうしようと思いました……
なんでもミカンさんは桃から私との抗争によるざっくりとした誤報を聞いたらしく、それらしい魔族を見かけたら挨拶代わりに数発しばいて様子見しようと……
この着ぐるみ脱いだら私の人生終わりそうなので、帰れるに帰れませんでした。結局余計な心配受ける感じで無理矢理脱がされて、思わず危機管理フォームになっちゃって……。その時は何故か、これまで白哉さんと一緒にいた時の事が走馬灯のように流れてきて、思わず『白哉さんさようなら』と諦めてしまいました……白哉さんともう会えなくなるの、正直嫌でしたけど。
そしたらなんか謝られて、羽織るもの施されて、弱そうな子はしばかないと言ってきて……後は危機管理フォームからの戻り方を教えてもらいました。
けどその時はたまたま桃と居合わせてくれたおかげで、誤解とかは色々と解かれた上にミカンさんが桃に助っ人を頼まれた魔法少女だと知ることができました。あと、ミカンさん結構いい人でしたね。
♢
で、今日に戻る。まさか別の町の魔法少女であるミカンさんと、たった二日でこの桜ヶ丘高校で再会するとは思ってもいませんでした。なんでも桃に案内してもらう形で、私の護衛のために転校することになって、そのための書類をもらいに来たのだとか。
で、何故か白哉さんまでミカンさんと再会した時の軽いノリを見せてきたのですが……白哉さん、いつの間にミカンさんに会ったのですか? しかも私の知らない間に。
……なんだろう、まるで浮気されている妻の気分になっているような気がして、なんだか心苦しいし苛立ちを感じる……って⁉︎ な、な、何勝手に妻になっているんですか私⁉︎ 白哉さんと付き合っているわけでもないのに、何段階踏み倒してるんですか⁉︎ 妄想するにも程があるでしょ⁉︎
えっ? 先週の日曜日に公園で落ちてきた大木から助けてくれた? あぁ、偶然出会った感じですか。よかった、私の変な誤解が当たらなくてよかった……
ん? 先週の日曜日? 何かが引っ掛かる気が……その日は確か、私の初バイトの日で、白哉さんからお風呂借りようとしたら彼は既に寝ていて……
あっ(察し)。そういえばその時、白哉さんから蜜柑かレモンの香水の匂いが少しだけしてたような………………あの、二人とも本当にすみませんでした。その日も白哉さんが浮気してるかもしれないと、そしてミカンさんも白哉さんに対して逆ナンパみたいなしているのではと、勝手に思い込んでしまって……
……いや、その日の事はもう忘れましょう。その……私がその日、そういった誤解をしてしまったせいで、寝ている白哉さんにしてしまったことを思い出してしまって、かなり恥ずかしくなってきたので……
ミカンさんの言動や白哉さんも助けた経緯があった話からして、彼女は桃よりもまともなのかもしれないと思ったのですが、同時に本当は隠れ筋トレ好きなのかもしれないとも思って……えっ? ダンベルかお花かと言ったらお花? ………………普通の女の子だ。とてもいい人だ……
けど、本人は私達が思ってるほどまともじゃないと仰ってきました。何故かミカンさんの力で桃が職質不可避な恰好になってるかもしれないとか言っているのですが、どんな力を使ったら桃がそうなるのですか⁉︎
って、あれ? 気がついたら先生や小倉さんにもシュレッダーゴミやニワトリの羽とかのゴミを捨てるように頼まれて、ピカピカな場所がゴミまつりに……えっ? これもミカンさんの力と関係している?
わわっ⁉︎ 突然私の持ってるゴミ袋がピンク色の光を放ち出した⁉︎ そしてビリビリと破れ始めている⁉︎ えっ、ちょっ、何これ何これ何これ何これ⁉︎ なんかヤバい予感が……
って、あれ? 今度は青い光に覆われて収まりだしてる? えっ? ミカンさんの力ってそんなこともできるんで……いや、これはミカンさんの魔法にしては色が合わないし、白哉さんが魔法を使ったとも思えない。もしかして桃が駆けつけて……? いや、彼女も青色の魔法を使えるわけがないし……
あ、そんなことを考えてたら、細かなゴミ拾いをしていた拓海くんが戻ってきて……えっ? 何ですかそのすごそうなオーラを放ってるお札は? どっかの魔法少女からもらったマジックアイテム? それを容易に使いこなしている感じですか? どういうことですか……?
まあとにかく、何やら変な事態にはならずに済んだのでよかった……えっ? 数秒後にクラッカーみたいに紙テープが飛び散る? ……結局爆発するじゃないですかヤダー‼︎
この後すぐ白哉さんがなんか発狂して、それと同時に青い光が爆発して私を包み込み……
♢
で、現在に至ります。飛び散った紙テープが結構私達に貼り付いて、何かの大型ドッキリ企画に巻き込まれた感じが……
「…… 何か起きた後だったか……」
あっ。このタイミングで桃が来た……いや、何ですかその恰好は? なんかさっきまでパーティーに参加してたと言ってるような感じになってるし、なんか喋る小鳥が入ってる鳥カゴ持ってるし……確かにこれは職質不可避案件ですね。
「これは何が起こったのかな?」
「急にゴミ袋が限界になって……ヤバそうになったところになんか拓海くんが魔法みたいなもので助けてくれたんですけど、その魔法で何故か紙テープが散らかりました」
「……何その経緯」
私だって聞きたいですよ。なんで魔族よりも強くて魔法少女に似たことができる人がまた発見されるんですか。しかもよりによってクラスメイトにまたいるって。白哉さんと言い、全臓くんと言い……
「突然すぎたから私達も何がなんだか……。それとごめんなさい桃……私、呪いを克服できてなかったみたい……」
「………………とりあえずさ、より一層散らかる前に片付けようぜ。話はそれをしながらでもできるからよ」
「あぁ……うん、そうだね。俺の霊術の選択ミスでこうなってしまってごめん……」
「いや、お前のおかげで被害が最小限に収まったんだ。気にしないでくれ」
このちょっと重たい空気をなんとかしようとしてくれているのか、白哉さんが一言そう言ったおかげでみんな気持ちを切り替えることができました。さすがは白哉さん、いざという時の対処をしてくれて本当に助かります‼︎
散らかっている紙テープを箒で集めながら、私達五人は状況を整理することにしました。
まず最初に聞いたのは拓海くんの正体と、拓海くんが使った能力について。
拓海くんは代々伝わる仙寿神社の陰陽師の次世代候補。彷徨う幽霊さん達を除霊したり、現世に留まって謳歌という幽霊さん達の住処を探してあげたりするのを主に仕事にしているらしいです。
魔法少女の魔族に対する処置とは違って、相手側の事も考えて対応する……心配性な拓海くんに合ってる仕事なのかも。
次に拓海くんの能力について。どうやら彼は先程使っていた青色のお札を使い、そこに体内の魔力……陰陽師では霊力と呼ばれてるでしたっけ。を通して、闘う手段や除霊などに用いる能力……霊術というものを使用しているらしい。なんか、覚えるのが難しいような……
「仙寿家はこれを陰陽札と言ってね、謂わば陰陽師が霊術を使うためのパスポートってヤツさ。これを使い始める頃は、霊力を自由自在に操ったり制御したりすることなどに慣れるために、日常でも欠かさず使うことを薦められるんだ。例えばご飯を食べる時の箸代わりとか、トイレットペーパーの代わりとか……」
「いや慣れるための使い道が変でしょ⁉︎ トイレットペーパーの代わりにって……そもそも物じゃないもので身体に付いたものって取れるものなの⁉︎」
「それが意外にもトイレットペーパーを使った時よりも結構綺麗にね。霊力は消せば自動的に付着した汚れも消えるし、結構使いやすいんだよ。……トイレットペーパー代わりはさすがに衛生面的に使うのはどうかと思うけど」
「ですよね‼︎」
「魔力に似たもので排生物を拭き取る……私でも嫌かな」
あー……日常生活での使い道は魔法少女でも不評なものがあるんですね。確かに衛生面的に魔力や霊力とやらを使うのはさすがに……
って桃? 今ナチュラルに女の子が言うのを躊躇う言葉を言い換えて発してませんでした? 貴様も女の子としてそれは少しどうかと思うぞ……
「にしてもその霊術っての、さっきみたいに対象の物を何かに変えるだけじゃなくて、浮かせたりもできるんだよな? 他にはどういったことができるんだ?」
「そうだね………………脇をくすぐるどころか近づかずに人をこちょこちょしたり、遠くからテレビのリモコンを取るのに使ったり、広範囲高威力の爆発を起こして悪霊を退治したり」
「地味‼︎ どれも使い道が地味‼︎ と思ったけど三つ目聞いてめっちゃすごいこともできる術もあって草生えた‼︎」
例えのチョイスがおかしくないですか……? ほんのちょっとした悪戯のためだけに使ったり、普通なら面倒くさいと思う行動一つのためだけに使ったりって……。まあ最後の例はなんかゲームとかでいう魔法のブッパも出来るって感じで羨ましいのですけどね。
「さて、俺の話はもういいでしょ。次はそこの魔法少女……陽夏木さんの呪いについてだよね? 俺はそっちの方が気になってて仕方がない」
「また『俺がなんとかする』とか色々と言う気だろお前。これだから度の過ぎた過保護は……。まあ、呪いって言葉を聞かされたらどうしても聞かざるを得なくなるけどな」
「……ミカン」
「そ、そうね。私もどうしても話さないといけないとは思っているわ。みんなに迷惑かけたくないし……」
ここで話題はミカンさんの呪いについてに変わりました。彼女は昔巻き込まれた事件の後遺症で、動揺……浮かれたり焦ったりすると『関わった人にささやかな困難が降り注ぐ呪い』が発動しちゃうらしい。大事ではないけど、結構ヤバめな呪いなのでは……?
その証明となるのが、今の桃の恰好とここに来るまでに起こった経緯。早朝から生コンに埋まったり、老いた富豪から愛情を託されたり……はぐれてからも割と色々とあったみたいです。
って生コンに埋まるってヤバすぎません⁉︎ よく桃大怪我とかせずに済みましたね⁉︎
いや、呪いに巻き込まれた桃本人は『合流できたから問題ない』とか言ってますけど、受けた時点で大丈夫じゃないですよね⁉︎ どよーんとしてるじゃないですか‼︎
ミカンさんも基本は大丈夫だとか、お守りとか落ち着くCDとか持って対処してるみたいですけど……。『落ち着いていけばいろいろうまくいくかも』というタイトルの本とか、木魚の音が流れるCDとかって……いくらなんでもラインナップのチョイスが独特すぎませんか? もうちょっとこう……他に何かあるのでは?
「でも……呪いが出てない時のミカンはとても頼れるから、期待してる」
「なっ……‼︎」
「いやそれだと呪い出てる時は良くないと思ってるんじゃ 「急にいい笑顔向けられても何も出ないわよ‼︎」 ちょっ⁉︎ 前が見えねぇ⁉︎」
「急な突風が‼︎ 集めたゴミが‼︎ 白哉さんの顔にたくさんの紙テープが‼︎」
というかちょっとォ⁉︎ 桃貴様ミカンさんの呪いの事をよく知っているのだろう⁉︎ そうやって褒めたら呪いが出てしまうことぐらい桃なら分かるでしょうが‼︎
あっ。よく見たら突風が起きてる中で拓海くんが、冷静に吹き飛んだごせんぞをキャッチしてくれました。ごせんぞ無事で良かった……
にしても呪い、ですか…… 私と少し境遇が似ています。こっちは一つ呪いは解かれてますけど、自分の事で苦しんでいるところはまだ解決してないので同じですね。
自分自身を制御しないと周りを巻き込み、傷つけてしまう。私の場合は白哉さんに関することでそうなるだけだし、なんとか抑えるようにはしてますけど、ミカンさんは擬似的に自分の意思とか関係なく呪いのせいでそうはならない……
この違いを見てみると、拓海くん程ではないかもしれないけど、私もどうしてもミカンさんに手を差し伸べたくなりますね。なんとか呪いが発動しない程度にフォローしないと。
「えと……あの…… わっ、忘れがちだが私は魔法少女を狙うまぞくだから……未熟な魔法少女が身近にいるのは逆に好都合だ‼︎ 隙を見ていつか魔力を奪ってやるから、血液デトックスして待ってるがいい」
「なっ……」
どうだ、この手助けしようとしてるのか貶しているのかわからない予告宣言は。これなら少なくともギリギリ呪いが発動されることは……
「不器用なフォローされても何も出ないわよ‼︎」
結局発動してここら辺にだけ大雨が⁉︎ 難しい‼︎
♢
案の定と言ったところか、ミカンの呪いは原作通り本日だけで三回も発動してしまった。これだけ呪いが出てしまうと流石に彼女も辛いだろうな。
もしもこの呪いがささやかなってレベルでは済まされなくなったら、ミカンは自分を責めてしまう。それはミカン自身の居場所が失われるのと同じようなものだ。それでさらに彼女の心境が酷くなってしまえば、それでこそ取り返しがつかなくなってしまう。
そうならないようにするために、俺はどうやって立ち回りすれば良いのやら……
優子とは違う苦しみを受けている彼女に、どう対応すべきか……
「……これは、放ってはおけないな。それもこれまで以上の難題だ」
ファッ? 拓海、お前急にどうし……あぁ、また過保護モードに入ったか。
ん? あれ? けどなんかいつもよりも雰囲気が違うというか、まだ口うるさい感じになってないというか……いやこれは多分、ミカンの呪いのことを考えて控えめにしてるだろうけど……
いやホントお前、急にどうした? 一体何に目覚めたというんだよ?
「陽夏木さん。君は数年もの間、その呪いを抑えることは出来ても解かれることはなかったんだよね? その上、呪いのせいで周囲を傷つけまいと他者が近づくのを拒んできた……そうでしょ?」
「ッ……え、えぇ。万が一私の身に何かあってもいけないから、誰にも迷惑をかけたくなくて……」
おっ? 拓海のやつ、どうやらミカンの図星を突いてきてるな。こいつ過保護すぎるが故にか、勘が鋭い時が多いもんな。ミカンの今の心境を悟ってやがる。
……俺今、拓海のことがさらに苦手になってきたかもしれない……
「俺達は少なくとも、千代田君みたいに君のことは知らないし、今まで呪いによってどれだけ苦しい思いをしてきたのかはわからない。まだ赤の他人視点でのレベル……今日見たものでしか呪いを見ていない。だからどう応えるのが正しいのかも分からない……けど」
ここで言葉を区切る拓海。そして彼が次に取った行動が、俺達を動揺させた。何をしたかって? それは……
ミカンの両手を掴み、包み込むように優しく握りしめたのだ。……ってオイ⁉︎ ちょっと待てや⁉︎ そんなこと急にしたらミカンがすごく動揺するでしょうが⁉︎
「えっ、ちょっ……ええっ⁉︎」
「それでも、やっぱりそんな君を放っておけない。俺は昔からこんな性分だから、余計なお世話だと思われるかもしれないってことくらい自分でも分かっている。けど……だからこそ、少なくとも俺はできるだけ君の力になりたい。それで災難が起きるってなら喜んで迎え撃ってみせる。どうか、俺達にもできることがあったら遠慮なく言ってくれ。頼む」
おいコラお構いなしかよ⁉︎ そうやってミカンの両手を握るのやめろよ⁉︎ 夜ドラのラブコメみたいな感じに彼女の両手握るんじゃねーよ⁉︎ 顔真っ赤にされてんぞ⁉︎ ミカンの呪い出る‼︎ 絶対強い呪い出るって……
「そ、その……き、気持ちはありがたいのだけど、は、離れて……」
………………ん? んんん? アレ?
「ミカンの奴が恥ずかしがってるのに、呪いが発動しないだと……?」
「嘘……? 少しばかりの動揺なら発動しないのは分かってたけど、あそこまでされても発動しないなんて、私も初めて見た……」
「えっ……えっ? 何が一体どうなっているんですか……?」
どういうことだ……? 何故呪いが発動してないんだ……?
ミカンは急に拓海に手を握られて、その上に何処か告白みたいなことを言われたってのに、それらによって顔が真っ赤になってるって言うのに……
「へっ? これ陽夏木さんが動揺してるのか? すまない、今この手を離すね」
って、当の本人はしらばっくれてるじゃねェか。テメーそんな恥ずかしいことを平然とやって何とも思わないってどういう神経して……
あっ、わかった。これはあれだ。朴念仁ってヤツだ。相手があんなにも羞恥心まっしぐらだってのになんでこんなことになっているのか、自分がした行動で何故そうなっているのかすら理解していないヤツだ。
こいつ……過保護すぎるのになんで相手が恥ずかしい思いをしてるってことに気づかないんだよ……。お前恋愛について一から学んでこいよ。
「………………あ、あ、あれ? なんで何も起きてないの……? わ、私、こんなにも恥ずかしい思いしているってのに……? な、なんでなのかしら……? えっ……?」
「ちょっ、発動してる‼︎ 今発動してる‼︎ 俺達三人の周りに木の葉が吹き荒れてるって‼︎」
「ミカンさん、今は落ち着いて⁉︎」
あっ。これ突風や大雨と同じくらいのやばさだから、これは思ったよりも呪いが強く出てないってことか。時間差とか二回分の呪いが一度に発動したってわけじゃないけど、なんでミカンが拓海によって羞恥心を受けた時は呪いが発動しなかったんだ……?
「ああ、えっと……みんな、なんかごめん。特に陽夏木さんには余計なことをしてしまったみたいだ」
「えっ……あっ、い、いえ。別に今のは拓海が悪いわけじゃないわよ。それに、さっき拓海に『力になりたい』って言われた時は、本当はお言葉に甘えていいのかわからなかったけど……正直嬉しかったわ」
おっ? 今回の拓海の過保護さは効果覿面してる? ミカンの表情がちょっと緩くなってるけど、大きな動揺とかじゃないから呪いが発動してない。ちょうど良く感情が安定している状態ってことか?
なんだ、こいつの過保護さは偶には結構役に立つじゃん。
「今日は強めに呪いが出ているけど、これからは心拍数上げないように頑張るわ‼︎ それも徹底的に‼︎」
「そ、そっか……よかった」
ミカンの決心を聞いた拓海も安堵した様子を見せてるな。よかった、二人に変な心の溝ができるってことはないみたいだ。
「…… 慣れない場所で不安定になってるんだと思うし、ミカンが落ち着くまではなるべく私もサポートする」
「ああ……えっと、何ができるか正直よく分かんないけど、俺もできるだけミカンが動揺しないように考慮するか」
うん、桃に続いてミカンのためにできることを宣言しようと思ったけど、具体的なことが思いつかなかった……でも、呪いのせいで困ってるのなら放っておけないって気持ちは、拓海ほど酷くはないけど同じだ。
今はどうしていけばいいのか分からなくても、分からないことなりに全力で困ってる奴のことのためにできることをしてみせる。これは優子のためを想ってしてきたことと同じだ。ミカンの場合はそれができるかはわからないけど、俺だって……
「……でもミカンさん転校してくるんですよね?」
あっ……
「挨拶の時とか緊張しませんか? 大丈夫ですか? 何組になるのかなー」
素で忘れてた。そういえばミカンこの学校に転校するんだった。それを指摘した優子によって桃が長考に入るんだった。
つーか優子? お前何これからのミカンに関する課題増やしてきてんの? 空気読んで?
おい拓海。桃がどんな反応するのか分からなくて困りそうだから、お前がなんか意見を……
あっ、目ェ逸らしやがったよチクショー……。わりぃ、俺もここフォローできねェ。
「ちょっ、ちょっと⁉︎ みんなして無言はやめてください‼︎」
誰のせいでこうなったと思ってんだ。俺達は無言。無言でやり切らせてもらうからな。
ちなみにこの後の原作でのゴミ袋からごせん像を探す場面ですが、拓海が必死にごせん像が飛ばないようにキープしてくれたので回避されましたとさ。
まさかのミカンが拓海君のヒロインとなるのか⁉︎
とりあえず白哉君のヒロインの一人になってシャミ子と修羅場になることは回避されたのでヨシ‼︎(現場猫風)
感想気軽によろしくお願いしまーす。
おまけ:台本形式のほそく話その3
桃「今日はシャミ子達に会えてよかったねミカン。シャミ子も白哉くんも、拓海くんも味方になってくれたし、これなら転校する時の心配もないんじゃないかな?」
ミカン「そうね。でもその事を優子が指摘した時に誰もフォローしてくれなかったのは、ちょっとアレだったけど……」
桃「あっ……それは本当にごめん。どう声を掛ければいいのか分からなかったから……」
ミカン「別に平気よ。私も緊張した時どうしようかと考えるの忘れていたし、どっちもどっちでしょ?」
桃「それもそうだね。今はそうなった時のために備えて、お互いに出来る事が何なのかを考えておこう」
ミカン「えぇ、そうね。……にしてもあの拓海って人、ウザいと思われる程の過保護キャラだったなんてビックリだわ。魔法少女じゃないのにあんなにヤバめの性格を持ってる人がいるだなんて……」
桃「私も会うのは今日が初めてだけど、彼の性格にはホント驚かされたよ。私達が呪いを受けた時に誰よりも先に心配事をペラペラと口にしてくるものだから、思わず混乱しちゃった」
ミカン「………………(けど、私のために何かしたいと言ってきた時のあの目と手を握る仕草は反則よ……)」
桃「ミカン? 顔が赤くなってるけど、大丈夫?」
ミカン「えっ⁉︎ あ、いや、な、なんでもないわよ⁉︎ なんでもない‼︎ ほ、ほら! 今呪いが出てないってことは、問題ないのと一緒でしょ⁉︎」
桃「まぁ、それはそうだけど……」
ミカン「(ア、アレ? 私、なんでこんなにもドキドキしてるの……? そしてなんで呪いが出てないの……?)」
桃「(……アレ? シャミ子といいミカンといい、なんか私アウェーにされてる気が……)」
END