偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
だが内容は特別編とかではなく、いつも通り原作を進めてるだけなので悪しからず。特別編みたいなものはある程度本編を進めて、人気度がさらに高ければやろうと思ってます。
前回投稿した日は平日投稿の効果が今ひとつなのだと知り、ショックを受けました。夜に投稿したのにその日はお気に入りする人すら増えないどころか、投稿初日に一人減るってどういうことなの……(泣) 今は少しだけ増えましたが。
今回はシャミ子視点多めというか、ほぼシャミ子視点となります。偶には白哉くんにばかり語らせなくてもいいかなーって思ったし、今回はそうした方がちょうど良いかもと思ったので。
よく考えたら、最近シャミ子のヤンデレ描写書いてない気がする……
どうもみなさんこんにちは、最近優子のヤンデレ疑惑な場面に遭遇してない気がする……ってことに今頃気づいた白哉です。いやでもそれってさ? 優子の心が安定しているってことじゃないかな? ハッハッハ……(s○amu風)
けど、逆に別の不安が募ってきたのは俺の気のせい? 気のせいじゃないよね? 何かに期待してるわけじゃないよね? 知らんけど。
まあそんなことは置いときましょう。優子がヤンデレってないのなら深く追求する必要などナッシングだからな。寧ろ心の余裕を持てるようになった彼女を応援するべきだ。優子、頑張れ。
まぁそれはさておき、昨日何があったのかをおさらいさせて。
昨日はこんな感じに、簡潔にまとめるとこうなる。
・優子と拓海と杏里の四人で校庭の掃除
↓
・杏里が体育祭実行委員会の呼び出しで離脱
↓
・拓海もさらなるゴミ集めのために離脱
↓
・そこに別の学校の生徒のはずのミカンと再会
↓
・転校の書類をもらうために桃に案内してもらいながら来たとのこと
↓
・優子がミカンが普通の魔法少女かどうかをチェック、問題なし
↓
・いつの間にかゴミ祭り
↓
・優子の持つゴミ袋が爆発寸前
↓
・拓海が霊術で爆発を防ぐ
↓
・と思いきやクラッカーのように結局爆発
↓
・ここで職質不可避な格好をした桃が合流
↓
・拓海の陰陽師の力とミカンの呪いの事についての情報交換
↓
・桃のうっかり褒め称えと優子の不器用なフォローで呪いが連続で再発
↓
・拓海がミカンの手を握りながら告白に近いお助け宣言
↓
・しかしこのタイミングでは呪いは発動しなかった
↓
・この事実にミカンが動揺したことで結局発動
↓
・何はともあれそれぞれがミカンの呪いに向き合うことに
………………長めの説明、失礼しました。簡潔とは。
まあ要するに、だ。拓海の正体が陰陽師であることが、優子・桃・ミカンの三人に知れ渡ることとなり、俺達はミカンの呪いに巻き込まれてしまったってことだ。それでもお互い普段通りと変わらず接しているだなんて予想だにしなかった。
けどそれよりももっとビックリしたことが。それはその日の拓海の行動が、ミカンの呪いを一時的に発動させなかったことだ。その後ミカンがこの事実に気づいた時は結構動揺して、結局呪いが発動しちゃったのだけども。
なんで拓海がラブコメよろしくな行動……朴念仁による両手のラブ握りと告白もどきをしても、それでミカンの顔が真っ赤になっても、強い呪いどころか弱い呪いすらも出ていないんだ……? 感情によっては出しても大丈夫なヤツとか、そういったものもあるというのか……?
……いや、これ以上深く考えない方がいいかもな。多分アレだ、紛れで呪いの発動するタイミングが運良く外れてもらったとか、何かしらのインターバルが偶々発生したそんな感じだろ。つまりは運だろ。そうだろ。
んなことよりも、今日も桃による強化特訓があるからやっておかないと。桃の熱が治ってからは放課後毎日のようにあるからなこれが。というか、やらないという選択肢は出してくれない感じなんだ。いつも俺と優子は校門とかで待ち伏せされてるから。
しかも運が悪いことに、今日に限っては放課後に拓海の奴が俺と優子に『今日も修行があるよ』と伝えてきたり同行したりしているんだよなぁこれが。なんでも陰陽師の力でも何か俺達を強くする術があるのではないかと考えて、一緒にやることにしたんだとか……
いや、よく考えたら拓海がそんなこと考えてるとは思えない。他人の怪我とか調子とかをしつこく心配する奴が、スパルタの域を遥かに超える時がある修行に賛同するはずが……
さては桃に何かで買収されたのか⁉︎ グルになったのか⁉︎ 杏里みたいに刺客になったとでもいうのか⁉︎ もしそうだとしたらゆ ゙る ゙さ ゙ん ゙‼︎
けど、どのみち今日は修行することは避けられないんだ。とりあえず今から優子と一緒に桃に河川敷へと連行されるとこなので、そのまま修行へ逝テキマ-ス‼︎(遠目)
………………わりぃ、(多分)俺と優子死んだ。
♢
誰に向けて喋ってるのか自分でもわかりませんが、とりあえずみなさんこんにちは。シャミっ、シャドウミストレス優子です。いい加減この活動名をスラスラと言えるようになりたい……
最近放課後は白哉さんと一緒に桃に拉致されて……じゃない、呼び出されて修行しています。いくら私達を強くさせるためとはいえ、校門前やロッカールームで待ち伏せしたり、拓海くんにお願いして修行しろと伝えてもらったりするのやめてくれません? なんでそう徹底してまで私達を鍛えさせたがるんですか……
あと、修行の監視みたいなポジションで同行してきた拓海くんは兎も角、何故ミカンさんまで一緒に……? 無理に同行していただく必要なんてないと思いますが……
って、拓海くんは一体何してるんですか。私達がストレッチとかで体動かしてる時に、何故一人だけ座禅? いや、これは瞑想というべきかな? これもトレーニングになり……なるんだった。イメージトレーニングってヤツだ。
あっ、桃がなんか発光する特製プロテインを渡してきてくれた。これ栄養って感じの味がするので全然いけます飲めます。ありがとうございます。
このドリンクはこの前白哉さんも一度飲んでみたらしいのですが、その時は何故か数分の間だけ口の周りも発光してました。いやどういう仕組みになっているですかあのドリンクは? 味は案外良い味してたとは言ってましたけど。
あと、桃が何故か白哉さんに飲んだ後の記憶とか大丈夫なのかとしつこく質問してたけど、何を心配していたんだろう……?
「そういえばシャミ子、この前の変わった格好の件なんだけど」
「この前? あぁ、たまさくらちゃんのことですか」
「違う第一たまさくらちゃんは変わってなどいない寧ろゆるキャラとしては正統派な格好をしている───」
「ああいいです‼︎ すみません‼︎ 落ち着いてください‼︎ っていうかたまさくらちゃんに対するその熱は何なんですか⁉︎」
ちょっと⁉︎ なんで桃はそんなにたまさくらちゃんを推してくるんですか⁉︎ しかもけっこう早口‼︎ あとたまさくらちゃんの話してる時の目が怖い⁉︎ どんだけ好きなんですか⁉︎
さては貴様隠れオタクか⁉︎ ゆるキャラオタクなのか⁉︎ 手に入れてよかったのかわからなかった情報だったぞ⁉︎
「おいおい、話を脱線させるなよ。で、変わった格好って一体なんの話だ?」
あっ、白哉さんが本題に戻してくれた。やっぱり常識人でいてくれて本当に嬉しいです。助かりました。
「……そういえば白哉くんや拓海くんはあの場にいなかったね。シャミ子とミカンが初めて会った時……シャミ子がショッピングセンターで全裸になってた」
「なんだその表現は‼︎ 全裸じゃないです半裸です‼︎」
男子の前で堂々として誤解を招くような発言するのはやめてください‼︎ 状況の把握ができる白哉さんと人の良い拓海くんだったらまだマシかもしれないとはいえ、もしこの説明を聞いた男子の中に下心の強い人がいたらどう責任取るというのですか‼︎
いや、よく考えたら白哉さんでも拓海くんでもダメじゃないですか⁉︎ 拓海くんなんかこの世で一番信じられないものを目の当たりにしたかのように目を見開いていたし、白哉さんは拓海くんよりは驚いてはいませんでしたけど想像してしまったのか耳まで真っ赤になっている顔を背けているし‼︎ 何これ⁉︎ 何の羞恥プレイ⁉︎
は? そこはどっちでもいい? どっちでもよくあるかー‼︎ 全裸と半裸は全然別物です‼︎ どっちも破廉恥な格好でかなり恥ずかしいものですけど、露出度はかなり違っているんですよ‼︎ ……ってなんの話してるの私⁉︎
ただ、その半裸になった時の私の格好──危機管理フォーム──については私もよく分からないので、ごせんぞに説明していただくことに。
あの格好はごせんぞがプロデュースした、一族の力を強くするために最適のフォームらしいです。強さは普段よりは若干強い程度で、私に集中力がつけば昼も夜も授業中も四六時中変身状態だそうで……
って、何その『どこにでもいる町の変質者と化した女子高生』みたいな感じは⁉︎ 不審者として回覧板デビューされちゃうのでやめて‼︎ 桃もごせんぞに怖い相談しないでください‼︎
「すみませんリリス様。シャミ子君の半裸の姿がどんなのかは分かりませんけど、子孫も結構嫌がっているらしいので変更させた方が良いのでは? 例えば異世界漫画とかで出てくる魔王の格好とか……」
お、おぉ……‼︎ ここで意外(?)な方面から救いの手が‼︎ 拓海くんのがリテイク案件を出してくれました‼︎ 私の肌の露出具合を気にしてくれていたのですね‼︎
……この意見を出してくれる人が白哉さんの方がよかった、と言ったら我が儘になりますけど。
『……何故だ』
えっ、なんでごせんぞそんなに戸惑っているんですか。衣装変更の何が不満なんですか。思ったよりも傷つくんですけど。
「逆に何故理解できない顔をしてるんですか。頭沸いているんですか」
「少なくとも過保護キャラのお前の口から出していい言葉じゃねーだろそれ⁉︎ つーか思ってても言うな‼︎ 古代からの種族の先祖様だぞ⁉︎」
『……余たちは種族の問題で肌を出しまくった方が戦闘力が上がるのだ』
「………………他に戦闘力を上げる方法とか思いつかなかったんですか」
いやちょっと待ってください? さっき失礼なこと言うなと言ったばかりの白哉さんも、ごせんぞに対して何かを諦めたかのような顔を見せているじゃないですか。人の事を言えないじゃないですか。いくら白哉さんでもごせんぞに失望するような感じを見せるのはどうかと……
「何はともあれ、変身したらシャミ子がどれくらい強くなれるのかは気になるね。じゃあシャミ子、その『危機管理フォーム』の性能テストしたいから今変身してみて」
「こんな往来で⁉︎ 嫌です恥ずかしい‼︎」
「……でも町やシャミ子に危機が来たら、往来だろうとなんだろうとバリバリ変身しなくちゃいけないんだよ」
そ、それはそうですけど……。今この場には少なくとも二人の男子がいるんですよ⁉︎ しかもその内一人は幼馴染の白哉さんですよ⁉︎ そんな状況の中でやるような格好じゃありませんよ‼︎
というか、仮に白哉さんや他の男子がいなくても、あのフォームはただでさえ露出が多いからいきなり人が通りやすい場所ではやりたくないです‼︎ せめて最初は私達しかいない場所でやらせるとか、初歩的なことも考えてくださいよ‼︎
って、ちょっと? 何こちらの耳元にまで寄ってきてくるんですか? 無言で近づかれると怖いのですが。
……あれ? なんか前にも似たような境遇を受けていたような……。こういう時の桃は私にだけ聞こえるような状況を作って、私をおちょくってたような……
「あと、これは私事でもあるんだけど……そのフォームを白哉くんに披露することで、大好きアピールを演じれる絶好のチャンスでもあるんだよ?」
「ぶえっ」
は、はがっ……。お、思わず女の子が出してもいいものではない声を出してしまいました……
そ、そうだった。前にも魔力修行の時にヒソヒソ話で『白哉さんに大好きアピールしたら?』とか言われてたんだった……
こ、こちらにも心の準備があるし、そ、そんなことしたら白哉さんがどう思うのかも分からないというのに、だ、大好きアピールを他の人の前でするなんて、痛々しい人がするようなものじゃないですか……‼︎
し、しかも今度は危機管理フォームになって⁉︎ ど、どうやって危機管理してから大好きアピールするのか分かりませんけど、嫌な予感しかしません‼︎
あの露出の高さを利用して、何かしらのアピールをさせられるかもしれない‼︎ どんな感じにさせられるのかは想像出来ないけど、絶対私も白哉さんも恥ずかしい思いをするに決まってる‼︎ 絶対なってたまるかー‼︎
………………いや、前言撤回。これは結構チャンスなのかもしれない。
これまで私は愛が重たくなる自分を恐れて、白哉さんに猛烈なアピールをしていない。そんなことをして、もし白哉さんからの好感度が高くなってしまったらどうしようとか、それでさらに私の愛の重さが大きくなったりするのではないかとか、そういった不安も感じているのだから。
でも……危機管理フォームを白哉さんに見せる程度なら、そんなに酷い進展はないと思う。私の格好を見て恥ずかしくなるのか、『エロい』とかのちょっと恥ずかしい言葉をかけてくれるのかのどちらかにはなるのかもしれない。そうなるくらいかなと考えたら、変身しても……
あっすみません、やっぱりまた前言撤回します。やっぱりあんな格好を白哉さんに見せるのは恥ずかしい‼︎ そして大好きアピールをしてミカンさんと拓海くんにも見せつけてしまうってのも考えると、さらに恥ずかしくなる‼︎ 羞恥死してしまいます‼︎ そんなのは絶対に嫌だ‼︎
あと、もしかすると白哉さんがいろんな意味で獣になってしまうのかも……。そんな白哉さんも見てみたいけど、こっちはその先の事を考えると心の準備ができません‼︎
しかも往来の場でやったら通報案件どころか警察沙汰ですし‼︎ そうならなかったとしても史上最大の羞恥心によって私達は壊れてしまいそうですし‼︎ 特に獣になってしまった白哉さんが‼︎
や、やっぱりダメだ……‼︎ ど、どうにかして強制変身ルートを回避しないと……‼︎
「じゃ、じゃじゃじゃ、じゃあ……桃が変身してくれたら私も変身します。イヤだろうククク───」
「
「………………」
た、躊躇いもなく例のプ○キュアよろしくなフリル付き派手ピンクの魔法少女衣装に変身した……
頑なにフラッシュピーチハートシャワーを出すのを躊躇っていたのに、ハートフルモーフィングステッキをただの棒だとか否定していたのに、何故変身する方は躊躇なしにしてくれるんですか……
って、よく考えたら桃は大事な場面とか緊急事態の時とかは往来の場でも変身するんだった。そういうタイプだった……
結局、白哉さんの目の前で危機管理しないといけないんですね……。白哉さんが獣になったり、何かしらのトラブルで私から重い愛が出ないことを祈るしか……
「桃の戦闘フォーム久々に見たわ‼︎ やっぱきゃわわ系よね〜……でも小学校の頃やってたあれは、もうやめちゃったの? 変身の時にクルクル回ったりしてたわよね? あっちの方が良くない?」
「回る」
「回る?」
「回る」
「回る……」
「……一人ずつ言わなくていい」
おぉ……⁉︎ 私だけじゃなく、白哉さんも拓海くんも思わず続けて言ってしまう程の、今の桃とのギャップの違いの情報源がここに……‼︎ 白哉さんに危機管理フォームを見せることについてはどうするか? そんなのは後回しです‼︎ ミカンさんその件について詳しく‼︎
何なに……? 昔の桃は変身の時クルっと回ったり、ウインクしたり超可愛かった? えっ、何それ。何そのいつもクールぶっていた桃の貴重なわんぱくでキュートな一面があるよー、みたいな説明は。見たい‼︎ すごく見たい‼︎ 結構気になる‼︎
「でもそれをいじり散らかしてたら、ものすごいスピードで変身するようになって」
「え〜‼︎ もったいない‼︎」
「もったいないわよね。変身中はこんなはじける笑顔も見せてくれるのよ」
「いやどっから出したんだよその写真。つーか変身中のところをよく撮れたなそれ」
おお、今気にするべきツッコミを白哉さんがしてくれたように聞こえましたが、それよりもミカンさんが出してくれた桃の笑顔の写真、中々良いじゃないですか‼︎ こんなにもプ○キュアオファーが出そうなニコッとした笑顔はそう見られな……
うわっ、はじけた⁉︎ ホントにはじけた⁉︎ 笑顔じゃなくて写真が‼︎
い、今のは桃がやったのですか⁉︎ もしかして、今のがフレッシュピーチハートシャワー……えっ? ただの物理攻撃? パンチで風圧出しただけ? ……身○手の極○に目覚め始めているんですか……?
「ミカン……今日の夕飯は買い弁じゃなくて私が作るね」
ごはん兵器製造工場
「あっ、話しちゃダメだったかしら⁉︎」
「ああ……欠点を脅迫の武器に変えてまでして守りたいプライバシーってヤツかな? これ以上この話題は広げないでおこうか」
というか今、変なテロップが出た幻覚でも見えませんでした? ……とにかく、今日のところは子桃の事とかを聞けるような状況じゃないですね……
「……そいえば、何故ミカンさんもトレーニングを?」
「別にいいでしょ。転校するまで暇なのよ」
「他にも暇つぶしになることとかあるんじゃないのかい? 買い物とか色々……」
『いや、言ってやるな拓海よ……分かるぞミカンよ。忘れられて部屋にぽつねんと一人は寂しかったんだろう……? 居ても立っても居られなかったんだろう……? わかるぞわかるぞ』
「なっ……ぜんっぜん寂しくないですけど‼︎」
あっ……(察し) ごせんぞよく忘れてしまって学校に連れて行かなくてすみませんでした……
って⁉︎ ごせんぞが通りすがりの大蛇に巻きつけられた⁉︎ これってもしやミカンさんの呪いが……いやよく考えたら河川敷に大蛇ってあり得なくないですか⁉︎ こんなのが動物園やジャングル以外のところにいたら今のところ大騒動ですよ⁉︎
えっ? 桃がまた砂漠縦断マラソンすることになったら悪いから落ち着かないと……? 桃は砂漠を縦断してから来たんですか⁉︎ ってかどんな呪いが出たら砂漠にまで飛ばされるように⁉︎ ……まさか鳥取砂丘にまで飛ばされたわけじゃないですよね……?
「ミカン大丈夫、落ち着いて……私に迷惑かけることについては気にしなくていい。その分ミカンは強いから、最大限力になってくれるって信じてる」
「桃……………… 別にそんなこと言われてもキュンキュンしませんけど‼︎」
「おいコラうっかり魔法少女‼︎ それ以上ミカンの心を刺激すんな‼︎ たった今リリスさん大蛇に咥えられてんだぞ‼︎」
「ごせんぞー‼︎」
ああもう‼︎ 大蛇ごせんぞから離れてー‼︎ あ、すぐ離してすぐ帰ってくれた……
にしてもミカンさんの呪いの対処も大変ですね。変に心を刺激させたら発動してしまうし、かといって何かしらの対策とかしないのもアレだし、どうしたらいいのか……
「えっ……? ちょっ、ちょっと拓海……?」
って、あれ? なんか、拓海くんがミカンさんの背中撫でてませんか? それでミカンさんがビックリしちゃって、また呪い出たりしたら大変なことになるんじゃ……
「ああごめん。どうしても陽夏木さんのことが心配で背中撫でちゃったけど、迷惑だったかい?」
「えっ。あっ、い、いえ、す、少しだけ、落ち着いたのだけど……ちょっと、もうやめて……」
あ、あれ? ミカンさん顔真っ赤になってあわあわしてるのに、呪いが発動しない……? あっ、昨日もこんな感じに拓海くんの無自覚な行為でミカンさんが顔真っ赤にしてたんだっけ。その時も呪いは出なかったんでした。
でも、今日と言い昨日と言い、なんで拓海くんがミカンさんを恥ずかしくさせたら呪いが発動せずに済むんだろう……?
「ああ……なんだ、昨日の拓海くんのミカンに対する行動は紛れじゃないんだね。なんで昨日や今日みたいにそうなるのかは分からないけど、拓海くんはミカンの心を安定してくれる存在なのかな?」
「思ったとしても口にしていい考察やタイミングもありますよ……」
というか、その事を指摘したら……
「えっ……? 嘘、た、拓海に知らぬ間にせ、背中撫でられたのに、何も起きて、ない……? ど、どういうこと……? これ、私がおかしくなったの……?」
「いやまずは落ち着け⁉︎ 俺のところにすごい勢いでチラシや新聞紙が飛んできたんだけど⁉︎ ヘブッ」
うわっ⁉︎ 急な突風で飛んできたたくさんの紙が白哉さんの顔に⁉︎ しかもそれより下には当たってないって、どんなピンポイントな呪いが出てるんですか⁉︎ あっ、二十枚目が出たところで治った。
「……とにかく約束でしょ、変身変身。頑張ろう」
うげっ⁉︎ 桃の変身の話やミカンさんの呪い、それに対する拓海くんの行動の三つの唐突なイベントで忘れてくれると思ったのだけど、そうはならなかった……
ううっ、結局男子二人もいる中で変身しないといけないのですか……。なんか今日の桃強引です……
「……白哉さん。拓海くん。私の変わった姿を見て、失望したりとかそういう変な顔しないでくれませんか……?」
「何言ってんだよ優子。いつもよく一緒にいた幼馴染を失望なんてしねぇよ。……上手くフォローとかできるかは不安だけど、お前を傷つけないようにすることは約束する。な? 拓海」
「えっ? あ、ああうん。もちろんそのつもりだけど。あと、いざという時は念のため目を閉じておくから」
「そ、そうですか……。ま、まぁそれなら、私も腹を括りますね……」
ウゥッ、正直二人には『見ない』という選択肢を選んでほしかったですけど、二人は私の危機管理フォームを見てないし、桃やミカンさんに特徴を伝えられてないのですからね。あのフォームがどれだけ恥ずかしいものなのか、まだわかるはずもない……
えぇいままよ‼︎ どっちみち変身しないと最悪帰れないんだ!! そんなに『なれ』と言うのならなってやりますよ!!
「危機管理ー‼︎」
………………
「何にも起きないけど?」
「……イントネーションを間違えたんじゃね?」
ア、アレ? 何の変化もなし? い、いや、そんなはずは……
「危機管理ー‼︎ 危機管理ー‼︎ 危機管理ー……? きかっ、ききかんりー‼︎」
な、何度叫んでも私の服装は体操着のまま……なんで⁉
「……ごめんね」
「謝られるのが一番キツいんですよ‼︎」
ど、どうして何度叫んでも変身できないんだろう……? ごせんぞ、これは一体どういうことなんでしょうか?
えっ? あれは私がマジの危機感を感じてないから? ビックリした時の強烈な魔力の流れで変身するのが危機管理フォームの特徴? ……肌を露出しすぎてる上にお腹が守れていないという危機管理感がない格好なのに、なんで危機を感じてる時が変身できるタイミングなんですか……
って、ちょっと桃⁉︎ 急に私の尻尾を掴んで何するつもりですか⁉︎ 『多魔川』の文字が書かれた看板に結び付けないで⁉︎ そしてステッキ構えないで⁉︎ フレッシュピーチハートシャワーをブッパしないでくださいよ⁉︎ 助けてー‼︎ 助けてー‼︎
「……なぁ桃。優子が危機管理フォームになれるためにすべきことをしてくれるのは否定できないけどさ? 本人がめっちゃビビってるから───」
「当てないようにすればいいんでしょ? 大丈夫、フレッシュピーチハートシャワーは寸止めにも対応しているから」
「当たらないようにするのはいいことだけどそうじゃねェよ⁉︎ 最初はそれほど痛くないものかビビりやすさが薄そうなものとかにしろって言ってんだよ‼︎」
びゃ、白哉さんが庇おうとしてくれてるけど、あまり意味無さそう⁉︎ だって桃がフレッシュピーチハートシャワーをやめてくれる気配がないんだもの‼︎ 全力で放つ気満々だもの‼︎ ぶっ放し系の技名に聞こえるから寸止め出来なさそう‼︎
「じゃあいくよ。せーの」
「だからまずは優しいものとかで───」
「ひいいい‼︎ でもちょっとワクワクする‼︎」
「せっかく助けようとしたのに裏切られたから離れまーす」
「ああごめんなさい⁉︎ 白哉さんごめんなさい‼︎ うらぎりまぞくになってごめんなさい‼︎ だからそこから離れないで‼︎ そして幻滅しないで‼︎」
「幻滅とか嫌いになったりとかはしてないから歯ァ食いしばっとけ」
「怒ってはいるじゃないですか⁉︎ 本当にごめんなさいィィィ‼︎」
………………ん? アレ? 桃が『せーの』と言ってから、魔力さんらしきものすら出してくる気配が一切ないのですが……
まさか、今の私と白哉さんの会話を、め、夫婦漫才か何かと思って一旦停止してた……⁉︎ いや考えすぎだってのは分かってますけど、正直夫婦にはなりたいんですけど……なんか弄ばれてる気がして腹立つわー‼︎
えぇい、放つならさっさと放ってくださいフレッシュピーチハートシャワーを‼︎ アレどんなものなのか正直結構気になっているんですし……
「ダメだ、連日の疲れが……」
って桃⁉︎ どうしたんですか突然膝ついて⁉︎ 一体何が起きて……?
この後桃は数分寝ることにしたようですが、一体何故……?
♢
夕日が立ち昇り始め、カラスの鳴き声を響かせながら河川敷を照らす中、私達はベンチで寝ている桃を見つめていた。最近の桃は以前にも増してグイグイ系に見えるとか、思ったより消費が激しくて焦っているのではないかとか、そんなことを話し合いながら。
桃、結構な負担を抱えているのかな。私がうっかり生き血を取った時とかは私と白哉さんにも自分と同じ使命を担わせるようにグイグイ来ていたし、『この町を守りたい』とかも呟いていたし……
私達の知らないところで、桃は一体どんな運命を背負っているんだろう……
「このままだとちょっとまずいかしら」
「まずい? どうしてだい?」
「魔法少女って魔力を使いすぎると消滅しちゃう場合があるでしょ。しばらく無理させない方がいいわ」
「うわっ、それは魔法少女にとってはかなりの大事じゃねェか。俺達も何かしら慎重に対処出来ればいいんだけどな……」
「そうですね……」
……ん? 今、なんか聞き捨てにならない言葉がミカンさんの口から聞こえたような……白哉さんもかなり苦い顔して反応していたような……
「……って……今なんて⁉︎ 消滅⁉︎」
「どういうことだ⁉︎ そんなの聞いていないのだけど⁉︎ 何故白哉君はそれ聞いても仰天してないんだ⁉︎」
「えっ知らなかったの⁉︎」
「バカッあんまそんな反応すると……」
おわっ⁉︎ 突然私の頭に鳥の巣が作られ始めてる⁉︎ 拓海くんの足元にもモグラが寄って集って来てる⁉︎ しまった、ミカンさんの呪いの事を忘れてた‼︎ 白哉さんはこれを考慮して自身の動揺を抑えていたんだ⁉︎ とりあえずミカンさん一旦落ち着いて‼︎
なんとか落ち着いてくれたミカンさんは、魔法少女の事について教えてくれた。
桃も言っていた、魔法少女は体のほとんどがエーテル体に置き換わってる存在だと言う事。魔力がなくなると体を固めてるつなぎがなくなって、形が保てなくなると言う事。死ぬわけじゃないけど、空気中に魂が拡散しちゃうから自力での復帰は難しいと言う事……どれもかなりの大事だった。
……私が生き血を取った時も、僅かとはいえ量によっては危なかったらしい。それは取られた対象がミカンさんであっても……
「そっか……親父やお袋から齧り程度に話を聞いたことあるけど、魔法少女──光の一族にとって魔力や血は本当に大事なんだね」
「えぇ。散り散りの魂になったらどうなるのかは、私や桃だけじゃない……他の魔法少女達でも分からないもの。だから魔力を奪われることは極力避けてるの」
『知らなかったぞ……今時の光の巫女はそうなのか……』
「優子達はともかくご先祖様も知らなかったの⁉︎」
えぇ……なんでごせんぞもこの事は初耳なんですか。しかもジェネレーションギャップを感じてるのかすごいショック受けてるし……
そういえばごせんぞが復活するには魔法少女の生き血が必要でしたっけ。それが魔法少女の生命線となると、易々と奪い取ることができないのでは……
………………でも、どうして桃はそんな大切なことを教えてくれなかったんだろう……
もっと先に言ってしまえば、私もごせんぞも生き血を取ろうとするのを少なくとも躊躇えるはずなのに。下手をすれば命の危険性だって孕んでしまうのに……
「───人が良すぎるが上に、かもな」
えっ? 白哉さん、何を言って……?
「こいつはまぞくである優子を、初対面からボコボコにしたり最悪殺したりとかいう過激な上に醜いことなどは一切しようとしなかった。それどころか手を差し伸べようとしたり、俺達のためにすべきことを優先したりとしている……誰かのために自分を積極的に後回しにするなんて滅多にできないことだと思う」
あっ……そうだった。桃は最近よく私と白哉さんを特訓に付き合わせるし、魔力の事とかをなるべく分かりやすく教えてくれるしで、何かと私達が強くなれるように考えてくれていた。
それに私が借りたお金を返そうとした時も『それは家族のために使って』と言ってきたりして、生活のこととかも……
桃はいつもそんな感じだった。私達のためを思って何かしらしてくれているのに、自分の事は気にしてない感じだった。私との決闘を避けていたのも、私達の事を何かと優先して……?
「けど……だからこそ俺達を頼ってほしいって思うのが、俺個人の本音かな」
「えっ……?」
「ただでさえ魔力がかなり減っている状態の中で俺達を必死に強くさせようとしても、自分の身を休まず削らせて、また倒れてしまったとしたら元も子もないだろ? それなら桃が無理してまで身を削るようなことをしないようにするために、俺達が信頼してもらえるほどの認められる存在になるべきだと俺は思うな。どんな奴としてかは、俺自身はまだ分からんけどな」
信頼して、もらえるほどの、認められる、存在……
そうだ、私はまだ桃に認められていない。町を守る役目を担ってほしいと言われた今でも、それは変わっていない。
心配だから? 巻き込みたくないから? そんなのは関係ない。白哉さんがこんな私の事を想ってくれているように、桃にも私を認めてもらいたい。町を守れる戦力として、一人前のまぞくとして、そして……
そんなことを考えていたら、桃が目を覚ました。……よし、決めた。
「……桃っ、私もう少し頑張ります‼︎」
「どうしたの急に」
「どうしてでもです‼︎ 今日は変身するまで帰りません‼︎ とりあえず、私を死ぬほどびっくりさせる方法を一緒に考えろ。変身しなくていいから‼︎」
「……本当にどうしたの?」
……はっきり言うんだ。ワールドワイドで今まで頑張ってきた桃のためにも、ここで‼︎
「私はっ……桃に……認められたいです。……いや、敵として! 敵としてだぞ‼︎」
どんなことがあったとしても、私のやりたいことは変わらない。桃との勝負に勝って、家族の差し押さえられたものを全て解放できるようにして、みんなを傷つけず、そして……白哉さんと繋がれるようになりたい。
だからこそ、少しでもそれらが成し遂げられるようにするためにも、まずは千代田桃という一人の魔法少女……いや人間に、私がその覚悟を持った強い魔族……人間であることを理解してもらいたい。
まだ私達の関係は浅い。時間が掛かってしまうってことぐらい分かっている。けどそれでも良い‼︎ 千代田桃よ、宿敵として貴様が自ら苦しみを受けるなんてことはさせないぞ‼︎ これまでにしてきた私への評価が浅はかだったことをいつか後悔させてみせる‼︎
そのためにはまず危機管理フォームになれるための修行です‼︎ さぁどんな方法で私をビックリさせる⁉︎ どんな手段でもどんと来い‼︎
「……分かった。気が進まないけどシャミ子がそう言うなら」
さぁ、一体どんな手段を取って……ん? 何故白哉さんをじっと見ながら顎に手をつけているんですか? 変身するのに白哉さんは別に関わる必要ないと思うのですが……
「人は拘束されてる中で何かに迫られると、何かしらの動揺を起こすのは知ってるよね? だから私がシャミ子を押さえている間に、白哉くんがキスのできる位置にまで近づく……ってのはどうかな? それなりの恐怖心も覚えるだろうし、危機管理するには最適な案だけど」
「………………はい?」
「……ここに来て安定の俺と優子を揶揄うのやめろよ」
「いや本気で考えた変身方法なんだけど」
ちょっ、は……? えっ? 今なんて? 白哉さんを、私と……キス、できるまで近づけ……えっ?
くぁせdrftgyふじこlp!? キ、キ、キ、キ、キキキキキキ、キスゥッ⁉︎ おま、は、はぁあああ⁉︎ な、ななな、なんで変身できるようにするために、びゃ、白哉さんとキスしないといけないのですかァァァ⁉︎
いやほら、キスというのは本来お互いが本気で『好き』という感情をぶつけ合える中でやるようなものですので、第三者達に無理矢理やらされるのは邪道というもの……
ああああああ‼︎ そういえば私も邪道なキスをしてたんだった‼︎ 寝込み中の白哉さんに無自覚でキスしていたんだった‼︎ 人の事をとやかく言える立場じゃないんだった‼︎ ああああああの時封印していた羞恥な思い出を掘り起こしてしまったあああ‼︎
「それがダメなら正拳突きとアンクルロックと一本背負い……別の手段が三つもあるけど、どうする?」
あ、それらもダメなヤツばっかじゃないですかヤダー‼︎ キス以外の方法がどれも物理的な方で痛いヤツしかないじゃないですかー‼︎
もう手のひら返し不可避です‼︎ 今日のところはさっさとこの場から離れないと‼︎
「やっぱり桃も疲れてるので明日にしましょう。お疲れ様でした──ホゲェ⁉︎」
「もう肉体操作くらいはできるから大丈夫」
つ、捕まった‼︎ 尻尾掴まれたせいで逃げられなくなった‼︎ ガッチリと両腕をホールドされた‼︎ ま、ま、まだ心の準備が一切できてません‼︎ 引き寄せないで‼︎ 助けてー‼︎
「えっと……あっ、そういや今日は俺が飯当番だったわー。メェール君達腹空かせてるだろうし、俺も帰───」
「あ、嘘ついて逃げるのもダメだよ。拓海くん、例のアレをお願い」
「あっ、イエッサー」
「なんかヤベッ⁉︎ すまん優子、俺は逃げ───」
ちょっと白哉さん⁉︎ 何適当なこと言って帰ろうとしてるんですか⁉︎ キ、キ、キスルートの回避をしてくれるのはちょっとだけ安心しますけど助けて‼︎
って、拓海くん? 陰陽札を二十枚も取り出して一体何を……? あ、白哉さんに翳すようにその腕を伸ばした。
「おわっ⁉︎ な、なんだ⁉︎ 体が勝手に……⁉︎」
えっ⁉︎ 白哉さんの体が突然青い光の膜に覆われて、錆びたロボットのようにギシギシと動き始めたんですけど⁉︎ ま、まさか今のって、拓海くんが人の体を操る霊術なのでは……⁉︎ なんでそんな恐ろしい術まで覚えているんですか⁉︎
ってか、この人も私と白哉さんをキスさせる気満々だー⁉︎ 正直ドキドキするけど心臓に悪すぎるー⁉︎
「あ、あ、あわわわわわわわわわ……‼︎ ま、ま、ま、ま、待ってください、まだ、心の準備が……いや本当に……」
「ち、チクショー‼︎ 我が名は召喚師・白哉───‼︎」
うわっ、眩しっ⁉︎ 急に白哉さんの体が白く発光して……⁉︎ って、あれ? なんか白哉さんの衣装がインドの貴族っぽく変わった? それってもしや、白哉さんが召喚師として覚醒した姿では……?
って、姿変わってもギシギシ無理矢理体を動かされていることに変わりないじゃないですかヤダー⁉︎ 今の意味なかったじゃないですか⁉︎
「な、なんで⁉︎ なんで変身して魔力を増やしたのに変わりねぇんだよ⁉︎ なんで術解除されねぇんだよ⁉︎」
「普通の人を操るなら五枚で十分だけど、召喚師覚醒フォームになれる君のこともあるからね、枚数を四倍に増やして保険をかけていたのさ」
あっ。いくら姿を変えても、陰陽札の束の力に勝てなかったのですね……
「ま、待て待て待て待て待て待て待て待て‼︎ その……アレだ! 優子が俺とキスするのめっちゃ否定してたぞ⁉︎ やらされる側の気持ちとかを考えて───」
「あぁ大丈夫、今シャミ子は期待しているかのような反応にもコロコロと変わったりしてるから」
「ちょっ、桃ォ⁉︎ 余計なこと言わないでくれません⁉︎」
というか何私の顔覗いているんですかこの頭も桃色な魔法少女がー‼︎ ってか私期待するような顔もしていたんですか⁉︎ あっ、いや、違っ、別にそんなわけじゃ……
「えっと……あっ! そ、そうだ‼︎ ほ、ほら! 他の人がキスするところをミカンに見せてみろ⁉︎ めっちゃ心臓に響いて呪いが出たらどうす───」
「えっ。あ、いえ……あらかじめ何をするのかを教えてくれるのなら、なんとか私も落ち着いて見れるわ」
「そこは落ち着いてほしくなかったと思ってる人がここにいまーす‼︎ それが俺でーすコンチクショー‼︎」
ミカンさんの事を言って乗り切ろうとするのも意味なかった⁉︎ もう打つ手がなくなってきてるじゃないですか⁉︎
って、はぴやああああああ⁉︎ ち、近づいてきてる‼︎ 無理矢理体を操られてる白哉さんの顔が、私の顔へとォォォ‼︎
「ほら、頑張ってもっと本能のままに怖がってシャミ子。変身出来ればキスを回避できるから。そのままキスまでいってほしいけど」
「今小声で本音ダダ漏れしてませんでした⁉︎ って近い近い近い近いィィィ⁉︎」
「待て待て待て待て待て待て待て待てやばいやばいやばいやばい」
キ、キスされる‼︎ お互い不本意なのに無理矢理キスされる‼︎ どうしよう⁉︎ このままだと心臓が持たない……‼︎
「ヒ、ヒイイイイイイッ‼︎」
刹那。私の体が一瞬だけ光に包まれたのを感じた。
「あ、変身できたね。よかった」
その声が桃の口から聞こえたのを機に、私はホールドされていた両腕を離してもらえた。白哉さんもちょっと離れた位置にまで移動されたところで霊術を解除してもらったようだ。
よ、よかった……ちょっと残念な気もするのですが、お互い無理矢理キスさせられずに済ん───ん? 今、変身できたねって言葉が聞こえていたような……
あっ(察し)。
全てを察した瞬間、私の顔がやかんのように熱くなっていたのを感じた。そして私はその顔を逸らし、咄嗟に胸のところを両腕で抑えた。今の私の格好はごせんぞに似たビキニアーマー風で露出が多いもので、それを白哉さんに近距離で見られたものだから……
びゃ、白哉さん……今の格好を見て、失望したりとかしてないのかな……? そんな恐怖も覚えたため、恐る恐るチラリと白哉さんの方に目を向けた。
って、アレ? 白哉さんも顔を背けている? しかも何故か顔を右手で抑えていて、なんか赤い液体がポタポタと落ちていたような……
「えっ、えっと……白哉、さん?」
「……待って、見ないでくれ。今の俺は見てしまった者からの信用を失くしてしまう顔になってるから……いやホント、見ないでくださいお願いします見られたくない……」
………………
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜⁉︎」
この時、私は声にならない悲鳴を上げ、顔はさらに熱くなっていったのを感じた。
し、しかと目に焼き付けられた……‼︎ 私の恥ずかしい格好が、白哉さんの脳内に……‼︎ い、異性として改めて認識してくれたのは正直かなり嬉しかったけど、キスとどっちがマシなのかも分からなくなってきた……‼︎
こんなことって……こんなことって……‼︎
「……すんません、先帰ります……」
「あ、ちょっ……」
そう言って白哉さんが猛ダッシュで私達の前から走り去り、もう見えなくなっていったのを皮切りに……
「おっ……覚えてろ〜〜〜‼︎」
私も何故か呆気に取られていた桃に向けて捨て台詞を吐きながらその場を走り去っていきました。
す、少なくとも今日は白哉さんと顔を合わせられないかもしれない……‼︎ 無自覚に寝込み中にキスした時よりは少しだけマシになるのかもしれないけど、今度は絶対お互いに意識してしまう……‼︎
その日の夜、夜ご飯のお裾分けを受け取る時や風呂を借りにお邪魔しに来た時に鼻にティッシュを詰めた白哉さんに顔を背けられたが、ちゃんとお察ししてるので指摘とかはしませんでした。一方の私は思ったよりもなんとか平静を保てていました。なんか、複雑です……
頑張れ白哉君‼︎ シャミ子の半r……危機管理フォームを間近で見てしまった責任を果たせる程の勇敢な男になるんだ‼︎(ナレーター風)
早く白哉君とシャミ子をくっつかせたいけど、まだその時ではない……なんとか気長に待つしかないな。
宜しければ気軽に感想よろしくお願いします。
おまけ:台本形式のほそく話その4
桃「………………」
ミカン「ど、どうしたのよ桃。そんなに呆気に取られた顔して……」
桃「いや、自分の恋愛感情に対して鈍ちんすぎるとか朴念仁だとかクソボケだとか言われていた白哉くんでも、シャミ子の危機管理フォームは年相応な反応するほど結構効くんだなって……」
ミカン「そこまで言う……? けどあそこまで露出度の高い格好を見たら誰でも恥ずかしくなるでしょ? それに彼の場合は間近でだし……」
桃「でも鼻血を出すまでにはならない。絶対ならないと思う」
ミカン「どこからそんな自信が出るのよ……。ちょっと、拓海も何か意見を……拓海?」
拓海「………………あっ、終わったのかい? あの格好は見て一秒も耐えられないから、シャミ子君が元の格好に戻るまでずっと反対側向いてたけど……あれ? 白哉君とシャミ子君は?」
ミカン「……帰ってったわ」
拓海「そっか……って陽夏木さん? 何をそんな不満そうな顔して……」
ミカン「別に、なんでもないわ(なんで今の拓海を見てモヤモヤしちゃうのかしら……)」
桃「(……こっちもこっちで疎くない? 後、なんか疎外感を感じる……)」
END