偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
シャミ桃・桃シャミに喧嘩売っているやんってことに気づいたけど、好きなもん書けて嬉しいからどうでもいいや。
今回でいよいよ原作開始です。けど主人公は原作一話に関われません(ネタバレやめい)。
気がつけば原作一話が終わってた件。とりま優子のヤンデレ度が高くなりそうだけど慰めるか。
優子がヤンデレになりかけてるのを知ってから約一年が経った。他校への優子の勘違いでのヤンデレの犠牲者が出ないようにと、俺は彼女と同じ桜ヶ丘高等学校へと入学した。
入学を試みようとした時は男子でも入れるかどうかかなり不安だったが、原作では女子校なのかどうなのかという設定が明らかになってないためか、男である俺でもすんなり入試を受けれた。そして受かった。やったぜ。これで少なくとも他校の犠牲者は出ない。いや桜ヶ丘だろうと別の高校だろうと、どこに入学しようと犠牲者なんて出させないからな? 絶対に。
あっ、話変えるわ。入学といえば、中学の入学式はやらかしたなー。いやヤンデレに関することじゃないよ? 無論この頃はまだ優子がヤンデレったかどうか分からないし。ただ原作四巻で得た知識で優子が学校で迷子になったことを忘れて、そのまま会場である体育館に行ったものだから。『あっ、ヤベッ‼︎ これで優子怒らせたらどうしよう⁉︎』って思ったよ。まぁ優子は原作通り、後の友人となる佐田杏里に助けられたおかげで入学式に出れたけれども。
それからは何故か杏里によく絡まれたっけ? なんか最初は『君が優子の彼s……ボーイフレンドかー⁉︎』ってな感じで肩組んできたな。優子のヤンデレに気づいてからは、彼女の匂いとかがついて優子がヤンデらないかどうかで結構冷や汗かいたよ……。他にも杏里には『優子へのお裾分けに』とか『いつか来る夜のために』とかで実家の精肉店の肉を買わせてきたりされたな。そういう悪ノリがあったからなのか、優子の杏里に対する勘違いは一切出なかったけど。
高校の事から話逸れたわ。杏里の話の続きはまた今度ということで。
合格が決まったその日は優子と一緒に喜んでたな。やっぱり試験を受けた後の合格発表はいつになってもハラハラするもので、受かればその達成感ではしゃげるってもんよ。……で、この後すぐ優子のヤンデレモードが密かに発動。『これでまた白哉さんの隣にいられる』とか『白哉さんとの青春が待っている』とか、そんな初歩的みたいなものだったけど。もちろんそれがヤンデレ発言であることに本人は気づき、焦りを見せたが。
合格発表が出た翌日、両親から突然『一人暮らししてみないか』と言われた。なんで? しかも優子とその家族が暮らすぱんだ荘やで? 狙ってたんか? 二人とも狙ってたんかコラ? 『何れ大人になる為の特訓になる。生活費等はこちらが出すから安心して』と言っておきながら吉田家の隣の部屋に引っ越しさせるとか、絶対俺が優子絡みで何かあったの察してるんだろ? 優子の話を含めた話してる時の二人の顔、結構ニヤついてたぞ? 俺にはお見通しだからな?
優子と同じ超激安アパートに強制的に住む事になったせいで、彼女のヤンデレモードの被害に遭う確率は高くなりました。ざけんな。より一段と彼女のヤンデレに対処せなアカンくなったぞ。とりあえずちゃんとした台所とか風呂場とかは完備してくれたみたいだけど、そのせいで吉田家に風呂場を貸してあげる羽目に……ま、これは自主的に『宜しければどうぞ』と言っちゃった俺も悪いんだけど。
また高校から話ズレたわ。めんご。
一応この世界では女子校ではない桜ヶ丘高等学校に入学した俺ではあるが、さすがはまんがタイムきららの作品であってか、女の子が結構多かった。女の子の多さ=ヤンデレ発動率の高さ。誤解が生みそうな絡みがあってはよく優子に説明してたな。やる度に怪しまれてる気がするけど、深刻なものではないから大丈夫かな……?
優子をエロい目で見る男達は……まぁいないかな。優子が目立ってるわけじゃないし、体の弱さの問題で早退もよくあったし……。アレ? 早退が多くなるのは逆に目立つんじゃ?
でも、
そんなこんなはありながらも、とりあえず優子が暴走する傾向を見られずに済んでいっているため、これで心おきなく原作が来るのを待つだけだ。
……アレ? 原作開始って、優子がご先祖様に会う夢を見た日曜日の朝、だったよな?
んで、今日は日曜日の夜と……
ヤベッ、今日はいつも通りの生活送ってたわ⁉︎ 休日はヤンデレ回避ルートの考察を一人で行うか、優子と軽くお出掛けをするかぐらいで、今日は運が悪いのか前者の生活してた……
まずい、もしもの事を全然想定してなかった……ゆ、優子は⁉︎ 優子は無事なんだろうな⁉︎ だ、大丈夫なのか⁉︎ もしも原作通りに優子が一人で出掛けてダンプに轢かれそうになるまでのところまでいってたら……⁉︎ もしもその時にまだ角とか生えておらず、その時に後の宿敵かつ親友になるライバルの千代田桃に気づかれなかったら……⁉︎
「あ、あのぉ……白哉さん、いますか?」
俺が悩んでる間に、俺の部屋のドアをノックする音と、聞き覚えのある声が聞こえた。このちょっと弱気ながらまあまあの元気さはある可愛い声、優子の声だ。よかった、生きてたんだな。そりゃあそうだよな、大体この週が優子の先祖返りの日となるとは限らないし……
「あ、ああ優子か。風呂借りに来たのか?」
「は、はい。そんな感じ、です……」
「入っていいぞ。今鍵開けてるし、部屋綺麗だから」
「し、失礼しまーす……」
ん……? 今日の優子、なんかどこか余所余所しい気がするな? まさか……。いやいや、俺がいるこの世界は『二次創作』ではなくて『現実』だぞ? そんな漫画やアニメみたいに今想像したことがすぐ現実になるわけ……
「あぎゃっ⁉︎ つ、角をドアにぶつけた……あっ」
な っ て た わ 。
羊みたいに曲がった角が開いたドアに引っかかってたわ。しかもそれ、優子のこめかみに生えてたわ。よく見たら尻尾もあったわ。ちゃんと先端がスペードマークの形の黒色だわ。何? 結局二次創作の世界は『現実』になっても『二次創作』の時間の流れで進むの(何言ってんだ俺)?
「………………」
「………………」
いや、気のせいだよな? まだ先祖返りした日じゃないよな? これは俺が見てる幻覚だよな? 優子の口から『角』とか聞こえたけど、それは幻聴だよな? とりあえず目を擦ってもう一度……
ゴシゴシ
角見える。尻尾も見える。
ゴシゴシ
角見える。尻尾も見える。
………………
「悪い、ちょっと失礼」
「えっ、あの……? ぐえっー⁉︎」
角に触れてみる。コンッとした硬度が感じられる。引っ張ってみる。優子がきちんと痛がった。
「また失礼」
「あびゃあっ⁉︎」
尻尾も触ってみる。意外とサラサラして少し柔らかい。引っ張ってみる。優子はちょっと色気ありのコメディっぽい声を出してた。
「………………」
「えっ、ちょっと……白哉さん……?」
……うん。ちゃんと触れた感覚ある。優子も触られた感覚を出してる。これは間違いなく……いや、まだ本人が角とか尻尾とか生えてないのに気づいてないだけであって、本来の先祖返りの日よりも数時間早く生えてるんだよこの角と尻尾は。うん、きっとそうに違いない。うん。
……一応、聞いてみるか。
「……悪い、絶対角と尻尾ついてるよな? それもモノホンの」
「……あっ。で、ですよね⁉︎ やっぱりそう思いますよね⁉︎ さっきまで行動からして絶対そう思ってましたよね⁉︎」
はい、意味のない現実逃避終了。
ウッソだろお前⁉︎ 原作一話もう終わってたのかよ⁉︎ なんでこの日に限っていつも通りのんびりしてたのかな俺⁉︎ あー貴重な伝説の始まりの場面がー‼︎
「……ところで、白哉さん?」
「えっ、はい?」
「何だったんですかさっきのは‼︎ いくら私の体に未確認物体が生えてきたからって容易に引っ張るものではないですよ‼︎ それでもし取れたらどうなるのか私でも分からんぞコラー‼︎ 貴様せめてもう少しデリケートに扱え‼︎」
「あっ、それは正直すまんかった……」
いっけね。勝手に先祖返りのもの触ったせいで怒られたよ。けどその先祖返りのおかげなのか、ここまで強気のある優子の説教は初めてかもな。いつもはもう少し優しさがあったというか。
つーか貴様って言われたの初めてなんだけど。
「……でも、尻尾ぐらいは許します。よくよく考えたら、尻尾を触られたのは白哉さんが初めてですから……エヘヘ」
「へっ? あぁ、うん……」
そういや原作一話では尻尾を触られる
ヤンデレったことを自覚し冷静さを取り戻した優子の話によれば、先祖返りしたのは昨日ドスの利いた夢を見た後らしい。うん、絶対夢の中で優子の先祖リリスさんに会ったなそれ。この後の展開のために黙っとくが。んで、まぞくの事とか光・闇の一族の事とか呪いの事とかを母・清子から聞いたようだ。で、光の一族である魔法少女探ししてた時にダンプに轢かれそうになるも、魔法少女の一人──千代田桃(まだお互いに名前を知らない)に助けられた挙句に菓子パンを施されたと……
「うん、まぞくとしてのプライドがズタボロだな」
「まだプライド持てたかの実感は湧きませんが、馬鹿にされてムカついたのは確かです……。おのれあの桃色魔法少女がー‼︎ 次会った時は絶対ぶち転がして……」
「落ち着け」
「ぶひゃっ⁉︎」
ヤンデレモード程ではないけど一人暴走してたので、そんな優子の頭を撫でる俺氏。日常茶飯事で騒がれるのもよくないし、何より千代田桃相手に対しても冷静になれるようにしてもらわないと。これでヤンデらないかって? 今は優しさ優先にさせて。
「大丈夫だって。優子は充分強くなり始めてるぞ」
「えっ……?」
「だってさ? あの一族の宿敵である魔法少女にいきなり退治なんかされず、揶揄われても落ち込んでイジイジしたりしてないだろ? そういう運の良さや心の強さを得ただけでも、お前は一人前のまぞくへと成長し始めてる。その事実だけでも、俺にとっては誇らしいことだよ」
「白哉、さん……」
別に偽りの言葉を並べてるわけではない。昨日まで体が弱いせいか心もどこか弱かった彼女が、まぞくになったことで宿敵になるだろう魔法少女に馬鹿にされてもめげず、その失態をバネに次に活かそうという、前向きな考えを持つ程に心が強くなったのだから。俺が心の弱い人間だったら、きっと揶揄われたら簡単には立ち直れなかったかもしれない。そう捉えるだけでも、優子は良い子になったと思えるよ。
「……ありがとう、ございます……。おかげでちょっと勇気をもらえました」
「ちょっとだけかよ……。ま、元気になれたのならいいけどな」
よし、これで優子の心の曇りは腫れたかな? そう思い、ホッと胸を撫で下ろし……
「……だったら私、本気であの桃色魔法少女に勝たないといけませんね」
「えっ? なんで?」
「念のため確認したいんですけど、白哉さんはよく筋トレしてましたよね? 腕立て伏せとか腹筋とか」
「へ? まぁ特にやりたい事がない時は自主的にやってるな。トレーニングマシンは偶に学校のランニングマシンを使う程度だけど」
というか突然どうしたんだ? いくらアイツがトレーニング馬鹿だからって、俺にトレーニングしてるかどうか聞くなんて……。つーかまだ千代田桃がトレーニング馬鹿だってのは知らないはずだよな?
「へっくし! ……あぁ、風邪かな?」
「考えすぎだってのは分かってはいるんですけど、片手ダンプした彼女のことですし、きっと白哉さんが鍛えてることを知ったら何やら期待の眼差しとか向けそうで、それを期に白哉さんにも魔法とか教えそうで……その、何というか……なんだかモヤモヤして……」
「確かに考えすぎだな。いくら俺が鍛えてるからって、魔法少女というスケールの高い奴に注目を浴びる程の実力とか噂とか持っていると思うか? それとも何? それを期待しているけど、同時に俺がそいつに視線がいくかもしれないと思ってるの?」
「そ、それは……」
あ、ちょっと言いすぎたかな。これじゃあ優子のことを完全否定するようなものだ。また曇りそうだし、ちょっと俺なりのフォロー入れるか。
「安心しろ。お前がいる限り、俺は他の女に鞍替えするような薄情者には絶対ならねーよ。そもそも他の女に対する嫉妬が強くなってしまうお前を傷つけたら、俺がどうなるのか分からねーし」
……アレ? なんか自分のことを優先してるような言い方しちゃった? ヤンデレってほしくないと言ってるようなものじゃんこれ。ミスったな、こんなんで優子の心が晴れるわけ……
「……そうですよね、私の考えすぎですよね。なんかスッキリしました! ありがとうございます、白哉さん!」
「お、おぉ……」
晴れたわ。アレ? 優子ってこんなにもチョロインな子だったっけ?
「それじゃあそろそろお風呂、お借りします! すみません、長話に付き合ってもらって」
「あ、あぁいいよいいよ、俺の事は気にしないで。入っておいで」
「はい!」
優子はそう言って、俺の部屋の風呂場へと向かっていった。去り際になんか顔を真っ赤にしてたけど……俺今回彼女を勘違いさせるような真似したっけ……?
♢
「………………あぁダメ、私また勘違いしてニヤけちゃってる……」
白哉さんのお風呂場に浸かりながら、私は真っ赤になっているであろう自分の顔を両手で抑えていた。先程までの白哉さんとの会話を思い出すと、思わずニヤニヤとした感情を表に出してしまう。
けど仕方がないはずだ。まぞくになったばかりの失態を白哉さんの前で話したというのに、本人はその事で馬鹿にしたり煽ったりなどせず、逆に成長しているのだと指摘してくれて、そして私の事を自分の誇りだと言ってくれたのだから。それも同情ではなく、彼の本心のままに。いつもは私の愛の重さのせいで何処か無理をしているように見えていたのに、今回の彼の言葉にそのようなものは全く感じられなかったし……
嗚呼、またニヤけてしまいました。口角上がったような感覚を覚えましたし、何より『エヘヘ』と不気味な声を上げてしまいましたし。やっぱりこんな顔、白哉さんには見せられない……見せてしまったら引かれるはず……
……それにしても……
『お前がいる限り、俺は他の女に鞍替えするような薄情者には絶対ならねーよ。そもそも他の女に対する嫉妬が強くなってしまうお前を傷つけたら、俺がどうなるのか分からねーし』
あの言葉はどういう意味で言ったのかな……? きっと私がまた愛の重い言葉を言ったり何かやらかしたりしそうなのを止めるための建前なのかもしれないけど、前者の『他の女のものにはならない』と言っているような言葉を聞くと、もしかすると……と思い、また勘違いを起こしてしまいそうだ。あの言葉を思い返すに、白哉さんは心の奥底できっと、私の事を本気で想いやっているのかも……
いや、それはないのかな。あの頃私の口から『自分は白哉さんへの愛が重いんだ』って言ってしまったのだから、それを気遣いすぎて私への愛想なんてきっと……
それでも、何を考えても白哉さんへの期待が頭を離れない。その度に他の女の子への理不尽な嫉妬をしてしまう。いくら一族の宿敵とは言えど、あの魔法少女にすらそういった感情を勝手に持ってしまう。そして彼を独占したい、独占されたいという気持ちが強くなり、それがさらに嫉妬へと繋がってしまう。そんなことを考えてはダメだって前からずっと分かっているのに、その考えが何れ誰かを傷つけることになるのに……
いや、これ以上考えるのはよそう。私がこの感情を表に出さなければ何も問題は起きないだろうし、白哉さんも無理をしなくて済む。それに、今の私はまぞくの成り立てだ。白哉さんの言う通り私にはまだまだ成長の過程がある。
立派な一人前のまぞくになれば、この重い感情だって、きっといつかは治って……
そう思いながら顔半分まで湯船に浸かるも、後になって白哉さんが先にこの湯船に浸かってたのだということを思い出し、頭が沸騰し思わずハアハアと卑しい息を荒げ、先程までの思考を半分忘れてしまう私であった。
♢
「こんばんは白哉くん。優子はもう風呂に入ってますか?」
「あ、どうも清子さん。えぇ、優子は今風呂場でリラックスしてるとこですよ」
「………………」
「……? あの、何見つめてるんですか……?」
「……心配なさそう」
「へっ?」
「いえ、なんでも。それじゃあ優子が上がるまで自分の部屋に戻ってますね」
「あ、はい………………何だったんだ?」
ヤンデレって、何だったっけ……? どんな感じだったっけ……?(悟り開いてる)
あ、評価や感想の程よろしくお願いします。