偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
そしてこれが2022年最後の投稿です‼︎ 本来なら土曜日投稿予定だったのですが、大晦日に普通の回を出すのはどうかと思うし、年末のネタも思いつかないので、この水曜日に投稿しちゃえって結論に至りました。
それでは2022年最後の回も是非楽しんでいってね‼︎
前回のシャミ子の危機管理フォームを見て年相応の反応をしてしまった白哉くんに対する感想はないってどういうことなの……
優子の生の危機管理フォームを脳内に焼き付けてしまった白哉です。
昨日はさっきも言ってた優子の危機管理フォームの変身の特訓をしました、というか間近で見届けることになりました。いつかはその目で見なければならないってことは分かってはいたけど、いざ見るとなると思うとこっちも恥ずかしく感じたな……
もちろん優子は変身を拒否しようとしており、変身させられるのを回避するために桃に『そこまで言うなら先に変身しろ』と言っても本人は即答で了承、そして即変身。それで優子も変身せざるを得なくなったとさ。めでたしめでたし……じゃねェよ全然めでたくねぇよ。
桃の変身後はミカンが昔やってた変身中の回ったりウインクしたりはしないのかと指摘したり、リリスさんに一人で待ってられずに一緒にトレーニングしたいと思ってるのだろと指摘されたことで呪いが発生したり、それらで動揺してたミカンを拓海が背中撫でても呪いが再発しなかったりと……
なんかミカンを皮切りに様々なサブイベントが起きてたな。ミカンも注目され始めてない?(何にだよ)
そして桃に強引を受けるように優子も危機管理フォームになろうとする……が、原作通りマジの危険に遭ってないためすぐには変身できず、優子は桃に動きを封じられる形で寸止めのフレッシュピーチハートシャワーを受ける羽目に。
正直可哀想だったので俺がまずは優しい方法で優子を驚かせて変身の練習させるのはどうかと指摘するが、桃は止まる気配一切なし。そして優子がちょっとドキドキすると言ってたので、庇おうとしたのが馬鹿馬鹿しくなり裏切ることに。
しかし、そこで桃は激しい魔力の消耗による連日の疲れでダウン。数分眠りにつくこととなった。
彼女が寝ている間、ミカンが魔法少女は魔力が尽きると魂が拡散して消えてしまうのだということを説明してくれた。優子と拓海がめっちゃ驚く中、原作読んで既に把握していた俺は思わず薄い反応をしてしまい、何故そこまで驚かなかったのだと拓海に指摘されました。原作を知ってると変なボロが出る、はっきりわかんだね。
そんな大切なことを桃は黙っていた。その事実に優子も不服に思えたのだろう。俺もずっと隠されたのは不服だったから分からなくもない。
だから俺は言ってやった。桃は人が良すぎる。優子だけじゃなくて、俺やみんなを、大切なことを話せるほどに認められる存在として見るべきだと。
そしたら優子も、原作通りに……いや、それよりももっと桃に宿敵として認められたいと思うようになってきたように見えた。真剣な表情がそれを物語っていたな。結構強い意思が見えた。
その意思に少しは押されたのか、桃もあまり乗り気ではないとはいえ優子が危機管理フォームになれるようになるための方法を考えてくれた。
その方法が──俺にキスを迫られることでの危機感での変身であった。
いやなんでだよ。どうしてその方法に至った。もちろん羞恥心もあったため、せめて俺だけでも一旦この場を離れようかとも考えた。けど無意味だった。優子は桃に両腕絞められるわ、俺なんか拓海の霊術で無理矢理体を操られるわで散々なことも多かった。
俺が召喚師覚醒フォームに変身して霊術を解除し、今度こそ逃げようとも思った時も結局無駄でしたよ……
だが結果として優子は危機管理フォームに変身することに成功。その時の感覚も覚えるようになった……と思う。
けど、思ったよりも生の危機管理フォームは少なくとも俺にとっては効き目が良すぎた。ボインと胸の谷間が見えるし、毛なしの綺麗な脇も見えるし、臍は出てるし、セクシーなパンツに至っては丸見えだし……
そのせいで鼻血出してしまったよ……(キモッ) さらには優子に向けて必死にこっち見んなコールしたし、思わず全力でその場から走りちゃったし、その日中ずっと生危機管理フォームの事で頭いっぱいになりかけてたし……
……悪い、喋りすぎた。まあ終始気まずくはありましたけど、翌日になったらもう危機管理フォームの事はお互い気にしなくなった……と思う。
だって翌朝こんな会話をしてたから。
「あぁ、その……す、すまん優子。お前の変身を変な目線で見ちゃって。鼻血出してしまった俺の顔を見て、変態だと思っただろ……?」
「あっ。い、いえ……もう大丈夫、だと思います。元はといえば桃に変身する手段を無理矢理やらされてた感じでしたし、それを白哉さんは拒もうとしてましたし、大体あのフォームはごせんぞの種族の問題でああなったらしいですし……これを機に欲情してほしかったなと後で気づいた自分もいましたし……」
「えっと……つまり?」
「わ、私は白哉さんの事を変態だとは思っていません‼︎ は、鼻血を出させてしまったのは、危機管理フォームの刺激が強すぎただけですので‼︎ 私だってあんな格好は超不本意です‼︎ だから今度ごせんぞにもう一度リテイクを希望してみます‼︎ 昨日みたいにお互いまた恥ずかしい思いをしないようにするために‼︎」
「そ、そっか……とりあえず、昨日の件は許してくれるってことでいいんだな?」
「もちろん‼︎ というか許すも何も、アレはお互い不本意なものでしたから‼︎」
「……分かった、ならそういうことにさせてもらうよ。……ところで、アレでも一回リテイクされたものなのか?」
「………………私が『腹が冷える』と言っていたから、へそまわりと太ももを暖かい布で覆ってもらっただけなんです。しかもその範囲はほんの僅かだけなんです。そしてすぐ戻されました」
「あ、さいですか……」
とまあ、こんな感じに許してくれました。普通女の子は恥ずかしいところを男子に見られたらそいつへの好感度を下げてしまうのに、優子の場合はそうならなかったようだ。いや、ヤンデレな部分があるから『それで彼にアピールが出来たのでは?』みたいなことを思っているのかもしれないけども。
あと、最初は俺に危機管理フォームを見られたことに対してすごい羞恥心を感じたみたいだけど、時間が経つに連れて自然と平静さを取り戻すことができたらしい。何故そうなれたのかは本人ですら不思議に思ってるとか……今日謝るまでに引き摺ってしまっていた俺とは偉い違いだな。
まあ何はともあれ、もう危機管理フォームの件は引き摺らなくても良いってことで、この話は終わり‼︎ 今日も今日とて最近発生していない気がする優子のヤンデレモードにいつも通り警戒しながら一日を過ごしていくぜー‼︎
♢
で、放課後。俺ん家にて。
「白哉さん! 私に勉強を教えてください‼︎ それもこれまで以上に‼︎」
「これまで以上に、か……手厳しいこと言うなお前」
俺は今、優子に勉強を教えてと頼まれています。何故こうなったのか、それも原作読んで知ったので理由は知っている。知らなくても優子がちゃんと経緯教えてくれたためなんとなく理解はできる……と思う。
優子は桃に戦力として認められる方法を考えていたところ、桃は力というか体力のない自分のことを侮っているのではないかという考察に至ったらしい。どうすればいいのやらと悩んでいたところに、杏里が頭脳派まぞくを目指せば良いのではないかと案を出してくれたそうだ。
早速優子は桃に期末テストの点数で勝負しろと申し込んだ……のだが、その時桃が中間テストで理系を中心に八十点以上を取っていたのだということを知って、ショックほどではないけど呆気に取られたらしい。
それまでは優子は桃の頭までもが筋トレ脳筋レベルだと思い込んでいたらしいけど……うーん……なんだろう、俺も筋トレ好きのキャラはテストの点数は高くないだろと正直思ってたんだよなぁ。アニメキャラは筋トレと勉強の両立が難しいという偏見的思考があったから……
で、優子の方はというと……まぁ平凡より少し高めな感じかな。原作では文系はすごく頑張って七十点前後で理系は壊滅、って感じで平凡以下なんです。
けど、俺がこの世界に介入されたことでマシになったらしい。中学の時にテスト勉強で唸っていた優子のために、就職のための筆記試験で覚えた知識や学校で得た曖昧な知識でなんとか勉強を教えてみたんだ。
そしたら優子は少なくとも理系はどの教科も平均点は取れるようになり、文系も全部必ず七十点以上取れるようにまで成長……
なんで曖昧な知識を頼りにして教えたら、ここまで点数が良くさせることができたのだろうか? 優子の頭が良くなったことはいいことなんだけどね……
話が少しズレた。優子が桃にテストで勝負と言ってどうなったのかを話すところなのに、なんで本筋が斜めっちゃうのかな。
原作では二人は世界史の教科の点数だけで勝負することになったのだけど、優子が俺のおかげで頭が良くなった結果……
「五教科で勝負することになりました。しかも合計点で計算して、負け点×二十回ダンベルトレーニングです……」
「………………マジか」
まさかの勝負する課題が増加されました。国語、数学、英語、化学基礎の四教科です。それも平均点でじゃなくて合計点で競うと。
いや五教科って。ハードルめっちゃ高くなってるじゃねェか。一教科だけでも単語とか覚えるの大変だと言うのに、五教科は教える側のハードルも急上昇するわ。
「あの、白哉さん……? 目が結構死んでいるように見えますけど……やっぱり五教科も教えていただけるの難しいですか?」
えっ? あ、俺そんな目してたの? まぁ確かに勉強を教える事自体が大変ってのもあるけど、何というかな……だからと言って、優子が何かに真剣に向き合うことを卑下にしたくないんだよな……
なんて言えば優子にこれ以上不安そうな目を向けられずに済むのだろうか。どう言えば優子の緊張感もなくなるんだろうか。それでテストに悪影響を及ぼしたりしたら嫌だし……
……ん? ちょっと待てよ? そういえば最近、原作の物語が進む毎に優子の心境も変化していっている気がするんだけど……それに俺もなんか安心していって……
よし、これならいける。
「……難しくないと言ったら嘘になるけど、出来る限りのことはしていくつもりだ。それに……」
「それに?」
「なんか、ホッとしてきたんだよ。最近俺の事を考えていることが多く、俺の事で愛が重くなってしまうとか言って悩んでいたお前が、宿敵の事も想っての行動をしようとしているのが。わかるぞ。あいつはお前の事をよく揶揄うし、何故か俺にも揶揄ってくるけど、なんやかんやで助けてくれているもんな。町を守ってと言ってくる程の信頼感も持っているみたいだし」
「なっ……⁉︎」
別に嘘は何一つ言っていないはずだ。桃はよく優子や俺をおちょくってるし、無意識に優子を馬鹿にしたりしてることもあった。けどどれもこれも俺達の事を心配しての行動ばかりだったんだ。だがその分、自分の事を後回しにしているようで……
だからこそ、優子も桃のためを想っての事がしたいんだと思う。戦力として認められたいってのも、友愛という感情があるからこそ……そうだよな?
「そ、そんなわけあるかー‼︎ 宿敵に恋愛に近い感情など持つかー‼︎ 大体性別一緒だぞおらー‼︎」
「いや誰もそこまでは言ってない……え、何? 俺、百合に挟まれる男だと思われて貶されているの? 禁断の恋愛を邪魔してる感じなの? 別に二人をそんな目で見てないのに、そんなつもりないのに……」
「えっ……あ、いや、そういう意味では言ってないですよ? ただ、恋愛なら白哉さんとしたいってだけで……ああああああすみません‼︎ 今のは聞かなかったことに‼︎」
あ、やべっ。また愛を重くさせちまっとる。いや、これはどっちかと言うとただ単に優子が本音をポロリと言ってしまっただけか? 目のハイライトが落ちてないし、きっとそうだ。うん、そうに違いない。
「まぁとにかくだ。中学の頃みたいにうまくいくかはわからんけど、俺も頑張って教えられるとこまで教えてやるよ。目指せ魔法少女超えの頭脳持ちまぞくってな」
「魔法少女、超えの、頭脳持ちまぞく……⁉︎」
……ん? なんか優子の奴、結構目を見開いているんだけど……アレ? 即興で考えたこのあだ名、おかしかった? 嫌だった? まあ半分は頭脳派まぞくをできるだけさらにカッコよくアレンジしてみようと思って思いついたものなんだけども……
「あっ、悪い。いいあだ名を考えたんだけど……変だったか?」
「いえ‼︎ 変とかそういうのはどうでもいいです‼︎ 魔法少女超えの頭脳……つまりは今回のテストの点数で桃を越えれば、頭脳では魔法少女に負けないということが証明されるってことですよね⁉︎」
「えっ? まあ、多分そうなるかとは思う」
「なら尚更今回の勝負には勝たないといけませんね‼︎ 改めて勉強の指導の程、よろしくお願いします‼︎」
「お、おう……? 指導……?」
なんであだ名かどうかも分からないことを言っただけなのに、優子のやる気がフンスフンスと言うほど湧き出ているんだ……? 後々考えて良い判断とは思えなくなったことが良い意味で裏目に出るって、なんか違和感が……
まあ何はともあれ、優子のテスト勉強する意欲……というよりは前向きに桃に勝てる前提を考える意欲が強くなったのは良い事だ。彼女のこの勇気に応えるためにも、俺も勉強を頑張って教えるとしよう。指導していく内に俺もそれなりの知識を手に入れられるだろうし。
「んじゃあ勉強捗らせるために音楽でも流しておくか。優子、何が聞きたい? リリスさんも知ってる音楽のジャンル──種類とかあれば是非。希望に添えるか分かりませんが」
「あ、ごせんぞがどんなジャンルを聴いてるのか私も気になります」
『む? 余がリクエストしても良いのか? ならばテレビで気になっていたミッ○スナッ○が聴きたいのだが……流せるか?』
「「まさかの最新のアニソン⁉︎」」
♢
そんなこんながありながらも、テスト勉強は思ったよりもお互い結構捗っていた。
文系の教科は文章とかをよく読めば特に問題はなかった。英語なんかもスペルとの違いとかを気をつければ……あっ、ここ俺にとっては苦手なところだ。ここが全教科の中では一番不安かな。
それに優子にとって不安な理系の教科も、記号や計算を何かしらの語呂に変えて覚えることで、意外と記憶と残り覚えやすくなった。ふとそれを思いついた俺の発想力も案外すごかったような……なのに英語は個人的に不安って。
で、本日最後に俺が教えるのは世界史のテスト内容。ここは優子も原作で必死に覚えようとしていたから、俺も頑張って教えておかないと。
「優子、世界史はどの範囲が出るんだ?」
「えっと、期末の世界史の範囲は……古代エジプト……メソポタミア……ギリシア……」
うわ、その範囲は誰でも面倒臭がるやんけ。俺も前世では把握するのに結構頭を悩ませてたなー……
『メソポタミアとな⁉︎ エジプトやメソポタミアは余の庭だぞ‼︎』
おっ? ここで原作通りにリリスさんが反応した。ってか国を自分の庭だと思うとか、もし本当に支配していたのならマジスゲーと思うけど、実際にはそうじゃなかったとしたら色んな意味でマジやべー人ですよそれ言う奴は。
リリスさんの話によれば、メソポタミアがあった時代は彼女の絶頂期らしく、封印されたてほやほやで負け癖があまりついてない頃だそう……それ本当に絶頂期?
さらには封印されてからは色々な者達の手に渡り、オリエントを転々としていたらしい。力が弱まり寝ていた時期も多かったけど、結構顔が広いようだ。
けど、置物にされてた時期もあったそう……えっと……ドンマイです。
♢
気がつけば期末テストまでもう明日になっていた。時というものは歳を取る度に短く感じるものなのかな……なんかワクワクするものとかがないとそう感じるんだってテレビでも言っていたし。
で、優子の勉強の成果はどうなったのかの話なのだが……まあ、案外物分かりは良かったのだけど、桃に勝てる程の効率は得られていない模様です。
いやまあ、俺も正直前世の期末テストでは普通の点数しか取れなかったから、中々、ねぇ……?
うーむ……今頃優子は原作通りリリスさんにテスト会場に像を持ち込んで、自分とのテレパシーを通してリリスさんも答えを考えるという『ご先祖‼︎ 知恵袋大作戦』──謂わばカンニングを薦められるだろうなぁ……しかもリリスさんに悪魔の囁きをされる形で。
【マスター、カップケーキを作ってきたメェ〜。疲れた時は甘いものを食べてストレス解消だメェ〜】
「ありがとうメェール君、君の作る飯はいつも美味いから助かるよ」
【褒めても何も出ないメェ〜よ。そうやって他愛もなく誰かを褒めてたら、そりゃあシャミ子ちゃんも勘違いしちゃうメェ〜】
おうおうメェール君、相変わらず気が効くし家事力も高い上に自分を棚に上げない程に謙虚だねー。カップケーキも美味いし、ワンポイントアドバイスもしてくれるし、本当に良い子だよマジで。
……ん? 今さっき、小声でなんか言ってたような気がしたけど……気のせいか?
【……明日から三日間の期末テスト、不安しかないメェ〜……】
「なんで急にそんなこと言うんだよ?」
【だって、原作でもシャミ子ちゃんがリリスさんにカンニングを唆されるメェ〜よね? 実際にはそんなことはないメェ〜けど、この世界での彼女は君に愛されたいという想いが強いから、きっと……】
あぁ、そうか。メェール君はそこを心配していたのか。確かに優子の俺への想いは痛い程感じている。それが原作に大きく影響して、彼女が本来行いたくないというズル──悪行を犯してしまう可能性を危惧しているんだな。それが災いして更なる物語の崩壊も恐れて……
確かにそれは起きる可能性があるかもしれない。けど。
「それでも思い留めてくれるって、俺は信じたい」
【……それもそうメェ〜ね。ここまで原作に悪影響を及ぼしてるわけじゃないし、今回もそう簡単には───】
「それも多少あるっちゃある。桃の『優子を侮ってるわけではない。宿敵として負けるわけにはいかない』という意志もあるからな。けど、俺はそう意味で言ってるわけじゃないぜ?」
【え? じゃあどうして絶対カンニングしないって言い切れるんだメェ〜?】
なんで優子はカンニングを絶対しないと言い切れるのか、だって? そんなの決まってるだろ。
「あいつは元から優しい性格をしてるんだ。宿敵であるはずの魔法少女の健康を心配したり、いつでも生き血を取れそうな状況なのに必死に看病してあげたりしてたぐらいなんだし。俺の事が好きなんだってことに気づいてからも、俺に近寄ってきたり仲良くしようとしたりしている女子に嫉妬はしても排除するみたいなことはしたくないと言うし……ここはあいつ無理しているだろうけど」
【……すごい『シャミ子ちゃんの事なんでも知ってます』みたいな発言してないのかメェ〜?】
「あいつの事なら色々と知ってるに決まってるだろ?」
だって俺は……
「俺は優子の幼馴染だし、そうでなくても原作でのファンみたいなものだからな。だからあいつはズルとかが出来ないんだってのが、嫌でもわかるんだよ」
ずっと隣で見てきた。ずっと隣に寄り添ってあげた。前世でも漫画やアニメを通して彼女に共感しようとしてた。だからハッキリそう答えられるんだ。
シャミ子もといシャドウミストレス優子こと吉田優子は……包容力で世界を救えるかもしれない可能性を持っている、いつかワールドワイドな魔族になれる存在なんだってな。
「………………なんか、優子の事を知ったかぶりで言ってるような気がする……めっちゃ恥ずい」
冷静に考えたら何言ってんの俺……まるで本当は優子の事を前世から狙ってました、みたいなことを言ってるじゃねェか。満更でもないしゃんって言われるじゃねェか。『じゃあなんで今まで優子に告白しなかったんだ』って言われても仕方ない感じになってんじゃねェか。
……穴があったら入っていいですか。
【……そこまで言われたら、シャミ子ちゃんが原作通りカンニングを絶対しないって思い込んでしまうメェ〜な。マスターのシャミ子ちゃんを信じるその想い、買ったメェ〜。これからは僕らも改めてシャミ子の良心を信じてあげるメェ〜】
「そっか、ありがとう……ん? えっ、何? 今まで優子の事をなんだと思ってたの?」
【いつかストレス爆発させてヤンデレが暴走してしまう危険な魔族】
「辛辣⁉︎ いくらなんでもそのあだ名は酷くね⁉︎」
【実はほとんどの召喚獣がそう警戒しているんだメェ〜】
「優子ただ今召喚獣に嫌われている説⁉︎ 可哀想すぎるわ‼︎」
召喚獣達からの評判がかなり低いってどういうことなんだよ……
優子、強く生きろよマジで……
【にしてもマスター、鈍いのかそうでもないのかいよいよ分からなくなってきたメェ〜なぁ……】
♢
一学期の期末テストが終わって数日後。全教科のテストの返却がとうとう完了した。それはつまり、優子と桃のテスト勝負の勝敗が決まるということだ。
原作通りに世界史だけでの勝負ならともかく、五教科での勝負となると結果ぎどうなるのかは俺にも分からないから、こっちも結構緊張しちゃってる。
ちなみに俺の五教科の得点は、一教科八十点前後。残りの教科──美術・音楽・家庭総合・保健体育など──はどれも六十点から七十点前後だった。想ったよりも普通よりも少し良いって感じ、かな? とりあえず赤点にはならなくて済んだぜ……
さて、問題は優子だな。あいつ、世界史以外でも良い点数は取れたのだろうか……
「優子、テストの結果はどうだったんだ?」
「……とりあえず、赤点は一つもありませんでした」
えっ。ちょっ……えっ? なんか落ち込んでね? 暗い表情してね? 嘘……想ったよりも良い点数取れなかった……?
「ああ……一応聞いておく。何点取れた?」
思わず躊躇いがちに聞いてみたら、優子は机の中にある五枚の紙を机の上に出し、顔をあげて……
「フハハハハハ‼︎ これだけ取れればあの魔法少女も悔しがるだろう‼︎ やってやりましたよー‼︎」
国語九十点。数学八十四点。理科八十四点。原作で優子の補修科目となっていた英語は八十一点。そして一番注目すべき世界史は九十三点。そして合計点は……四百三十二点。
嘘……魔族の成長あまりにも凄すぎ……⁉︎ 一番高くて七十点前後しか取れなかった優子が、五教科も勉強するとなって原作以上に苦労した優子が、ここまでの高得点を叩き出した……⁉︎ これはさすがの俺も予想外すぎてめっちゃ驚いた……‼︎
ってか、教える側が教えられる側に点数差で負けるって……なんか、複雑なんですが。
「躊躇ってごめんなさい。ちょっとばかしハラハラさせた後に胸を張れるように報告しておけば、思いっきり喜んでもらえるかもと思って、つい意地悪を……って、白哉さん? どうかしました?」
「負けた……シャドウミストレス優子に負けた……勉強教えてあげた側なのに……」
「えっ⁉︎ な、なんで白哉さんがショックを受けるんですか⁉︎ 別に貴方と勝負してるわけでは……というか今、活動名の方を言わなかったですか⁉︎ なんかズルい‼︎」
いやよく考えたらガチでショックだったんですよこれが。教える側が教えられる側に負けるって、異世界漫画とかバトル漫画とかでいう、師匠が成長した弟子に越されるというものよりもすごい敗北感が……
「まあ何はともあれ、これは桃に自慢できるかもな。よく頑張ったな、優子」
そう言って俺は優子の頭を優しく撫でた。これでまた優子のヤンデレ度が高くなるかもだけど、ここまで頑張ってた奴を褒めないのはさすがにどうかしてる。だからここは素直に褒めるべき。そうするべきだ。
「えっ、あっ、そ、そのっ……あ、ありがとう、ございます……」
うわっ、顔が熟成された林檎のように赤くなり始めた。これ以上やるとヤバめな感じになりそうだから、ここら辺でやめておくとしますか。
いやちょっと? 何『あっ……』って言ってるような残念な顔してんの? 言っとくけどこれお前の心身のために止めてるんだからね? これ以上長くナデナデしてあげられると思わないでね? 暴走するのお前も嫌だろ?
この後優子は桃にテストの結果を聞きに行くと言っていたので、五教科のテスト用紙を持ってブンブンと尻尾を振り回す彼女の後をついて行くことに。……やっぱ可愛いな、嬉しそうに尻尾を振り回す子は。
……にしても、優子がリリスさんの悪魔の囁きに負けないでくれて本当によかった……『信じる』とかほざいていた俺も、実は少しだけ優子が本気で囁きに負けたのではないかと思ってしまったものだから。
最後の最後まで優子の良心を信じてあげられないなんて、俺もまだまだだな……もっと彼女を信じてあげられるように精進しないと。
♢
この一・二週間のテスト勉強、白哉さんの指導の元、頑張って五教科の範囲を覚えようと必死に努力してきました。
弁当を食べている時も、下校中も、寝る間を惜しんで徹夜もして(途中で寝落ちしたけど)と、自主勉強も欠かさず行なってきました。
けど中々テスト範囲を覚えられないでいました。やっぱりテスト勉強って辛い……
そんな中、ごせんぞに『ご先祖‼︎ 知恵袋大作戦』──テレパシーを通してのカンニングを薦められてきた時は結構焦りました。そんな事してはいけないのに、カンニングは悪いことなのに……一度その誘惑に負けてしまいました。
この作戦は桃を圧倒し、揺さぶり、心の隙を狙って夢の世界での暗示を掛けやすくするためにあるものだと。未来の大勝利一族の復興、家族の幸せ、そして……未来の私の幸せに繋げるための立派な作戦だと、そう言い聞かせられました。
私だって、良に豊かな生活を送ってもらいたい。家にクーラーを付けてあげたい。おかーさんの生活の負担を減らしてあげたい。そして何より……白哉さんと結ばれる人生のゴールインを果たしたい。そんな誘惑に負けてしまい、私は流される形でごせんぞの作戦に乗ってしまった。
けど、本当にそんな事して良いのかと悩んでいました。もしもごせんぞの言う通りに作戦を実行してしまい、それを桃や家族、そして白哉さんにバレてしまったとしたら……想像するだけでも恐ろしい事が起きて、私は信用を失ってしまうのではないかと、かなり震えてました。
でも……最終的に私は正々堂々と戦う道を選びました。そうするようになった理由は二つある。
一つは、こんな私のために自主勉強の時間を割いてくれた、白哉さんの期待を裏切りたくなかったから。
彼はテスト前、いつも私のためにと分かりやすくテスト範囲を教えてくれた。彼自身もテスト勉強しないといけないのに、それを後回しにしてまで私のために……
だから、そんな彼の期待に応えたかった。それもごせんぞの力を借りずに、自分の力で。その想いがあったからこそ、私は本気でごせんぞの作戦に乗らなかったのだと思う。躊躇うことができたのだ思う。それ想いだけで高得点取れるのか不安だったけど。
そしてもう一つは……桃も本気で私とのテスト勝負に挑もうとしていたことを知ったから。
期末テスト一日目にて、桃がこのテストのために徹夜してきたのだということを知りました。それを寝不足な彼女の顔と、大事に握りしめていた筆記用具とノートを持つ手を見て。
そして彼女はこう言ってきた。私はシャミ子を侮ってはいない。負けるのも好きじゃない、と。その時は気づいた。桃は本気で私を見てきたのだと。それも繋がりの低い感じではなく、本気で宿敵として見てくれていたのだと。
盲点だった。私は何を勘違いしていたのだろうか。私は体力は普通の人と同じかそれ以下だと言うのに、魔力だって白哉さんよりも低いというのに、それでも本気で私の事を宿敵として見てくれていた。私自身が、桃の信頼に値していない存在だと思い込んでいた中で。
だから、私はそれに本気で応えたかった。正々堂々と戦って、正々堂々と桃に勝ちたい、と。
そしてテスト開始前、私は先生に文鎮と見せかけようとしたごせんぞを『私の大切なごせんぞ様──貴重品なので預かってください』と言って預かってもらいました。それに驚いたごせんぞには申し訳ありませんでしたが。
そしてテスト返却日。私のこの想いが生じ、功を成したのか、全教科八十点以上を取ることが出来ました‼︎ こんな点数を取れたのは初めてでした‼︎ それを知った白哉さんに頭を撫でてもらった時はかなり照れましたけど、彼に褒めてもらえてすごく嬉しくもありました。白哉さんの手、相変わらず暖かかった……
ここまで良い点数を取れれば、さすがの桃にも勝てたに違いない。私はそう信じて桃にもテストの結果を聞きに行きました。聞いたの、ですが……
国語九十三点。理科九十四点。英語九十二点。そして苦手だと言っていた世界史は九十五点。数学はまさかの百点。
そして合計点は……四百七十四点。点差、四十二点……‼︎
惨敗……‼︎ 惨敗……‼︎ 惨敗……‼︎
「負けた……ダンベル八百四十回……」
「……思ったよりも多くね?」
「別に無理しなくていいよ……法外なレートだし」
「舐めるなー‼︎ でも数日に分割させてください‼︎」
たくさん頑張ったのに……勝負しない科目も出来るだけやってる中で頑張ったのに……頭脳派魔族になれなかった……
この後、ごせんぞが先生からの勧めによって口述で全教科テストを受けたことで(封印空間で資料を盗み見しながらってことはせず)、成績上位者一覧に三位で入ったことを知り、桃がかなりショックを受けました。いやショックを受けてほしいところはそこじゃないのですが……
後、いつの間にかごせんぞと一緒に先生のところで私達のテストが終わるのを待機していた白龍様もテストを受けていて、しかも四位に入ったそうです。白哉さんも『いつの間に自分からこの世界に来てたの⁉︎』みたいな反応をしていました。さらに桃もこの件でまたもやショックを受けて……
いや私にテストで負けて悔しがってほしかった……ごせんぞも白龍様もすごかったのですが……これで勝ったと思うなよー‼︎
シャミ子が白哉君のおかげで一学期末テストの成績が優秀になったのに合わせるかのように、桃も点数が大幅アップ……‼︎ けど実はこれでも成績上位者一覧にベスト10には入ってないです。勝負科目以外の点数が普通だったからなんです。もちろんシャミ子も白哉君もです‼︎ 本当なんです‼︎ 信じてください‼︎(なんで必死なんだよ)
2023年も『偶に愛が重くなるまぞくと、愛されている男のまちカドまぞく』をよろしくお願いします。
おまけ:台本形式のほそく話その5
桃「シャミ先に飽き足らず、白龍さんにも負けた……」
シャミ子「そんなにショックですか?」
白哉「俺もいつの間にか白龍様が精神世界から出てリリスさんと一緒に出れるとは思わなくて呆気に取られてるぜ……」
白龍のスケッチブック(以下白龍ブック)【まあ俺も他の召喚獣達も召喚術で呼ばれずにこっちの世界に来れることはあるけど、それだと中途半端に力の半分を向こうの世界に置いていってしまうというデメリットがあるからなぁ。迂闊に勝手に出ることは出来んのよ】
リリス『では何故余と一緒にテスト受けるために、わざわざ自ら出てきたのだ?』
白龍ブック【暇だったから】
桃「ひ、暇だからという理由で受けた人に負けた……」
シャミ子「桃がさらにショックを受けて膝ついた⁉︎」
桃「ハッ……‼︎ そうだ。リリスさんはシャミ子のカバンにくっついてるから、教科書やプリントがお供えされ放題……。白龍さんも精神世界から目を通して見た現実世界の教科書やプリントを、自分の意思で精神世界に具現化させることが出来るはず……」
白哉「うわっ、リリスさんはともかく白龍様の力を深読みしすぎてね? まあ精神世界の白龍様ならできるかもしれないけど……」
桃「リリスさんは封印空間で資料を盗み見しながら、白龍様は一瞬精神だけ元の世界に戻して資料を盗み見して現実世界に戻るという形で、それぞれテストを受けたんだ‼︎ 違いますか、二人とも‼︎」
白龍ブック【いやいやいやいや、精神だけの蜻蛉返りなんてできるわけねぇだろ。記憶力を頼りにしているんだっちゅーの】
リリス『……というかその発想はマジで無かった。腹黒だなおぬし……』
桃「くっ……‼︎」
白哉「二人の地位の高い者へのイカサマ疑惑が空振りしてるやん」
シャミ子「なんかその……ドンマイです、桃」
白哉「それが一番傷つく反応だぞ優子」
END