偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

21 / 117
遅れましてあけおめ‼︎ ってなワケで新年一発目の初投稿です。

マンネリ等に負けずに今年も小説投稿頑張るぜ‼︎

ちなみに今回は白哉くんのご両親が初登場です。


バレてほしくないのに両親にまで転生特典の事がバレた⁉︎ どうするよ俺⁉︎

 

 どうも皆さんこんにちは、ただいま試験休み中の白哉です。無事に赤点取らず補修を受けることもなく、部屋の中で『○滅の○』の単行本を読んでいます。

 

 期末テストは結構大変だったぜ……。優子に世界史だけでなく、国語・数学・理科・英語のテスト範囲までも教えながら、俺自身のテスト勉強もしないといけなかったから、脳だけじゃなくて心身ともに疲れたよマジで。

 

 けどその分中学よりも頭が良くなった気がして、俺は五教科を八十点前後、優子はなんと八十点()()も獲得したんだって。原作では補修を受ける羽目になる程に低い点数だった英語も、やで?

 

 魔族は勉強の仕方次第でここまで頭の回転が良くなるものなのか……そういやリリスさんが優子に『頭のシワも微妙に増えるから頑張り次第でテストも良くなる』と言っていたから、その微妙に嬉しい特性が付与される魔族が羨ま……

 

 あっ、その特性は危機管理フォームの時でないと付与されないんだった。ってことは結局優子が努力した結果ってことか。やっぱスゲェよ優子は……

 

 けど桃には勝てなかったようだ。どの教科も九十点以上取る上に数学はまさかの百点。なのに成績上位者一覧には入っていないってどういうことなの……

 

 もしや五教科のテスト勉強に集中していて、他の教科はそれほど高く取れなかったのか? 可能性とすればそんな感じか? だとしたら他の教科でもそこそこ高い点数を取れた優子より順位が下だと思うのだが……

 

 いや、この話はもうおしまいにしよう。みんな試験休みでリフレッシュしてるだろうし、優子もミカンの自身の呪いが出ないようにする特訓の付き合いとして一緒に映画観に行ってるだろうし、桃もたまさくらちゃんのサンバイザー欲しさにゆるキャラ映画観に行ってるだろうから……

 

 ん? 何故俺は自分の部屋で漫画読んでるんだ、だって? せめてどっかに出掛けに行けばいいだろ、だって? いや俺も出来ればそうしたいのですけどね……訳あってここで人を待っているんですよ。それも原作キャラじゃない方々。

 

 何故そんなことをしてるのかって? それは試験休みになる前の日にまで遡ります。悪いけど聞いてってくれ。

 

 

 

 

 

 

 試験休み前、学校終わりに優子と一緒に桃に半ば連行される形で修行し終え、帰宅してすぐのことだった。突然スマホから着信音が鳴ってきたから、俺は不思議そうに掛けてみたんだ。

 

 

「はいもしもし、平地白哉です」

 

『もしもーし! (びゃく)ちゃん元気にしてたー⁉︎』

 

「うげっ⁉︎ か、母さん⁉︎」

 

『ちょっとー? 何が《うげっ》、なのよー。お母さん産みの親にそんなこと言わせるために産んだわけじゃないぞー』

 

 

 若々しく大人びてはいるも、何処か愉快な少女らしさもあるこの声の持ち主は、この世界の俺の母親・平地朱音である。

 

 『いつまでも少年少女の心を忘れずに過ごすのが長生きのコツ』、その言葉をモットーにして生きてきたためか、このように今時の中学生並のテンションで話しかけている。その明るさを実家の近所の人達も羨ましがっているとか。……痛々しい人とかじゃねーぞウチの母親は。

 

 

「で……一体何の用なんだ?」

 

『一体何の用なんだ、じゃないわよ! 貴方ここに引っ越しさせてあげてから最近連絡を寄越さなかったじゃない‼︎ さすがに不満でもなんでも思ってること一つは伝達してくれないと、お母さんもお父さんも寂しいし、何より心配しちゃうじゃないの‼︎』

 

 

 どうやらこちらが連絡して来なかったのを心配して電話を掛けてきたらしい。確かに俺は原作が始まって以来、実家に電話しなかったものだから、あちら側から電話してくるのも無理はないか。

 

 

「あ、あぁ……それその、色々立て込んでたからすっかり忘れてたよ。ごめん、連絡不通になって」

 

『まったくもう……素直に謝ってくれたから今回は良し‼︎ これからは偶にでいいから連絡してよね‼︎ 遅くても二週間に一回は必ず‼︎ 分かった?』

 

「はい、肝に銘じておきます……」

 

 

 うん、普通に考えて連絡を一つも寄越さないで家族を放置するなんてどうかしてるよな……

 

 けどこの際心の中でだけど、理由を言わせてほしい。優子のヤンデレモードの発動を回避するために色々と考察しすぎてしまったし、原作の物語が開始してからは本来の物語から設定とか色々とかけ離れたりしまわないように警戒したりしていたんです。

 

 つまりは優子とこの世界の運命の破滅を回避することに専念してしまって、家族との連絡を完全に忘れてしまったってわけなんです。ホントすみませんでした。いやマジで。

 

 

『あ、そうだ。白ちゃん、明日って暇かしら?』

 

「ん? まぁ予定はないけど」

 

『そう……』

 

 

 ん……? 母さん、一体何の用があって明日の俺の予定を聞いてきたんだ? 明日に何があるってんだ?

 

 って思いながら首を傾げていたら、今に至る状況を作らないといけないようになってしまった。その理由は、母さんが伝えてきた次の言葉にある。

 

 

 

『だったら私とお父さん、明日貴方のところに行くからね☆』

 

 

 

「……えっ」

 

 

 まさかの息子の住んでいる荘の家庭訪問宣言。これを聞いた時、俺は呆気に取られたってわけだ。なんで来るの? 連絡寄越さなかったからって仕返しするにしての急すぎるだろ。事前に予告すりゃいいってもんじゃねーぞ、って思ったわ。けど実際は違った。

 

 

『吉田家……清子さんに白ちゃんをそこに引っ越させることに喜んで承諾してくれたお礼がしたかったし、白ちゃんと仲良くしてくれている優子ちゃんや良子ちゃんの顔が見たかったし……何より白ちゃんが今そこでどんな生活してるのか気になっていたから☆』

 

 

 ただ純粋に、俺や吉田家の事を想ってのことだった。

 

 俺の両親と清子さんは、俺が優子と仲良くなってから病院やスーパーなどといったところでよく話し合っていた。俺と優子の将来の事とか今の家庭はどうなのかとか、そんな些細な事をよく話し合っていたらしい。それほど気が合ったってことなのだと思う。

 

 まあ一番気にしているのはやっぱり一人息子がちゃんと一人暮らししているかどうかってことなんだよな。けどそれぐらいなら直接言えばいいだろうとはその時考えてたけど、吉田家にも直接挨拶するとなるとほぼ意味ないじゃないかって事にも気づいたから思い留まってたな。

 

 で、やっぱり親には逆らえないってわけなので。

 

 

「そ、そっか……わ、わかった。じゃあ朝来てくれるか? それなら急な用事が出来た時には話とかはすぐ終わりそうだから……」

 

『ふぅん、念のために早めに来てってことね……分かったわ。それじゃあ久しぶりに会うの楽しみにしてるわ〜。じゃ☆』

 

 

 なんか電話中にウインクしてるような感じを出してきてから通話が切れた。『通話終了』の画面を見た俺は突然の親の家庭訪問に不安を感じ、メェール君が台所で夕飯の準備をし始めてる中リビングで静かに溜め息をついたのだった。

 

 

 

 

 

 で、今に至るってわけ。いやもうホント、どうしてこうなったんだよ。

 

 俺、一人暮らししてる間に突然転生特典として召喚術を使えるようになってしまったんだぞ? 実質一人暮らしじゃなくなっているんだぞ? その事をどう説明しろと?

 

 むぅ……とりあえずは召喚獣のみんなは両親が帰って行くまでは自分達の世界で大人しくしていると言ってこの場にはいないから、後は俺がうっかり発言で召喚師になってしまったことがバレないようにするだけなんだけど……不安しかねぇ……

 

 そんな事を考えている間に、インターホンの鳴る音が聞こえてきた。ということは……ついに来たか。溜め息をつきながら漫画をしまい、玄関のドアを開けると、そこにいたのは……

 

 

「はぁーい! 白ちゃん久しぶり〜‼︎」

 

「よぉ我が子よ、元気にしてたか?」

 

「……久しぶり。父さん、母さん」

 

 

 はい、両親登場です。母親・朱音と父親・黒瀬です。父の名前はなんか無駄(?)にカッケーなおい。

 

 母親・天音は二十代前半みたいな可愛く美しい顔立ちをしている、夕日のように明るい赤色で艶やかなロングヘアーを持つ美女といった容姿をしている。これでも五十歳なんですって。めっちゃ若い。スーパーのパートをやっていて、人相の良さから常連客との仲が良いらしい。

 

 父親・黒瀬は三十代前半のキリッとしながらも逞しさのある顔立ちで、小さなツンツンがたくさんある黒髪の中に濃い紫色のメッシュがある勇ましさの強い男性となっている。彼もこれで五十三歳なんだって。仕事は人気食品メーカーの部長。メーカーの名前は何故か教えてくれないけど。

 

 にしてもなんで二人とも相変わらずこんなにも若いんだよ。どういう事だよ。魔性の夫婦って実際にいるのかよ。あっ、清子さんも高校生の娘持ちなのに若いんだった。いやでも、だからと言ってウチの両親とは何の関係もないでしょうけどね。

 

 

「とりあえず上がってってくれ。今お茶とか出すから」

 

「別に大丈夫だ。もう飲んできたからな(・・・・・・・・・・)

 

「えっ。……あぁ、来る途中で買ってたんだな。けど喉乾いたらすぐに言えよ、客相手に何も出さないのは後味が悪いから」

 

「あらあら、そっけないのに相変わらず優しいのね」

 

 

 喧しい。そっけないところを指摘すんじゃねェ。完全なる反抗期じゃないだけでもありがたく思いなさい。

 

 とりあえず二人をリビングまで連れて行き、念のため薄皮いちご大福を出してあげた。お菓子ぐらいは出してあげないと後味悪いし。お、二人ともこの大福を『美味い』って言ってくれた。そりゃあ多摩町の商店街に一軒だけある駄菓子屋の大福だからな、美味くなきゃ意味がない。

 

 

「さてと……そろそろ本題に入るとしようか。どうだ、最近の学校での生活は?」

 

「まあ結構楽しくやっているよ。友達もたくさんできたし」

 

「一人暮らしは慣れたかしら?」

 

「そりゃあもう当然。そうじゃなかったら連絡してた」

 

 

 この後も結構質問のラッシュを受けたな。主に学校の事とか一人暮らしの事とかしかなかったけど。まあ一人暮らしの高校生なんて滅多にいないし、生活費は二人が付与してくれているから問題なかったけど使い道とかがね、心配になっちゃうよね。無理もない。

 

 

「おお、そうだった。これもきちんと聞かなければな」

 

「ん?」

 

 

 なんだ? 父さんなんか思い出したかのように呟いたんだけど。一体何を思い出したってんだ?

 

 

 

「我が子よ……魔族や魔法少女に負けない力を手に入れていたってのは本当なのか? 気になるから見せてほしいのだが」

 

 

 

「ブフォッ⁉︎」

 

 

 はっ……ちょっ……は? ちょっと待てなんでそれ知ってんの? 俺が転生特典として手に入れたその能力の事、同級生のほんの僅かしか知られてないはずだし、学校以外では決して噂されないようにしてるし、唯一学校以外で知らされてるのは清子さんだけのはずだし、良子ちゃんには念のため知られないようにしてと優子にお願いしたし……

 

 なんで⁉︎ ホントなんで⁉︎ なんでこの二人が召喚術の事を知ってんの⁉︎ 何故⁉︎ 俺は一体どこでヘマして……

 

 ハッ⁉︎ さては杏里の仕業か⁉︎ 偶々俺の両親と出逢わせて、偶々その二人が俺の両親だと知って、俺の召喚術の事を伝え──

 

 

「お前のところに来る前、隣の部屋の吉田家……清子さんのところに挨拶に行ってたんだ。そこで彼女の娘さんの優子君……今はシャミ子君だったな。彼女が我が子のことをよく話していたらしく、そこでお前が召喚術を覚えるようになったと知ったんだ。良子君は何故かこの事を知らないらしいがな」

 

「思わぬ伏兵が別のところにいたぁ⁉︎ なんで教えちゃうんですか清子さぁん⁉︎」

 

 

 う、迂闊だった⁉︎ 優子には清子さんにも口止めしてもらうよう頼み込めばよかった……‼︎ 意外な方面から家族にバラされるとは予想外や……‼︎

 

 というかいつの間に吉田家にご挨拶してたの⁉︎ 普通は俺のところに来た後にそっちに行くところだよな⁉︎ 優先順位って知ってる⁉︎

 

 つーかどうしよう、俺が普通の人じゃなくなってきたことが両親にバレちゃったよ……。これ、どう説明すれば良いんだよ……。このままだと俺が転生者であることもバレるのでは……?

 

 

「えっと……あの……これは……その……」

 

「何も言わなくていい。分かってるぞ、お前がその力の事を、俺達にずっと言えなかったことを」

 

 

 へ……?

 

 

「人は誰しも、他人に言えない事情ってものがある。それを知られてしまったらどうなってしまうのか想像もできず、一人で苦しんでしまうほどの、な。だからどこでそれを覚えたのか、それを覚えて何が起こったのかなどを俺達は深く追求する気はない……が、次からはお前の身に何かあった時は迷わず俺や母さんに相談してくれ。いざという時は少しでも力になりたいからな」

 

「と、父さん……」

 

 

 な、なんか急に自分が恥ずかしくなってきた。自分が転生者であることを言い訳して、召喚術にしろそうでないにしろ、自分の事を家族に伝えないなんて誰も信用しないのと同じものだと身を持って知ってしまったのだから……

 

 あぁそうか。俺はいつの間にか決めつけていたんだな。前世で別世界の記憶を持った自分は実質孤立しているようなものだって。転生したどうなったとかを隠して言ってもそれで何かが解決できるとは限らない、結局は転生したことで生まれた問題は自分自身の力のみで解決しないとならない、そう自分に言いつけていたんだなって。

 

 ……いつか、俺の前世の事をこの二人や優子達に話してみようかな。さすがに転生したって事をそのまま言うまでの決心はつかないけど、何かしらの形で前世での出来事を明かしてみたい。そうすればきっと、何かが変わる気がするから。

 

 とりあえず今は……

 

 

「……分かった。だったらその術を教えてくれた人と今から会わせたいけど、いいかな?」

 

「む? それは恩師ってことか? なら是非会わせてもらいたいものだ。朱音、いいかね?」

 

「えぇ、私も構わないわよ。是非会ってみたいものね。白ちゃん、早速お願いできるかしら?」

 

「おうよ。じゃあ早速……我が名は召喚師・白哉───‼︎」

 

 

 というわけで家族に初お披露目となる召喚師覚醒フォーム。本当はデフォルメの方の白龍様を召喚するつもりなんだけど、せっかくだから『俺はこういうのにもなれるから何かしらの闘いに巻き込まれても大丈夫だよ』アピールをするためにも、念のために、ね?

 

 ……うん。相変わらず色変えただけのツイス○キャラの衣装パクリ乙な格好やなこれ。俺も優子がリリスさんに危機管理フォームのリテイクを頼んでいるみたいに、白龍様にこの格好のリテイクをお願いしようかな……

 

 

「おお! 中々カッコいいじゃないか‼︎ それが召喚術とやらの魔法を本格的に使えるフォームなのか⁉︎」

 

「結構良い姿になってるじゃない‼︎ 白ちゃんこっち向いて‼︎ 写メ撮りたい写メ‼︎」

 

「それは恥ずいからやめれ」

 

 

 何なのこの二人。俺が変身した瞬間に結構食いついてくるんだけど。どんだけこの召喚師覚醒フォームに興味が湧いてきてんだよ。母さんスマホ片手に高速連写やめて。つーか父さんはどこから一眼レフカメラ出してんだよ。しかもそのカメラめっちゃ高価に見えるんだけど。

 

 あーもうめんどくせぇ。これ以上このフォームについて追求される前にさっさと白龍様出しておこう、そうしよう。

 

 

「デフォルメサイズの白龍様、召喚」

 

 

 魔法陣カモーン。そしてそこから白龍様が出たぁ‼︎ そしてちっちゃい‼︎ けどこのぱんだ荘を壊したくない‼︎ だから白龍様、今はデカさによる威厳を抑えて‼︎

 

 

「「おおおおおお……? 思ったよりもちっちゃい……?」」

 

 

 喧しい。白龍様に失礼やろ。このサイズで呼び出したの俺だけれども。

 

 言っておくけど、召喚師覚醒フォームの姿で白龍様を呼ぶ場合は『デフォルメサイズ』と付け足さないと、本来のサイズ──全長六メートルの方で登場してしまい、このぱんだ荘の天井を突きつけてしまうので気をつけましょう。後めっちゃ目立って後がもう滅茶苦茶大変だしめんどくせぇ。

 

 ……あっ。事前にテレパシーみたいなヤツで白龍様コールをするの忘れてたわ。ヤベッ、白龍様突然の召喚に絶対呆然としてるだろ。すみません白龍様、これにはワケが……

 

 

【あ、どうも。お初にお目にかかります。俺が白龍です】

 

 

 ………………ん? あれ?

 

 

「あら、ご丁寧にどうも。白ちゃん……白哉の母の朱音です」

 

「いつも息子がお世話になっております。父の黒瀬です」

 

【いえいえ、こちらこそいつも白哉がお世話になっております。何卒よろしくお願いします】

 

 

 ……あれ? 白龍様、突然のウチの両親とのご対面したとなっても冷静に対応しているんだけど。これアレか? 一々変な反応しても面倒くさいから何も考えずにとりま挨拶しとけってヤツか? その精神は逆にすげぇなオイ。

 

 

【せっかくですし、お話しましょうか? 白哉がここに一人暮らししてから何があったのかを】

 

「おや、教えていただけるのですか? それはありがたいですね。我が子よ、彼からお前がここで生活し始めて何があったのかを聞いていいか?」

 

「あ、うん。どうぞ」

 

「それじゃあお聞かせいただこうかしら。白龍様、よろしくお願いしますね」

 

(りょ)

 

 

 ヤベッ、素で思わず俺が今日までに遭遇した出来事の事を聞いてOKのサインを出しちまった。いや聞いてほしくない内容もあるんだけどマジで。と、とりあえず……

 

 

「(白龍様……俺が犯してしまった優子へのラッキースケベとか、俺が誰かに聞かれたら不味いことは絶対に喋らないでくださいよ? プライバシーってものがあるんですから)」

 

【(おけまる)】

 

 

 その返答されるとなんか不安なんですけど。

 

 

 

 

 

 

 この後は俺の両親と白龍様のトークタイムが始まった。俺がまぞくになった優子にしてきた対応の仕方や、桃に優子諸共揶揄われたこと、メェール君に対する高評価をした事などと、とりまバラされて恥ずかしくなるような事は両親に報告されることはなかった。

 

 もちろん俺が起こしてしまったラッキースケベとか、優子の危機管理フォームの事とか報告されなかったよ。報告されたらされたで俺は羞恥心で死んじゃいそうだし、報告されたことを知った優子も恥ずかしさのあまり昇天しちゃいそうだし。

 

 そしてある程度のトークタイムが終わった後、両親は満足したのか家に帰ることになった。これ以上長居しても迷惑だろうから、とのことだ。まあ正直久しぶりに会ったんだからもう少しぐらい居てもいいと思ったんだけども。

 

 

「それじゃあ私達は帰るわね。生活スタイルには気をつけて……って、そこは大丈夫そうね。とにかく偶には連絡を寄越しなさいよ?」

 

「ああ、分かってるよ。父さんも母さんも体には気をつけて」

 

「もちろんそのつもりだ。では白龍様、俺達はここで」

 

「次来る時はお土産を持ってきますね」

 

【いえいえ、お構いなく〜】

 

 

 なんかこの三人……というか二人と一匹、この短時間で結構仲良くなってないか? 遠慮なしにお互い握手を交わしてるし、なんだかな……

 

 そして両親が玄関から出て行くのを見送った俺は、緊張がほぐれたのか背伸びをしてから一つ深呼吸をした。いやぁ久々に再会した家族と話すのはめっちゃ体力使うなー。心労とかしちゃうし、もうヤダわホント、しばらくはまた直接対面するのは勘弁かな。

 

 

【お疲れー】

 

「白龍様もお疲れ様でした。そういや俺の両親に対してよく敬語で話しましたね。立場的に別に敬語は必要ないと思いますが」

 

【いやいや、そういうわけにはいかないよ。お前の身内の前ではそれなりの礼儀は守っておかないと後先が面倒だからな。なんだあの偉そうな態度は、とかいう陰口なんか叩かれたくないもんね俺】

 

「あ、さいですか……」

 

 

 なるほど、白龍様にも白龍様なりの人の接し方があるってことか。普段からマイペースな方だなとは思ったけど自己中とかではないことは改めて理解できたよ。失礼なこと考えてすみませんでした。

 

 

【それじゃ、疲れた俺そろそろ精神世界に帰るわ。お疲れー】

 

「はい、それではまた── 『プルルルルルッ』 ん? 電話だ」

 

 

 白龍様が帰ろうとしたところに突然の電話が。こんな時間に誰……って、ミカン? なんで俺の電話番号知って……あっ。そういやもしもの時のためにと優子達と連絡先交換してたんだっけ。すっかり忘れてた。

 

 

「もしもし、白哉です」(もしもしドナル○です風)

 

『あっ、白哉⁉︎ 悪いけど時間あったらすぐ桃の家に来て‼︎』

 

「あぁん? なんで? まさかこんな休日に優子が連行されてトレーニングを受けて気絶でもしてんのか? もしそうだとしたら桃色魔法少女マジ許さん」

 

『いや流石の桃も休日の邪魔はしない派なんだけど……とにかく時間があるなら来て‼︎ 私とシャミ子じゃ対応出来ないことが起きたから‼︎』

 

「わかったわかった、すぐ向かうから」

 

 

 今桃の家で何が起こってるのかは、原作読んだから分かりきってるんだけどね……悪いなミカン、ちょっとだけ意地悪してしまった。さてと、早速桃の家に向かうとするか。

 

 ハァ……にしても両親の家宅訪問で疲れたこのタイミングで呼び出し喰らうとか、今日はいつもよりも厄日だよ……ホントめんどくせぇ。

 

 

【乗せるから俺を元のサイズに戻せー。メタ子とまた話したい】

 

「はいはい」

 

 

 あっ。今気づいたけどミカンも優子の事を『シャミ子』と呼んであげたんだな。ってことは優子はミカンとも仲良くなれたってことか。よかったよかった。

 

 

 

 

 

 

「───で、なんで拓海まで桃の家に?」

 

「いや、俺が聞きたいくらいだよ……」

 

「えっと……私が説明しますね」

 

 

 数分後。桃の家に到着した時には、優子・桃・ミカンの三人だけではなく、何故か拓海までもが鍋を囲んでいた。拓海本人も何故自分がここにいるのかと困惑しているようだが。

 

 優子の話によれば、ミカンが桃の心身の消耗を心配して今日の修行を休みにする事を提案し、優子にはミカン自身は呪いの制御の為にホラー映画を一緒に観てほしいとお願いしたらしい。つまりは桃の為に心の修行をすることになったミカンの付き添いを頼まれたってことか。

 

 優子は最初は乗り気じゃなかったみたいだけど、映画でのゾンビ達の圧倒的ヒーローに果敢に挑むその勇敢さに感動したとか……。いや、別にどの登場人物に感情移入しても咎めはしないけどさ……モブ敵に感情移入できるのはショッ○ー戦闘員ぐらいだとは個人的に思う。

 

 つーかゾンビ映画ってことは、ゾンビの体から臓器とかが飛び出てたんだよ? そんなスプラッターで感動して泣くとかどういう感性してるんだお前は。見ると貧血気味になる癖に。あ、ちなみに俺もスプラッターは苦手です。あんなR-15Gな要素はトラウマものだわ。

 

 視聴後、ミカンは呟いた。ここに来てから知り合いもいないし呪いが暴走しがちで不安だったけど、優子のおかげで今日は安定できたと。ミカンの呪いの鎮静化は進みそうだな。

 

 しかしそこでまさかの桃との遭遇。たまさくらちゃんの目が光るサンバイザーを手に入れようとゆるキャラ映画を観に来ていたらしい。だが二人の姿を見た彼女の目のハイライトは現在のように消えていた。

 

 一緒に帰りながら優子とミカンはなんとか桃を宥めようとしたが効果なし。そこに偶々近くを散歩していた拓海とばったり遭遇。ミカンは申し訳ないと思いながらも彼に即座に助け船を求めるも、過保護による言葉巧みでも桃の目の曇りをほんの少しだけ薄めただけに過ぎなかった……

 

 うん、拓海の過保護でも無理なら俺が介入しても無理に決まってる。いくら俺が原作を知ってるとはいえ、それはあくまで物語の本筋を見ているだけであって細かい部分の対処の仕方はわからねーよ。原作でも桃の目のハイライトが戻るまでの描写がなかったんだし、無理だわこりゃ。

 

 とりあえずなんか一言かけるか。

 

 

「あのなぁ桃……ミカンはお前にこれ以上魔力とかを消耗させたくないがために呪いを抑える修行として映画を観ることにしただけであって、別に修行をサボりたいとかそんな事は考えてないはずだぜ?」

 

「別に怒ってないよ。シャミ子やミカンにもリフレッシュが必要だし、あと何より私もサンバイザーが欲しかったから」

 

「どの目して言ってんだテメーはコラ。あっ優子、悪いけどネギと肉団子入れて。俺も食うから」

 

「あ、はい。よそっておきますね」

 

「お願いだから説教するなら真面目にして⁉︎ 急に呼び出したことなら私が悪かったから‼︎」

 

「拓海の過保護でもダメな時点で俺が来ても意味ないと思うで?」

 

 

 うーむ、いつもならどうにかしてこういった修羅場もどきとかを回避する方法を探すんだけど、別に今後の原作に影響を及ぼすわけじゃないからもう関わらなくてもいいと思うんだけどなぁ。

 

 ……おい、拓海。何無言でこっち見つめてくるんだ。助けてってか? そこをなんとかしてくれってか? おいおいおいおい、いつも勝手に人助けしてやるとかしつこく言ってくるお前がまさかの無言で頼み事を要求するのか? 珍しいなオイ。

 

 いや、流石に拓海に無言のお願いをされてもな……どうしたものか。

 

 ん? ちょっと待てよ? 桃があんな目になったのは、もしかすると……

 

 

「……ミカン、ちょっといいか? 桃がこうなってしまったのは、修行を休みにした理由……呪いの克服の為にホラー映画を観ても落ちつけるようになりたいからって素直に言わなかったからだろ? 隠し事でもしてたらそりゃ桃も『騙されたのではないか』と偏見的な結論を考え込んちまうわけだ」

 

「ウグッ⁉︎ た、確かにそう聞くと騙してるように思われてるかも……」

 

 

 図星か。やっぱり言い方が悪かったのかって顔してるな。ここでさらに個人的意見をぶつけてみるか。

 

 

「正直な事を言えば、桃もそれに合わせて彼女なりの呪いを克服する方法を考えてたりしてくれるはずだ。桃も本当の事を言ってくれれば納得がいくし、不満な思いをしなくて済むだろ?」

 

「……まあ、そこまで言われると確かに白哉くんの言う通りかな」

 

「そういうこと。だからミカンも、次からは自分が何をしたいのか正直に言いなさい。呪いの克服したいならしたいと言う。分かったか?」

 

「は、はい……」

 

 

 うん。別に説教してるわけではないけど、ミカンも反省してるような様子を見せてくれてるな。隣見たら桃の目のハイライトも戻り始めて……

 

 ………………ん?

 

 

「………………桃、お前わざと死んだ目を演出してたな?」

 

「「「えっ?」」」

 

「………………」

 

 

 ふと気づいたことを口にしたら、優子達三人は拍子抜けな声を出し、桃はやらかしたと言ってるかのような顔で目を逸らした。うん……ここも図星か。

 

 

「な、何のことかな? というか私の目死んでた?」

 

「死んでなかったらミカン達がしつこく心配するわけねーだろうが……。本題に戻るぞ。今のお前は目の輝きを取り戻している。だがそのスピードがあまりにも早すぎる。しかも俺がミカンに提案して彼女が納得した瞬間にシュンッとな。俺だってさっきの考察とミカンに提案したことだけで、桃の目のハイライトが戻るとは思っていなかった。こんな複雑な条件ばかりの中で目の色が完全かつスピーディーに戻れるわけない。桃だってそれほどポジティブな性格の持ち主じゃないはずだ」

 

「ええっと……つまり桃は本当に怒ってたり寂しそうにしてたりしてたわけじゃないってことなの?」

 

「桃、それは本当なのですか?」

 

「何故俺達を心配させるようなことをするんだい?」

 

「いや……えっと……その……」

 

 

 俺達が本気で心配してたのに、俺がみんなを騙したのかと感じたこの感情のまま色々と言ったせいなのか、それとも優子達にまで問い詰められたからなのか、桃も言い逃れ出来ないことを悟って冷や汗を掻き始めた。

 

 言い過ぎたことは否めないし正直悪かったかなとは思っているけど、死んだ目をしてるフリして優子達を騙してた桃も悪いからな? さっさと正直な事言えやコノヤロー。

 

 

「………………うん、ごめん。わざと目の色殺したらミカン達がどんな反応するのかなって思ったら、やってみたくなった上に楽しくなっちゃって……。シャミ子とミカンが二人で映画を観に行ってたこと、本当に不快に思ってないから。ごめん……」

 

 

 やっぱりおちょくってたのか。ひでーことするなオイ。

 

 

「……よ、よかった〜。私達を騙してたのはアレだったけど、本当に何も思ってなかったのね。結構ヒヤッとしたわ……」

 

「でもタチが悪いですよ桃。私達本気で心配してたんですから」

 

「焦ってた俺達の気持ちも考えてくれ」

 

「本当にごめん……」

 

 

 おっ。桃も罰が悪かったのかちゃんと頭を下げて謝ったな。悪戯心があっても罪悪感がないわけではない、はっきりわかんだね。

 

 

「はい、みんなが納得したならこの話はこれでおしまいな。豆腐も煮えてきたし、そろそろ鍋を再開しようぜ。何食べたい? 俺がよそうぜ。白龍様もリリスさんも食べたいのがあれば」

 

「あ、じゃあキャベツをお願いします」

 

「豆腐で」

 

「私はネギでお願いね」

 

「それじゃあ肉」

 

『余にはポン酢をお供えしておくれ』

 

【うどん食いたい】

 

「それはシメですしそもそもうどんがシメになるとは限りませんよ」

 

 

 この後先程までプチ修羅場だったのが嘘だったかのように、楽しく鍋パーティをした俺達だった。

 

 ん? 出来れば修羅場になってほしかった? 面白そうだったから? ふざけんな修羅場とか絶対やだわ。はっ倒すぞ。

 

 




子供が気付かぬ内に普通じゃなくなっても、いつも通りに接してくれる親……実に見てみたくね?

宜しければ気軽に感想送ってください。よろしくお願いします。

あ、ちなみに今回のおまけの台本形式のほそく話はおやすみです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。