偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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白哉くんのとある設定を回収する回でもあるので初投稿です。

ん? バレンタイン特別編みたいなのは出さなかったのかって? ネタが思いつかなかったのと、まだその時ではないと判断した為でして……けど次のイベントっぽい日には何か挙げてく予定なので許して()

ちなみに今回の話はめっちゃ長めです‼︎ ご了承を‼︎


えっ? 破壊されてた工場から謎のマジックアイテムがもう一つ出たんだけど?

 

 どうもおはようございます、平地白哉です。昨日はこのばんだ荘に魔法少女が二人……桃とミカンが引っ越してきたってことでね、すき焼きパーティーをやってきました。すき焼き美味かったし、メェール君達召喚獣一同が作ってくれた御菜も美味かったし、優子が宇宙のめくれを見てる場面をまた見れたし(笑)

 

 で、パーティーが落ち着いた時にヨシュアさんことお父さんBOXにお供えしてたら、衝撃の事実が。なんとそのお父さんBOX、ミカンの実家の流通用のダンボールと同じであることが判明‼︎ つまりヨシュアさんはそのダンボールに封印されたってわけだ‼︎ まるで意味が分からんぞ‼︎

 

 で、メェール君がシャッフルクイズでお父さんBOXを当てれるかチャレンジしようとして───

 

 

【今度こそ第一回お父さんBOXシャッフルクイズ大会を始めるメ──】

 

「やらせねェよ‼︎ それやった後捨てる時に間違ってヨシュアさんを捨ててしまったら元も子もねェから‼︎」

 

【マスターはケチだメェ〜】

 

「ケチじゃねェよ‼︎」

 

 

 今日こそはとお父さんBOXを大量のダンボールの中に混ぜようとしました。昨日は桃に頼まれた感じに優子と一緒に『どうどう』と止める程度だったけど、今日はさすがに全力で阻止しなければいけなくなった。何故かって?

 

 

【というかマスター、昨日とは違って必死に止めてくるメェ〜な?】

 

「ダンボールを余計に十個も増やしてきたらそりゃ焦るわ‼︎ どっから仕入れてきた⁉︎」

 

 

 この野郎、ミカンが引っ越しの為に使ったヤツよりも数を増やしやがったんだよ‼︎ 絶対どこかでお父さんBOXと普通のダンボールを間違えてしまうわこんなん‼︎

 

 

【近所の人達からもらってきたメェ〜。どうしてもシャッフルクイズしたかったから】

 

「いつの間に⁉︎ ってかクイズするのにこんなにいらなくね⁉︎ せめて二・三個に増やす程度にして⁉︎」

 

 

 あぁもう‼︎ どうしてメェール君はお父さんBOXとダンボールでシャッフルクイズしたがるのかな⁉︎ もういっそのこと、お父さんBOX以外のダンボールを全て分解して……

 

 いや、まだそう結論づけるにはまだ早いな。だってミカンの実家のものだし、本人が目の前にいるし、なんか気が引ける。……ってか。

 

 

「三人とも見てねェで助けろよ‼︎ 今の俺、昨日の桃みたいになってるんだぞ⁉︎」

 

「えっ? あっ、いえ、私達も最初はそうしようと思ってましたけど……」

 

「元は白哉くんが召喚した子達だから、白哉くんの意思で精神世界に戻してあげることもできるんじゃないかなって」

 

「それを召喚師である貴方なら気づいてやるのかと思ったのだけど……今無理そうかしら?」

 

「………………あっ」

 

 

 そうだった。元は俺の転生特典によって自由に呼んだり帰してあげたりできるんだった。しかも持ってる魔力の量とか関係なく。なんでこうも大事なことを忘れてしまうんかねェ?

 

 後、この召喚術には現代みたいに精神世界と現実世界を繋ぐゲートみたいなものを塞ぐ術もあるんだった。えっ? そんなのあるだなんて聞いてないって? HAHAHA、それもそうだな。俺もそれがあることを忘れてたからな。

 

 

「それができるんだったら最初からやるんだった、失敗失敗。じゃあ早速戻してあげて、大量のダンボールの処置が終わるまでしばらくゲートを塞──」

 

【調子に乗ってごめんなさいメェ〜……】

 

 

 即土下座。だが可愛い。土下座のポーズが可愛い。二頭身かつ短い手足で土下座だなんて、プリケツを上にしながら普通に四つん這いしてるようなものじゃん。可愛い。

 

 よし、許そう‼︎(オイ)

 

 

「よし、許そう」

 

「なんか如何にも言ってる事と心の声が一致してるような顔を浮かべてるわね……」

 

「いや俺どんな顔してたのさ?」

 

「しかも無自覚という」

 

 

 ちょっと待って。なんかこの魔法少女達、俺を変な方面で叩き潰そうとしてませんかね? 今の俺が一体何をしていたというのさ?

 

 

「えっと……白哉さんって、召喚獣の子達には甘い感じなんですね……ちょっと羨ましいというか妬ましいです

 

「優子は一体どんなフォローの仕方してくれてるの?」

 

 

 

 

 

 

 何やら変な疑問を感じながらも、本題のダンボールの件についてミカンに聞くことに。

 

 どうやらこのダンボールはこの町の外れのミカンの旧実家の廃工場のものとして使われているらしい。それにヨシュアさんが封印されているため、その時の状況──父さんを苦しませたという怨霊と共に封印された時の状況のヒントが廃工場にあるのではないか……そう捉えられ、現場に行って調べることに。

 

 その廃工場は桜さんが大破させてしまい、ミカンの両親から買い取り所有物にしたものだという。その鍵を桃が持っているため、桃はそれを取りに行き、残った俺達三人はその廃工場に向かうことに。

 

 そこはなんと、俺と優子が桃の修行に初めて付き合わされていた時に来たところだった‼︎ 優子はそこをトラウマ製造工場と捉えていたが、実際は素敵なお菓子をいっぱい作ってたところだったらしい。……素敵なお菓子と言っても、どうせ柑橘系ばかりじゃね?

 

 待ってる間はミカンに何故旧実家の工場が破壊されたのかを問いかけることにした。

 

 ミカンの話によると、昔この工場の経営が傾き追い詰められており、それを何とかしようとしてミカンの父親が手を出してはいけない悪魔召喚の儀式に手を出したらしい。

 

 あっ。ちなみにここら辺で優子がワクワクする単語が出たとかどうかで結構ミカンにグイグイと話を進めようとしてます。まあ最近非日常的なことが起きてるので、それがまた起きるのを期待してしまうようになったっぽいなこれ。

 

 ……でも、何だろうな。ただただ優子がミカンに昔工場で何があったのかを聞き詰めてるだけなのに、心がモヤッとしてしまうんだが……今までは似た光景を見てもそんな事思わなかったってのに……

 

 あっ、気がついたら話が続いていってる。

 

 ミカンの父親の望みは工場と家族を守ること。見よう見まねの作法と裏道の触媒で悪魔を呼び出したのだが、近道で叶う望みなど所詮紛い物。悪魔は大きな望みを楽して叶えようとしていたところに漬け込み超解釈して、一人っ子のミカンを困らせたものを無制限に破壊する呪いを掛けてしまった……いや聞き入れた言葉の意味をもっと理解する意欲を持てや悪魔さんよォ‼︎

 

 さらに悪魔はミカンの心に勝手に間借りし、壊したもののエネルギーを吸いながら成長していった。そのせいもあってミカンは自分の母親をも自身の意思に関係なく傷つけてしまい、引き篭もってしまったとか……それでミカンの両親は桜さんに相談し、それによってミカンはその時初めて桃に会ったようだ。

 

 

「小さかった頃の桃って、どんな感じだったんですか?」

 

「一言で言うならあの頃の桃は大天使

 

「天使の桃‼︎」

 

 

 うおっ⁉︎ ビックリした‼︎ 声がめっちゃデカいから結構耳に響くなオイ‼︎ なんかやまびこみたいな感じだったんだけど、東○プロ○○クトの響○かよ……

 

 

「優子、お前さらにめっちゃ食い付いていくな……ん? 魔法少女なのに天使? 桃って天使の魔族から魔法少女に一度転生したのか?」

 

「ただの言葉の綾だから。そもそも天使の魔族とか魔法少女になった魔族とかって聞いたことないわよ……」

 

 

 あっ、さいですか……

 

 

「で、聞きたい? 聞きたい?」

 

「ちょー聞きたいです‼︎ 鬼桃が来る前に早く話して‼︎」

 

「そうよね、私も話したい‼︎」

 

 

 あーらら。本人が自分の事を語らないせいもあってか、優子とミカンが桃の話のするとなってめっちゃ喜んでいるな。キャッキャウフフウフキャッウフっていう実際に言いそうにない言葉を実際に言う程だし──

 

 

 ズキズキズキッ

 

 

 痛っ⁉︎ めっちゃ心臓が痛ぇ⁉︎ 最近心臓が一瞬だけ痛くなる瞬間がよくあるんだけど、この瞬間が一番強すぎるだろ⁉︎ な、なんでだ? なんで最近、優子が桃やミカンと仲良く関わる光景を見たり話を聞いたりするだけで心臓が痛くなるんだ……? うーん、分からん……

 

 

「あ、あの……? 白哉さん、急に苦しそうな笑顔になってますけど、大丈夫ですか……?」

 

「……へっ? 俺、そんな顔してたか?」

 

 

 っていうか俺、なんでそんな無理強いしてるような表情を表に出してんだ? 自分でもどんな感じなのか分からない感情を持つようになると無自覚にも心配されるような顔になってしうんだ? 俺、一体どうしたってんだ?

 

 ……いや、今はそんなことを考えるはよそう。今回も一瞬だったからもう心臓の痛いのは治ったし、何より幼少期の頃の桃とミカンの出会いを聞き終わる前に桃が来ちまうし。

 

 

「別に大したこと考えてないから、気にしないでくれ……。それとミカン、あのプライバシー硬めの魔法少女が来る前に早く過去エピソードを聞かせてくれ」

 

「えっ? あ、あぁそうね。あれは十年前──」

 

 

 

 

 

 

 初めて見ました、白哉さんが無理強いして笑っているような顔をしたのは。それも私とミカンさんが小さい頃の桃の事についてお話しようって時に、突然。それも無自覚な感じに。白哉さん、どうしてそんな顔をするんですか……?

 

 あっ。よく考えてみたら、白哉さんが無理強いしてるような笑顔をしたのは今回が初めてじゃないんだった。

 

 思い返してみれば、一昨昨日に私が桃と決闘ではなく商店街を回ることになったって話をした時も。一昨日に私とミカンさんがお隣さんになった事ではしゃいでいた時もチラリと。そして昨日だって、私と桃が隣同士ですき焼きを盛り付けしてる時もチラリと。

 

 ……ん? アレ? なんだかおかしい。白哉さんが無理強いしてるような笑顔になった瞬間って、どれも私が桃やミカン絡みになった時だ。それも仲良さげな感じになっていた……いや、桃絡みの時の私は仲良さげな感じになってました? 桃の前で意地を張っていたり、桃の話をしてる時には愚痴を零したりとかしてる感じだと思いますが……

 

 私が桃と絡んだり、ミカンさんと和気藹々していたりしていた時に、白哉さんがあの表情。もしかして、白哉さん……

 

 "嫉妬"……しているんですか? 桃とミカンさんに。

 

 よくよく考えていたら、白哉さんがあの無理強いな笑顔してる時、何やら私の顔を見て寂しげな感じの眼差しを向けてた気がする。それと私がミカンさんと話していた時だって、何かを願っているか、羨ましく見てるのような眼差しも向けていた感じがしたから……

 

 寂しげに私を見てる……桃とミカンさんには羨望の眼差しを向けてる……

 

 ………………白哉さん、もしかして私の事が……

 

 ハッ⁉︎ い、いやいやいやいやいやいや‼︎ そ、そんなことはないですよね⁉︎ びゃ、白哉さんが最近見せてる表情や目が私的に偶々そう見えてるだけですよね⁉︎ 白哉さんだって無自覚にその表情を出してるわけですし⁉︎ い、いくら好きになってほしいからって変な期待はダメですよね⁉︎ ねっ⁉︎

 

 ………………でも、もしも私の考えている事が無自覚にも本当だったとしたら?

 

 もし白哉さんが無自覚にも私に好意を持っていたとしたら、数年間も持っていた彼への好意が完全に報われるってことですかね……?

 

 もしそうならば、私は白哉さんに対する想いを遠慮しなくていいってことですよね? 躊躇いのない手繋ぎとか、ハグとかキスとか、最終的には……

 

 ってあああああああああっ‼︎ 白哉さんの想いに対する予想が確定したわけじゃないってのに、またまた愛が重くなってしまったァァァッ‼︎ なんか久しぶりにそうなったって気がするけど、そんなことは別に関係ない‼︎ 予想が確定したとしても私自身がヤバくなってしまったら元も子もないじゃないですか‼︎ やっぱり今は色々とダメじゃないですかしっかりしろ私ィィィッ‼︎

 

 ……ハァ、ハァ……と、とりあえず落ち着きましょう私。今はミカンさんに桃との出会いについて聞く必要があるのですから、そっちの方に集中せねば……‼︎

 

 ……でも、私のこの予想は当たってるといいな……

 

 って⁉ あ、危ない。ま、また愛が重くなるところでした。この感情になるのは久しぶりだったから、歯止めが効かなくならないように用心しなければ……‼

 

 

 

 

 

 

 ミカンの話を聞くに、彼女が桃──というか優子曰く子桃と初めて出会ったのは十年前の事。

 

 幼少期のミカン──子ミカンはその時呪いで他人を巻き込まないようにと引き篭もる為に入った倉庫に鍵を掛けたのだが、桜さんによって派遣されて来た子桃がそれを力技で破壊して入ってきたのが初邂逅となったらしい。

 

 いや力技使って施錠を壊すなよ、施錠の意味が無くなっちまう。アバカムを物理的に用いたのか? 力技は魔法じゃないけどさ……ってか小一・小二の年齢で施錠壊せるとかどんだけェ……筋肉幼女ってレベルじゃねェぞ……

 

 何の恐れもなく寄り添おうとしてくる子桃に対し、子ミカンは巻き込みたくない一心で近寄らないでと必死になったものの、それが災いし病院送りレベルのエグい呪いを子桃にぶつけてしまう。それも今のレベルの呪いとは比べ物にならない程の。

 

 が、やはり魔法少女でもあってか子桃は実質ノーダメ。子ミカンの呪いにも動じなかったそう。

 

 そして子桃は子ミカンに『呪いを受けても倒れないから大丈夫』と言い、さらにはこの言葉も掛けてあげた。

 

 

 

 ───泣いてもいいから、独りぼっちにならないで。

 

 

 

 ……原作でも知ってたとはいえ、改めて聞いたらなんだこれ。大天使を通り越して聖母神か何かですか? 子桃ってエグいレベルの呪いに耐えられて、しかもイケメンレベルの救済発言で子ミカンを元気づけるとか、やっぱり神やん。めっちゃ良い神やん。性別逆転してたら惚れた気がするわ。

 

 

「桜さんの尽力で私の中の悪魔は『沈静化された』。その代わり工場は壊れちゃって、この町から引っ越したの。でも……桃があの時言ってくれたことは、ずっと忘れない」

 

「そんなことがあったんですね。すっごく素敵な思い出です……‼︎」

 

「だな。桃は昔から他人に寄り添おうとする精神を持っていたなんて、普通の人ならそんなものを持てる余裕なんてないはずなのに……今でもそうだけど、やっぱりスゲェなあいつは。改めて賞賛しちゃうぜ」

 

 

 俺なんか数年前までは優子とは友達感覚で軽く関わってきたのに、彼女がヤンデレだと知った時には前よりは遠慮がちになってしまったんだ。それに比べて桃は『誰かの為に何かしてあげる』という意思を変えずに今まで生きてきたって感じを出してた。それを改めて知ると、正直羨ましくなるよホントに。

 

 

「他に桃の天使エピソードはありますか⁉︎」

 

「そうね〜……」

 

 

 ……念のため周囲を見渡してみたけど、今のところ桃はまだここに来てないな。これはアレか? ほんのちょっとした原作改変によって、桃が鍵取りに行って戻ってくるまでの時間が掛かるようになったのか? これは子桃の変身時の話が聞けたりして?

 

 

 

「……あっ。そういえば桃、今でもそうだけど実はあの頃から恋する乙女だったわね」

 

 

 

「「………………えっ?」」

 

 

 はっ? 今なんて? 桃が子桃の頃から恋する乙女? どういう事? 初耳なんだけど。原作ではそんな設定なかったよね? まさか俺が介入したせいで桃をそういう設定にしたオリ男まで生まれたというの? 可能性からしたらそれはあり得るかもしれないけどさ……

 

 まぁよく考えてみれば、もし桃が本当に恋する乙女だとしたら、今まで俺や優子に恋愛関連で弄ってきたのも分からなくもないかもしれないけどな。

 

 

「それを私が知ったのも十年前に引っ越す前の時で、その事を聞かれた時の桃の顔が結構乙女な顔を見せてくれていたのよ。その時のアワアワとしていた桃の照れ顔が頭から離れられなくて……」

 

「恋する子桃のアワアワとした照れ顔……見てみたかったです‼︎ その頃の桃は一体誰に恋してたんですか⁉︎」

 

「俺もめっちゃ気になる。桃が恋してる相手の名前を聞けばまたその顔をするのではないかと思うと、どうしても知りたくなる。だから教えてくれ」

 

 

 それにその事について桃に話題を吹っかけて困らせておけば、彼女のお節介などに対する鬱憤が晴らせるしな。だからほら、早く名前教えてカモンカモン。

 

 

「そうね……桃が惚れてる相手の名前ってのは、確か──ガフッ」

 

「そこまで」

 

「鬼桃が来た‼︎」

 

 

 うおわおっ、ここで桃のお帰りかよ。なんていうタイミングで戻ってきてしまったんですかねアンタは。しかもいかにもこれ以上は喋らせんと言ってる感じにミカンの口を押さえながらヘッドロックみたいなのをかまして……相手がミカンみたいな魔法少女じゃなかったら最悪気絶しかねんかったぞ? それ。

 

 ……ん? アレ? なんか桃の顔、真っ赤になってない?

 

 あっ(察し)。……ははぁ〜ん? さてはお前、自分の恋愛談を俺と優子に聞かれたくなかったのかなぁ〜? 俺と優子を恋愛方面でおちょくってた癖に、自分にはその抗力がないってのかぁ?

 

 いや、心の中でとはいえこれ以上煽るのはよそう。俺も優子も恋愛の事を聞かれて動揺したりしてたし、人の事言える義理じゃねェよな。マジで。

 

 ……とりあえず、俺達が桃が実は恋愛しているorした経験があるってのを聞いてしまったのは事実だから、何かしらのフォローはしておいた方がいいな。

 

 

「な、何……? 私が恋してるのがそんなに珍しいの?」

 

「あー、別にそういうわけじゃないんだけどな……桃。そうやって誰かに言ってほしくないって気持ち、俺にも分かるぞ。人は誰しも恋愛の事について聞かれたり、『自分は恋してるんだ』だなんて知ってしまったら、どんな反応をすればいいのかとか分からなくなるもんな。俺も優子も、実際お前にその事で弄られて困惑してたもんだし」

 

「ウッ………………本当は一ミリも私の恋愛模様とか知られたくなかったんだけど……」

 

「けど優子が言ってただろ? 『困ってる事とかあれば一人で悩むな』みたいなことを。お前が惚れた男ってのは一体どんな奴なのか、そいつが桃に何をしてくれたのかなどは知らん。けど、その事でもいいからいつでも俺達に恋の相談しなよ。まだ想いを寄せてるってんなら進展するように俺達もフォローするし、上手くいったら素直に喜べるようにも善処するし、もしもダメだったらダメだったなりに吹っ切れるようになる感じも作りたいからさ」

 

「………………う、うん。善処する」

 

 

 遠慮してる感は出てるけど、『結構です』みたいな感じではないようだな。まぁ優子の事をどう思ってるのかまだ分かってないヘンテコ野郎な俺が、あんなこと言うのはどうなんだとは自分でも思ってるけど、少しは桃も心がさらに開いたんじゃないかな?

 

 

「……恋の相談、か……なら私も、桃……は気が引けるからミカンさんに……」

 

「ん? 優子、今なんか言ったか?」

 

「えっ⁉︎ あっ、いえ……なんでもないです‼︎ 特に大したことじゃないので‼︎」

 

「そ、そうか……?」

 

 

 な、なんだってんだ? 何やら意を決したような表情が一瞬見えてたし、俺が問いかけた途端に目が泳いでいたし……優子の奴、何か隠してるのか? 気になって仕方ないんだけど……

 

 いつ地雷を仕掛けるのかも分からない子だからな。これ以上問いかけて刺激するのはよくないから、ここら辺でもう質問しないでおこう。質問攻めしちゃうと、なんか聞いたらお互いに後悔してしまう可能性があるから……

 

 

「………………白哉さんに罪悪感なく振り向いてもらえるよう、私もミカンさんに相談受けてもらいながらも頑張らなければ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 桃が昔惚れてたという男が誰なのか、そしてそいつは桃とどういった関わりを持っているのか……などといった話は置いといて。桃が倉庫の鍵を持ってきてくれたので、そいつで倉庫の鍵を開けてもらうことになった。

 

 そういえば修行をやらされる羽目になってここに来た時も鍵を使ってたな。しかも自宅に持っていって、鞄に鍵をしまっていた感じか。確かそんな感じに俺と優子を倉庫の外側に入れてくれたっけ。そんな感じだったと思う。

 

 

「あの倉庫は私にとって思い出の場所なのよ。つらかったことも嬉しかったことも、あの倉庫に詰まってる。懐かしいわ………………って」

 

「どうしたミカン? 倉庫がめっちゃ錆びて外見がガラリと変わってしまったか?」

 

「………………か、変わったどころか……壊れてる〜〜〜⁉︎」

 

 

 そう、言葉通り倉庫は壊れてます。それも建てられてた時の土地の凹みを残し、ほぼというか全壊レベルで。俺と優子が修行で連れてかれた時もそんな感じでした。本当です‼︎ 信じてください‼︎

 

 ってアーララ、旧実家の崩壊にミカンが冷静でいられるはずもなく、呪いが発動して桃のところにゲリラ雨だったり背中に鳥が垂直に刺さったりと散々じゃんけ。

 

 

「なんで私の思い出が消し飛んでるのよ‼︎」

 

「……姉がミカンの悪魔を抑える時に工場を壊したって聞いたよ」

 

「私の事件で壊れたのは工場の機関部とインフラ‼︎ この倉庫は大して壊れてなかった‼︎ 引っ越す前に目に焼き付けたんだから‼︎ 私そこは忘れないわよ‼︎」

 

 

 おいおい、桃とミカンの証言が矛盾してるじゃねェか。二人とも嘘を言ってるような顔や目をしてないから、もし俺が原作を知ってなかったらどっちが本当の事を言ってるんだって分からなくなって迷ってたわこりゃ。

 

 

「じゃあなんで戻ってきた時にはこの始末☆な感じになるんだよ? お前引っ越す前か後になんかおかしな事されたって覚えあるか?」

 

「この始末って言う時のトーンおかしくないかしら? ……ってか、その言い方だと私、記憶を改竄された可能性があるってこと? ん……? 私、引っ越しの時に何かされたのかしら……?」

 

「……あっ。ピンク飯を食べた影響で記憶が改竄されたのではないでしょうか?」

 

「そこで私のご飯の話はやめて?」

 

 

 いや言わせてやれやい。アンタ自分の料理にどんな怪奇現象を起こしてきたのか分かってんのか? その絡繰を自分でも理解できん奴がその事で噂されても文句言うな。

 

 ん……? いや待てよ?

 

 

「話変わるけどさ、見た目はそのままに味だけ上達できたとしたら、どっかのカフェとかでピンク飯のコラボとかやったらSNSでバズったりとかするんじゃないか?」

 

「あっ、見た目のギャップで人気を上げる算段ですか‼︎ そういうのやってみたいですね‼︎」

 

「何れは『場内全てがピンク! ピンク飯フェス』みたいなあっても面白そうね‼︎」

 

「やりません。というかそれナチュラルに私の料理をディスってることにならない? 話を工場の件に戻して」

 

 

 えっ? ディスってる? 桃の料理の腕前が上達した前提で言ってるのに? 別に俺達悪意があってこんな話題出してるわけじゃないんだけどな……偏見的に聞かれたらそう思われるのか。気をつけよ。

 

 つーかはよ情報の整理を始めんとあかんわ。これ以上倉庫の件と関係ないことで話をして時間かけるわけにはいかない。のんびりしてたら気がついた時に夕日が落ちて情報収集する時間が削がれてしまうもん。

 

 と、ここで優子が倉庫の壁だったものが桜の花びら状にくり抜かれていることに気が付いた。桜の花びら状……もしや。

 

 

「あっ。この痕跡は……桜さんの大技、サクラメントキャノン……‼︎」

 

「ワクワクする単語出てきた‼︎」

 

 

 やっぱりな♂ 桜さんの名前からしてあのくり抜かれた形で大抵予想ついてたもん。そうだとは思ってた。

 

 サクラメントキャノンは桜の花びら状のプリズムが散る時の花びらと同じようにと舞い、その後景色がピンクになって極太レーザーが放たれる……らしい。

 

 なるほど、分からん。エフェクトを口頭で言われましてもねェ……

 

 

「この工場は姉によって二度壊された……一度目はミカンを助ける時。二度目は多分……失踪直前にヨシュアさんと共闘した時」

 

「つまり……これは桜さんの失踪直前の痕跡……」

 

「……ここら辺で何か手掛かりとなるものを探してみようぜ。意外なもの・意外なところからすっごい情報とか得られそうだからな」

 

 

 俺がそう勝手に仕切り始めちゃったところで、早速倉庫周辺の調査開始。瓦礫や岩の裏とかを探りながら、桜さんのコアがどこにあるのかを探し当てるってイベントに突入したってわけだ。

 

 ………………まぁ、原作を知っている俺はそのコアがどこにあるのかをきちんと把握してはいるが、今この場で言うことはできない。その証拠となるものがないし、何より……

 

 いや、この話題はよそう。今は桜さんとヨシュアさんが共闘中に何をしていたのかをできる限り調べることに優先だ。それが今すべきことだからな。

 

 

【マスター。白龍様が話したいことがあるって言ってたメェ〜】

 

 

 ファッ⁉︎ 家で家事やってたはずのメェール君の声が、直接脳内に……⁉︎

 

 あっ、そっか。召喚獣達にはテレパシー能力があって、通話器具なしに俺の脳内に声を届けられるんだっけ。すっかり忘れてたわ。思い出すのも、誰に説明してるのかも分からない人達に教えるのも。

 

 で、白龍様は今はまだ俺の夢の中でしか声を発せないんだったっけ。なんでそんな設定なんだという疑問はさておき、なんと面倒臭い状況に至ってるのやら。

 

 

 

【マスター。どうやらマスターがいる場所には、シャミ子ちゃんが見つけるであろうあのマジックアイテムの他に、もう一つそれと同格みたいなものが埋まってるって情報が入ったメェ〜】

 

 

 

 ………………えっ? マジックアイテムがもう一個? 嘘でしょ? 物語の重要なカギとなるあの強力な武器と同格のヤツが、もう一個ある? 何それ、俺聞いてないんだけど……

 

 

【白龍様ならその魔力の発源地を調べることができるけど、デフォルメの姿だと穴掘りは難しそうな手と体力だし、本来の姿だと余計なものまで掘り起こしたり目当てのものを壊しかねそう、らしいメェ〜】

 

 

 穴掘りで発掘する前提かよ。モグラかアンタは。でも、それで探すしかないとなると確かにデフォルメでも本来の姿でも難しいだろうけどさ。

 

 それに、もう一つのマジックアイテムってのがどんなものなのか気になるし、それが優子達の役に立ってくれるってんならまた嬉しいし。

 

 

【だから──】

 

「……わかった。変なことをしそうになったらすぐに元に戻すからな。それと、その間に俺が白龍様の様子を伺える環境も作ってほしい。白龍様がそれでもいいってんなら、いいぞ」

 

【だそうですけど、白龍様は───了解だメェ〜。マスター、了承してくれたメェ〜よ】

 

「よし、それじゃあ……

 

 

 

 ()お貸しします(・・・・・・)

 

 

 

 白龍様の了承を承ったことを確認し、そう呟いた瞬間……

 

 

 

***********************

 

 

 気づいた時には、俺は何故か先程までいた破壊された工場が映し出されていた映画スクリーンみたいなものの前で、ソファに座っていた。

 

 えっ、何これ? ここどこ? なんで俺、席がソファとなってる映画館みたいなところにいるんだ? いやホント、マジでここがどこなのか分からんか怖いんですけど……そんな事を考えながら、ふとスクリーンを観ると……

 

 

 

 そこに映っていたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()。だが今この場にいる俺と違うところは、銀髪の部分がいつもよりもギンギラとした輝き(目に優しくはあるけど)を放っており、瞳の色もよく見ればエメラルドグリーンの如く輝いていた。

 

 

 

 あぁ……なるほど。つまりここで()が物語の支障になり得ることをしないかどうか監視しろってことか。

 

 ん? 急に冷静になったけどどうした、だって? 俺が何故ここにいるのか、何故スクリーンに髪の輝きと瞳の色が変わった俺が廃工場にいる場面が映ってるのか、それらを既に把握したからだ。

 

 実はこんな状況になった理由が、全て俺が神様から授けられたもう一つの転生特典を使用したことによるからだ。

 

 

 

 俺が神様から授けられた転生特典─それは『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』という、俺が完全に主導権となる二重人格的な能力だ。

 

 

 

 一度白龍様からの説明を聞いたものではあるけど、何かしら誤魔化したり強者の雰囲気を少しでも出したいって時などに使えるらしい。一時的に白龍様に体を貸して、一通り済んだら返してもらうって事も安易に可能となる。

 

 ちなみに白龍様が無理矢理俺の体の所有権を奪い取る事は不可能とのこと。けど本当はいつ取られてもおかしくはないのでは? と今感じたのは俺の気のせい? 怖っ……

 

 というか……桃がドデカサイズ込みの瓦礫を退かし、優子とミカンがそれを見て引いてるって時に、それらを無視して白龍様は俺の身体を使って何してるんだ? 邪魔にならないようにしてることは確かなんだけどさ……

 

 ん? なんか穴を掘り始めた……ファッ⁉︎ なっ、なんじゃこりゃあ⁉︎

 

 

 

 なんか某ロン○ミアン○みたいに金や青の縁で覆われた銀色の円錐状の槍が、倉庫の近くの土から掘り起こされたぞ⁉︎ いやマジで何これ⁉︎

 

 つーか白龍様、発見した瞬間に写真をパシャリするのやめてくれません? まだ本物のマジックアイテムなのかも分からないのに何呑気に写真撮ってんですか。緊張感とかないのかアンタは。

 

 

 

 ……って、アレ? 白龍様が手に取った瞬間、槍が突然キーホルダーに早変わりしたんだけど……? 『あのアイテム』と同じように、魔力が足りないからとかそういった理由で、本来の姿からかけ離れた感じになるのか? うーむ……分からん。

 

 

【おーい。白哉ー。聞こえるかー?】

 

 

 こ、このだらけきった声は白龍様⁉︎ こいつ……直接脳内に⁉︎ あ、ヤベッ。前世で覚えたミームネタが頭の中に思い浮かんできたからつい……白龍様に『こいつ』はないやろ身分的に。

 

 

【別にタメ口でも問題ないぞー】

 

 

 あっ。そういや白龍様はリリスさんが優子の脳内を読み取れるように、彼も俺の脳内を読み取れるんだった。脳内で何か考える時も言葉を慎んだりしておかないとな……

 

 

【そんなことよりも報告だ報告。お前のスクリーン越しで見てるだろうけど、戦闘の時のみ本来の姿を取り戻す系の槍を拾ってきたぞー】

 

 

 あっ、あの槍ってそういう系の武器なんだ……『あのアイテム』みたいに持ち主の魔力に比例して形状が変わるとか、そういった系ではなかったのね……

 

 っていうか、どうしてそんなものが工場の土の中に? そもそも誰が埋めたんだろう? コメディとミステリアスが混ざったまちカドの世界だからか、どうしても気になってしまうんですけど……

 

 

【そこは知らん。お前から得た知識しか原作の事を知ってないのだから、イレギュラーの事なんて分かるわけないだろ】

 

 

 えっ。じゃあなんでその槍が戦闘時に本来の力を取り戻すヤツだって分かったんですか?

 

 

【そういう系の武器は内臓されてる魔力が複雑な脈絡となってるからな、その脈絡がどんな感じになってるのかを察知すれば、どういう風に物が変化するのかとかが分かるものが多いんだ。この槍はそれに値してる】

 

 

 ………………あぁそういうことね、完全に理解した(わかってない)。

 

 というか魔力の脈絡って何? 種類みたいなものがあるの魔力って? つーか脈絡ってどうやって察知や判断するのさ? 更なる謎を作るのやめてくれませんかね?

 

 

【まぁ脈絡を持ってるものなんて滅多にない感じだからあまり気にするな。んじゃ、俺は精神世界に戻ってこの槍の事を調べておくからお前はシャミ子達のところに戻ってくれ。ちょうどシャミ子が武器を見つけたから】

 

「えっ、ちょっと待ってくだ───」

 

 

 

***********************

 

 

 ───ハッ⁉︎ こ、ここは……⁉︎ いつの間に白龍様が立っていたところに、俺が立っているんだ……⁉︎

 

 ……あぁなるほど、白龍様が俺に身体を返すのは白龍様の意思でも可能ってわけか。けどなぁ、いきなり返してもらうってのは状況次第では不便な設定になりかねないぞマジで……

 

 

「……にしても、まさか俺が武器を持つことになるなんてな」

 

 

 そう言って俺は右手に握られていた、白龍様が掘り起こした槍から変化したキーホルダーを見つめた。それは青と金色の縁からキラキラと輝く光沢を放っており、このサイズでも周囲を明るく照らしてくれるのではないかと考えてしまう。

 

 まぁ、白龍様が持つ前はちゃんとした(?)サイズの槍だったんだし? めっちゃカッコよかったんだし? シンプルにめっちゃ強そうなデザインしてたし? 絶対戦う時にめっちゃすごい力を発揮してくれるよね? そんな機会はしばらく来ないかもしれないけど。

 

 ……けど、戦闘時じゃない時はこのようにキーホルダーになるんだな。つーか戦闘時になったって時はどうやって元のサイズに戻せばいいのさ? あと、戦闘が終わったらどうやってまたキーホルダーに戻せばいいのさ? そのやり方がまだ分からないのは不便じゃね? マジで。

 

 

「白哉くん、そろそろ帰るよ。シャミ子がなんかのステッキを見つけたみたいだから」

 

「信じてないような感じに言うなー‼︎ 本当にさっきまでは普通にキュートな形状のだったんです‼︎」

 

「今行く……ってか桃、俺の母親みたいに呼びかけるのやめろ。それと優子も落ち着け」

 

 

 桃に呼び出されたことだし、槍の件は後で考えることにしようか。ちょうど優子が例のステッキを見つけたから、そこにみんなを集中させたいし。

 

 ……にしても、なんでこの工場に例のステッキみたいに、非戦闘時にキーホルダーになる槍が埋められてたんだ? 普通に見つからなかっただけなのかもしれないとはいえ、原作ではそんなものなかったのに……うぅむ、さらに謎が謎を呼んでしまってるな。勘弁してくれよ……

 

 

 

 

 

 

 ばんだ荘に戻った俺達は優子が掘り起こしたというステッキ──だったというフォークについて話し合うことに。それも吉田家にて。町の移住歴の長い清子さんならそのフォークを知っているのかもしれない、という桃の推理によるものらしい。

 

 無論というべきなのか、清子さんはそのフォークの正体をは知っていた。原作知識持ちの俺は絶対そうだろうなとは思ってたけど。

 

 

「それは恐らくお父さんの持ち物。由緒正しきメイドインメソポタミアの………………えーっと、なんとかの杖

 

「おかーさんど忘れですか⁉︎」

 

 

 えぇ……? 杖のデザインがどんな感じだったのかとか、どこ製のものなのかとかは分かるのに、何故名前の方は全く覚えてないんですか。吉田家の家宝でもあるでしょうが……

 

 清子さんがヨシュアさんから聞いた話によると、一族の魔力を掛け算的に増幅し、棒状の物なら自由に変形できるすっごく便利な杖だそう。だが名前は印象の薄い横文字ネームだった為、リリスさんでも『ア』から始まるってことしか覚えてない模様。

 

 ちなみに優子が握って変形したのは、その杖が周辺の価値観の影響を受けやすく、魔族が握って久々に活性化された時に優子の武器観の一番上の引き出しであるフォークに変形したようだ。映像とかを観た知識を記憶して武器観を鍛えれば変形できるのだが……

 

 うーん、俺は正直フォークのままでいいのかもしれん。武器観が変わって常時危なっかしいものを持つことになるのではと考えると警察沙汰になる可能性があるからな。何時でも自由に変形できるようになるまでは非戦闘時はフォークのままでいさせて。マジ怖い。

 

 あっ、そう考えると俺が今持ってる槍だったものから変わったキーホルダーも値するのかもしれない。槍に戻ってキーホルダーに変形させることが出来なくなったら後がもう大変なことになりかねないからな。自由に変形できる手段を覚えるまで、このキーホルダーもこのままいいかな。

 

 そしてこの名称ど忘れだけど吉田の大切な家宝であるなんとかの杖は優子が持つことになった。色々な場所で棒状のものに自由に変形できるこれは、ヨシュアさんみたいな直系の魔族でないと使えないみたいなので、自分と大切なものを守るために使ってほしいという清子さんの願いから決定したのだ。

 

 まぁ、後は優子の使い道や武器観の向上次第だな。強い武器をイメージして気合い入れて変形させるまではいいけど、重いから上手く持てなかったら本末転倒だし、おいおい使い道を考えてもらいたいものだ。

 

 ……けど、非戦闘以外で使わざるを得ない状況って現実世界では起きるのか? 今のところほのぼの感みたいなのしか遭遇してないからわかんね……

 

 あっ、そうだ(唐突)。

 

 

「清子さん。ちょっと気になることがあるのですが、これを見ていただけませんか?」

 

 

 そう言って俺は槍だったものであるキーホルダーをポケットから取り出し、清子さんに見せてみた。そしたら優子も桃も、無論良子ちゃんも集まって興味津々にそれを見に来た。

 

 

「これは、西洋の槍……っぽいキーホルダーですね」

 

「実はこれ、同日に白龍様がなんとかの杖があった土地を掘り起こしたら出てきたものなんです。その時は本物っぽいサイズの槍だったんですけど、持った途端こんなになっちゃって……」

 

「……私が言うのもあれですけど、白哉さんの武器観ってキーホルダーのコレクションから……?」

 

「マニアみたいにそんなに持ってないからキーホルダーは。というか武器観がキーホルダーって何? もし本当なら俺の武器観というか価値観が乏しく思えてくるんですけど」

 

「で、ですよね……アハハ……」

 

 

 うん、どこかお前を傷つけてるのかもしれないことを言っちゃったのは悪かったって思ってるけどさ。男の武器観がキーホルダーって何よ? 俺の頭どうなってんだって話になるでしょうよ。

 

 

「……で、清子さん。これに何か見覚えとかってありますか? 吉田家の家宝ってわけじゃなさそうなので、淡い希望ではありますが……」

 

 

 頼む……‼︎ せめて名前、名前っぽいのだけでも有益な情報を覚えていてくれ……‼︎

 

 

「………………ん? セ……」

 

「ん? 『セ』? 何か思い出したんですか?」

 

「……ごめんなさい。こういうデザインのはなんかの紙で見たことがある気がするんですが、いつどこで見たのか思い出せなくて……一応『セ』から始まる名前であることだけは思い出せましたが」

 

「そうですか……それだけでも充分です、ありがとうございます」

 

 

 やっぱりこの槍については清子さんも知らないのか。何故名前の頭文字とデザインの二つだけは覚えているんだ? なんとかの杖なんて思い出せてなかった癖に。けどまぁ、何の情報もないよりは有益なのが唯一の救いだったけどな。欲張りはいけない。

 

 ……それにしてもこの槍、一体何なのだろうか……? 誰のものだったんだ? 何故埋められてた? 謎は深まるばかりだぜ。

 

 

「………………白哉さん……」

 

 

 

 

 

 

 皆で武器の事について話し終わった後、吉田家の部屋にてパソコンを使ってなんとかの杖から変形出来そうな武器案を探している桃と良子ちゃんを他所に、俺は部屋の隅にて座り込みながら槍のキーホルダーを見つめていた。

 

 なんで自分の部屋に戻らないのかって? そりゃあこの後の優子が起こす原作のサブイベントを見る為だよ。まぁこのイベントで優子はとある失敗して恥をかいてしまうけど、そんな惨めな姿を見て嘲笑う気とかは微塵もないぞ? 桃の為になんとか頑張ろうとする彼女の勇姿(?)を見届けたいだけなんだよ。いやマジで。

 

 ところで何故槍のキーホルダーを見つめているのかというと、無論この槍についての考察をしてるからだ。だって原作には出なかった強力な武器(だったのかもしれないもの)が掘り出されたんだぞ? それも誰のものなのかも分からないものだぞ? これが何なのかとか元に戻したりするにはどうすればいいのかとかを考えてしまうに決まってるでしょうが。

 

 それに、自由に使えるようになったとしたらどのように使おうかとかも考えたくなるものでもあるんだ。戦闘イベントはまだあまり起きないだろうけど、ゲームの武器は主に男のロマンやろ? イメージしてしまうのもしゃあないでしょうが。

 

 これ考えていいのか分からないけど、戦闘じゃない場面で使うとしたらどういった場面がいいのかな? デッカい障害物を破壊する為に、とかなら戦闘じゃない場面でもカッコよく使えそうだけど……

 

 

「あ、あの、白哉さん……」

 

「ん? なんだ優子?」

 

 

 色々と考えてたら優子に話しかけられたんだけど。ってアレ? 桃に対してイベント起こすの後回しにして大丈夫なのか? まぁ問題無さそうだけどさ──

 

 

 

「だ、大丈夫ですか? ……お、おおお、おっぱい……揉みますか……?」

 

 

 

「………………はひゃへっ⁉︎」

 

 

 あ、危ねェ……咄嗟に声小さくしたおかげで、桃と良子ちゃんに気づかれずに済んだ……じゃなくてさぁ⁉︎

 

 優子、今なんて言ったんだ⁉ お、おっぱ……じゃなくて、む、胸揉むか、だって⁉ なんで⁉ 突然何⁉ 前『自分以外のは揉むな』って言ってきたのは覚えているけどさぁ、急に揉むかって言われましてもねェ⁉

 

 

「きゅ、きゅきゅきゅ……急にどうした優子? 俺お前になんかやらかしてたか?」

 

「あうぅ……そ、その……白哉さん、そのキーホルダーの件をおかーさんに聞いてから浮かない顔をしていたもので、どうしても心配になってきて……」

 

 

 えっ? 俺、また無自覚にも心配されるような顔してたの? まぁこの槍の事で何かしら考えていたのは事実なんだけどさ……

 

 

「そ、それで、ごせんぞにどうしたら白哉さんが元気づくのか相談したら……か、身体に触れさせることによる快感が有効打になるって聞きまして……」

 

「やっぱり優子自身の発案じゃなかったか。というかリリスさん後でシバいてやろうかな……」

 

「だ、大丈夫です‼︎わ……私はどこを触られても構いません‼︎びゃ、 白哉さんを元気にしてあげられるのならば、胸だろうと女の子の大事なところだろうと触らせてあげますから‼︎ そ、それと、白哉さんにだったら、頼まれたらさせてあげられるように、頑張りますから……そ、その……性処───」

 

「ストップストップ‼︎ そこまで‼︎ き、気持ちだけで充分だから‼︎ 桃や良子ちゃんに聞こえないようにしてるのはいいけど、聞こえてるこっちからしたらめっちゃ恥ずかしいから‼︎ やめれ‼︎」

 

 

 や、ヤベェ……優子が今まで以上に暴走してR-18作品確定な展開に持ち越そうとしてたから、思わず大きな声を出しそうになったわ……特に最後に言おうとした言葉は絶対良子ちゃんの耳には入って欲しくない……未成年どころか小学生が知ってはいけない言葉だからな、マジで。

 

 というかマジで正気に戻れ‼︎ 止まらないと後先後悔するレベルのヤンデレモードと化してるよ‼︎ どうにかして対象を自分のものにしようとしてる感が強くてマジヤバいから‼︎ やめろ優子‼︎ 落ち着けェ‼︎(ピロロロロロ…)

 

 

「ハッ⁉︎ ……す、すみません。色々な本心が混ざって自分でも恥ずかしい事を淡々と言ってしまいました……」

 

「淡々と、か……? ま、まぁとにかく正気に戻ってくれたのはよかったけどさ」

 

 

 よ、よかった……いつも通りの暴走してもすぐに正気に戻ってくれる感じで助かった……。もしもあのまま暴走させてR-18作品にありがちな言葉を許したら、もう言ったことをその場で実際にやりそうで怖いもん。

 

 俺は童貞だから本当はそれらを実際にやってほしいってのはあるけど、俺の事になるとヤンデレモードになって暴走した彼女がどのようにしでかすのか分からないから……

 

 

「………………私、桃を笑わせたいと思っています」

 

「へっ? お、おう」

 

「困った顔で笑うことはあるけど、満面の笑みは出そうとしない。そんな苦しげな眷属を重荷無しに笑顔にさせることも魔族の仕事なのかもしれない、そう感じています」

 

「おう」

 

 

 まだ桃は眷属になってくれてはいないけどな。それでも仲の良い人の為に何かしようというその心意気は大切だ。古事記にも書かれている……といいな。

 

 

「でも……魔族である以前に、幼馴染にも笑ってほしいとも思っているんです」

 

「おう………………えっ? 俺も?」

 

「はい。先程までの白哉さんだって、そのキーホルダーの件からずっと笑ってなかったですよね? それに、ミカンさんから小さい頃の桃の話を聞こうとしてた時も苦しそうな笑顔を浮かべて……。どれも無自覚とはいえ、いつもこんな私に気遣ってくれている幼馴染のそんな顔を見ていたら、放っておけなくて……」

 

 

 ………………あぁ、そうか。優子はこんな俺の事が心配で仕方なかったんだな。何故出す気のなかった表情を浮かべてしまったのか、前から感じていた胸の痛みの正体が何なのか、そんな自分の心情に気づけずにいる俺の事を想ってくれていたんだな。

 

 情けないな、俺は。幼馴染に心配かけるような真似をして迷惑をかけて、それでも尚『頑張って手を差し伸べたい』って思わせておいて心配させたりもして……

 

 今まで気づかされていなかったんだな。一番無理している惨めな人生を送っていたのを、助けてくれていたのは───

 

 そんな事を考えていたら、俺はそっと優子の頭を撫でていた。それも無自覚にだが、行動に出す前に撫でてやりたいと思っていたから特に問題はないはずだ。これやって優子が顔を真っ赤にしてしまうこと以外は。

 

 

「えっ、あっ……」

 

「ありがとうな、こんな俺の事を心配してくれて。俺は今のところ大丈夫だ。けど……もし本当にダメそうって思ったら、遠慮せず俺に手を差し伸べてくれ。そしたら安心すると思うから」

 

「は、はい……」

 

 

 んあっー(語彙力低下)、優子が両手で顔を隠しとる。照れ隠しとか可愛く見えてしまうー。優子に優しくされたと思ったら『可愛い』って感情が強く出てしまってる。これ、ある意味ヤバいなマジで。

 

 あっ。ヤ、ヤバい……いつものナデナデ時には感じてなかったドキドキが止まらないんだが……今の優子が可愛すぎるって思えてきたら、結構……

 

 

「は、はいナデナデ終わり‼︎ ほ、ほら! 桃を笑顔にする仕事があるんだろ⁉︎ そっちに集中してってくれ‼︎ そ、それじゃあお疲れ様でした‼︎」

 

「お、お疲れ様でした……?」

 

 

 なんだか自分が今した事に対して羞恥心を感じてしまったので、俺はそそくさとその場を後にした。なんで恥ずかしいと思ったのか自分でも分からない。けど無自覚で表情が出てしまう癖を想定して優子から離れたのは正解……だと思う。

 

 ……にしても、なんで俺はあんなにもドキドキしているんだ? いくらさっきの優子が可愛かったからと言って、そそくさと逃げるような対応をするなんてどうかしてる。

 

 ……アレ? ちょっと待てよ……? まさかとは思うけど……

 

 もしかして、俺も、本気で優子の事が───

 

 

「まぞくの一発芸………………『虫歯菌』

 

「……えっ? ごめん、声が小さくて聞こえなかった。何?」

 

 

 ………………うん、この感情について考えるのはまた今度にしよう‼︎(白目)

 

 




おまけ:台本形式のほそく話その11

メェール【第一回・マスターの武器またはシャミ子ちゃんの武器の名前を当てようのコーナー‼︎】
召喚獣一同【イェーイ‼︎】
白哉「……え、何これ?」
メェール【マスターとシャミ子ちゃん、結局各々が手に入れた武器の名前を思い出すどころか、本当の名称を思い出すまでの仮の名称を思い出すことすら出来なかったじゃないかメェ〜? だから僕達が代わりに思い出させてあげたりとかしようと思って、この企画を発案したんだメェ〜】
白哉「は、はぁ、なるほど……?」
メェール【というわけで、早速決めておくメェ〜。思いついた人から前もって配られた紙にその名前を書いて、早い者順に僕に提出しておくメェ〜。ちなみにマスターの武器の頭文字は『セ』、シャミ子ちゃんの武器の頭文字は『ア』だから忘れないようにするメェ〜】
召喚獣一同【はーい‼︎】
白哉「……何故だろう、嫌な予感がする」

数分後

メェール【それじゃあ募集したものの中から、あり得そうだなと思うものだけを発表するメェ〜】
召喚獣一同【イェーイ‼︎】
白哉「(大丈夫だろうか……)」
メェール【まずはシャミ子ちゃんの武器からだメェ〜。候補して挙げられるのは……アスタロトの杖、アレクサンドルの杖、アリアナの杖、アヴァロンの杖……】
白哉「おっ、結構良いネーミングセンスだな」
メェール【アホォの杖、あばばばばばの杖、アヒージョの杖、アントニオの杖、アブラカタブラすっぽんぽんの杖……だメェ〜な】
白哉「……後半で台無しだよ。しかも最後のは何?」
ピッピ【私が発案したものだ】
白哉「クールキャラがすっぽんぽんなんて言葉を用いちゃいけません」
メェール【次はマスターの武器だメェ〜。候補は……セバスチャンランス、セレスティーナの槍、セルランス、セコムの槍……】
白哉「前半から酷いの多くね?」
メェール【あっ、これなんか結構良いと思うメェ〜。セック───】
【あっ⁉︎ マスター何ビリビリに破ってんだメェ〜⁉︎】
白哉「今メェール君が言いそうになった卑猥なネーミング書いた奴、正直に手ェ挙げて」(ガチギレ)
白龍【俺だけど】
白哉「今日の白龍様の飯は納豆ご飯だけです」
白龍【なっ⁉︎ せめてレトルトカレーかレトルトの丼物にして⁉︎】




前半あたりは桃が恋する乙女であることがちょっとだけ判明、中盤あたりは白哉くんのマジックアイテムの獲得、後半は白哉くんとシャミ子の進展(?)……情報量、多くしてしまったよ……

つーかさすがに文字数多くしすぎたから、次回は一週間空けて投稿すべきか……? もしそうなった場合は活動報告にて報告致します。

くどいですが、自分は感想がもらえないと不安になる亡者なので、感想を気軽に書いていただけると小説執筆の励みになります。どうか……どうかお恵みを……‼︎ もらえなくてマジ不安……‼︎

 
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