偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語   作:名無しのモンスター

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完成と次の話の執筆を急ぎながらの初投稿です。

やっぱり無闇に週二するのは宜しくなかったと今回後悔しております……


桜さんから明かされる真実。そして……えっ⁉︎ びゃ、白哉さん⁉︎ 今なんて⁉︎ by.シャミ子

 

 ついに私、シャドウミストレス優子は大義を成し遂げることが出来ました。

 

 桃のお姉さんであり、多摩町を支えてきた魔法少女──千代田桜さんを、何故か私の十年前の記憶の世界で見つけることが出来たからです。

 

 けど……早速桃に会わせる為にこの記憶の世界の出口を探そうとしたのですが、ここでとある問題点に引っ掛かってしまったみたいです。それは、桜さんが帰れない……この世界から出られないということ。

 

 どうして出られないのか、桜さんは教えてくれた。私の目の前に現れた彼女は本物ではなかった。私の記憶の中の蜃気楼みたいなものらしく、一定時間が経つと消えてしまうそうです。本人ではなかったんですね、せっかく見つけられたと思ったのにな……

 

 

 

 そして桜さんが帰れない最大の理由があった。それは……桜さんのコアは、私の中に埋め込まれてしまったということ。

 

 

 

 いや、まるで当たり前なことみたいに言っているかのように聞こえるとは思いますけどね? 私もそれを聞いた時はね、文字にするとグ○ンラ○ンとかで使われそうなフォントを使用しそうなぐらいのデカい声を出して驚いてましたよ? 天元突破してドリルブレイクしそうな程の衝撃の真実を聞いちゃいましたよ……

 

 どういうことなのか聞こうと思ったのですが、今の桜さんは私の脳を借りて喋っている為、複雑な説明ができないとのこと……なんか私ってバカだと思われてるのかって感じの言われ方でしたが、ぶっちゃけ私よりも桜さんの方が断然頭が良いので、そう言われても仕方ない……のかな?

 

 感覚で吸収した方が飲み込みが早いとのことで、私の力の練習がてら記憶探しの続行を勧められました。無論状況が追いつけてない為すぐに切り替えが出来ませんでしたが。

 

 とりあえずはなんとかの杖を構えて自分の記憶を探ることにしました。どうやらこの杖は桜さんが廃工場で埋めてたっぽい感じで、あの時聞こえていた、幻聴は奇跡的に波長が合って伝えられることが出来た桜さんの意思によるもの。つまりは桜さんが伝言できるようになったタイミングで、私は誘導されてこの杖を見つけることが出来たそうです。

 

 桜さんから教わった記憶の探り方は、目は閉じているけれど頭の中でもう一つの目を開いてる感じ。集中して束ねた意識の先端から記憶の池に水滴を落とすイメージ。

 

 そしてスッときたら、バアッといって、ガーン………………いや、分かってますよ? 自分でも何言っているんだってことぐらいは。でも、桜さんの説明は擬音語によるミ○タージャイ○ンツ方式な感覚系指導だったので、今でも何言ってんだって思ってます。桜さんの後半の説明、大雑把にも程がありますよ……

 

 桜さんの話によれば、十年前の私はおかーさんが思っているより弱っていたらしい。魂は呪いのせいで構造が弱ってスカスカで、桜さんがしてくれた処置は気休めだったそうです。

 

 つまり、あの時の私は本当に命を落とすところまで病弱だったらしい。もしも本当に死んでいたら、家族にも、桃達にも、そして……白哉さんにも会えなかったのかもしれないってことになっていたんですね。改めて考えるとゾッとしますね。

 

 コアになって猫の姿を保つ魔力もほとんどなくなった時に、私の事を思い出し、私が入院していた病院へと駆け込んで行ったそうです。その時の桜さんを、店長とブラムさんが見掛けたって感じですか……こんな偶然ってないかもしれませんね。

 

 と、この説明を受けた時に景色は一変し、かつて私が入院していた頃の病室の前までに来ました。

 

 その病室のドアを開けた先にいたのは……ベッドで寝込んでいた私と、猫のコアになっていた桜さん。この時の桜さんはこの町には当面災いは来ないだろうと予兆し、結晶のコアになって私の体内へと入り込んだ。これによって、私の命は桜さんのコアに支えられることによって繋がれた……ということらしい。

 

 その真実を知ったところから、現在に至る。私は桜さんによって助けられた。桜さんはコアとして私の中に居続けている。これで謎は解けた気がします。………………でも、こんなのって……

 

 

「私ね、後々になって思ったことなんだけど、君の中にコアを入れておいて正直正解だったって思っているよ」

 

「えっ……? なんでですか?」

 

「私の最後の踏ん張りが、いつ死んでしまうのかも分からない君を救うことが出来た。桃ちゃんやミカンちゃん……みんなに会わせることもできた。様々な経験をさせてあげることもできた。そして何より……白哉君に恋に落ちた君を、ギリギリだけど暴走させずに済ませることができたしね♪」

 

 

 た、確かに桜さんのおかげで、私は今を生きることが出来ましたし、色んな人と出会って様々な経験をすることが出来ました。コアを受け取る前からずっと生死を彷徨う状態のままだったら、こんな良い経験は出来ませんでした。でも、やっぱりそれでも……

 

 ………………ん? んんん? 今、ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするのですが。

 

 

「……桜さんすみません。今さっき、白哉さんの名前を出してませんでしたか?」

 

「うん? 出してたよ? シャミ子ちゃんが見ている景色とかを覗くことが出来た時期もよくあったからね、白哉君と仲良くなり始めた時の事もちゃんと把握しているよ」

 

「……私が彼に恋に落ちたってのは、いつ頃から気付いてたのですか?」

 

「君が目覚めて初めて白哉君とおしゃべりした後すぐに。その時から恋する乙女って顔してたよ」

 

「……私が暴走しそうな性格だって気づいたのは?」

 

「君が中学生だった頃。黒いモヤモヤとしたものをよく見かけたから、シャミ子ちゃんが白哉君に絡む女の子に嫉妬してるんだなって気付くことが多かったよ。大抵は君自身が感情を出し過ぎないように抑えていたから暴走せずに済んでいたけど、大きいのが出た時は流石にコアの光で落ち着かせてたね」

 

「………………」

 

 

 えっと……私が白哉さんの事を好きになったってのは、そうなった日から既に見抜かれていた。愛が重たくなったとも気づかれていた。そして本気でヤバそうになった時は桜さんが抑えてくれていた、と……

 

 ………………

 

 

 

「ゆgそだうkjgしゅvmのまldやぬgっpめcjすぉぁtぴ」

 

 

 

「勝手に覗いてたのは悪かったけど落ち着いて⁉︎ その悲鳴のせいで予定より早く消えそう‼︎」

 

「ハッ⁉︎ ……す、すみません」

 

 

 い、いけないいけない。錯乱して危うく桜さんを消してしまうところでした。まだ聞きたいことや助けてほしいことがあるのに、こんなところで消えてしまったら完全にパーです……

 

 

「……白哉君、面白い子だよね」

 

「へっ……?」

 

「見た目はクールそうな子なのに普通の男の子らしさがあって、時には情熱的になることがあって、なんやかんや言いながらもみんなと優しく接してあげていて……」

 

 

 あ、あの……何故突然白哉さんの事を語り始めてきたんですか? 私の体内に入ったコアを通してずっと彼をも見てきたのはわかりますけど、どうしていきなり……? ハッ⁉︎ さては桜さんも、実は白哉さんの事を……⁉︎

 

 

「そして何より、君が自分はヤンデレ……愛の重たくなった子であることを伝えてきても、非難したりせずに寄り添おうとしてくれている。そんな変わった子だから、シャミ子ちゃんは彼の事が好きになって、桃ちゃんも彼に救われたんだよね。……正直、彼とは直接会ってお礼を言いたかったな。シャミ子ちゃんの側に寄り添ってくれて、桃ちゃんにも手を差し伸べてくれて、ありがとうってね」

 

 

 ……あっ、なんか違うっぽい。ただ単に私と桃の事で感謝を伝えたくなったって言ってるだけでしたか。よかった……もし桜さんまで白哉さんの事を好きになってしまったら、私の心臓に悪いですよ本当に。暴走待ったなしです。

 

 それにしても、直接会ってお礼を言いたかった……ですか。それならまた夢の中に来る時に白哉さんも連れて行くので、その時に言ってもらえれば───

 

 

「………………そろそろ時間切れだ。君から日々かすめ取っていた魔力のヘソクリが切れてしまいそうだ」

 

 

 えええええええええっ⁉︎ このタイミングで⁉︎ このタイミングで消え始めちゃうんですか⁉︎ そんな殺生な⁉︎ 他にもまだ聞きたいことや助けてほしいことがあるのに、なんでこんなにもタイミングが悪いの⁉︎

 

 

「まっ……待って‼︎ ……桃に桜さんを返せないと、桃が……笑顔になれない……‼︎ 私……何のために頑張っていたのか分からなくなる‼︎ それに……白哉さんにお礼を言いたいのならば、尚更消えてほしくないです‼︎」

 

 

 桃と約束したのに……桜さんを見つけて会わせるって誓ったのに……白哉さんも喜んで手伝ってくれるって言ってくれたのに……それが叶わないだなんて、こんなの認められるわけが……

 

 

「……大丈夫! 白哉君への礼なら君が代弁してくれれば、それなりに彼も受け止めてくれるって思ってるから。それに、桃ちゃんはもう……私より、町より、自分より大切なものができたみたいだから。笑顔なんてすぐ見られるよ」

 

「……?」

 

 

 えっ……? それは一体どういう……

 

 

「……それにコアはいつか取り出せるよ。君が超強い魔族になって、呪いを克服すればいい。そしたら、私が支える必要がなくなるから」

 

 

 そ、そっか。別に取り出せる方法がないってわけじゃなかったんですね……いやよく考えたら難しくないですか⁉︎

 

 私、デカいタイヤを引けないどころか激しい運動に長く耐えられそうにない魔族ですよ⁉︎ 目安となる強さになるのに結構時間がかかるかと思います‼︎ ま、まあ低確率で意外となんとかなるかもしれないですけど……

 

 

「それから……ちょっと耳貸して。一つ……お願いがあるんだけど」

 

 

 えっ? こんなに近くにいるのに、なんでわざわざ耳元で伝えようと……って⁉︎ なんか本当に消え始めてる⁉︎ 桜さんの身体が消え始めてる⁉︎ ちょっ……桜さんの声が小さくなりそうだから、言われた通りちゃんと耳を貸してあげないと……

 

 

「桃ちゃんのことを、白哉君と二人で見ていてあげて。まさかこの町にあの子が戻ってくるなんて思わなかった。不器用だけど、とってもいい子なんだ。本当は一人、あの子の事をちゃんと見てくれる子がいるんだけど、その子は海外出張みたいな感じでしばらく戻れそうにないって聞いたから……」

 

 

 あっ。前までは桃の事を見てくれていた人がいたんだ。けど海外に行っててしばらくは桃の事を見てくれる人がいなかった、と……

 

 だったらその人が戻ってくるまで……いや、戻って来れないままでも大丈夫だと思ってくれる程になるまで、改めて私と白哉さんで桃を支えよう。また困ったことがあれば手を差し伸べてあげよう。それが、今の私達が出来る最善の手段。

 

 

「……はい、目を離しません‼︎ 宿敵ですから」

 

「よかった……これで安心して潜れる。そしたら! ついでにちょっとこの町を守ってみてよ」

 

「はい………………って、ええっ⁉︎ ついで⁉︎」

 

 

 なんでついでレベル⁉︎ 本来なら一番重要となる役割を、ついで感覚でやれってこと⁉︎ そんなんでいいんですか自分が守ってきた町の扱いは⁉︎

 

 

「君の考え方は私とちょっとだけ似ている気がするんだ。期待してるよ。……うーん、もう少しだけ話せるかな?」

 

 

 あっ……よく見たら、桜さんの身体の下半身が消えてしまっている。本当に、ここで桃と桜さんを合わせられなくなってしまうんだ……

 

 

「また魔力のヘソクリが溜まったらお話ししよう。毎日ちょっとだけ眠くなると思うけど、そこは許して。……それと、最後に一つだけ伝えたいことができた」

 

 

 ……えっ? ここにきて伝えたいことができた?一体何を伝えようと……?

 

 

「君は白哉君に対して愛が重たくなる自分が怖いんだったよね? そのせいで、いつか白哉君が自分の元からいなくなってしまうことも恐れて……」

 

「ウグッ⁉︎ ……図星をつかないでもらいたかったです」

 

「あ、それはごめん」

 

 

 やっぱり誰か白哉さんに対する感情を読まれてしまう、なんてことにはなってほしくなかったですね。その事を見透かされて引かれるのも嫌だったし、それはそれで白哉さんを傷つけてしまうかもしれないし……

 

 

「───でも、大丈夫」

 

「えっ?」

 

「彼はそんな君にも優しく接してくれる子なんでしょ? だったら君に対する答えを出してくれるのも、そう遅くはないはずだよ」

 

「そ、それは……そうかもしれませんけど……」

 

 

 白哉さんが答えを出してくれる日も近い、か……どんな答えを出してくれるのか気になるので正直聞きたいって思うけど、それは逆に怖くも感じてしまう。

 

 もしも、こんな私に対して白哉さんが出してくれた答えが、私を拒絶するようなものだったとしたら、私と白哉さんがどうなってしまうのか……

 

 

「あっ。ちなみに拒絶される、なんてことは考えなくていいよ。彼がそんなことを考えるような子とは思えないし、何より否定しようとはしない根本的な理由があるみたいだしね」

 

「えっ……?」

 

 

 根本的な、理由? それは一体どういう───

 

 

「今度こそ時間か……それじゃあね。白哉君と、お幸せに☆」

 

「ぬがっ……⁉︎」

 

 

 ひ、引っ掛かりのあることを聞こうとする前に、とんでもない捨て台詞を吐いて消えていった……⁉︎

 

 お、お幸せにって……だ、段階が早すぎるでしょうが‼︎ そのセリフはけ、け、結婚した人達に対して投げかけるものでしょうが‼︎ わ、私達は付き合ってすらいないのだから、踏み越え前提のメッセージはやめてくださいよ‼︎ 色々と気まずいでしょうが‼︎ 血は繋がってないとはいえ、やっぱり姉妹じゃないですか‼︎

 

 ってかとんでも台詞を吐いて消えるな卑怯者‼︎ 消えるなァァァッ‼︎ というか逃げるなァァァッ‼︎

 

 

 

 か、完全に消えてしまった。消えるなって言ってもやっぱり待ってくれるわけもなかったみたいですね。なんか複雑です。最後の最後で桃みたいに白哉さんの事で揶揄われたし……

 

 ………………それにしても、桃のことを見ていてあげて、か……確かにそれは重要な役割の一つとも言えるかもしれない……

 

 よし! とにかく今は帰ろう。桜さん直々の頼み事を……約束を果たす為に。

 

 まずは帰り方を探そう。嫌な思い出をちぎっては投げながらうろつけば、いつかは帰れますよね‼︎

 

 私、無事帰ったらなんとかの杖を使ってパンケーキ食べます。超強い魔族になるなら、これくらい余裕余裕………………今、とんでもない死亡フラグを立ててしまったような───

 

 

 

 刹那。私の背後の壁が爆破したかのように吹っ飛んだ音が聞こえた気がした。

 

『ギャオォォォォォォンッ‼︎』

 

 

 

 嫌な予感がしたのか後ろを振り向けば、私から見て左側の壁が崩れ落ちており、そこからモンス○ーハン○ーのリオ○ウスみたいに巨大な翼に鉤爪がある竜が出てきた。しかも十数体も。

 

 あっ……これ、フラグ回収が開始されてるパターンですね。分かります……って、宣言して僅か十秒で回収されてたまるかー‼︎ こんなどのようにして入院してた頃の私にトラウマを植え付けたのかも分からないドラゴンさん達に、すぐボコボコになんてされてたまるかー‼︎ こっちにはズルい武器があるんだ、絶対負けるわけには……

 

 

 

 数分後。

 

 

 

「嘘でした‼︎ 余裕なんてありませんでした‼︎ 牛さん相手よりもめっちゃ手強いです‼︎ 当然と言っちゃ当然だけど‼︎」

 

 

 このトラウマなのか分からないドラゴンさん相手に楽勝なわけがなかった‼︎ 皮膚が硬い上に数が牛さんよりも多いせいか、合計でなんと二十四頭もいたドラゴンさんを七頭までしか倒せなかった‼︎ なんか翼で防御とかをする程に知性も高かったみたいで、かなりハードな敵でした‼︎

 

 ぐぬぬ……なるほど。武器はあっても、持ち主に体力がないとジリ貧になる。魔族覚えた!

 

 って、しまった⁉︎ 逃げた先は壁! 行き止まり! つまりは詰み! 現実世界でこの状況だったら絶対死んでる‼︎

 

 というか今から逝ってしまいそうなタイミングなんですけど⁉ ドラゴンさんの一体がこちらに向かってデカい翼を振り下ろそうとしてる!!

 

 

「ここまでか………………これで勝ったと───」

 

 

 

 ───優子に、俺の幼馴染に触れるな‼︎ このリ○レウス擬きどもが‼︎

 

 

 

 ………………あ、あれ? 不思議ですね。ここにいるはずのない白哉さんの声が聞こえてきたような気がします。これってあれですか? 幻聴? それとも走馬灯? いや走馬灯の可能性は無いですね、だって夢の世界でボコボコにされても死にはしませんし……

 

 でも、いつの間にか白哉さんの幻みたいなのが見えてきた気がします。翼を振り下ろそうとしていたのにいつの間にか倒れ伏せているドラゴンさんの上に立っているし、なんか某ロン○ミアン○みたいに金や青の縁で覆われた銀色の円錐状の槍を持っているみたいですし……

 

 ………………ん? 『ドラゴンさんが倒れ伏せている』? その上に白哉さんが立っている? しかもロン○ミアン○みたいな槍を持って? えっと……幻だったら突然上から来ても、ドラゴンさんを踏みつけられるわけない、ですよね? こんなに時間がかかってもドラゴンさんが翼を振り下ろしてこないのはおかしい、ですよね? あれ……?

 

 まさかと思いながら、私は目をゴシゴシと念入りに擦ってみた。そして一度目を閉じ、ゆっくりと見開く。その視界の先に見えたのは───

 

 

 

 何処ぞの宴好き褐色王子様の色違い版の格好──召喚師覚醒フォーム──をした白哉さんが、私の目の前で翼を振り下ろすはずだったのに倒れ伏せていたドラゴンさんの上に立っており、他のドラゴンさんの集団を強く睨んでいた。

 

 しかも右手には某ロン○ミアン○みたいに金や青の縁で覆われた銀色の円錐状の槍を持っており、銀色の光沢が強く象徴されていた。

 

 

 

 ………………えっ……? 嘘……? いや、そんなはずは……彼が自力でここに来るとは思えないはずなのに。いや来てくれたらそれはそれで嬉しいけど……

 

 

「優子、来るのが遅くなってごめんな。後は俺に任せてくれ」

 

「びゃ……白哉、さん……? ………………‼︎ 白哉さん……!!」

 

 

 不思議と目に水みたいなのが溜まって視界が濁っている気がした。涙が出そうになった。それは一時的に助かったと思ったからではない。白哉さん本人が私の夢の世界に現れたことによる喜びからだ。

 

 何故私の夢の世界に来れたのか、どのような手段を使って潜って来れてのか、それは分からない。けど、こうして白哉さん本人が夢の世界に来て助けてくれた。その真実を知れただけでも嬉しかった。心の底から、すごく。

 

 

「さてと……とりあえずまずはあのリオレ〇ス擬き集団を片付けてもいいか? それとも倒しちゃダメな奴か?」

 

グスッ……いえ、ヤバい敵なので残り全部倒したいんですけど、正直体力が……」

 

「んじゃあ代わりにここからは俺が倒すよ。いいか?」

 

 

 白哉さんはそう聞きながら、私に向けて微笑みを見せてくれた。嗚呼、これだ。この笑顔だ。このいつも見せてくれる笑顔が、私の思考を狂わせる。そして私を安心させ、私の心を満たしてくれる。

 

 そんな彼だから、やっぱり私は……

 

 

「……はい!! お願いします!!」

 

 

 私からのドラゴンさん撃退の許可を受けた白哉さんは、また先程と同じ笑顔を私に見せ───

 

 

 

「───了解しました。我がシャドウミストレス」

 

 

 

 そう言ってくれた後、白哉さんは再びドラゴンさんの方を向いた。

 

 ………………って、えっ? 今、白哉さんは何を言っていました? シャドウ、ミストレス……我がシャドウミストレス……『我が』……

 

 ………………

 

 

「ぎんjdxみfgばぞいふyぅjけうおsぱぽcydちふぁyxしっ⁉︎」

 

 

 ろ、呂律が……!! 呂律が回らない……!! 『我が』⁉ 『我が』シャドウミストレス⁉ 今さっき、『我が』シャドウミストレスって言ってませんでした⁉

 

 気のせい⁉ 私の聞き間違い⁉ それとも白哉さんの意地悪⁉ い、いや白哉さんが意地悪なことを簡単に言うとは思えないし、私の心を弄ばすようなことも言わないはず……き、気のせいですよね!! 気のせいでしかないですよね!! 絶対そうだ!! うん!!

 

 って……あ、あれ? なんか、白哉さんの顔が赤くなっているように見えた気がしたのですが……気のせい、ですかね……?

 

 

 

 

 

 

 慣れないことはするもんじゃなかったな……なんだよ我がシャドウミストレスって。別に優子の従者になったわけじゃないのに、これじゃあ彼氏面して調子に乗ってるアイドルオタクか何かかと思われるじゃねぇか。むっちゃ恥ずかしいんだけど……

 

 この俺、平地白哉は、先程まで不完全な契りによって自分の夢の中でクローズハート・プリズン……『心閉ざしの牢獄』『真意を求める空洞』に閉じ込められていた。けど、突然俺の目の前に現れたフードの人の助言によって脱出することに成功した。

 

 そして、その助言通りのことをしたことによる影響で、先ほどまでキーホルダーになったままの槍も本来の姿を取り戻してくれて、この槍の力によって優子の夢の世界に突撃。その時の衝撃によって彼女に襲い掛かって来たであろうリオレウ〇擬きの一体を撃破した。

 

 この槍、『本当に設定どおりになってるとはいえ』、滅茶苦茶強いな……正にぼくがかんがえたさいきょうのぶきって感じだな。

 

 おっと、そんな事考えている場合じゃなかった。〇オレウス擬き集団が俺と闘うことをまだかまだかと待っていて、痺れを切らしているだろうし、そろそろ行くとするか。

 

 

「それじゃあいくか、セイクリッド・ランス」

 

 

 槍──セイクリッド・ランスを軽々しく振り回し、リオレウス擬き集団にに穂先を向けながら構えを取った。こいつを使うのは初めてだが、使い方は『アレ』を見てきちんと把握したんだ。絶対使いこなしてみせる……‼︎

 

 心の中でそう誓った途端、集団のうちの一体がこちら目掛けて突進し始めた。サイズがデカいからという理由もあってか、闘牛とは比較しても屁でもない程のスピードだ。こんな狭い場所で、俺の後ろには優子がいる。回避するタイミングなんてないし、庇おうにも普通ならば到底無理な条件だ。

 

 けど、この時の俺は違った。頭で何かを考える前に咄嗟に身体が動き、セイクリッド・ランスを突き上げただけで、穂先に触れたリオレウス擬きの顎を中心に吹っ飛ばし……所謂アッパーカットを炸裂させた。

 

 

「ウオラッ‼︎ ……って、は?」

 

 

 セイクリッド・ランスによるアッパーカットを受けたリオレウス擬きは、巨体の持ち主とは思えない程に軽々しく吹っ飛ばされて口に溜まってた濁りを吐き、重力に負けて即床に落下。その時に背中に受けた衝撃も加わって白目を剥いた。謂わば気絶ってヤツだな。

 

 

「……威力半端ねぇな」

 

 

 ……スゲェなこのセイクリッド・ランスは。振り上げて一撃を与えただけでリオレウス擬きを一発KOだぞ? 素での威力高すぎね? ふおぉぉぉっ……‼︎(歓喜)

 

 って、感性に浸ってる場合じゃねェな。呆然としていたリオレウス擬き集団が正気を取り戻しちゃって、内二体が突進を始めてきたよ。

 

 けど残念だったな。この槍は数の暴力にもそう簡単には屈しない性能を誇っているんだぜ? 例えばこのように……

 

 

「光の壁よ、俺達を守れ‼︎ シャイニング・ウォール‼︎」

 

 

 地面にセイクリッド・ランスを突きつけることで、前方から透明なガラス板みたいなキラキラに輝く障壁を生み出せるんだぜ? しかも〇ラゴン〇ールZのブ○リーのギ○ンティック・○ーティア……惑星を跡形もなく消し飛ばず技をも防ぐという『設定』持ちだそうだ。いやチートすぎね? 惑星を容易に破壊する力に耐えるとか……

 

 一言で言えば『これも強すぎる』。その証拠としてか、障壁──シャイニング・ウォールに衝突した二体のリオレウス擬きは、その衝撃による反動とそれによって発現・発光されて光のダメージを受け、その場で倒れ伏せてしまった。

 

 ……いやぶつかった奴を気絶させられるってのも強すぎね? 『相手は死ぬ』という設定よりかは余程マシだけどさ……インチキにならね? 攻撃してきた奴を気絶しやすくするって能力は。相手の意識にダメージを与えるなんて最強の攻撃手段だぞ最強の攻撃手段。

 

 ……さてと、今度はこっちから行くとするか。リオレウス擬きは残り七体もいて、倒すのに結構時間を掛けてしまいそうだからな。とっとと終わらせて優子と一緒に帰る為にも、さらに本気でいくか‼︎

 

 

「炎と氷よ、相殺されずに我が槍に纏わりつけ‼︎ フレイムフロスト‼︎」

 

 

 高らかにそう唱えた瞬間、何処からか発生した炎の渦と吹雪の渦がセイクリッド・ランスに纏わりつく。吹雪は炎によって溶けず、炎は吹雪を消した後に相殺されるように共に消えることもなく、セイクリッド・ランスは赤と青が綺麗に輝く槍と化した。

 

 さすがは正にぼくがかんがえたさいきょうのぶきって感じの武器、色々と設定が盛り付けられて属性過多だな。

 

 おっと、これを言うのはこのフレイムフロストを使っている状態のこの槍で闘ってみてからじゃないとな。この闘いがセイクリッド・ランス初使用なんだし、この槍を上手く扱えてなかったら仮に負けて文句を言ってもただの逆ギレになるしな。

 

 

「さてと……いくぜ‼︎」

 

 

 再び高らかに叫びながら飛び上がり、病院の廊下の壁を蹴って勢いをつけながらセイクリッド・ランスを突きつける‼︎ これによって炎か氷の能力が拡散するような追加技系が発生すれば、全員にダメージを与えられるし、シャイニングウォールの件もあるからもしかすると少なくとも二・三体は倒せ───

 

 穂先が中央に立っているリオレウス擬きの一体の頭部に触れた途端、炎で出来た衝撃波が右側に、氷で出来た衝撃波が左側に大きく発生。咄嗟に飛んで回避したのであろう一体を除いて全てのリオレウス擬き達を巻き込み……

 

 右側の六体は身体中焦げまみれにされて気絶。左側の六体は全身を凍りつけられて身動きが一切取れない状態となった。

 

 ………………

 

 

「いや……ちょっ、えっ? ここまでチートの域を超えそうな程に強いものなのこの槍は? えぇっ……」

 

 

 あのさ……正直ここまで強い槍だなんて思わなかったよ? 小学生が考えそうなレベルの性能を持った槍で敵をほぼ全滅とか、何処のなろう系主人公が使う武器ですか? 『チート主人公・チート武器とか物語の展開とか考えてますか?』みたいなこと言われそうなぐらいの性能とかさ、使用している我ながら引くんですけど……怖っ……

 

 おっと、そんな事を考えるのは後にしよう。何せ後一体残っているからな。その一体はきっとリーダー格で、力も知能も他よりは結構高いと思われるからな。油断は禁物だ。

 

 

『───少年。貴様に一つ問いかける』

 

「うおっ喋った⁉︎」

 

 

 えっ、嘘ッ⁉︎ リーダー格のリオレウス擬きって人の言葉を話せるの⁉︎ しかも片言じゃねェ⁉︎ ……そりゃあ飛んで回避が出来る程頭が良いわけだ……(どういう理論だよ)

 

 

『貴様、そこの魔族にも被害が出ぬようにウチの子分達と戦ってたな。それは何故だ? 何故そいつを守りながら俺達と戦っている? 周りなど気にせずに戦えばもっと効率良く俺達を早めに全滅できる戦い方が出来たはずだ。だが貴様はそれをしなかった……何故だ? そこの魔族とはどのような関係だ? 余程の事でない限りは、そいつを守りながら戦おうとは考えないはずだ』

 

 

 ……何故優子を守りながら戦うのか。優子とはどのような関係なのか、か……

 

 

「……先程までの俺だったら、そう聞かれたら悩むところだなそれは」

 

 

 俺が優子のことをどう想っているのか。桃にその事を問いかけられてからは、どうしてその答えを見つけることが出来なかったのだろうかとはずっと疑問に感じていた。

 

 本当はただの幼馴染だと割り切ればなんとかなる話だ。けど、俺は優子に好意を持たれている。それも偶に愛が重くなる微ヤンデレ気質……一歩間違えれば自制が効かなくなる可能性のある程の。

 

 それほどまでのヤバそうな好意を持たれている事を知って尚、何故俺は優子から距離を置こうとはしなかったのか。何故彼女のその心境に寄り添おうとはしなかったのか。それは自分でも分からずにいた。

 

 けど……今ならばはっきりと言える。俺の過去……前世の事を振り返ったおかげで、ようやくその答えを見出せた。

 

 その見つけた答えとは、最もシンプルなものだった。

 

 

 

「昔っから好きだったからなんだよ。シャドウミストレス優子の……吉田優子の事が」

 

 

 

「………………ん? えっ? す、すき……好き? ………………ええええええええええええっ⁉︎」

 

 

 うおっ⁉︎ ビックリした⁉︎ 急に耳元にまで届く程のサイレンみたいな驚愕した声を発するなよ優子⁉︎ いや、驚いてしまうのも無理はないけどさ⁉︎ 信じられないだろうとは思うけどさ⁉︎

 

 

「あっ……あば、あばば、あばばばばばば……」

 

 

 あー……やっぱりアワアワ反応になるよね。無理もない。俺もいざ打ち明かしてみたら結構恥ずかしいし、身体が熱くなっているのを感じているし、ね……?

 

 おっといけない。何故こんな事を言うのか、理由を言っておかなければ───

 

 

『………………フッ、そうか。それが貴様の答えか。正しく今のそこの魔族の為とも言える一言だな。それを聞いて納得がいくというものだ』

 

「へっ……? いや、あの……ちょっと待って? 今理由を言おうとしたんだけど……」

 

『俺達に対しては理由を言う必要はない。今言った貴様の本音、それは俺達がずっと待ち続けていた言葉……貴様の未来の架け橋とも言える言葉。その答えを直接聞けただけでも充分だ。おかげで、またそこの魔族のこの夢の中で暴れる必要はなくなった、というものだ』

 

 

 えっ……? それ、どういう意味? ちょっと何言ってるか分かんないですが……

 

 

『お前の本心に免じ、俺達は金輪際そこの魔族に夢の中で襲いかからないことを誓おう。ではさらばだ』

 

「ちょっ、待っ、話はまだ終わって───」

 

 

 俺の制止など聞かずに、最後のリオレウス擬きは光の粒子となって突然消え去ってしまった。すると残りの気絶……戦闘不能になっていたリオレウス擬き集団も続けて光の粒子となって次々とこの場から消え去っていった。……何だったんだあいつら。

 

 うーん……とりあえず優子に無事かどうか聞いて、さっさとこの世界から出る方法を探さないとな。俺は夢魔の力を持ってるわけじゃないから帰る方法なんて分からないけど、なんとか魔力を使って出口がどこにあるのかを探知することを試みるとしようか。

 

 優子、未だに顔を真っ赤にして硬直中だな。これは正気を取り戻させるのに時間がかかるなこりゃ……

 

 って……あ、あれ? なんか、身体がふらついちゃって脱力してるって感が出てる気がするけど……気のせい、なのか?

 

 

 

 

 

 

 助けに来てくれた白哉さんは、急にとてつもない強さを披露させていた。なんか白哉さんが首に付けてるキーホルダーの形に似た槍をぶん回して、私が七頭までしか倒せず残り十七頭もいるドラゴンさんを一体だけ残してほぼ全滅させた。その勇志はとてつもなくかっこよく、私の彼に対する好意の心に強く、より強く響かせていた。

 

 けど、白哉さんのその強さ以上に心に響いてきたものがある。いや、出来てしまったと言った方が正しいかな? それは突然喋り出した最後のドラゴンさんの『何故そこの魔族を守りながら俺達と戦っているのか』という問いかけに対する答えだ。

 

 その問いに対し、白哉さんは答えた。『昔から好きだから』と。

 

 それを聞いた私は、自分の耳と白哉さんの発した言葉と声までをも疑った。いや、だって……信じられませんもん。白哉さんがこんな私の事を好きになるだなんて……これはきっと何かの間違いだ。最初は自分自身にそう言い聞かせていましたが……

 

 

 ───昔っから好きだったからなんだよ。シャドウミストレス優子の……吉田優子の事が。

 

 

 その言葉が今でも脳内から一文字も離れてくれなくて、その時の私の頭の中はジャ○リパーク並みにドッタンバッタン大騒ぎレベルに大混乱してしまいました。

 

 白哉さんが高らかに言った私への『好き』という言葉。それは恋愛的方面で言っているのか。はたまた幼馴染としてという意味で言っているのか。私はどちらの意味で彼の『好き』を受け止めれば良いのか分からなくなってきた。

 

 本音を言えば、恋愛的方面での意味で言っているものだと思い込みたいですね。私も今までそっち方面で白哉さんに好意を寄せているのだし、私自身が暴走したり白哉さんが距離を置いたりしない程度のアプローチはかけているはずなので、それが報われたら……そう願っている。

 

 けど、同時にそれはありえないのではとも思っている。私の白哉さんに対する想いがあれだし、それを前に本人に明かしているのだから、それなりの距離は置かれているはず。だから……どちらの意味での『好き』なのかを知るのが、怖くなってきた。

 

 

「なぁ……優子」

 

「はひゃい⁉︎」

 

 

 か、考え事をしすぎたせいか、白哉さんに声を掛けられて変な声が出てしまった……‼︎ へ、変に思われてませんよね? 私、変な顔して変に思われてませんよね⁉︎

 

 

「その……なんだ。積もる話はあるだろうけどさ、聞きたいことなら後で聞くから今はここから帰る方法を探そうぜ? 桃達もいつ俺達が目覚めるかって焦っているだろうしさ。」

 

「えっ……あっ、は、はい……」

 

 

 そ、そうでしたね。今私達は寝ている状態でしたね。しかも少なくとも私はトラウマ(?)に追いかけられたから、唸って桃達を不安にさせてしまっているはず。だから早く起きて三人を安心させてあげないと。

 

 よし、そうと決まれば帰れる方法を見つけよう‼︎ 互いにチート武器を持っている私達二人ならば、少し休めばどんな敵が来ても負けな───

 

 

「あっ、ヤベッ……」

 

 プヨンッ

 

 

 ん……? 今、胸らへんに違和感が起きたような……何かが私の胸の上に乗っているような……

 

 

 

 あっ、白哉さんの顔だ。白哉さんの顔が私の胸に軽くダイブしてる。

 

 

 

 ………………って。

 

 

「めりゃあああああああああっ⁉︎ びゃ、びゃ、びゃ、白哉さん⁉︎ えっと……その……ええっと……ええっ⁉︎」

 

 

 な、なんで⁉︎ なんで急に私の胸に埋もれてくるんですか⁉︎ いやその、正直私を求めてる感が出てる気がして悪くはないんですけど……夢の中とはいえ、せめて時と場所は……じゃなくてぇ⁉︎

 

 

「いや、その……す、すまん。ど、どうやらこのセイクリッド・ランスを使うの初めてだからなのか、魔力を使い過ぎて疲れた……ってな感じなんです。セクハラする気はなかったんです。ホントすいません……」

 

「えっ……? あっ。そ、そうですか……」

 

 

 そ、そういうことだったんですね。初戦闘で力の使い方や加減を誤ったせいで疲れたから立てなくなって、その場で倒れ込んだって感じなんですね。そ、そういうことだったんですね。……ちょっと残念な気がします。

 

 って、熱っ⁉︎ 胸の部分が熱っ⁉︎ よく見たら白哉さんの顔が真っ赤になって、そこから湯気が出てきているじゃないですか⁉︎ や、やっぱり胸に埋もれるのは恥ずかしいんですね……分かってはいましたけど……

 

 と、とりあえず、なんか視線を感じるので羞恥死する前に白哉さんを退かしてあげないと───

 

 ……ん? 視線? なんで二人しかいないこの世界で視線を感じるんだろう……?

 

 あっ、前方に等身大の注射器やら点滴やらがこっちに向かってきてる。正真正銘の私の記憶のトラウマから生まれたオバケだ……って。

 

 私は今、体力が回復してない為動けない。そもそも白哉さんの顔が胸に埋もれている為、退かすのにさらに体力や時間が掛かる。白哉自身も魔力がカスカスな感じで動けずにいる。これって……

 

 

「詰んでるじゃないですかヤダー⁉︎」

 

 

 最悪だー⁉︎ なんでこのタイミングで私の記憶のトラウマオバケに遭遇してしまうんですか⁉︎

 

 体力がない‼︎ 白哉さん動けない‼︎ ごせんぞとの連絡がまだつかない‼︎ 退路が分からないというか塞がれてる‼︎ これホントどうしよう⁉︎ 打開策は……何か打開策はないのですか⁉︎

 

 

「せ、せめて……せめて俺が優子の盾になれば……優子への被害は最小限には抑えられるし、第一夢の中なら死にゃあせんしな……」

 

「ま、待ってください白哉さん‼︎ 捕まったら悪夢に魘されますよ⁉︎ 無理しないで‼︎」

 

 

 ど、どうしましょう⁉︎ 白哉さんが私の盾になるとか言ってきたんですが⁉︎ は、早く策を考えないと、白哉さんに危機が……‼︎

 

 

 

「そうはさせるかー‼︎」

 

 

 

 刹那。桃色と黒色の二色の光が、トラウマオバケを一瞬にして吹き飛ばしたかのように見えた。そして、私達の目の前には、先程吹き飛んだトラウマオバケではなく……

 

 

「迎えに来たよ、シャミ子‼︎ 白哉くん‼︎」

 

「もっ……桃……⁉︎ 何故ここに……」

 

「……来るのが遅いのやら、タイミングが良いのやら、じゃねェか……」

 

 

 私の宿敵・桃が、変身する時のいつもの魔法少女とは別の姿で、私達の前に現れたのだ。助けてくれたのは嬉しいけど、白哉さんといい、どうやってこの世界に入って来れたのでしょうか?

 

 あと……

 

 

「なんか……黒くないですか?」

 

 

 いつもの魔法少女の衣装とは違う彼女の今の姿は、魔法少女とは思えない程に黒が多いですね。

 

 手には指出しグローブを付けているし、髪型はポニーテールで黒いヘアピン2本をクロスして溜めて『まぞく羽』が生えた黒いものみたいな謎パーツも付けているし、マントを羽織っているし、何故ここまでほとんど黒ずくめになっているんですか?

 

 

 

「闇堕ちしてきた」

 

「意味が分からない⁉︎」

 

 

 

 えっ? 闇堕ち? ……えっ? いや、桃が闇堕ちするのは互いにアドバンテージがあるから嬉しいんですが……ってあれ⁉︎ 怪我してる⁉︎ 大丈夫ですか⁉︎ えっ? 古傷? それならよかった……

 

 そんなことより……よく見たらすごくカッコいい‼︎ 魔法少女の衣装よりもこっちの方が断然いいです‼︎ 背が高いからシンプルな黒が似合う‼︎ あ~興奮してきた───

 

 興奮し過ぎて滑らか一本背負いされました。調子乗りました……

 

 

「詳しくはあとで。帰るよ二人とも……と思ったけど白哉くんは立てそうにない感じだから背負っておくね」

 

「あっ、すみません。お願いします」

 

「……女の子に担がれるとか、男のプライドとかが廃れる気がするんだがな……」

 

 

 それは分かります。でも今の白哉さんは魔力消費し過ぎで気力がスッカラカンじゃないですか。ここは意地を張らないで桃におぶってもらいましょうよ。えっ? 私? いや私の方が担がれようにも重いだろうし、白哉さん背負うにも力が圏外だし……

 

 むぅ……ここで胸がチクチクするしムカムカしてきた……。今はなんとかここから出ないといけないのだから、いつもの発作みたいな感じに白哉さん絡みで嫉妬している場合じゃないってのに……

 

 

ダークネスピーチよ、聞こえるか。そこを曲がったところにゲートを開いたぞ! 早急に脱出せよ‼︎』

 

「ダークネスとは」

 

 

 ごせんぞからのテレパシーが聞こえてきた‼︎ そしてめっちゃワクワクするコードネームが出てきた‼︎ ダークネスピーチって何⁉︎ なんか一瞬R-17・5なジャンプ漫画が連想されたけど、気になる気になる‼︎ 極めて些末な問題でも結構気になる‼︎ 教えて教えて‼︎

 

 あっちょっ、尻尾紐やめて……やめっ……これで勝ったと思うなよー‼︎

 

 

 

 この時、私はまだ知らなかった。この夢の世界から出た途端に、白哉さんの事に関わる出来事と遭遇し、私達の運命が変わっていくことになるなんて……

 

 

 

 




白哉君、ついにシャミ子に対する本心に気づく‼︎ そして打ち明かす‼︎ そしてシャミ子はその言質を獲得する‼︎ 何これ?

頑張れシャミ子‼︎ この出来事を機に君も本心と向き合うのだ‼︎

次回で皆さんが期待していたであろうあの展開が起きるのか⁉︎ ただ、ストックしていた下書きの数もあるので、下手すれば一週間空けてからの投稿になるかもしれない……

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